地域

北海道の市区町村の現状と課題、そして持続可能な地域づくりに向けた解決策

1. 導入

北海道の地域社会は、人口減少と高齢化が全国に先駆けて進行し、広大な土地に小規模な自治体が点在するという特徴を抱えています。 今、北海道の市区町村の現状と課題に目を向けることは、地域の持続可能性を考える上で極めて重要です。日本全体で人口減少時代が本格化する中、北海道は1990年代からいち早く人口減少局面に入り、高齢化率も全国平均を上回っています。これは北海道が「課題先進地域」とも呼ばれ、日本各地がいずれ直面する問題に先んじて取り組んでいることを意味します。本記事では、北海道内の自治体が直面する共通の課題と、地域ごとの特色を踏まえた具体的事例を分析し、持続可能な地域づくりへの解決策を探ります。

まず北海道全体の市町村の概況を整理し、次に人口減少や産業構造、公共サービスなどの共通課題をデータに基づいて明らかにします。その上で、道央(札幌圏)、道南、道北、オホーツク、十勝、釧路・根室など各地域ブロックや都市規模の異なる自治体の具体例を紹介し、それぞれの現状と取り組みを比較します。さらに、移住促進や観光振興、公共交通の再編、DX(デジタルトランスフォーメーション)など多角的な解決策の方向性を検討し、北海道内外の先進事例から成功のポイントと教訓をまとめます。最後に、これからの北海道の地域社会の展望を示すとともに、読者である自治体職員や移住希望者、起業家の方々への具体的な示唆を提案します。

2. 北海道の市区町村の概要

北海道には全道で179の市町村があり、広大な面積の中に多様な地域社会が存在しています。 具体的には、北海道は法律上35の市、129の町、15の村で構成されており、それらを合わせて179市町村となります。この179市町村は、道庁の出先機関である14の「(総合)振興局」の管轄区域に分けられています(かつての14支庁を再編)。地理的には、札幌市などが属する中央部の「道央」、函館市を中心とする「道南」、旭川市や稚内市のある「道北」、網走市・北見市などオホーツク海側、帯広市のある「十勝」、釧路市・根室市のある「道東(釧路・根室)」といった6つの生活圏に大きく区分されることがあります。2025年10月時点の住民基本台帳によれば、道央圏(石狩・後志・空知・胆振・日高地域)に全道人口の約64.5%(約322万人)が集中し、特に札幌市だけで約38%を占めます。一方、道南圏(渡島・檜山)は7.7%、道北圏(上川・留萌・宗谷)は10.9%、オホーツク圏は5.0%、十勝圏6.4%、釧路・根室圏5.4%と、札幌圏と地方との人口偏在が顕著です。

北海道の面積は約83,400平方キロメートルに及び(日本の約5分の1強)、一つの都府県としては日本最大です。そのため人口密度はわずか67人/平方キロメートルしかなく、全国平均(338人/平方キロメートル)の約5分の1で全国最低となっています。広大な土地に人々が散在するため、都市部と農山漁村部の人口密度格差も大きく、札幌市などの市街地では高層住宅も立ち並ぶ一方で、中山間地域や離島では1平方キロメートルあたり数人以下という過疎地域も珍しくありません。例えば、北海道で最も人口の少ない音威子府村(おといねっぷむら)は、2025年時点の人口が約599人で、面積約276平方キロメートルに対し人口密度は2人/km²程度という極端な例です。反対に最も人口の多い札幌市は約196万人(2025年9月現在)で、単独で北海道人口の4割近くを占める巨大都市です。札幌市以外にも、旭川市(約32万人)、函館市(約24万人)、釧路市・帯広市(各約16万人)などの中核都市が点在しますが、それらを除くと多くの市町村は人口数万人以下、中には数千人以下の町村も少なくありません。

北海道の自治体はその多くが過疎化に直面しており、国の定める過疎地域市町村に指定されている自治体数は152にも上ります。これは全179市町村の約85%に当たり、全国の過疎自治体数885のうち約17%を北海道が占めます。このように北海道は「多くの過疎自治体」と「一極集中する札幌圏」という二極構造が顕著であり、広域分散型の地域構造と人口構成上の課題が複雑に絡み合っています。次章では、まず北海道の市区町村に共通する主要な現状と課題を、データを交えながら整理します。

3. 北海道の市区町村が直面する主な現状と共通課題

人口減少と少子高齢化・若年層の流出

北海道の人口はピーク時から減少に転じ、急速な少子高齢化と若者の流出が進んでいます。 北海道の総人口は1997年の約570万人を頂点として減少局面に入りました。全国の人口ピーク(2008年)よりも10年早く減少が始まったことになり、2010年には既にピーク時より約19万人少ない約550万人となっています。その後も減少傾向は続き、2020年国勢調査時点で約522万人、2023年には約509万人(推計値)程度まで減ったとされています。少子化の進行により出生数が死亡数を下回る自然減が2003年以降定着し、また高等教育や就職のために道外へ人が出て行く社会減も続いてきました。特に20〜30代の若年女性の転出超過が顕著で、2023年には北海道の女性転出超過数が男性の約2.5倍にのぼり、実人数では全国ワーストとなっています。若い女性が地元を離れる背景には、進学・就職・結婚といった直接要因に加え、「都会での暮らしへの憧れ」や「将来の自己実現の場として地方に魅力を感じにくい」風潮も指摘されています。これらの結果、北海道全体の合計特殊出生率も全国平均を下回る低水準が続き、長期的な人口減に拍車をかけています。

人口構造を見ても、北海道は全国平均以上の速度で高齢化が進行しています。2020年時点で全道の老年人口割合(65歳以上)は32.2%に達しており、全国平均(28.6%)を上回っています。一方で15歳未満の年少人口割合は10.8%と低く、生産年齢人口(15〜64歳)は57.0%まで低下しました。高齢化率の高さは地域によってさらに差があり、札幌市など都市部ではまだ比較的若年層も多いものの、農村漁村部や離島部ではすでに高齢者が住民の半数以上を占める自治体も出てきています。人口減少と少子高齢化は地域社会の活力低下を招くとともに、自治体運営の基盤にも大きな影響を与えています。このままの傾向が続けば、2040年前後には北海道の人口は450万人を下回り、2050年頃には300万人台半ばになるとの将来推計もあり、多くの市町村で地域存続が危ぶまれる状況です。

生産年齢人口の減少と労働力不足

働き手となる生産年齢人口の減少により、北海道の産業各分野で深刻な労働力不足が生じています。 人口全体の減少に伴い、特に15〜64歳の生産年齢人口が急速に減っているため、地域の経済活動を支える人材が不足しています。総務省の推計では、2015年から2045年までの30年間で北海道の生産年齢人口は約4割減少する見込みとされ、道内各産業で後継者難が課題となっています。例えば、北海道の基幹産業である農業では、高齢化と後継者不足が顕著です。農業を主な職業とする基幹的農業従事者は、2003年に道内で約12万2千人いましたが、2023年には約6万7千人まで減少し、この20年で45%近い減少となりました。農業従事者のうち65歳以上が占める割合は全国で約70%にも達しており、北海道でも高齢の農業者が大半を占めています。漁業や林業についても同様に、高齢化と人手不足による担い手減少が進行しており、一次産業の将来が懸念されています。

製造業や建設業、サービス業でも人手不足は深刻です。北海道の有効求人倍率は近年概ね全国平均並みですが、地域や職種によっては人材確保が難しくなっています。特に地方の中小企業や農林水産業、介護・福祉分野では、慢性的な人手不足で事業継続が困難になるケースも見られます。若年層の多くが札幌圏や本州の都市部へ流出してしまうため、地方では働き手の絶対数が減り、新規採用に苦戦する自治体もあります。さらに北海道は冬期間の除雪作業やインフラ維持にも労働力を割く必要がありますが、除雪作業員や土木作業員の高齢化も問題になっています。

こうした中、生産年齢人口の減少を補うためには、女性や高齢者の就業促進、国内外からの人材受け入れ、そして省力化や自動化による労働生産性向上が課題となっています。実際、農業分野では大規模圃場での自動運転トラクター導入や酪農のロボット搾乳システムなどスマート農業への転換が試みられています。また、観光やサービス業では季節労働力として海外からの技能実習生や留学生アルバイトを受け入れる動きもあります。それでもなお、地域社会全体の働き手不足を根本的に解消するには、人口減少の抑制や都市部から地方への人の流れをつくることが不可欠であり、次章以降で触れる移住促進策デジタル化による効率化などと不可分の課題となっています。

行財政の厳しさ・インフラ維持コストの増大

人口規模の縮小と税収の減少により、多くの北海道の自治体で財政運営が厳しさを増し、インフラ維持管理の負担が重くのしかかっています。 北海道内の市町村のうち約9割近くが財政力指数で1.0を下回る交付団体(自主財源が不足し地方交付税に依存する自治体)であり、特に過疎地域の町村では税収入が限られる一方で広範な地域に行政サービスを提供しなければならないため、構造的な財政難に陥りがちです。道内では2007年に夕張市が財政破綻し全国的にも話題となりましたが、その背景には石炭産業衰退による人口激減と莫大なインフラ負債がありました。夕張市のように極端な例でなくとも、多くの自治体で人口減により地方交付税や税収が減少し、高齢化で福祉コストが増加する中、財政の硬直化が進んでいます。自治体病院や上下水道などの公営企業も利用者減で赤字に陥るケースがあり、それらへの繰入が財政を圧迫する一因ともなっています。

特に北海道は面積が広いため、一人当たりのインフラ維持コストが高い傾向にあります。道路網にしても、冬期の除雪や路面維持には多額の費用がかかります。雪国である北海道では主要都市はもちろん、小さな町村でも幹線道路や生活道路の除雪が生命線であり、限られた職員と予算で冬を乗り切る苦労があります。また、橋梁やトンネル、水道管といった社会インフラの老朽化も顕在化しています。高度成長期に整備されたインフラが更新時期を迎えていますが、財源不足で十分な改修ができず、やむなく統廃合やサービス水準の見直しを迫られることもあります。例えば、老朽化した公共施設を複数まとめて新築し集約化を図る動きや、維持費のかかる施設を民間に売却・譲渡するといった措置が各地で取られています。

財政難とインフラ維持の課題は相互に関連しており、広域での効率化や重点化が必要です。北海道の自治体では、国の過疎債(過疎対策事業債)や社会資本整備総合交付金などを活用しながら、なんとかインフラ更新や地域維持を図っているのが現状です。しかし将来的に人口がさらに減少すれば、すべての集落にこれまで通りインフラを行き渡らせることは難しくなると考えられます。そのため、後述するようなコンパクトシティ化(拠点の集約)や、広域連携による行政サービスの共同化などの取り組みが避けられないと指摘されています。財政の持続可能性を高めるためには、歳入面では地域経済の活性化による税収確保、歳出面ではインフラや行政組織のスリム化効率化が問われているのです。

医療・介護・教育・子育て支援など生活サービスの確保

広大な北海道では、医療や介護、教育、子育て支援といった生活に欠かせないサービスをどう維持するかが大きな課題です。 人口密度が低い地域が多いため、病院や学校などの施設をどこまで各地に配置できるかという問題があります。医療分野では、地方や離島での医師不足・看護師不足が深刻です。病院の統廃合や診療科の縮小が相次ぎ、例えば産科医のいない町、夜間救急が遠距離になる地域などが生まれています。北海道では救急搬送にヘリコプターを用いるドクターヘリ体制も整備されていますが、吹雪や視界不良時には飛べないため、結局道路で数時間かけ搬送せざるを得ない事例もあります。高齢化が著しい町村では、日常的な診療や介護サービスを受けるにも隣町まで車で1時間以上、といったケースもあり、高齢者の移動手段確保と併せて医療難民・買い物難民の問題が顕在化しています。

こうした課題に対し、近年はICT(情報通信技術)を活用した遠隔医療の取り組みも始まっています。例えば十勝管内の芽室町では2024年に、町立病院がタブレットを用いた遠隔診療システムを導入し、医師が自宅にいる患者や離れた施設の看護師とオンラインで診療相談できる体制を整えました。これは広域分散する患者に対応し、限られた医療資源で質を維持する試みです。また、介護分野でも隣接市町村で広域のケア体制を組んだり、見守りセンサーや配食サービスの導入で高齢者の日常支援を効率化したりする事例がみられます。

教育・子育て支援についても、小規模校の統合やICT教育の活用が進んでいます。子どもの数が減りすぎた地域では、やむなく小中学校を統廃合してスクールバスで通学させるケースや、義務教育は町内で賄えても高校進学時に都市部へ下宿せざるを得ないといった状況があります。そのため、自治体によっては奨学金や下宿補助を用意したり、オンラインで都市の高校と連携した遠隔授業を取り入れたりする試みもあります。また、子育て世帯の定住を図るために、保育料の無償化や第3子以降への祝い金支給、子育て支援センターの充実といった施策も各自治体で競うように導入されています。たとえば、ある町では新生児に対して紙おむつを何年間も無料支給する制度や、移住してきた子育て世帯に空き家を改装して低家賃で提供する制度など、ユニークな支援も登場しています。

重要なのは、医療・福祉・教育といった生活サービスは一度失われると地域から人が去る大きな要因になるため、「サービスの確保=人の確保」という視点で捉えられていることです。住民が安心して暮らせる医療と介護、子育てしやすい環境、学びの機会が保障された教育体制を維持することが、地域の将来像を左右します。そのため北海道内では自治体同士や民間との連携により、サービス維持のための広域ネットワークづくりが模索されています。

産業構造と雇用の課題(一次産業・観光・製造業・サービス業)

北海道の経済は農林水産業や観光業など特色ある産業に支えられますが、産業構造の偏りや雇用機会の不足が課題となっています。 北海道の道内総生産(GDP)に占める産業別構成比を見ると、第1次産業が約3.9%(全国平均1.0%)、第2次産業が17.8%(全国26.5%)、第3次産業が77.0%(全国71.9%)となっており、全国に比べて一次産業の比重が大きく、製造業の比重が小さいという特徴があります。広大な耕地や漁場を抱える北海道では農林水産業が基盤産業であり、全国の食料供給基地として重要ですが、その付加価値額は全経済の数%に留まります。また製造業については、本州のような大企業の工場集積地が少なく、地場の中小企業が食品加工や金属加工、製紙・化学工業などを担う程度で、雇用吸収力も限られています。そのため、多くの地域で雇用の中心はサービス業や公務員といった第3次産業に偏りがちです。

北海道内の産業上の課題としてまず挙げられるのは、一次産業の担い手減少と収益力です。先述のとおり農業就業者の高齢化が進む中、食料生産基地としての持続性をいかに保つかが問われています。加えて、農産物・水産物の価格は市場変動が大きく、国際競争や気候変動の影響も受けます。近年は小麦や乳製品など北海道主力の農畜産物の国際価格高騰を背景に、生産者収入は一部で改善していますが、燃料費・飼料費の高騰などコスト増にも直面しています。漁業では水産資源の減少や漁業者の高齢化で、沿岸漁村では水揚げ量が減り廃業する事業者もあります。

一方、観光業は北海道経済の成長分野と期待されてきました。雄大な自然や温泉、ウィンタースポーツ、美食といった魅力を武器に、国内外から多くの観光客を集めています。コロナ禍前の2019年には、北海道を訪れた外国人観光客数が約280万人に達し(道庁統計)、観光消費額は地域経済を潤しました。しかし観光産業も季節変動や外的要因の影響を受けやすく、コロナ禍では一時大打撃を受けました。さらに、観光地によってはオーバーツーリズム(観光客の押し寄せによる地元生活への影響)や、宿泊施設への過度な外資資本流入で地価が急騰するといった新たな問題も出ています(後志管内のニセコ町などが例)。観光による地域振興は有望である反面、地域住民との調和や安定した雇用確保につなげる工夫が求められます。

また、地域ごとの産業偏差も課題です。札幌市は道内経済の約3割を占め、IT企業やサービス産業が集積していますが、地方の小都市では地場産業が衰退し公共部門と医療福祉に従事する人ばかり、というケースもあります。例えば、かつて炭鉱や製紙工場で栄えた夕張市や釧路市、留萌市などでは主要産業の縮小後に代替産業を十分育成できず、雇用の受け皿が減って若者が流出するという悪循環が見られました。帯広市や北見市のように農業関連ビジネスや食品加工産業が堅調な都市は比較的安定していますが、それでも若者はより多様な職業機会を求めて札幌や東京に出て行く傾向があります。

このような産業と雇用の課題に対し、北海道では第一次産業の高付加価値化(6次産業化)や観光資源のブランド化、さらには新しい製造拠点や情報サービス拠点の誘致などが模索されています。例えば、十勝地域では農業と食品加工・流通・観光を一体化した「フードバレーとかち」という取り組みで、農産物の付加価値向上と関連産業の集積を進めています。実際、十勝管内の農畜産物の取扱高は2019年度に3,456億円と過去最高水準を記録するなど、比較的堅調に推移しています。また、胆振・苫小牧地域では苫小牧東部地域における大型工業団地の造成やデータセンター誘致など、製造業・物流業の強化を図る動きもあります。こうした施策を通じて、地域ごとに強みのある産業で雇用を創出し、若い世代が地元で働き続けられる環境づくりが重要となっています。

地域公共交通・移動手段の確保

人口減少と自動車依存の進行により、北海道の公共交通網は縮小を余儀なくされ、多くの地域で移動手段の確保が課題です。 北海道は鉄道・バスなど公共交通の維持が全国でも特に難しい地域と言われます。JR北海道は広域に路線網を持っていますが、利用者減と経営難から2016年に「単独では維持困難な線区」として全体の半数近い路線の見直し方針を公表し、以後いくつかの路線は廃止・バス転換が進みました。具体的には、札沼線(学園都市線)の北海道医療大学〜新十津川間が2020年に廃止、根室本線の富良野〜新得間も2024年春に廃止予定となるなど、地方路線の縮小が現実化しています。日高本線は2015年の高波被害以降、苫小牧〜鵡川以外は運休が続き、結局鉄道での復旧を断念して沿線自治体がバス転換する見通しです。このように、鉄道網は道央圏以外では主要幹線以外ほとんど姿を消す可能性があり、広域輸送は高速バスや自家用車、高齢者の生活交通はデマンドバス・タクシーなどに置き換わりつつあります。

バス交通も例外ではなく、地方の路線バスは乗客減や運転手不足で減便・廃止が相次いでいます。民間路線が維持できない地域では自治体が補助金を出してコミュニティバスを運行したり、予約制の乗合タクシー(デマンド交通)を導入したりする動きがあります。例えば、後志管内古平町では2023年に従来の路線バスを見直し、事前予約制の乗合タクシーを本格運行することで生活交通を確保しようとしています。また、オホーツク管内雄武町では地域内をフリー乗降方式で巡回するコミュニティバスを2024年に本格導入し、高齢者の移動ニーズに応えています。さらに先進事例としては、ニセコ町でスクールバスとデマンド型交通を組み合わせた「にこっとBUS」というシステムを運行し、通学と一般住民の移動を両立させている例もあります。

高齢化が進む中、自家用車を運転できなくなる高齢者も増えており、「免許返納後の足」をどう確保するかが課題です。北海道は世帯あたりの車保有台数が全国トップクラスで、大都市以外では生活に車が不可欠ですが、今後は公共交通に頼らざるを得ない高齢者が急増すると見込まれます。そのため、買い物代行サービスや自治体ボランティアによる送迎、電動カート等の導入検討も進められています。一方で、札幌市など都市圏では逆に過度な車依存を見直し、LRT(次世代型路面電車)やBRT(バス高速輸送)の導入、地下鉄延伸の検討など環境に優しい公共交通への転換も議論されています。

総じて、北海道における交通の課題は「広すぎる土地に少なすぎる人」をいかに結びつけるかという点に集約されます。今後は、自動運転技術やオンデマンド配車アプリの活用など、新技術による効率化も期待されています。たとえば更別村では、将来的に村内を自動運転の乗合バスが走り、村外への移動はドローンや空飛ぶクルマで補完する、といったビジョンまで掲げています。現時点では実証実験段階ですが、こうした挑戦は地域交通維持の突破口として注目されています。交通網は住民の生活と経済活動の基盤であり、その維持と再編は北海道の地域づくりにおいて避けて通れないテーマです。

防災・気候変動・雪害・インフラ老朽化への対応

北海道ならではの自然条件とインフラ老朽化により、防災や気候変動への適応も重要な課題です。 北海道は地震、台風、大雪など多様な自然災害リスクに直面しています。2018年9月には胆振東部地震(厚真町を震源)が発生し震度7を記録、大規模な土砂崩れで40名以上の尊い命が失われました。また近年は台風や線状降水帯による豪雨災害も増えており、2016年には台風により十勝川が氾濫するなど各地で浸水被害が起きました。さらに、冬季の雪害も北海道では深刻です。豪雪地帯では高齢者が屋根の雪下ろし中に事故に遭うケースや、雪に閉ざされた集落への支援などが課題となります。自治体は除排雪体制を強化し、地域住民の協力や自衛隊への災害派遣要請などで対応していますが、気候変動の影響で降雪量や気温パターンの変化が起きつつあり、従来の経験が通用しない事態も想定されます。

気候変動への対応としては、北海道は平均気温の上昇や異常気象の頻度増加が報告されています。農林水産業では、高温や少雨で作物に被害が出たり、漁業では海水温上昇で水産資源の分布が変わったりする兆候もあります。例えば、北海道の秋サケ漁獲量は長期的減少傾向にあり、原因の一つに海洋環境変化が挙げられています。また、冬の降雪パターンも変わり、豪雪地と雪の少ない地の差が拡大するなど、対応の柔軟性が求められます。自治体は地域防災計画を見直し、ハザードマップの周知や避難訓練の強化、気象情報のリアルタイム共有などに取り組んでいます。とりわけ高齢者や福祉施設の避難計画づくりは喫緊の課題で、地域の見守りネットワーク強化が図られています。

もう一つの視点は、老朽インフラによる事故リスクです。北海道内では老朽化した橋やトンネル、水道管の破裂事故が散発しています。特に寒冷地仕様で造られた設備は経年劣化が激しく、適切な維持管理を怠ると大事故につながりかねません。財政難の中でも、命を守るインフラには優先的に投資が必要ですが、限られた人員でどの施設から更新すべきか、優先順位をつける必要があります。

以上のように、防災・減災とインフラ維持は車の両輪であり、北海道に暮らす上での安全・安心の根幹をなすものです。自治体間や国・北海道との連携も不可欠で、広域的な防災情報ネットワークや応援協定が結ばれています。また、気候変動に対しては道が中心となって「ゼロカーボン北海道」の目標を掲げ、再生可能エネルギーの導入や森林吸収源の活用といった取り組みを進めています。こうした環境・防災分野の課題解決も、持続可能な地域づくりの重要な柱と言えるでしょう。

デジタル化・DXと人材不足の問題

行政や産業のデジタル化(DX)は北海道に新たな可能性をもたらす一方、推進する人材不足と地域間格差が課題となっています。 道内の多くの自治体では、人口減に伴う職員数削減や財政制約もあり、行政のデジタル化(オンライン手続やデータ活用など)が遅れがちでした。しかしコロナ禍以降、非対面サービスの需要増や国のデジタル庁設立の流れを受けて、一気にDXが加速しています。具体的には、住民票や税証明のオンライン申請、キャッシュレス決済の導入、学校教育での一人一台端末(GIGAスクール)配備、テレワークの推進などが挙げられます。札幌市など大都市では比較的進んでいますが、人口の少ない町村ではICT専門人材の確保自体が難しく、庁内システムの更新やマイナンバーカード普及対応にも苦労しているのが実情です。

また、地域経済へのデジタル導入も重要です。広い北海道では、通販サイトやリモートサービスを活用することで地理的ハンデを克服できる場面があります。農産物や工芸品をネット販売して全国から注文を受けたり、観光地がオンラインで魅力発信してファンを増やしたりする動きも出ています。今後は、5G通信網の整備やIoTセンサーの活用によって、さらにスマート農業・遠隔医療・遠隔教育の実装が期待されます。例えば、上川管内下川町では森林管理にドローンや衛星データを使い、効率的な資源管理と林業の高付加価値化を図っています。また、十勝管内更別村では国家戦略特区「スーパーシティ」構想に応募し、AIやビッグデータを駆使した未来型農村モデルを描いています。そこでは、「100歳になっても元気に働ける村」を目標に、ヒト・モノ・コトの自動移動やIoTヘルスケア、先端技術による行政サービス効率化などが提案されています。

しかし、こうしたデジタル化の推進には担い手となる人材が欠かせません。北海道ではIT企業や技術者は札幌市などに集中しており、地方への人材還流が課題です。自治体職員に占める情報系専門職はごくわずかで、アウトソーシングに頼らざるを得ない場面もあります。また高齢の住民にとってはデジタル技術へのアクセス自体がハードルであるため、「デジタルデバイド(情報格差)」への配慮も必要です。各地の社会福祉協議会やNPOでは、高齢者にスマホの使い方を教える講座を開いたり、地域の若者が高齢者宅を回ってオンライン手続を支援したりといった取り組みも始まっています。

総じて、DXは北海道の地域課題解決に大きな武器となり得ますが、それを活かす「ひとづくり」が伴わなければ効果は限定的です。道内の大学や高専、高校とも連携し、地域ICT人材の育成・定着を図ることが求められます。例えば北海道大学や公立はこだて未来大学などは地域協働の実証実験に参加し、学生が道内各地でフィールドワークを行うプログラムもあります。デジタル技術で場所のハンデを超えると同時に、人と人とのつながりで地域を補完し合う──その両面からのアプローチが、人口減時代の北海道における持続可能な地域づくりの鍵となるでしょう。

4. 地域別・自治体別にみる特徴と課題

札幌市および札幌近郊都市圏の特徴と課題

札幌市は北海道の政治・経済・文化の中心地で、人口約196万人の政令指定都市です。その札幌圏は道内で唯一人口が増加傾向にある一方、都市特有の過密化や周辺都市との一極集中の問題を抱えています。 札幌市そのものは2020年の国勢調査で人口195万人を記録し、2015年比でも増加しました。少子高齢化社会にあってなお人口増を維持している全国でも数少ない都市であり、背景には豊富な雇用機会(道内本社企業や官公庁、大学などの集積)や都市的な生活環境の魅力があります。ただし増加率は鈍化しており、将来的には高齢化と自然減により頭打ちになると予想されています。また、市内でもドーナツ化現象(都心回帰の逆で郊外拡散傾向)や少子化の進行がみられ、都心部のマンション建設ラッシュと郊外ニュータウンの高齢化が同時に進むなど、都市内部での構造問題も表面化しています。

札幌市を核とする札幌都市圏(石狩管内および近隣の空知・後志管内の一部)には、小樽市、江別市、千歳市、恵庭市、北広島市、石狩市など中堅都市が集まり、札幌圏全体で約240万人規模の大都市圏を形成しています。これら近郊都市の多くは札幌のベッドタウンとして機能しており、昼間人口より夜間人口が多い居住都市です。例えば、千歳市・恵庭市・北広島市などは札幌まで電車や車で30〜40分圏内に位置し、近年は札幌市からの人口流入や企業進出が相次ぎました。特に北広島市は2023年にプロ野球ファイターズの新球場が開業し、関連する街づくりで注目されています。一方、小樽市や石狩市はかつての港湾・工業都市でしたが、現在は人口減少が続き、札幌への通勤圏としても成長が鈍く課題となっています。小樽市は1960年代に約20万人だった人口が現在は11万人台まで減り、古い街並みを生かした観光都市への転換を図りつつ、高齢化対策に追われています。

札幌圏の課題としては、まず交通渋滞や公共交通網の拡充が挙げられます。札幌市内は地下鉄・JR・バスが発達していますが、人口増に見合った路線拡大は容易ではなく、ラッシュ時の混雑や慢性的な道路渋滞が発生しています。周辺都市とのアクセスも自家用車依存が高く、圏域全体で公共交通をどう維持・強化するかが問われています。札幌市はLRT導入やBRT導入を検討し、近郊市も相互直通バスの充実など模索していますが、広域行政的な調整が必要です。また、札幌市内では中心部の再開発老朽住宅地の再生という二方向の都市政策が必要です。都心部では再開発ビルやタワーマンション建設が盛んな一方、郊外の高度経済成長期造成の団地では住民の高齢化・減少により空き家増加や買い物難民化が進んでいます。市は空き家バンク制度や地区計画の見直しで郊外住宅地の維持に努めていますが、将来的にはインフラ維持の観点からも居住地の集約を検討せざるを得ないでしょう。

加えて、札幌圏では一極集中ゆえの弊害も指摘されています。札幌への人口集中が道内他地域の過疎化を加速させているとの見方や、札幌市内でも子育て世帯が郊外に逃げ空き家が増える、逆に都心部は地価高騰で若者が定住しにくい、といった問題です。札幌市自身は近隣11市町村と「さっぽろ連携中枢都市圏」を形成し、圏域全体の活力維持に取り組んでいます。具体的には圏域の自治体同士が産業振興や観光、子育て支援などで協定を結び、札幌市が中核となって周辺市町村を支える仕組みです。これにより「札幌だけ繁栄し周辺が衰退する」のを防ぎ、札幌圏全体で住みよい地域づくりを目指しています。

道南地域(函館市と周辺港湾・農漁村地域)の事例

道南地域は北海道南部に位置し、函館市を中心とするエリアです。歴史的に北海道開拓の玄関口として栄えた地で、港湾都市・観光都市としての函館市と、その周囲の農漁村地域が特徴的な地域ブロックを形成しています。 中核都市である函館市は人口約24万人(2020年)で、札幌・旭川に次ぐ道内第三の都市です。しかし、その人口は最盛期(1980年代の約33万人)から減少を続け、高齢化率は約36%(2020年)と政令市の札幌よりかなり高くなっています。函館市は明治以来の港湾都市であり、古くからの観光地(夜景や洋風建築、美食などで有名)としても知られています。近年は北海道新幹線が2016年に新函館北斗駅まで開業し、首都圏からのアクセスが向上しましたが、新幹線駅は市街地から遠い北斗市にあるため、交流人口増の効果は限定的との指摘もあります。函館市の課題は、観光と都市機能の両立です。全国有数の観光都市である反面、若者の地元定着が進まず高齢化が進行しており、産業構造も観光・サービス偏重で地域経済が伸び悩んでいます。市はIT企業の誘致や大学と連携したスタートアップ支援などに取り組んでいますが、札幌への人材流出傾向を覆すまでには至っていません。

道南地域には函館市のほか、北斗市(函館近郊の新興都市、人口約4.6万人)、江差町や松前町など歴史ある町、さらには漁業や農業中心の小規模町村が点在します。渡島半島の西岸に位置する江差町や上ノ国町はニシン漁で栄えた歴史がありましたが、現在は人口数千人規模まで減り、高齢化率50%近い典型的過疎地域となっています。これらの町では、過去の文化遺産や自然を活かした観光による地域起こしを模索しています。例えば江差町は「江差追分」に代表される伝統文化や明治期の和洋折衷建築群を観光資源化し、移住者にも町家を活用した暮らしを提案するなど、文化観光と移住促進を組み合わせた取り組みを進めています。

また、道南といえば離島の存在も特徴です。日本海側には奥尻島(奥尻町)があり、人口約2千人ながら美しい景観とウニなど海産物で知られる観光地です。奥尻島は1993年に北海道南西沖地震で甚大な被害を受けましたが、復興を契機に防災に強い島づくりと観光振興に取り組んできました。例えば耐震・免震の公共施設整備や、島外からの長期滞在者向け体験ツアーの開発などが行われています。それでも島民の減少に歯止めはかからず、離島ならではの医療の確保・物流コスト増といった課題も深刻です。奥尻町では医師の確保に道立病院が支援し、ヘリや高速船での緊急搬送体制を整えていますが、慢性的な医療従事者不足は否めません。

総じて道南地域の課題は、既存資源(観光・農水産品・歴史文化)を活かしつつ、減少する人口で持続可能な地域経済をどう維持するかにあります。函館市は比較的大きな都市インフラを抱えるため、縮小社会への対応として公共施設の集約や郊外地域のコンパクトシティ化を計画しています。同時に、周辺町村との広域連携にも力を入れています。例えば函館市は、北斗市や近隣の町と定住自立圏を組み、圏域全体で医療ネットワークや観光ルートづくりを協力しています。これにより、単独では賄えない高度医療サービスを函館市の病院が担い、近郊農漁村の食材を函館経由で国内外に売り出すなどの補完関係を築いています。

道南は気候が比較的温暖で、本州に近いという地の利もあります。近年は本州からの移住者にとって「雪が少なく東京にも行きやすい北海道」として注目され、函館市や北斗市、さらには厚沢部町(農業が盛んな内陸町)などで移住者受け入れが増えているとの報告もあります。例えば厚沢部町は豊かな森林とじゃがいもなどの農産品で知られ、「子育てしやすさ」を売りに移住相談会を積極開催した結果、若い世代の移住が相次ぎ、2010年代に社会増へ転じたという事例があります。こうした動きはまだ小規模ですが、道南のポテンシャルを再評価する機運にもつながっています。

道北・オホーツク地域(旭川市・稚内市・北見市など)の事例

道北地域とオホーツク地域は、北海道の北部および北東部に位置し、寒冷な気候と広大な面積、一次産業中心の経済が特徴です。主要都市としては道北に旭川市、宗谷地方に稚内市、オホーツク沿岸に北見市・網走市・紋別市などがあります。 まず道北の中心である旭川市は、人口約32万人(2020年)を擁する北海道第2の都市で、上川盆地の交通結節点・商工業都市です。旭川市は戦前からの産業都市であり、製造業(食品、木工、金属など)や陸上自衛隊の基地、そして道北一帯の医療教育拠点として機能してきました。しかし、旭川市も近年は人口減少に転じており、ピークの1990年代後半(約36万人)から4万人近く減少しました。札幌市への若者流出や少子化が進んだことが要因です。旭川市は道北・オホーツク・道東の一部をもカバーする広域中核市として周辺自治体との連携に力を入れています。2022年には旭川市と上川管内の7町(東神楽町・当麻町・比布町・愛別町・上川町・東川町・美瑛町)で「旭川大雪圏域連携中枢都市圏」を正式に形成し、圏域全体で人口減対策や経済振興に取り組むことになりました。具体的には、旭川医大病院の遠隔医療を圏域町村に提供したり、観光で旭川市と美瑛町を連携させ外国人観光客を誘致したりといった施策が進められています。

宗谷地方の稚内市は、日本最北端の市で人口約5万5千人(2020年)です。稚内市は漁業と稚内港を基盤とする街ですが、こちらも人口減が著しく、1950年代に最盛期約7万人だった人口が現在は半減近くになりました。かつて盛んだったニシン漁は衰退し、今は昆布漁やウニ・ホタテ漁、そしてロシアとの貿易港(サハリン航路がある)としての役割があります。稚内市の課題は、極端な過疎と隣接町村からの機能集約です。宗谷管内全体でも人口は約5.5万人(うち稚内市が過半)しかおらず、猿払村や浜頓別町など周囲の町村は軒並み人口千〜数千人規模、高齢化率40〜50%の限界集落に近い状況です。そのため医療・高校教育・買物など日常生活の多くを稚内市に頼っており、事実上稚内市が周辺町村を支える中核になっています。稚内市自身も医師不足や雇用機会不足に悩んでおり、道庁からへき地医療拠点病院の指定を受けて手当てしているほか、猿払村などとの間で定住自立圏協定を結び、広域で公共交通を維持する(稚内市が郊外路線バスを運行補助する)などの措置を取っています。宗谷地方では冬の厳しさ(吹雪や流氷による海上封鎖)も特徴で、防災面でも自治体間の助け合いが不可欠です。

オホーツク地域では、北見市(人口約11万人)、網走市(同3.5万人)、紋別市(同2.2万人)といった都市があります。北見市は内陸の商業都市で、オホーツク圏最大の人口を有します。玉ねぎ生産日本一など農業も盛んですが、近年はIT企業のサテライトオフィス誘致など新分野にも取り組んでいます。北見市は周辺の市町と北見地域定住自立圏を組み、美幌町・置戸町など4町と連携して人口減に対処しています。一方、網走市・紋別市はオホーツク海沿岸の港町で、漁業(水産加工業を含む)と観光が経済の柱です。両市とも人口減少が進み、網走市は刑務所観光や流氷観光で知名度があるものの、産業後継者不足が深刻です。紋別市はかつてのニシン・カニ漁で栄えましたが、水産資源減少で水揚げが減り、現在は流氷観光砦として「ガリンコ号」という砕氷観光船を運航するなど観光業に活路を求めています。オホーツク沿岸の各市町村は広域でオホーツク圏活性化期成会を作り、女満別空港(オホーツク紋別空港)への路線維持や観光ルート開発で連携しています。しかしオホーツク海側は札幌・旭川などから遠隔で、国内市場だけでなく海外クルーズ船誘致なども模索しないと厳しいとの声があります。

道北・オホーツクの自治体に共通する課題は、広域に分散した集落へのサービス提供と、地域産業の維持多角化です。これらの地域では、下川町のように林業をエコシステム化して町おこしに成功した例や、東川町のように移住者で人口を増やした町(後述)もありますが、全体としては人口流出を止められていません。解決策の一つは、やはり拠点都市への集約とネットワークづくりです。旭川市が周辺町村と連携しているように、北見市・網走市・紋別市もそれぞれブロック内の町村を「支える側」として地域経営していくことが期待されます。その際、各都市が独自の強みを伸ばすことも重要です。旭川ならものづくり産業や旭山動物園など観光資源、稚内なら北極圏に近い地理を活かした風力発電や海産物、北見なら農産品とメガソーラーなど再生エネ、網走・紋別は流氷・自然観光と水産加工の高度化、といったように、地域資源の高付加価値化に取り組む必要があります。

人材面では、道北の稚内市に北星学園大学のサテライトキャンパスができたり、北見市に北海道薬科大学の移転構想が浮上したりと、教育機関誘致の動きもあります。これらが実現すれば若者が地域に集まる効果も期待できます。加えて、各自治体で積極的に地域おこし協力隊を受け入れており、北海道全体で約400名(全国最多)の協力隊員が地域活動に従事しています。道北・オホーツクでも農業振興や観光PR、移住支援など様々なミッションで協力隊員が活躍しており、こうした外部人材の活用が地域の息吹を取り戻す一助となっています。

十勝・釧路・根室など道東地域の事例

道東地域は、北海道東部の内陸部(十勝)と太平洋側沿岸(釧路・根室)を含む広範囲なエリアで、雄大な自然と大規模農業・漁業資源を有する一方、道内でも特に人口減少が進んだ地域です。 内陸の十勝地方は帯広市を中心とする平野部で、日本有数の穀倉地帯・酪農地帯として知られています。帯広市は人口約16.3万人(2023年現在)で、道東では釧路市と並ぶ主要都市です。注目すべきは、帯広市の人口減少ペースが比較的緩やかであることです。2000年代初頭に約17万人でピークを迎えた後は微減傾向ながら、2020年に釧路市(人口減少が速い)を逆転して道東地方で人口最大の都市となりました。帯広市の安定の背景には、十勝地方全体の基幹産業である農業が比較的堅調なことがあります。戦後、釧路市は水産・炭鉱・製紙工業の「三大産業」で発展しましたが、1980年代以降それらの衰退で経済が低迷し人口流出が続きました。一方の帯広市は、農業生産と関連産業(食品加工や農機・流通)が地域経済を下支えし、釧路市に比べると減少幅が小さく留まっています。

十勝管内では、広域連携による定住自立圏が奏功している面もあります。帯広市は十勝内の19町村すべてと定住自立圏協定を結び、道内最大規模の圏域を形成しています。これにより、帯広市が中心となって周辺自治体と医療・消防・観光・移住促進などで協力体制を築いてきました。例えば帯広市の大型病院が近隣町村の診療所と遠隔で連携したり、帯広駅から各町村への都市間バス網を維持したりといった取り組みがなされています。その結果、十勝地方の2010〜2015年の人口減少率は-1.5%で、石狩(札幌)に次いで低い水準に抑えられました。また、十勝は道内外からの企業誘致(食品メーカーの工場やデータセンターなど)も比較的盛んで、雇用機会の創出に貢献しています。

対照的に、釧路・根室地方は道東でも人口流出が顕著な地域です。釧路市は2020年国勢調査で人口約16万人と、1980年(約24万人)から3割以上減りました。基幹産業だった漁業は水産資源減で縮小し、炭鉱もすでに閉山、製紙工場も規模縮小という中、現在は物流拠点港(釧路港)や観光(湿原、阿寒湖など)が主な産業となっています。それでも雇用の受け皿が十分でなく、若者は札幌圏などへ流れがちです。釧路市は近隣町村との合併で市域を拡大しましたが(鶴居村などとの合併検討もあった)、結局周辺部の人口減も止められていません。釧路市は定住自立圏を組み、釧路町・厚岸町・浜中町・白糠町・弟子屈町・標茶町などと生活機能分担を図っています。例えば釧路市が高度医療・商業機能を担い、厚岸町は牡蠣養殖など水産業、弟子屈町は観光(温泉など)といった具合に、それぞれの強みを活かした役割分担を目指しています。しかし現実には圏域全体が高齢化し人口が減っており、自治体経営の効率化でどこまで対抗できるかが試されています。

根室市(人口約2.5万人)も、漁業の町として発展しながら現在は大幅に人口を減らした自治体です。サンマや秋刀魚の水揚げで一時は日本一を誇った根室も、資源変動や北方領土問題に伴う漁場制限等で漁業所得が不安定になりました。そこで近年はウニ・ホタテの陸上養殖やロシアとの貿易再開(現在は国際情勢で停滞)など、新たな取り組みを模索しています。また、酪農が盛んな別海町(根室管内最大の町、人口約1.5万人)は大規模畜産による経済力で比較的財政に余裕があり、道東の中では子育て支援や移住促進に積極的な自治体として知られます。別海町は酪農経営体数こそ減少していますが一戸あたり規模を拡大し、日本有数の牛乳生産地として農家所得が維持されているため、町の税収も一定を確保できています。このように、同じ道東でも基幹産業の盛衰によって自治体の勢いに差が出ています。

道東地方全体の課題は、産業転換への対応人材の呼び込みです。一次産業が厳しくなる中、観光や食品加工、さらには再生可能エネルギー(風力発電やバイオマス)など新産業を育てる努力が各地でなされています。釧路市では湿原や丹頂鶴など自然観光資源を軸に、観光客の長期滞在(鉄道やクルーズ船利用)を促す戦略を立てています。十勝では食をテーマにした観光(「とかちマルシェ」などのイベント)や、帯広畜産大学を中心としたアグリビジネスの研究開発拠点づくりが進んでいます。また、人材面では、道東各市町村が都市圏のUIJターン希望者にアピールを強めています。たとえば釧路市はテレワーク環境を整えたシェアオフィスを開設し、自然豊かな釧路でリモートワーク移住をする人たちを支援しています。帯広市も「とかち移住定住促進機構」を設立して一元的に情報発信を行い、2022年度には十勝管内への移住者数が過去最高を記録するなど、一定の成果が出ています。

以上、地域別に北海道内の自治体の現状を見てきました。続いて、こうした状況を踏まえ、持続可能な地域づくりに向けて北海道内で進められている戦略や具体策をいくつかのテーマに分けて考察します。

5. 解決に向けた戦略と具体的な取り組み

移住・定住促進と関係人口の拡大

人口減に歯止めをかけるには、外から人を呼び込む「移住促進」と、地域と多様に関わる「関係人口」の拡大が重要です。 北海道庁や各自治体は、移住希望者に向けた情報発信や支援策を近年強化しています。具体的には、道が運営する「北海道で暮らそう!」という移住情報サイトや、東京・大阪に設置された北海道移住相談窓口での専門相談員配置などにより、道外からのUIJターン希望者にきめ細かく対応しています。市町村単位でも、移住パンフレットの作成やオンライン移住相談会の開催、さらにはお試し移住体験(短期間の移住体験住宅提供)など、多彩な施策が展開されています。

移住者を増やすカギの一つは、「仕事」と「住まい」と「人間関係」の不安解消です。そこで、多くの自治体が就農支援・起業支援に取り組んでいます。例えば空知管内の長沼町では、新規就農者に対して農地の斡旋や技術研修、住宅提供までワンストップで支援し、若い移住就農者が増えています。また、後志管内ニセコ町では起業家やリモートワーカーを誘致するため、コワーキングスペースを整備し、高速通信環境や法人登記支援などを行っています。テレワーク移住はコロナ禍で脚光を浴びたスタイルで、札幌圏だけでなく地方の自然豊かな町にも徐々に定着し始めています。

成功事例としてしばしば取り上げられるのが、上川管内東川町です。東川町は写真の町をキャッチフレーズに、独自のまちづくりを続けてきました。上水道を持たず大雪山の湧水を利用する珍しい町ですが、その自然志向や教育重視の施策が若い世代に評価されています。全国初の町立日本語学校(留学生受入)を2015年に開校し、国内外から学生が集まる国際性豊かな環境を作りました。その結果、人口は1990年代に6千人台まで落ち込んだものが現在は8,300人まで回復し、そのうち約54%が町外からの移住者という劇的な成果を上げています。移住者が経営するカフェや店舗も次々に生まれ、地域コミュニティに新風を吹き込んでいます。東川町の例は「移住者ウェルカム」の町の姿勢と魅力ある仕事・暮らしの場を用意することが、いかに人口減対策に効果的かを物語っています。

「関係人口」の創出も見逃せません。関係人口とは、定住はしなくても継続的に地域とかかわる人々のことで、リピーター観光客や二地域居住者、地域おこし協力隊のOBなどが含まれます。北海道では広域的な取り組みとして、札幌市が中心となり「北海道暮らしフェア」を開催し、移住希望者だけでなく北海道ファンや出身者が道内各地とゆるやかにつながる仕掛けを作っています。また、民間では近年「スキマ時間で地方創生に関わる」マッチングサービスが登場し、都市部のビジネスパーソンが週末に北海道の農家を手伝ったり、オンラインで地方企業の経営相談に乗ったりするケースも増えています。こうした関係人口は将来的な移住予備軍にもなり得るため、自治体も注目しており、体験移住や二拠点居住への助成制度を設ける動きもあります。

移住・定住促進には受け入れる地域側の体制整備も大切です。空き家バンクを整備して住まい探しを支援したり、移住者同士や先輩移住者との交流会を企画したり、子育て世帯向けに保育園の空きを確保したりといった地道な取り組みが成果を左右します。北海道の多くの市町村で、移住担当の窓口が「役場内の一部署」から「地域全体で支える体制」に変わりつつあります。地域住民が移住者を温かく迎え、地域行事に誘うなど溶け込みやすい雰囲気を作ることも、長く定住してもらう秘訣とされています。

観光振興・地域ブランド化・一次産業の高付加価値化(6次産業化)

観光産業と一次産業の高度化は、北海道の地域経済を支える二本柱として注目され、各地でブランド戦略や6次産業化(生産・加工・流通の一体化)が進められています。 北海道は年間延べ5億人近い観光客が訪れる国内有数の観光地であり(コロナ前実績)、この強みを活かさない手はありません。観光振興策としてまず挙げられるのが、地域資源のブランド化です。たとえば、富良野・美瑛地域はラベンダー畑や丘陵風景を「北海道らしい田園観光」としてブランド化し、全国から集客することに成功しました。地元農家と観光事業者が連携し、花畑観光だけでなく農産物直売やカフェ経営、写真ギャラリーなどを展開して経済波及効果を地域に落としています。また、ニセコ町はパウダースノーを求めて訪れる外国人スキーヤーを惹きつける国際リゾートとして発展しました。海外資本のリゾート開発が進み、コンドミニアムや高級ホテルが林立しています。地元では地価上昇や生活物価の高騰といった課題も生じていますが、雇用や税収増というメリットも享受しています。このように観光には地域を活性化させる力がありますが、地域住民の生活環境との調和や持続可能性に配慮したマネジメントが重要です。

地域の食・特産品のブランド化も盛んです。北海道には「夕張メロン」「十勝和牛」「釧路湿原牛乳」「厚岸牡蠣」「函館イカ墨黒カレー」など、枚挙にいとまがないほど多くのブランド産品があります。それぞれの地域が特色ある農水産物を磨き上げ、高品質化・高付加価値化することで農漁業者の所得向上と地域の知名度アップを図っています。たとえば夕張市の夕張メロンは、贈答用高級メロンの代名詞となり、一玉数万円の値が付くこともあります。生産者組合が糖度選別や共進会など品質管理を徹底し、ブランドを守ってきました。ただし夕張市自体の財政は厳しく(過去に財政破綻)、ブランド産品があっても地域経済全体に広がる仕組みづくりが課題と言えます。その点、近年注目されるのが6次産業化です。これは生産者自らが加工・販売まで手掛けることで利益率を上げようという取り組みで、北海道でも各地で成功例が生まれています。例えば池田町は町営のワイン城(醸造所)を1960年代に建設し、「十勝ワイン」という地ワインブランドを育てました。いまでは町の観光名所となり、多くの来訪者がワインを購入し宿泊・飲食も楽しんでいます。池田町の試みは行政主体でしたが、最近では民間主導でチーズ工房や地ビール醸造所、ハム・ソーセージ加工所などを立ち上げ、観光客に直接販売する例も増えています。これにより、生乳や食肉を安価に出荷していた時より収入が増え、雇用も生まれるという好循環が生まれています。

観光と一次産業を組み合わせたグリーン・ツーリズム(農山漁村滞在型観光)も北海道では盛んです。農家民泊や酪農体験、漁村での釣り・カキ剥き体験など、都市住民に非日常の田舎体験を提供し、その対価が地域に落ちる仕組みです。例えば、美瑛町では農家レストランやファームイン(農場民宿)が点在し、美しい丘の風景を愛でながら地元食材の料理を味わえると人気です。厚岸町ではカキ養殖の見学と試食をセットにした体験プログラムを組み、食と観光を融合させています。こうした取り組みは、都市住民との交流を通じて地域の魅力を再発見する機会にもなり、ひいては関係人口拡大にもつながります。

ただし、観光も一次産業も外部環境の影響を受けやすいのは弱点です。コロナ禍では観光客が激減し、多くの観光業者が打撃を受けました。農業も天候不順や国際相場の変動で収益が左右されます。そのため、地域としてはできるだけ稼げるときに稼いで備えることと、市場の多角化(国内だけでなく海外市場への販路開拓など)を進めることが重要です。北海道の自治体では、観光客の誘致において台湾・香港・タイなどアジア諸国や欧米豪州など、多様な国・地域をターゲットにしています。また、一次産品の輸出にも力を入れ始め、ホタテやチーズ、日本酒などは海外富裕層向けマーケットで高評価を得ています。

地域ブランド化で大切なのは、地域内で価値を循環させることです。観光客が増えても、ホテルも土産物も資本が外に流れていては地域にお金が残りません。そこで地元企業や農協、漁協などが地域ブランドビジネスの主体となり、利益を地域に還元する仕組みづくりが理想です。幸い北海道には農協・漁協組織が強く、地域ぐるみのブランド戦略を展開しやすい素地があります。行政はそれを裏方として支援し、必要なインフラ整備(観光案内所や加工場の整備など)や規制緩和(民泊規制の緩和など)を行っていくことが求められます。

地域公共交通の再編と新しいモビリティサービス

人口減少社会で交通インフラを維持するため、地域に即した公共交通の再編と新しいモビリティサービスの導入が北海道各地で模索されています。 前述したように、多くの地方でJR路線や路線バスの廃止が進む中、「無くなって困る交通」を自治体や住民が主体となって守る動きがあります。その典型がコミュニティバスデマンド交通(乗合タクシー)です。自治体自ら、あるいは第三セクターやNPOに委託して、小型バスやタクシーを運行し、高齢者の通院・買物など生活交通を確保します。利用者は予約制で電話やスマホアプリで呼び出せ、バス停もフレキシブルに設定されるなど、従来の固定路線バスより融通が利く仕組みです。根室管内の別海町では、広大な町内をカバーする予約制乗合タクシー「べつかいふれあいタクシー」を運行し、1回300円程度で役場や病院まで移動できるようにしています。運行コストの大半は町が補助していますが、それでも住民の足を守るメリットを優先しています。

また、新技術を活用した自動運転バスの実証実験も各地で行われています。上川管内上士幌町では、旧小学校の校庭を活用して自動運転車両のテストコースを設け、町内バス路線での自動運転実験を重ねています。2021年には道東の中標津町で、営業運行バス路線で自動運転実証が実施されました。冬季の降雪下での自動運転課題なども洗い出されましたが、将来的には運転手不足を補う切り札になると期待されています。さらに、北海道ならではの交通手段として雪上車スノーモービルを冬季交通に使うアイデアや、広大な牧場内でのドローン配送なども研究段階にあります。更別村では村外への移動手段として「空飛ぶクルマ(eVTOL)」の活用まで構想に入れており、未来志向のモビリティ革命に積極的です。

都市圏では、公共交通の維持に加えて利便性向上も課題です。札幌市は地下鉄・市電・バスのネットワークがありますが、郊外ニュータウンでは路線減便が問題になっています。そこで札幌市は、市電(路面電車)の延伸計画を検討中で、市中心部から苗穂駅方面への新線などが議論されています。また、一部エリアで乗合タクシー社会実験を行い、従来バスが走らなかった住宅街をカバーする試みもなされました。ICTを活用した交通情報提供(スマホでリアルタイム位置や接続を案内)も充実させ、MaaS(Mobility as a Service)の概念導入も始まっています。北海道運輸局などは、観光客向けにJR・バス・レンタカー・フェリーなどを組み合わせたMaaSアプリを試作し、ワンストップでルート検索・予約・決済を可能にする取り組みを進めています。将来的には地域住民もそれを利用できるようにし、車がなくてもシームレスに移動できる環境を目指しています。

交通再編では、広域連携も鍵となります。単独の市町村で完結するより、地域ブロックで交通ネットワークを維持した方が効率的な場合が多いためです。道では「地域公共交通網形成計画」を支援し、複数自治体が共同でバス路線を最適化する取り組みを促しています。例えば留萌管内では沿岸バス株式会社(地元バス会社)と自治体が協議会を作り、幹線バスはバス会社、支線やデマンドは自治体、という役割分担で路線維持を図っています。

新しいモビリティサービス導入には法規制の壁もありますが、国の規制緩和も徐々に進んでいます。過疎地では乗合タクシーの運賃設定や運行免許が緩和され、小型車での輸送が認められるようになりました。また、2023年には「自家用有償旅客運送」の要件が緩和され、運転免許を持つ住民ボランティアが有償で高齢者を送迎できる範囲が広がりました。北海道のような広大な過疎地では、住民自らが地域内交通を担うDIY式の交通も今後増えるでしょう。

交通は地域の血脈であり、高齢者も若者も安心して暮らすためには欠かせません。自治体は財政負担とのバランスを見極めつつ、地域に最適な交通モデルを模索しています。それは地域ごとに異なって当然で、鉄道が主軸のところもあれば、コミュニティバスや乗合タクシーが主役になるところもあります。重要なのは、住民や事業者のニーズをよく聞き、使いやすい交通をデザインすることです。そして、新技術も積極的に取り入れ、不足するマンパワーをテクノロジーで補う発想が求められます。

コンパクトシティ化・拠点集約と都市計画の工夫

人口減少時代において、生活インフラを維持するためには都市や集落の集約化(コンパクトシティ化)が避けられないという認識が広まっています。北海道でも、限られた資源で持続可能なまちを作るべく、拠点の集約や土地利用の工夫が進められています。 典型例は、財政破綻した夕張市が進めた「集住化計画」です。夕張市では財政再建の一環として、市内に点在していた小学校を1ヶ所に統合し、医療機関や福祉施設も中心部に集約、公共交通も中心市街地発着に再編するなど、行政サービス提供エリアを絞り込む施策が取られました。市民にとっては不便増大の側面もありましたが、結果として市が維持すべきインフラ延長や施設数を減らし、何とか必要最低限のサービスを守る道を模索しています。

他の自治体でも、都市機能を中心部に寄せる動きがあります。たとえば室蘭市(胆振管内)では、老朽化した市立総合病院を市街地中心部に移転新築し、周囲に商業施設や高齢者住宅を誘致して新たな医療福祉拠点を作りました。空洞化していた中心市街地に人が戻り、移動負担が減るメリットも期待されています。また、北見市では郊外ニュータウンの一部を将来的に他用途に転用することを視野に、公共施設の再編と住民誘導を図っています。道南の木古内町では、新幹線駅周辺に公共施設や商業を集め、遠隔集落からはデマンドバスで駅周辺に来てもらう形で効率化を目指しています。

小さな町村では、役場・学校・診療所・商店などを一箇所に集めた「拠点地区」を作る構想もあります。帯広市の近隣・上士幌町は、町中心部に「ハピオ」という複合施設を整備し、役場窓口や図書館、クリニック、商店、移住者向けシェアハウスなどを一体化しました。町民はそこへ行けば大抵の用事が済み、町外から来る人にもわかりやすいランドマークとなっています。広い町域に点在していた機能を統合することで、住民同士の交流も生まれ、結果的に地域コミュニティの強化につながった面もあります。

一方、コンパクトシティ化を進めるには、「集約される側」と「切り捨てられる側」が生まれるため、合意形成が難しいのも事実です。特に自家用車が欠かせない北海道では、多少遠くても車で行けるから分散して住みたい、という声も根強くあります。そのため都市計画の工夫として、ハブ&スポーク型の考え方が取られることがあります。すなわち、完全に一箇所集中ではなく、いくつかのサブ拠点を地域内に設け、そこに周辺集落の人が集まれるようにするモデルです。例えば釧路市が策定した将来構想では、市内を3つの生活エリアに分け、それぞれに中学校・診療所・商店等を残す一方、広域的サービスは中心部に集めるという方針を示しています。これにより、「全市一極集中で周辺がゴーストタウン化する」ことを防ぎつつ、ある程度の効率化を図ろうとしています。

都市部では、再開発による居住人口増もコンパクトシティ化の一環です。札幌市中心部では再開発ビルに高層住宅を併設し、都心居住を促すプロジェクトが進んでいます。交通網が充実する都心に住んでもらうことで、自家用車に頼らず歩いて暮らせる「歩いて暮らせる街」を目指しています。函館市でも旧市街地にマンション建設を誘導し、高齢者が坂の上の住宅地から便利な平地のマンションへ住み替える動きを支援しています。自治体によっては、空き家を解体して更地提供する代わりに中心部へ転居促進する補助金を出す例もあります。

土地利用面では、用途変更の柔軟化も検討されています。過疎地の土地を農地から宅地に変えて移住者向けに分譲したり、逆に利用見込みのない宅地を農地や森林に戻したりする取組です。北海道では1970年代の大規模団地開発で造成された宅地が今や未利用のまま放置されているケースもあり、将来的には「里山回帰」的に緑に戻すことも必要かもしれません。自治体は、将来のまちの姿を見据えてゾーニングやインフラ投資の重点化を進める段階に来ています。

コンパクトシティや拠点集約は短期的には住民の反対も招きますが、長期的な地域存続には避けて通れない戦略です。重要なのは、住民参加で将来像を描き合意することです。下川町などは「2030年のありたい姿」を町民と行政で議論し、そこに向けての施策を共有しています。自分たちの町をどう残すか、何を手放すかを話し合うプロセス自体が、地域の覚悟を決める機会となります。行政は丁寧な情報提供と代替策の提示を行い、住民の不安を和らげつつ計画を進めることが求められています。

行政の広域連携・共同化による効率化

人口減少で行政サービスを単独維持できない自治体が増える中、自治体間の広域連携や共同実施による効率化が北海道各地で進展しています。 先に触れた「連携中枢都市圏」や「定住自立圏」はその代表で、これらは制度上の枠組みですが、実際に様々な行政分野で共同化が動き始めています。

一つは広域でのごみ処理・上下水道運営です。焼却場や下水処理場といったインフラは維持費が高いため、一つの市町村で持つのではなく、圏域で一箇所に集約して共同利用するケースが出てきました。例えば留萌管内では、留萌市と周辺7町村のごみを1ヶ所の新設焼却場でまとめて処理する計画が進んでいます。上下水道事業でも、道が中心となって道内の小規模町村の水道運営を一元化する検討が始まりました(道内広域水道企業団の設立など)。技術者不足の町村は広域組織に運営を委ねることで、安全な水道供給を維持しようとしています。

自治体職員の確保・育成も連携が不可欠です。道内の小さな町村では職員数が数十人規模しかおらず、一人にかかる業務負担が非常に重い状況です。そこで、複数自治体で職員研修を合同実施したり、人事交流を行ったりしています。上川管内の幌加内町は、隣接する深川市に若手職員を数年間派遣して研修させ、戻ってきてから役場改革に活かすといった工夫をしています。また、監査や税務など専門職については、一人の職員が複数町村を兼務する事例もあります。

広域連携の先進例としては、「北海道オホーツク総合振興局管内北見地域定住自立圏」での取り組みがあります。北見市を中心に4町が参加するこの圏域では、救急医療や消防指令センターの共同運用を行っています。遠隔地から119番通報を受けても、本部の北見市が最適な消防隊を派遣できる体制を整え、迅速化と人員省力化を両立しています。こうした協力は、住民サービスの向上にもつながる良い例です。

北海道庁も、各振興局(旧支庁)を通じて広域連携を後押ししています。14ある総合振興局・振興局は、それぞれの管内市町村の相談役や調整役を担っており、例えば管内で広域連携協約を結ぶ際の事務局になったり、国の交付金申請をまとめて代行したりしています。特に過疎が著しい宗谷や檜山といった振興局では、局そのものが「広域連合」のように機能しており、道道の維持管理や離島振興などを地域全体で検討する場となっています。

行政共同化の一環には、ICTを活用した事務作業の集約もあります。北海道では、道内数十の町村が協力して「基幹業務システム」を共同開発し、会計や税務、戸籍などの事務処理をクラウド上で共同利用するプロジェクトが進行中です。これにより、一つひとつの町村が個別にシステム更新するよりもコストを削減でき、情報セキュリティ対策も統一的に行えます。将来的には、道庁が全道の自治体向けにプラットフォームを提供する構想もあり、マイナンバー制度の活用や行政手続オンライン化と合わせて効率化が期待されます。

広域連携・共同化は財政面だけでなく、地域エゴを超えた課題解決にも役立ちます。例えば鉄道路線の存廃問題では、沿線自治体が足並みを揃えてバス転換か維持かを協議し、住民への代替交通策を提示することが重要です。単独の自治体ではなかなか難しい判断も、共同で合意形成できれば実行に移しやすくなります。

留意すべきは、連携にあたって中心都市と周辺町村の信頼関係を築くことです。連携中枢都市圏でも、中核市が「吸い上げるだけ」と思われては周辺の協力は得られません。札幌市は連携圏構想で、自らを「圏域全体のエンジン役」と位置づけ、周辺自治体の発展なしに札幌の発展もないとの理念を示しました。旭川市も圏域ビジョンで同様の姿勢を示しています。こうした理念共有の上で、お互いにメリットのある協力を積み重ねることが、広域連携成功のポイントです。

デジタル化・DX・スマートシティの取り組み

デジタル技術を活用した行政サービス改革や地域課題の解決(DX=デジタルトランスフォーメーション)は、広い北海道において特に有効な戦略とされています。 行政分野では、マイナンバーカードの普及に伴い各種証明書のコンビニ交付やオンライン申請が道内全自治体で可能となりました。これにより、住民が役所に出向かなくても手続きできる場面が増え、遠隔地ほどその恩恵は大きくなります。また、北海道の一部自治体ではブロックチェーン技術を利用した地域通貨やポイント制度を導入する動きもあります。上士幌町は「かみしほろコイン」という独自電子通貨を発行し、町内商店や公共施設で使える仕組みを試験運用しました。これにより地域内経済循環の可視化や、子育て支援ポイント付与など多目的な活用を模索しています。

医療・福祉では前述の遠隔医療のほか、オンライン診療や服薬指導も一部で始まっています。離島の利尻町では札幌の専門医がオンラインで離島診療所の診察を支援する取り組みがあり、緊急搬送の判断や専門治療への橋渡しに役立っています。教育分野でも、北海道教育委員会が進める「ほっかいどう学力向上プロジェクト」で、へき地校と都市校をオンラインで結び遠隔授業を行う実践があります。これにより、選択科目の少ない小規模校の高校生が札幌の先生から授業を受けたり、複式学級の児童が他校の同学年と交流しながら学んだりできるようになります。

スマートシティとは、ICTやデータを活用して都市機能を最適化し、住民のQoL(生活の質)を向上させる取り組みですが、北海道では札幌市などが積極的です。札幌市は「札幌スマートシティ宣言」を2018年に行い、民間企業や大学と協働して交通、エネルギー、防災、ヘルスケアなど様々な分野で実証実験を行っています。例えば札幌創成川東地区では、AIを用いた街路防犯カメラと照明制御、マンホールのIoTセンサーによる下水氾濫検知などを試しています。また、函館市も市民ICTサポーター制度を設け、高齢者へのスマホ講習からオープンデータカタログの整備まで、市民参加型のスマートシティを目指しています。

地方の中では、宗谷管内稚内市が「北ナビ」という市民向けアプリを開発し、交通情報や防災通知、子育て情報などを一括提供しています。これは稚内市が率先してデジタル行政サービスに舵を切った例で、スマホ一つで役所手続予約から図書館蔵書検索までできるようになりました。こうした市民向けデジタル窓口は、広域分散する住民にとって時間節約になり、行政効率も高まります。

DX推進の鍵は、やはり人材と組織風土です。北海道庁はDX推進本部を立ち上げ、専門人材の中途採用や職員研修を進めていますが、市町村レベルではまだまだICT人材が不足しています。そこで、民間との協働が不可欠になります。例えば帯広市はNTTドコモと協定を結び、市内のIoT通信環境整備を共同で行いました。民間企業にとっても地方都市での実証はノウハウ蓄積の場となり、自治体は費用を抑えて先端技術を試せるというWin-Winです。また、北海道内の大学(北大や公立はこだて未来大学など)は地域DXを掲げ、自治体と連携協定を結んでいます。未来大学は函館市や北斗市と、高齢者見守りIoTや観光VRコンテンツ制作などで協働しています。

さらに、データ活用も今後の課題です。人口や産業統計、観光客動態、交通量、医療データ等、さまざまなデータを集約分析し政策立案に活かす「エビデンスに基づく政策立案(EBPM)」が叫ばれています。北海道では観光分野で「観光DX」に力を入れ、ビッグデータをもとに観光地ごとの滞在傾向や消費行動を分析し、効果的なプロモーションや受入体制整備に繋げています。

総じて、デジタル化は北海道の広さと人手不足を補い、質を維持するための強力な武器です。ただ、導入には初期投資や専門知識も要し、すべての自治体が一斉に進められるわけではありません。そこで道が中心となってノウハウを共有し、進んでいる自治体が遅れている自治体をサポートする仕組みが望まれます。そうすることで、道内のデジタル格差を小さくし、どの地域に住んでいても一定水準のサービスが受けられる「デジタルによる下支え」を実現できるでしょう。

地域住民・民間企業・NPO・大学との協働

自治体だけで地域課題を解決することは難しく、住民や民間企業、NPO、大学など多様な主体との協働が成功のカギを握ります。北海道では地域ぐるみの協働モデルが各地で芽生えています。 まず住民参加の面では、町内会や自治会による地域づくり活動が再評価されています。過疎化で従来の自治会組織が維持困難な所もありますが、その場合はNPO法人やボランティア団体が役割を引き継ぐ形でコミュニティ機能を補完しています。たとえば、空知管内夕張市では財政破綻後に行政サービスが縮小したのを受け、市民有志がNPO「ゆうばりNPO」を設立し、高齢者配食サービスや除雪ボランティア、観光案内などを行っています。行政に頼らず住民自らが動いたことで、かえって地域の絆が深まったと評価する声もあります。

民間企業との連携では、道内では企業版ふるさと納税制度を活用し、企業が自治体の地方創生事業に寄付をして税控除を受けられる仕組みを積極的に取り入れています。例えば、苫前町(留萌管内)は町の風力発電を活かしたグリーン産業拠点構想に企業版ふるさと納税で資金を募り、大手企業からの寄付を得て風力メンテナンス人材育成センターを設立しました。また、帯広市は食品関連企業からの寄付で子ども食堂ネットワークを拡充するなど、企業の社会貢献意欲を地域ニーズに結びつけています。

金融機関や道内企業による地域支援も盛んです。北海道内の地方銀行や信用金庫は、単なる融資に留まらず、地域の事業者と都市の企業を繋ぐマッチングをしたり、創業希望者に専門家を派遣したりと伴走型支援を行っています。たとえば北洋銀行は札幌に「北洋キャピタル」を持ち、道内スタートアップ企業への出資と成長支援をしています。道東の釧路信用金庫は管内自治体と包括連携協定を結び、職員が自治体プロジェクトのアドバイザーになる仕組みを取っています。

大学との協働では、北海道大学や各地の公立大学が地域課題解決のパートナーとして動いています。北大は「地域協働学育」というプログラムで学生が道内各地の自治体でインターンし、課題提案を行う場を設けています。また、北見工業大学は北見市と連携し、冬季道路管理に関するAI研究を行ったり、地元企業と共同で除雪ロボットを開発したりしています。下川町では、町の林業政策を支える研究として東京大学と連携し、森林経営モデルの開発やカーボンオフセットの計測などを進めています。このように学術の知見が現場の課題と結びつくことで、より科学的根拠に基づく施策展開が可能になります。

また、地域おこし協力隊制度は、いわば「半官半民」の人的協働モデルです。協力隊員は任期後に地域で起業したり、NPO職員になったり、自治体に再就職したりと、その土地に根付くケースが増えています。北海道は協力隊受入数が全国一であり、隊員同士の横のつながり(「ほっかいどう協力隊ネットワーク」)も形成されています。このネットワークは、任期終了後の起業チームを組んだり、新たな移住希望者に体験談を話したりと、地域横断的なコミュニティとして機能しつつあります。

協働を進めるには、行政の意識改革も必要です。従来の行政は縦割りや前例踏襲が強く、民間や住民のアイデアを取り入れるのが不得手でした。そこに最近はデザイン志向やファシリテーション技術を持ち込んで、ワークショップ形式で住民と役所が一緒にプランを練る場が増えました。帯広市や札幌市では、公共施設の使い方や公園の改修に市民ワークショップを開いて意見を聞き、その結果を設計に反映した事例があります。また、役所内に民間出身者を登用する動きもあり、北海道庁は2021年にデジタル人材の中途採用を行い、ベンチャー企業出身者が地方創生のプロジェクトマネージャーに就任するなど変化が出ています。

最後に、協働の仕組みとして広域連携協約PPP/PFI(官民連携事業)も挙げられます。広域連携協約は自治体同士の協働ですが、その先にあるのは企業やNPOも含む「地域経営」の視点です。PFI手法で道の駅を民営化して成功している例(道北の稚内市など)や、上下水道運営を民間委託して効率化した例(道央の栗山町など)もあります。公共サービスを誰が担うかを柔軟に考え、民間でできることは任せ、行政は全体のコーディネートに回るという発想が広がりつつあります。

国・北海道・市町村それぞれの役割分担と今後の政策

持続可能な北海道のためには、国・道・市町村がそれぞれの役割を認識し、補完し合う政策展開が必要です。 国(中央政府)は法律や財政面の制度設計で地方創生を後押ししています。具体的には、地方交付税制度で過疎地域に手厚く配分したり、特別交付税で社会資本更新費用を支援したりしています。また、過疎法や半島法、離島振興法など地域特性に応じた特別措置法により、税制優遇や起債(借入)の特例を認め、地方の自主的な投資を促しています。北海道の179市町村のうち152が過疎地域指定を受けていることは既述のとおりで、これにより過疎債発行や各種補助金の優先採択などの恩恵を受けています。今後も国には、地方の実情に即した財政支援を安定的に行うことや、地方が提案する規制緩和(ライドシェア解禁など)に柔軟に応えることが求められます。

北海道(道庁)の役割は、広域調整者でありサポーターです。北海道は日本で唯一の道州制的な性格も持ち、広域行政(例えば北海道警察や北海道教育委員会など道単位で運営)や広域インフラ管理(道道・道立施設など)を担っています。市町村単独では難しい大規模事業や広域的施策は、道がイニシアチブを取る場面が多いです。たとえば2023年から道が実施している「地域公共交通確保維持改善事業」では、振興局ごとに交通専門員を配置し、市町村や事業者の協議を支援しています。また、北海道は「北海道総合開発計画」という地域振興のマスタープランを策定し、国の予算獲得交渉にも当たっています。近年のプランでは人口減少を前提に「コンパクト+ネットワーク」や「広域連携」、「食クラスターの形成」などが掲げられ、道庁各部と振興局が連携して具体策を進めています。

市町村は言うまでもなく、住民に最も身近な基礎自治体として、現場でのサービス提供を行う主体です。少子高齢化の進展で、市町村には従来以上にきめ細かな対応が求められています。例えば、要介護高齢者への地域包括ケア体制整備や、子育て世帯への切れ目ない支援(妊娠期から高校卒業までのワンストップ相談など)は、市町村が中心です。こうした現場力を維持するため、市町村自身も広域連携やデジタル化で生産性を上げつつ、持続可能な行政運営モデルを模索しています。

国・道・市町村の役割分担において、北海道独自の事情もあります。北海道は都道府県でありながら、一級河川の管理や港湾管理など一部国直轄だったり、市町村事務だったりと、他地域とは違う権限配分があります。例えば道路は北海道管理の道道が広域交通の要を成す割に延長が長く維持費が嵩むため、国直轄で補完する議論なども出ています。また、アイヌ施策や北方領土問題対応など北海道特有の政策分野では、国が直接関与する形も見られます。

今後求められる政策の方向性としては、まず総合的な地方創生政策の深化があります。2014年に始まったまち・ひと・しごと創生総合戦略は第2期に入りましたが、北海道ではこれを受け、より地域実情にあった戦略に磨き上げる必要があります。道は「北海道創生総合戦略」を掲げ、人口維持目標や産業振興策を立てていますが、実現には国費だけでなく民間投資も呼び込む視点が大事です。例えば、グリーンエネルギー分野では国のGX(グリーントランスフォーメーション)戦略と北海道の広大な土地資源が合致し、大型風力発電プロジェクトが各地で計画されています。これらを地域振興と両立させるには、地域と事業者・国の三者協議が不可欠で、道が間に入って適切に調整する役割を果たしています。

また、防災・減災と地域レジリエンス強化は、3者連携が試される分野です。国土強靱化計画に基づき、国はハード整備を支援し、道は広域訓練や情報システム整備、市町村は地域防災計画の具体化と住民啓発を行っています。胆振東部地震の教訓からは、停電対策や多重の通信確保など、平時からの備えが重要と痛感されました。これも国道共同で進める課題です。

総じて、国には財政的後ろ盾と規制改革、道には広域調整と専門支援、市町村には現場力と住民の声の汲み上げが期待されます。それぞれの強みを活かし弱みを補い合うガバナンスが築ければ、北海道の地域づくりは力強く進むでしょう。

6. 北海道内の先進事例・モデルケース

北海道内には、地域創生や移住促進、産業振興、福祉、交通など各分野で独自の先進的取り組みを行い、成果を上げている自治体があります。そのいくつかを事例として紹介します。

  • 移住促進・教育の先進事例:東川町(ひがしかわちょう)
    背景: 大雪山の麓に位置する東川町は、1990年代に人口が減少し6,000人台となっていました。将来への危機感から「写真の町」を宣言し、豊かな自然環境と独自の教育・文化を活かしたまちづくりに舵を切りました。
    取り組み内容: 2015年、日本初の町立日本語学校を開校し、海外から留学生を誘致しました。同時に、町内に外国人も含めた多様な人材が集うカフェやギャラリーを整備。子育て支援にも力を入れ、町独自の奨学金制度や少人数学級によるきめ細かな教育を提供しました。住宅地「グリーンヴィレッジ」を造成し移住者に分譲、また移住相談窓口を設け丁寧な対応を行いました。
    成果: 人口は2023年に約8,300人と増加し、そのうち約半数が移住者という全国でも類を見ない成功例となりました。特に子育て世帯やクリエイターの移住が多く、出生数も増加傾向です。留学生約300人が地域に溶け込み、多文化共生のモデル地域にもなっています。移住者が開いた飲食店や写真ギャラリーが新たな観光資源となり、町の賑わいも創出されました。
    学べるポイント: 明確なコンセプト(写真文化・教育)と受入体制整備が成功の鍵です。行政が旗を振り多様な人を歓迎する姿勢を示したことで、新住民と元からの住民の共生も円滑に進みました。
  • スマート農業・デジタル化の先進事例:更別村(さらべつむら)
    背景: 十勝管内の更別村は人口約2,800人、高齢化と農業従事者減少が課題でした。村の基幹である大規模畑作農業を維持発展させつつ、歳入減・歳出増に対応する必要に迫られていました。
    取り組み内容: 2021年に国家戦略特区「スーパーシティ」構想に名乗りを上げ、更別村スーパーシティ構想を策定。無人トラクターやロボット技術によるスマート農業の推進、AIとIoTを活用した健康増進サービス(全村民のバイタルデータをモニタリングし、健康アドバイスやポイント付与を行う)、顔認証を使った手続き簡素化、自動運転デマンドバスやドローン配送・空飛ぶクルマによる移動革命など、未来志向の施策群を計画しました。これらを進めるために、村と民間企業が共同出資する「スマート産業イノベーション協議会」を設立し、実証実験とサービス開発を進行中です。
    成果: まだ構想段階の施策も多いものの、既に村内の農業法人で自動運転トラクター実用化、村民への健康データ提供サービス開始など部分的成果が出ています。スーパーシティ提案が評価され、国の関連予算や企業からの協力も得られる見込みです。村の人口減は続いているものの、全国から実証実験目当てに企業や研究者が訪れるようになり、注目度が高まりました。
    学べるポイント: 小規模自治体でも大胆なビジョンを掲げることで外部資源を呼び込み、課題解決に挑めるということです。住民合意を得つつ、行政と民間の垣根を越えたプロジェクト体制を構築した点も参考になります。
  • SDGs・持続可能な地域づくりの先進事例:下川町(しもかわちょう)
    背景: 上川管内下川町は人口約3,000人。林業の町として栄えた歴史がありますが、人口減・高齢化が進行。早くから経済・社会・環境の調和を掲げ、持続可能なまちづくりに転換しました。
    取り組み内容: 2001年に「持続可能な地域社会づくり宣言」を行い、環境ISOを自治体で取得。木質バイオマスボイラーを導入し公共施設の暖房を木材チップで賄うなど、森林資源循環型のエネルギー政策を推進しました。林業は単に木を売るだけでなく、ペレット燃料生産や木工製品づくり、森林ツーリズムなどに展開。2018年には国から「SDGs未来都市」に選定され、町独自のSDGs指標とアクションプラン「下川版SDGs」を策定。策定には町民と職員が多数参画し、ワークショップを重ねました。子育て支援でも「誰ひとり取り残さない」をテーマに、有志の女性グループが提言し町の子育て施策が充実するなど、住民主体の動きが活発です。
    成果: 下川町は持続可能なまちづくりの成功例として国内外から注目され、2017年には第1回ジャパンSDGsアワードで内閣総理大臣賞を受賞しました。森林総面積のうち約9割で永続的な森林経営が達成され、林業所得も安定傾向です。再生可能エネルギー導入率は町全体エネルギーの65%に達し、CO2排出削減に大きく貢献しています(環境省報告)。移住者も若干戻りつつあり、「森の暮らし」を求めて他地域から人が集まるようになりました。
    学べるポイント: 長期的視点での総合戦略と住民参加が鍵です。下川町は60年以上前からの森林管理の蓄積がSDGsにつながりました。住民が自らを主役と捉え行動したことで、単なる行政計画で終わらない持続の仕組みができています。
  • 地域福祉・医療連携の先進事例:芽室町(めむろちょう)
    背景: 十勝管内芽室町は人口約19,000人で、帯広市の隣町です。高齢化進行に伴い、在宅医療・看護の充実と医師の働き方改革が課題でした。
    取り組み内容: 町立の公立芽室病院は2024年、リアルタイム遠隔医療システムを十勝圏で初導入しました。タブレット端末「Teladoc」を訪問看護師が携行し、患者宅から病院の医師にオンラインで相談できる仕組みです。さらに国内初となる救急外来での遠隔コンサルト用ロボット「Doctor Cart」も導入予定で、院内の各科医師が離れた場所から救急対応を支援できるようにします。これらは厚労省の医師働き方改革モデルにも位置づけられ、他地域の医師負担軽減に繋がると期待されています。芽室町では併せて高齢者の在宅希望調査を行い、ケアマネや地域包括支援センターと病院が連携して在宅療養支援計画を作成する体制を築きました。
    成果: 遠隔診療システムは2024年2月から本格稼働し、通院困難な高齢患者への継続医療が実現しました。医師の移動時間削減に寄与し、訪問看護師の心理的負担も軽減されています。町民アンケートでも「自宅で診療を受けられ安心」と好評です。こうした地域医療DXの取り組みは全国的にも注目され、同様の課題を抱える他自治体から視察が相次いでいます。
    学べるポイント: 医療と福祉の垣根を越えた連携と、テクノロジー活用による地域ニーズ対応がポイントです。芽室町の場合、自治体病院という強みを活かして在宅医療を推進し、高齢者のQOL向上と医療従事者負担軽減を両立するモデルを示しました。これは人口減少下で地域医療を守る一つの解となり得ます。
  • 地域公共交通維持の先進事例:北都市圏(札幌連携中枢都市圏)
    (※一自治体ではなく広域の事例)
    背景: 札幌市と近郊11市町村で構成されるさっぽろ連携中枢都市圏では、人口増の一方、郊外部での高齢化や公共交通空白地帯の発生が問題化しました。
    取り組み内容: 圏域の自治体(札幌市、小樽市、江別市、千歳市、恵庭市、北広島市、石狩市、当別町、新篠津村、南幌町、長沼町、栗山町)は2019年に広域連携計画を策定。その中で公共交通分野では、圏域を跨ぐバス路線の維持・新設、ICカード乗車券の相互利用促進(札幌のSAPICAとJR系Kitacaの統合利用)などを盛り込みました。また、高齢ドライバーの免許返納者に対する公共交通優待サービスを圏域共通化し、どの市町村に住んでいても同じ支援が受けられるようにしました。さらに、札幌圏への通勤圏外となる地方とのアクセス改善として、新千歳空港発着の都市間高速バスネットワーク整備に共同で取り組み、道南や道北からのバスが札幌都心を経由せず直接空港に向かう路線開設を働きかけました。
    成果: 札幌近郊の公共交通について、ICカードの統一などソフト面で利便性が向上しました。高齢者支援では、免許返納者へのバス乗車証交付を札幌市が実施し、近郊町村も同様の制度を導入する動きが広がりました。これにより返納後の移動不安が軽減され、免許自主返納者数も前年比増加しています(北海道警察統計)。また、広域バス路線として札幌圏の北部・南部郊外を結ぶ新ルート(江別〜北広島線など)が試験運行され、交通不便地域の解消に一定の成果を出しました。
    学べるポイント: 広域圏での統一的サービス提供が住民利便向上に繋がることを示しています。単独では困難なICカード調整や路線維持も、中心市のイニシアチブと周辺の協力で実現しました。都市圏全体を一つの生活圏と捉え、行政境界を超えて交通政策を進めた点は他地域のモデルとなります。

以上の事例からは、それぞれの地域が抱える課題に創意工夫で応え、「この町だからできること」を突き詰めたことが成功要因として浮かび上がります。北海道内の多様性は解決策の多様性でもあり、他地域はこれら先進事例のエッセンスを学びつつ、自地域に合ったアレンジを加えていくことが重要でしょう。

7. 今後の展望とまとめ

人口減少・高齢化が避けられない前提の中で、北海道の市区町村は「縮みゆく中で持続する」新しい地域のかたちを模索しています。 将来像として目指すべきは、たとえ人口規模が半分になっても地域コミュニティの絆と生活の質が維持され、人々が誇りを持てる地域です。そのためには、行政だけでなく住民一人ひとりが当事者意識を持ち、企業や外部人材とも協力しながら知恵を出していくことが不可欠です。

行政は、これまで以上に住民や企業の声に耳を傾け、ファシリテーター役に徹することが求められます。情報を公開し、課題を共有し、解決策を共創するプロセスを重視することで、住民の納得感と参加意欲が高まります。住民側も、「お任せ」から脱却し、自分たちのまちは自分たちで作るという姿勢が大切です。幸い北海道の各地には、地域おこしに挑戦する若者やUIJターン組、地元のベテランらが少なからずいます。そうした「想いある人」が縦横につながり、地域運営に参画できる仕組みを整えることが、自治体の重要な役割となるでしょう。

企業にとっても、北海道の地域は新たなビジネスチャンスの宝庫です。広大な土地や資源を活かした再生エネルギー、農林水産物の高付加価値化、観光DXなど、成長余地の大きい分野があります。道や市町村は、積極的に民間企業との対話を図り、規制緩和やインセンティブで投資を呼び込む努力が必要です。同時に、進出企業には地域の雇用創出や人材育成で協力してもらい、地域と企業のWin-Win関係を築くことが望まれます。

外部人材、特に若い世代や専門スキルを持った人には、もっと北海道の地方に関わってもらう機会を提供すべきです。リモートワークが普及した今、都市に住みながら北海道のプロジェクトに継続参加することも容易になりました。関係人口プラットフォームを整え、都市部の学生や社会人が気軽に地域課題に挑戦できるような仕掛けを作ることは、将来の移住や起業にもつながります。

結局のところ、持続可能な地域づくりとは「人づくり」であり「絆づくり」です。北海道は厳しい自然環境の中で助け合って開拓してきた歴史があり、そのDNAは今も各地の人々に受け継がれています。たとえ人口が減っても、その地に暮らす人々が互いを思いやり、郷土を愛し、次世代にバトンを渡そうと努力する限り、地域は決して消滅しません。むしろ、スリムになっても強靭で幸せな地域を実現できる可能性があります。

読者の皆さんがもし自治体職員であれば、ぜひ地域の外に目を向け、多様な主体との連携にチャレンジしてください。住民の方や地域活動家の方であれば、自分の住む町の将来像について周囲と語り合い、小さな一歩でも行動に移してみてください。移住希望者や起業家の方は、ぜひ一度北海道の現地に足を運び、地域の人々と対話してみてください。そこには数字や報道ではわからない、生き生きと暮らす人々の姿や可能性があるはずです。

北海道の未来は決して暗いものではありません。広大な土地と資源、多様な文化、人の温かさという財産があります。これらを活かし、「課題先進地」から「課題解決先進地」へと転換するポテンシャルが北海道には備わっています。持続可能な地域づくりに「これで終わり」という完成形はなく、常に改善と挑戦の連続です。しかし、そのプロセス自体が新たな価値を生み、人と人とを結びつけ、未来への希望を紡いでいくでしょう。北海道の179市区町村それぞれが、自らの強みを発揮しつつ、オール北海道で協力してこの困難を乗り越えていけることを、そしてその姿が日本全国のモデルケースとなることを期待して、本記事の締めくくりとします。

8. よくある質問(FAQ)

Q1. 北海道の小さな町に移住を考えています。どんな点に気をつけるべきでしょうか?
A1. まず冬の寒さや雪への備えが大切です。地域によって積雪量は違いますが、除雪体制や冬の暖房費などは確認しましょう。また、車が生活必需品となる地域が多いので、免許や車の用意、冬道運転の知識も必要です。仕事については、移住前に地元の求人情報を集めたり、テレワーク可能な職を確保したりすると安心です。自治体の移住相談窓口を活用し、住まい探しや地域コミュニティの情報も得てください。実際に現地を訪れて季節ごとの暮らしを体験しておくとギャップが少なくなります。

Q2. 北海道の地方で子育てする環境はどうですか?医療や教育面で不便はありませんか?
A2. 北海道は自然に恵まれ、広い公園や安全な環境でのびのび子育てできる魅力があります。一方、医療面では大病院が遠かったり、小児科医が少ない地域もあるため、自治体が検診時に交通費を助成するなどの工夫をしています。教育については、小規模校では先生の目が行き届きますし、中学校まではほぼどの町にもあります。ただ高校や大学は都市部に集中するので、高校進学時から下宿や通学に時間がかかるケースもあり得ます。自治体によっては高校生バス定期を補助するなど支援があります。全体として、地域ぐるみで子育てを応援してくれる雰囲気が強いので、子育て世帯に優しい環境と言えるでしょう。

Q3. 仕事が見つかるか不安です。北海道の地方でどんな働き方の選択肢がありますか?
A3. 地域にもよりますが、農業や林業、水産業といった一次産業のほか、観光関連や介護・福祉などの仕事は各地で求人があります。最近は自治体が移住者向けに就職相談を行っていたり、企業とタイアップして現地体験インターンを提供したりするケースもあります。また、インターネット環境が整えばリモートワークで都会の仕事を続けながら地方に住むことも可能です。実際にテレワーク移住している人も増えています。起業に関しても、市町村が創業支援補助や空き店舗の紹介をしてくれる場合があります。ハローワークや地域の商工会にも相談して、幅広く情報を集めるとよいでしょう。

Q4. 車がないと暮らせないと聞きますが、運転に自信がありません。交通や医療の面で不便な地域で暮らしていけるでしょうか?
A4. 北海道では都市部以外は自家用車がほぼ必須ですが、最近は高齢者や運転できない方向けにデマンドバス(予約制乗合タクシー)を走らせる町も増えています。買い物代行サービスや移動販売を行うNPOがある地域もあります。医療については、定期的に町村に巡回診療が来たり、隣町の病院まで送迎バスが出たりする場合もあります。とはいえ全般的に車があった方が行動範囲が広がるのは事実です。もし運転が難しい場合、駅近や役場近くに住んで歩いて暮らす、タクシー料金助成制度を活用する、といった対策が考えられます。自治体の福祉移送サービスなどもチェックして、無理なく生活できる環境か確認すると安心です。

Q5. 北海道で地方起業をしたいです。何か支援策はありますか?
A5. 北海道内の多くの自治体で、UIJターン起業者向けの支援があります。例えば創業補助金、オフィスや農地の斡旋、家賃補助、人材紹介などです。国の地方創生起業支援金(移住起業支援金)を活用できる地域もあります。分野としては、農業の6次産業化や観光業、ITを活かしたサービスなどが歓迎される傾向です。先輩移住起業者とマッチングしてくれる制度や、地域おこし協力隊としてまず赴任して準備し、その後起業するというルートもあります。自治体の担当部署(企画課や商工観光課など)に事前に相談し、具体的な構想を伝えると、補助メニューや関係者紹介など手厚くフォローしてもらえるでしょう。北海道の広さはビジネスチャンスでもありますので、ぜひ現地でニーズを見極めてチャレンジしてみてください。

参考文献

  • 北海道庁 「北海道データブック2023」 総合政策部 (2023年) – 北海道の人口・社会経済統計(2020年国勢調査結果など)pref.hokkaido.lg.jppref.hokkaido.lg.jp
  • 北海道庁 「過疎地域市町村等一覧(令和4年4月1日現在)」 (2022年) – 北海道内過疎指定自治体数の資料pref.hokkaido.lg.jp
  • 北海道経済連合会 「2050北海道ビジョン~課題解決先進地域のフロントランナーを目指して~」 (2021年) – 北海道の人口動向(1997年ピーク等)と長期ビジョンdokeiren.gr.jp
  • 国立社会保障・人口問題研究所 「日本の地域別将来推計人口」 (2018年推計) – 北海道の将来人口推計(2045年までの予測)
  • 総務省統計局 「国勢調査 2020年」 – 北海道の年齢構成、人口増減率など基本統計pref.hokkaido.lg.jp
  • 北海道総合政策部 「北海道創生総合戦略(第2期)」 (2019年策定) – 人口減少対策や広域連携の北海道の計画
  • 北海道運輸局 「北海道における地域公共交通の現状」 (2020年) – JR北海道の路線見直し問題や道内バス交通の動向
  • 花岡俊吾 「北海道の農業者は6.7万人あまり、20年間で45%も減少」 (note記事, 2024年2月) – 農林水産省統計に基づく北海道の農業就業人口推移note.com
  • 女性セブン(マネーポストWEB) 「移住者続出の北海道東川町は何が凄い?」 (2019年7月) – 東川町の人口増と日本語学校・移住施策に関する記事moneypost.jp
  • ESSEオンライン 「持続可能なまちづくりのトップランナーに、北海道下川町はなぜなれた?」 (2023年5月) – 下川町のSDGs先進事例に関するインタビュー記事esse-online.jp
  • 内閣府地方創生推進事務局 「国家戦略特区 更別村スーパーシティ構想 概要」 (2021年) – 更別村のスーパーシティ提案内容kk-ty.co.jpkk-ty.co.jp
  • PHCホールディングス ニュースリリース 「芽室病院に遠隔医療システム導入」 (2024年2月5日) – 芽室町の遠隔医療導入に関する発表wemex.com
  • 北海道地域おこし協力隊サイト 「協力隊やるなら北海道!」 (2023年) – 北海道の地域おこし協力隊受入数(全国No.1)や活動事例kuraso-hokkaido.com
  • 総務省 「連携中枢都市圏構想 ガイドライン」 – 札幌市・旭川市を中心とする連携中枢都市圏の概要pref.hokkaido.lg.jppref.hokkaido.lg.jp
  • 北海道新聞 「占冠村など人口増加 2015~20年国勢調査」 (2021年) – 2015~2020年で人口増加した北海道内12市町村の紹介pref.hokkaido.lg.jp (占冠村・赤井川村・東川町・千歳市 など)
  • 国土交通省北海道開発局 「北海道型地域構造の構築に向けて」 (2022年) – コンパクトシティや公共交通再編に関する資料city.chitose.lg.jpcity.kitahiroshima.hokkaido.jp
  • 内閣官房 「ジャパンSDGsアワード 第1回受賞地域 下川町」 (2017年) – 下川町の持続可能な取組が評価された事例紹介esse-online.jp
  • 北海道総合振興局HP 「道内179市町村と14振興局」 (2022年) – 北海道の市町村区分と振興局一覧hkd-ouendankaigi.jpja.wikipedia.org
  • 札幌市 「さっぽろ連携中枢都市圏ビジョン」 (2019年) – 札幌圏12市町村の連携方針(公共交通ICカード共通化等)
  • 帯広市 「帯広市人口ビジョン・総合戦略」 (2021年改訂版) – 帯広市と十勝管内の人口動向分析(釧路市との人口逆転理由等)nobels.co.jpnobels.co.jp

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