
情報基準:2026年9月14日 07:00 JST
国内の8月企業物価は、前年同月比7.6%上昇、前月比0.2%低下でした。企業の景況感は大企業でプラスに戻り、中小企業も改善しましたが、なおマイナスが続いています。米国の物価統計も合わせ、仕入れ価格と事業環境、今週の金融政策を考える材料を整理します。
企業物価は前年比7.6%高、前月からは0.2%低下
日本銀行が9月11日に公表した8月の国内企業物価指数(速報)は、前年同月比7.6%上昇しました。前月比では0.2%低下しており、足元では下がったものの、前年より高い水準が続いています。
企業物価指数は、企業間で取引されるモノの価格変動を測る指標です。国内企業物価は主に生産者の出荷段階を捉え、家計が店頭で支払う価格を測る消費者物価とは、調べる取引段階が異なります。
前月からの下落には、都市ガスや事業用電力、精米、重油などが寄与しました。銅などの非鉄金属、冷凍調理食品や菓子パン、プラスチック製品には上昇する動きがあり、品目によって方向が分かれています。
円換算した輸入物価も前月比3.0%低下しましたが、前年同月比では24.8%上昇しています。国内・輸入とも、直近1か月の変化と、前年から積み上がった価格上昇を分けて読む数字です。
仕入れ価格の交渉では、総平均に加え、自社で使う材料や商品の指数を参照する方が実態に近づきます。日銀も企業物価指数を企業間の値決めの参考指標と位置付けています。家計にとっては、店頭価格の背景にある企業側の価格動向を知る材料になります。
大企業の景況感はプラスへ、中小企業も改善
内閣府と財務省が9月11日に公表した法人企業景気予測調査では、7~9月期の大企業・全産業の景況判断指数がプラス5.3ポイントとなり、2期ぶりに「上昇」と答えた企業が「下降」を上回りました。調査時点は8月15日です。
この指数は、前の四半期より自社の景況が「上昇」と答えた企業の割合から、「下降」と答えた割合を引いたものです。企業の売上高の伸び率ではなく、景況判断の広がりを示します。
| 企業規模 | 4~6月期 | 7~9月期 |
|---|---|---|
| 大企業 | −0.5 | +5.3 |
| 中堅企業 | −3.9 | +0.8 |
| 中小企業 | −17.6 | −10.9 |
全産業の景況判断指数。単位は%ポイント。出典:内閣府・財務省。
中小企業もマイナス幅が縮まりましたが、景況が下降したとする企業の方が多い状態です。今回の結果は、企業規模ごとに判断が改善する一方、プラスへ転じたかどうかには差があることを示しています。
テレビ朝日は、大企業の改善の背景として、半導体製造装置やAI・データセンター向け半導体の需要増を報じています。取引先の事業環境を考える際には、全体の指数と、自社が関わる業種の動きを分けて見る材料になります。
調査対象は資本金1,000万円以上の法人で、このうち中小企業の区分は資本金1億円未満です。
米8月物価は前年比3.4%、月間の上昇率は拡大
米労働省が9月11日に発表した8月の消費者物価指数は、前年同月比3.4%上昇し、7月と同じ伸び率でした。季節要因を調整した前月比では0.4%上昇し、7月の0.1%から拡大しました。
月間の押し上げ役はガソリンです。季節調整済みで前月比3.9%上昇し、総合指数の上昇の3分の1超を占めました。食品とエネルギーを除く指数は前年同月比2.4%上昇で、7月の2.5%から伸びが縮小しています。
日本の輸入企業にとっても、米国の物価は金融政策と為替を通じて関係する情報です。米金利の変化はドルなどの為替相場に影響します。同じドル額でも、円安なら円換算した仕入れ代金は増え、円高なら減ります。
米連邦公開市場委員会(FOMC)は、米国時間9月15~16日に開催予定で、経済見通しも公表する会合です。次に確認するのは、政策金利の決定と、当局が物価・景気の先行きをどう評価するかです。
出典
[1]日本銀行『企業物価指数(2026年8月速報)』(2026年9月11日)
[2]日本銀行『企業物価指数(2020年基準)のFAQ』(2022年12月)
[3]内閣府・財務省『法人企業景気予測調査(令和8年7~9月期調査)結果の概要』(2026年9月11日)
[4]テレビ朝日『大企業の景況感 2期ぶりにプラス 法人企業景気予測調査 今後もプラス維持見通し』(2026年9月11日)
[5]米労働省労働統計局『Consumer Price Index – August 2026』(2026年9月11日)
[6]米連邦準備制度理事会『Monetary Policy: What Are Its Goals? How Does It Work?』(2021年7月29日更新)
[7]米連邦準備制度理事会『Meeting calendars and information』(2026年8月19日更新、9月14日確認)
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