
日本人のノーベル賞受賞者は、受賞時に日本国籍だった個人に限ると28人です。本記事では、受賞時に外国籍だった日本出身者4人も含む32人と、日本被団協1団体を紹介します。2026年は化学賞の硤合憲三さんが加わりました。誰が何年に受賞し、何を変えたのか。まず歴代の一覧で確認し、その後に全員の功績を分野別に解説します。資料によって人数が違う理由や、文学賞・団体受賞の数え方も整理します。
情報基準日時:2026年10月12日。経済学賞を含む2026年の全6部門の発表を確認しています。
日本人のノーベル賞受賞者一覧
下表は、受賞時日本国籍の28人、日本生まれで受賞時は外国籍だった4人、日本の1団体を受賞年順に並べています。外国籍の4人には「米国籍」「英国籍」を明記しました。団体は個人の人数に含めません。
| 受賞年 | 氏名 | 部門 | 評価されたこと |
|---|---|---|---|
| 1949 | 湯川秀樹 | 物理学 | 核力を伝える中間子の存在を理論から予測 |
| 1965 | 朝永振一郎 | 物理学 | 量子電気力学の基礎研究とくりこみ理論 |
| 1968 | 川端康成 | 文学 | 日本の心を繊細に表現する文学的な技法 |
| 1973 | 江崎玲於奈 | 物理学 | 半導体でのトンネル現象の実験的発見 |
| 1974 | 佐藤榮作 | 平和 | 環太平洋地域の安定への貢献と核不拡散条約への署名 |
| 1981 | 福井謙一 | 化学 | 化学反応の進み方を電子の状態から説明する理論 |
| 1987 | 利根川進 | 生理学・医学 | 多様な抗体を生む遺伝的な仕組みの発見 |
| 1994 | 大江健三郎 | 文学 | 現実と神話を結び、現代人の苦境を描いた文学 |
| 2000 | 白川英樹 | 化学 | 電気を通す高分子の発見と発展 |
| 2001 | 野依良治 | 化学 | 触媒を使い、分子の左右を選び分ける水素化反応 |
| 2002 | 小柴昌俊 | 物理学 | 宇宙ニュートリノの検出による天体物理学への貢献 |
| 2002 | 田中耕一 | 化学 | タンパク質などを質量分析するためのイオン化法 |
| 2008 | 南部陽一郎〈米国籍〉 | 物理学 | 素粒子物理学での自発的対称性の破れ |
| 2008 | 小林誠 | 物理学 | クォークが少なくとも3世代あると予測する理論 |
| 2008 | 益川敏英 | 物理学 | 小林誠との共同理論による対称性の破れの説明 |
| 2008 | 下村脩 | 化学 | 緑色蛍光タンパク質GFPの発見と発展 |
| 2010 | 鈴木章 | 化学 | パラジウム触媒で炭素同士をつなぐ反応 |
| 2010 | 根岸英一 | 化学 | パラジウム触媒で炭素同士をつなぐ反応 |
| 2012 | 山中伸弥 | 生理学・医学 | 成熟した細胞を多能性のある状態へ戻す方法 |
| 2014 | 赤﨑勇 | 物理学 | 高効率の青色LEDの発明 |
| 2014 | 天野浩 | 物理学 | 高効率の青色LEDの発明 |
| 2014 | 中村修二〈米国籍〉 | 物理学 | 高効率の青色LEDの発明 |
| 2015 | 大村智 | 生理学・医学 | 寄生する線虫による感染症の新しい治療法につながる発見 |
| 2015 | 梶田隆章 | 物理学 | ニュートリノに質量があることを示す振動の発見 |
| 2016 | 大隅良典 | 生理学・医学 | 細胞内の分解・再利用を担うオートファジーの仕組み |
| 2017 | カズオ・イシグロ〈英国籍〉 | 文学 | 人と世界のつながりを問い直す、感情に訴える小説群 |
| 2018 | 本庶佑 | 生理学・医学 | 免疫の抑制を解除するがん治療の発見 |
| 2019 | 吉野彰 | 化学 | リチウムイオン電池の開発 |
| 2021 | 真鍋淑郎〈米国籍〉 | 物理学 | 地球の気候のモデル化と温暖化予測の基礎 |
| 2024 | 日本原水爆被害者団体協議会〈団体〉 | 平和 | 被爆証言を通じた核兵器のない世界への活動 |
| 2025 | 坂口志文 | 生理学・医学 | 免疫が自分の体を攻撃しないための仕組みの発見 |
| 2025 | 北川進 | 化学 | 金属有機構造体MOFの開発 |
| 2026 | 硤合憲三 | 化学 | 分子の左右の偏りを増幅する不斉自己触媒反応 |
※国籍は受賞時のものです。外国籍の4人は、日本出生と受賞時の外国籍を確認できる南部陽一郎、中村修二、真鍋淑郎、カズオ・イシグロに限りました。日本の大学に所属したことや、日本にルーツがあることだけでは対象に加えていません。受賞年は受賞が決まった年で、研究の発表年とは異なります。
名簿は文部科学省の紹介資料、京都大学の受賞者一覧と、各受賞者のNobelPrize.org公式記録を照合しています。外国籍の4人の扱いは、後半のFAQでも説明します。
部門別では何人?最新の受賞者は硤合憲三
外国籍の日本出身者4人を含む32人の内訳は、物理学12人、化学10人、生理学・医学6人、文学3人、平和1人です。これとは別に、平和賞の1団体があります。
| 部門 | 受賞時日本国籍 | 外国籍の日本出身者 | 本記事の合計 |
|---|---|---|---|
| 物理学 | 9人 | 3人 | 12人 |
| 化学 | 10人 | 0人 | 10人 |
| 生理学・医学 | 6人 | 0人 | 6人 |
| 文学 | 2人 | 1人 | 3人 |
| 平和 | 1人 | 0人 | 1人+1団体 |
| 経済学 | 0人 | 0人 | 0人 |
| 合計 | 28人 | 4人 | 32人+1団体 |
2026年10月7日、硤合憲三の化学賞受賞が決まりました。鏡写しの形をもつ分子の小さな偏りが、化学反応で大きくなる仕組みに関わる研究です。2025年には坂口志文と北川進が受賞しており、今回、化学賞の個人が9人から10人になりました。[2026年化学賞の公式発表]
10月12日の経済学賞まで、2026年の全6部門が発表済みです。本記事の対象に加わったのは硤合1人で、未発表の部門はありません。ただし、2026年分は受賞決定の段階であり、12月の授賞式とは区別しています。[ノーベル賞公式サイト・2026年経済学賞の公式発表]
物理学賞の受賞者と功績
物理学賞では、物質の根本を説明する理論から、宇宙の観測、照明、気候までが対象になっています。同じ年の共同受賞でも、評価された発見が同じとは限りません。
湯川秀樹|1949年
湯川秀樹(ゆかわ・ひでき)は、日本人初のノーベル賞受賞者です。原子核の中で陽子と中性子を結び付ける力について、それを伝える粒子があると理論から予測しました。後の実験で対応する中間子が見つかり、直接見えない物質の内部を数式から探る研究の大きな成果になりました。[公式記録]
朝永振一郎|1965年
朝永振一郎(ともなが・しんいちろう)は、電子と光の相互作用を扱う量子電気力学を発展させました。計算に無限大が現れる難問を、観測される質量や電荷を基準に整理する「くりこみ」に貢献しました。理論の予測を実験と精密に比べられるようにした仕事で、シュウィンガー、ファインマンと共同受賞しています。[公式記録]
江崎玲於奈|1973年
江崎玲於奈(えさき・れおな)は、電子が普通なら越えられない障壁を通り抜ける「トンネル効果」を、半導体で実験的に示しました。成果はエサキダイオードという電子部品につながりました。同年受賞のジアイエバーは超伝導体を研究しており、江崎の功績は半導体での発見です。[公式記録]
小柴昌俊|2002年
小柴昌俊(こしば・まさとし)らは、地下の巨大な水槽「カミオカンデ」で、超新星爆発から届くニュートリノを検出しました。ニュートリノは物質とほとんど反応せずに通り抜ける、観測の難しい粒子です。光だけでは捉えにくい星の内部の出来事を調べる、ニュートリノ天文学の発展を支えました。[公式記録]
南部陽一郎|2008年・受賞時米国籍
南部陽一郎(なんぶ・よういちろう)は、基本法則の対称性が、実際の状態には現れなくなる仕組みを素粒子物理学に取り入れました。「自発的対称性の破れ」と呼ばれます。法則が特定の状態を特別扱いしなくても、自然が一つの状態に落ち着くという考え方は、素粒子の性質を説明する重要な土台になりました。[公式記録]
小林誠・益川敏英|2008年
小林誠(こばやし・まこと)と益川敏英(ますかわ・としひで)は、粒子と反粒子の振る舞いの違いを説明する理論を共同で築きました。粒子を反粒子に置き換え、空間を鏡写しにしても法則が同じか、という性質を「CP対称性」といいます。二人は、この対称性が破れる現象に取り組みました。
二人の理論には、物質を構成する素粒子「クォーク」が少なくとも3世代、6種類必要でした。当時まだ発見されていない種類まで要求し、その後の実験で確かめられた点に大きな意味があります。二人に異なる功績を割り当てる研究ではなく、小林・益川の共同理論としての受賞です。宇宙に物質が多く残る理由の全てを解決したわけではありません。[小林誠の公式記録・益川敏英の公式記録]
赤﨑勇|2014年
赤﨑勇(あかさき・いさむ)は、青色LEDの材料として扱いの難しかった窒化ガリウムの研究を進めました。天野浩とともに、良質な結晶を育て、電気の流れを制御する課題を克服しました。青い光を効率よく出せるようになったことが、明るく消費電力の少ない白色LED照明への道を開きました。[公式記録]
天野浩|2014年
天野浩(あまの・ひろし)は赤﨑勇と研究し、窒化ガリウムの良質な結晶を育てました。電子が不足した「穴」が電流を運ぶ、p型の層の実現にも貢献しました。光る材料を見つけるだけでは、実用的なLEDにはなりません。結晶と電気的な性質を制御し、電流で効率よく発光する素子にしたことが重要です。[公式記録]
中村修二|2014年・受賞時米国籍
中村修二(なかむら・しゅうじ)は日亜化学工業で、赤﨑・天野とは異なる方法による青色LEDの開発を進めました。結晶を成長させる方法を工夫し、加熱によってp型の性質を引き出す技術も開発しました。青色LEDは、光の色を変える蛍光体と組み合わせることで、白色照明にも利用されています。[公式記録]
梶田隆章|2015年
梶田隆章(かじた・たかあき)らは、スーパーカミオカンデで大気中から来るニュートリノを調べました。飛ぶ途中で種類が変わる「ニュートリノ振動」を示し、ニュートリノに質量があることを明らかにしました。共同受賞したマクドナルドは別の装置で太陽のニュートリノを研究し、双方の成果が従来の理論を見直す根拠になりました。[公式記録]
真鍋淑郎|2021年・受賞時米国籍
真鍋淑郎(まなべ・しゅくろう)は、大気中の熱の出入りや空気の上下運動を数式で表し、地球の気候を計算するモデルを発展させました。二酸化炭素が増えると地表の温度が上がる関係を数値で示した成果です。ハッセルマンの研究とともに気候予測の基礎を築き、同年のパリージによる無秩序な物質の研究とは区別して評価されました。[公式記録]
化学賞の受賞者と功績
化学賞の10人は、分子の反応を説明する理論や、物質を作る・測る・利用する方法を広げました。身近な製品につながった研究もあれば、生命の成り立ちを考える基礎研究もあります。
福井謙一|1981年
福井謙一(ふくい・けんいち)は、分子が反応するとき、どの電子の状態が重要なのかを理論で示しました。反応に参加しやすい電子と、その受け入れ先に注目する「フロンティア軌道理論」です。ホフマンとは独立に理論を発展させ、経験だけでは分かりにくかった反応を説明する考え方を化学者に与えました。[公式記録]
白川英樹|2000年
白川英樹(しらかわ・ひでき)は、ヘーガー、マクダーミドとともに、電気を通す高分子の研究で受賞しました。長い鎖状の分子でできたプラスチックでも、構造や処理を工夫すると電気が流れます。白川が作製したポリアセチレンの膜を出発点に、軽く加工しやすい電子材料を研究する道が広がりました。[公式記録]
野依良治|2001年
野依良治(のより・りょうじ)は、鏡写しの形をした分子のうち、必要な側を選んで作る方法を発展させました。反応を助ける物質「触媒」を工夫し、水素を加える反応を制御します。分子の形によって体への働きが変わる医薬品などの製造に役立ちます。同年受賞のシャープレスは酸化反応が対象で、野依の水素化反応とは異なります。[公式記録]
田中耕一|2002年
田中耕一(たなか・こういち)は、タンパク質のような大きく壊れやすい分子を、質量分析で調べる道を開きました。電気を帯びた分子の動きから重さを調べる方法で、田中はレーザーを使って分析できる状態にする技術を開発しました。共同受賞者のビュートリッヒが手掛けた、核磁気共鳴による立体構造解析とは別の成果です。[公式記録]
下村脩|2008年
下村脩(しもむら・おさむ)は、オワンクラゲから、光を当てると緑色に光るタンパク質GFPを取り出し、性質を調べました。その後、共同受賞のチャルフィーが細胞内の目印としての利用を示し、チェンが色や性質の改良を進めました。生きた細胞の中で、タンパク質がどこにあるかを観察する道具につながっています。[公式記録]
鈴木章|2010年
鈴木章(すずき・あきら)は、炭素同士を狙った場所で結ぶ「クロスカップリング」を発展させました。金属パラジウムに反応を助けてもらい、ホウ素を含む有機化合物を使います。扱いやすい材料で複雑な分子を作れることが利点で、医薬品、農薬、電子材料などの合成に広く利用される方法になりました。[公式記録]
根岸英一|2010年
根岸英一(ねぎし・えいいち)も、パラジウムを触媒として炭素同士をつなぐ研究で受賞しました。根岸の方法は、主に亜鉛を含む有機化合物を使う点で鈴木の方法と異なります。余計な反応を抑えながら複雑な分子を組み立てられ、天然物の研究や医薬品に関わる物質の合成を支えています。[公式記録]
吉野彰|2019年
吉野彰(よしの・あきら)は、繰り返し充電できるリチウムイオン電池を実用につながる形にしました。ウィッティンガムとグッドイナフの先行研究を踏まえ、正極に炭素材料の負極を組み合わせたことが重要です。負極に金属リチウムを使う方式の安全面の課題を克服する道を開き、携帯電話や電気自動車を支える電池につながりました。[公式記録]
北川進|2025年
北川進(きたがわ・すすむ)は、金属と有機分子をつなぎ、内部に小さな空間を持つ「金属有機構造体(MOF)」を発展させました。特に、その空間への気体の出入りや、柔軟に形を変える材料の可能性を示しました。ロブソン、ヤギーとの共同受賞で、気体の分離・貯蔵などに向けた材料の設計や応用研究を支えています。[公式記録]
硤合憲三|2026年
硤合憲三(そあい・けんそう)は、鏡写しの分子のわずかな偏りが、反応を通して大きくなる仕組みを示しました。できた物質が、同じ型の物質をさらに作る反応を助ける「不斉自己触媒反応」です。カガンの非線形効果の研究とともに評価されました。生命の材料が片方の型に偏る謎への手掛かりですが、生命誕生の全過程を解明したわけではありません。[公式記録]
研究の仕組みと人物の歩みは、NEWS DAILYの「硤合憲三とは?ノーベル化学賞の受賞理由と『硤合反応』をやさしく解説」でも詳しく解説しています。
生理学・医学賞の受賞者と功績
生理学・医学賞では、免疫や細胞の基本的な仕組みを明らかにした研究が目立ちます。病気を理解するための発見と、患者に使う治療法が実用化されたことは、分けて読むことが大切です。
利根川進|1987年
利根川進(とねがわ・すすむ)は、限られた遺伝情報から、多種多様な抗体を作れる理由を明らかにしました。抗体は、病原体などを見分ける免疫のタンパク質です。抗体を作る細胞が育つ過程で、遺伝子の一部が組み替わることを示しました。多数の敵に対応できる免疫の仕組みを、遺伝子の働きから説明した成果です。[公式記録]
山中伸弥|2012年
山中伸弥(やまなか・しんや)は、成熟したマウスの細胞に4つの遺伝子を導入し、さまざまな細胞になれるiPS細胞を作りました。細胞の状態を巻き戻す「初期化」を、ガードンの核移植とは異なる方法で可能にしました。病気の仕組みや薬を調べる手段となり、再生医療の研究も支えています。[公式記録]
大村智|2015年
大村智(おおむら・さとし)は、土の中の微生物を調べ、寄生虫対策に役立つ物質を生み出す菌を見いだしました。共同受賞のキャンベルらが効果を調べ、治療薬イベルメクチンにつながりました。失明の原因にもなるオンコセルカ症などへの対策に貢献しています。同年の屠呦呦はマラリアの研究で、対象となる病気と薬が異なります。[公式記録]
大隅良典|2016年
大隅良典(おおすみ・よしのり)は、細胞が内部の成分を分解し、再利用する「オートファジー」の仕組みを明らかにしました。酵母を使って現象を捉え、必要な遺伝子を見つけたことが突破口です。細胞が栄養不足に対応し、内部を保つ働きの理解を進めました。病気との関係を調べる基盤であり、この発見だけで治療が完成したわけではありません。[公式記録]
本庶佑|2018年
本庶佑(ほんじょ・たすく)は、免疫にブレーキをかけるタンパク質PD-1を発見し、その働きを明らかにしました。ブレーキを解除して、免疫ががんを攻撃する力を引き出す治療につながりました。共同受賞のアリソンは別のブレーキCTLA-4を研究しました。実際のがん治療に使われていますが、誰にでも効くわけではなく、副作用もあります。[公式記録]
坂口志文|2025年
坂口志文(さかぐち・しもん)は、免疫が自分の体を攻撃しないよう働く「制御性T細胞」を発見しました。さらに、ブランコウとラムズデルが調べた遺伝子FOXP3と、この細胞の発達を結び付けました。体内で免疫の行き過ぎを抑える「末梢性免疫寛容」の理解を進め、自己免疫疾患やがん、移植医療の研究につながっています。[公式記録]
文学賞の受賞者と作品
文学賞は、ここで挙げる代表作の一冊だけに与えられた賞ではありません。授賞理由が示す、作家の作品群や文学的な仕事への評価を、読む際の手掛かりにしてください。
川端康成|1968年
川端康成(かわばた・やすなり)は、日本の心の本質を繊細な感受性で表現する物語の技法が評価されました。代表作には『雪国』『千羽鶴』『古都』があります。風景や人物のしぐさ、言葉にならない感情を通じて、人間関係の美しさや寂しさを描きました。日本人初の文学賞ですが、『雪国』一作の受賞という意味ではありません。[公式記録]
大江健三郎|1994年
大江健三郎(おおえ・けんざぶろう)は、現実と神話が重なる世界を詩的な力で描き、現代人の苦境を浮かび上がらせた点が評価されました。代表作は『個人的な体験』『万延元年のフットボール』などです。家族や故郷の村といった身近な場所から、人間が社会や歴史にどう向き合うかを問い続けた文学です。[公式記録]
カズオ・イシグロ|2017年・受賞時英国籍
カズオ・イシグロは長崎市生まれで、幼少期に英国へ移り、英語で創作してきた作家です。代表作は『日の名残り』『わたしを離さないで』など。記憶や自己認識を通じて、私たちが世界と確かにつながっていると思う感覚の危うさを描く小説群が評価されました。日本国籍の受賞者には数えず、本記事では日本出身者として掲載しています。[公式記録・長崎市の紹介]
平和賞の受賞者・受賞団体と背景
平和賞は、選考委員会が評価した特定の活動や貢献に対する賞です。受賞した人物や団体の全ての立場・行動を、全面的に支持することと同じではありません。
佐藤榮作|1974年
佐藤榮作(さとう・えいさく)は、首相在任中の環太平洋地域の安定への貢献と、日本による核不拡散条約への署名が評価されました。冷戦下で核拡散への懸念が強まるなか、核兵器を「持たず、作らず、持ち込ませず」とする非核三原則も提唱しました。核兵器を持つ国が増えることを防ぐ外交への評価で、佐藤政権の政策全体への無条件の賛同とは区別されます。[公式記録]
日本原水爆被害者団体協議会|2024年・団体受賞
日本原水爆被害者団体協議会(にほんげんすいばくひがいしゃだんたいきょうぎかい)は、略称を日本被団協(にほんひだんきょう)といい、1956年に結成されました。被爆者の証言を世界に伝え、核兵器が二度と使われてはならないと訴えてきた活動が評価されました。核兵器のない世界を目指す草の根の運動への賞で、代表者個人の受賞ではありません。[公式記録・日本被団協]
日本人のノーベル賞についてよくある疑問
日本人のノーベル賞受賞者は、結局何人ですか?
2026年10月12日時点で、受賞時の日本国籍者は28人です。 本記事は外国籍の日本出身者4人を加えた32人と、日本被団協1団体を掲載しています。
2026年の受賞を反映し、米国籍の3人を含め、英国籍のイシグロを除く場合は31人です。古い資料との比較では、掲載範囲と更新時点の両方を確認してください。[京都大学の一覧]
日本人で最初にノーベル賞を受賞したのは誰ですか?
1949年に物理学賞を受けた湯川秀樹です。 核力を伝える中間子の存在を予測した理論が評価されました。1949年は受賞年であり、理論を考えた年や論文が発表された年と同じではありません。[湯川秀樹の公式記録]
なぜ外国籍の受賞者も載せているのですか?
日本出身の受賞者を探す読者にも対応するためです。南部陽一郎・中村修二・真鍋淑郎は受賞時に米国籍、カズオ・イシグロは英国籍でした。4人はいずれも日本生まれですが、受賞時日本国籍の28人には含めません。
海外の大学で働いていても日本国籍の受賞者はいるため、勤務先の国だけでは判定できません。国籍は、2008年の公式発表、2014年の公式発表、プリンストン大学の真鍋紹介、イシグロ本人のインタビューなどで確認しています。
日本被団協は、何人として数えますか?
人数には加えず「1団体」と数えます。ノーベル平和賞の受賞者として記録されているのは日本被団協という組織です。授賞式に出席した代表者や会員を、それぞれ個人の受賞者として足すことはしません。[日本被団協の公式受賞記録]
日本人の女性受賞者はいますか?
今回の集計対象である個人32人に、女性の受賞者はいません。2026年の全6部門の発表までを確認した結果です。日本被団協には女性の活動参加者もいますが、団体受賞を女性個人の受賞へ置き換えて数えることはできません。
日本人の経済学賞受賞者はいますか?
2026年の発表まで、本記事の対象となる日本人・日本出身者の経済学賞受賞者はいません。経済学賞の正式名称は「アルフレッド・ノーベル記念スウェーデン国立銀行経済学賞」です。ノーベルの遺言による5賞とは設立の経緯が異なり、1969年から授与されています。[2026年の公式発表・スウェーデン国立銀行の説明]
一覧の先にある、それぞれの発見
受賞者の功績には、暮らしで使う技術を生んだものと、自然や人間を見る方法を変えたものがあります。人数だけでなく、どんな問いに答え、何ができるようになったのかをたどると、それぞれの仕事の違いが見えてきます。
主な参考資料
各人の解説には、受賞年・授賞理由・研究内容を確認できる公式記録へのリンクを付しています。全体の名簿、集計条件、最新の発表状況については、次の資料も参照しました。
- NobelPrize.org:ノーベル賞公式サイト
- 京都大学:日本のノーベル賞受賞者一覧
- 文部科学省:ノーベル賞と文部科学省
- NobelPrize.org:2026年ノーベル化学賞の発表
- 日本原水爆被害者団体協議会:公式サイト
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