
3分でわかる要点(結論先出し)
- 史上初の女性首相を擁立する新連立政権誕生:2025年10月、自民党と日本維新の会が連立政権樹立で合意し、高市早苗・自民党総裁が日本初の女性首相に就任。長年与党を支えた公明党に代わり維新が初めて政権参画し、両党は国家観を共有する12分野の政策実現を確認しました。
- ガソリン税の“旧暫定税率”廃止で家計負担軽減:1974年以来リッター当たり25.1円上乗せされてきたガソリン税の暫定税率を撤廃し、燃料価格を約30円/L引き下げる法案を2025年内に成立させる方針です。これによりガソリン高騰を緩和する一方、年間1兆円規模の税収減少という財政課題が生じます。
- 消費税の一時的減税(食料品ゼロ税率)を検討:食料品の消費税について、今後2年間限定で非課税(ゼロ%)とする措置を念頭に法制化を検討します。実現すれば食品の買い物負担が直ちに約8%軽減される見込みですが、恒久策ではなく財政影響も大きいため、実際に導入されるかは今後の調整次第です。
- インフレ対応の減税策:基礎控除の物価連動・給付付き税額控除:所得税の基礎控除額を物価上昇に応じて見直す制度設計を年内にまとめ、低所得者には給付付き税額控除(負の所得税)を導入する方向です。インフレによる実質負担増を緩和し、従来減税の恩恵が及ばなかった非課税世帯にも現金給付で支援を届ける狙いです。
- 社会保障改革:現役世代の負担上昇に歯止め:急速な高齢化に伴う給付増加と現役世代の過度な負担に危機感を共有し、抜本的な社会保障改革で保険料負担の上昇を食い止めます。具体策として〔高齢者の定義見直し〕〔医療保険者の統合再編〕〔富裕層の窓口負担引上げ(応能負担の徹底)】〔診療報酬体系の抜本改革〕など幅広い項目について2025年度中に両党協議で具体案をまとめ、順次実行に移す計画です。
- 皇室・憲法・家族制度:歴史に沿った皇位継承策と改憲工程:男系維持を前提に皇族に養子縁組を可能とし、男系男子を皇族に迎える案を最優先で検討、2026年通常国会で皇室典範改正を目指します。また維新提言を踏まえ憲法9条改正に向けた条文起草協議会を早期に設置。緊急事態条項の創設も含め、2025年末までに与党内の改正案を取りまとめ、2026年度中に国会提出・発議を目指す計画です。加えて旧姓の通称使用に法的効力を与える制度(選択的夫婦別姓に近い仕組み)を創設し、2026年に関連法案提出、日本国旗等への毀損罪(国章損壊罪)新設も盛り込みました。
- 外交・安全保障:防衛力強化と新機軸外交:戦後最も厳しい安全保障環境を踏まえ、国家安全保障戦略など「戦略3文書」を前倒し改定。防衛面ではスタンド・オフ防衛能力(敵基地反撃能力を持つ長射程ミサイル配備)の整備を加速しつつ、新型動力で長期間潜航できるVLS搭載潜水艦(長射程ミサイル発射管搭載潜水艦)の開発・保有に乗り出します。また自衛隊の統合作戦司令部の指揮機能強化へ向け全国5方面隊の区域統合や中間司令部の簡素化を推進。2026年には防衛装備移転三原則の運用指針にある輸出制限「五類型」の撤廃を決定し、防衛産業の国内基盤強化を図ります。外交では平和構築のため外務省に国際和平調停の専門部署を新設(2025年度中)し、新たな和平外交の選択肢を育成します。
- インテリジェンス・経済安保:国家情報機能と対外規制の強化:日本版CIAとも言える「国家情報局」および局長ポストを2026年通常国会で新設し、既存の内閣情報調査室を格上げ。同時に「国家情報会議」を設置する法整備を行い、2027年度末までに独立した対外情報庁(仮称)を創設します。スパイ活動防止へは諜報・スパイ防止関連の基本法や外国代理人登録法の制定を急ぎ、外国企業の対日投資審査を担う「対日外国投資委員会」(日本版CFIUS)を2026年に創設。南西諸島の海底ケーブルの強靱化など経済安全保障も強化され、重要インフラ防護を図ります。
- エネルギー・環境:原発再稼働と次世代革新炉の推進:電力需給逼迫と脱炭素の両立を図るため、安全性確保を大前提に原子力発電所の再稼働を進め、次世代革新炉(高温ガス炉や小型炉など)や核融合炉の研究開発を加速します。再生可能エネルギーでは地熱等の有望分野を重点支援し、海洋エネルギー・海底資源の開発も推進。一方、乱開発による環境破壊防止の観点から大規模太陽光発電(メガソーラー)の設置を規制する法律を2026年に制定予定で、無秩序な森林伐採や土砂災害リスクに歯止めをかける狙いです。
- 人口・教育:人づくり投資と無償化の拡充:最大の課題である少子化対策として、2025年中に政府に「人口減少対策本部」(仮称)を設置し、子育て支援策を含む強力な人口戦略を立案・実行します。教育面では2026年4月から高等学校の授業料無償化を全国で実施(現行の所得制限を撤廃し私立も実質無償化)し、小学校給食費も2026年度から無償化します。今年度中に残る課題を調整し制度設計を完了させる方針です。また2025年の与野党三党合意に基づき保育料負担の軽減など子育て支援策の大幅拡充、高校教育改革のグランドデザイン策定、大学の適正規模化、そして科学研究費(科研費)の大幅増額による基礎研究強化を進めます。
- 統治機構・政治改革:危機対応と政治資金の見直し:首都直下地震等に備え、副首都(首都機能バックアップ)構想を具体化。2025年中に与党協議体を立ち上げて首都・副首都の役割分担を検討し、2026年に関連法を成立させる計画です。政治改革では、企業・団体献金など政党資金調達の在り方を議論する協議体を設置し、高市総裁の任期中(~2028年頃)に結論を得ると明記。現時点で自民党は「禁止より公開」、維新は「企業団体献金の完全禁止」を主張しており溝は残るものの、第三者委員会の提言も踏まえ着地点を探る見通しです。そのほか衆議院議員定数の1割削減(約46議席減)を目標に2025年の臨時国会で議員立法を提出し成立を期すこと、現行の小選挙区比例並立制を廃止し中選挙区制導入も含めた選挙制度改革を与党協議会で検討することが盛り込まれました。
以上の合意事項は、2025年10月召集の臨時国会から順次法案提出・制度設計が進められ、2026~27年にかけて実現を目指す工程が示されています。以下、分野ごとに背景や狙い、新制度の詳細とスケジュール、そして私たちの暮らしや企業活動への影響・留意点を解説します。
連立合意の全体像(背景と12分野のマップ)
自民・維新連立の成立と意義:2025年10月20日、自民党(自由民主党)と日本維新の会は連立政権樹立の合意書に正式署名しました。これにより、長年連立を組んできた公明党に替わって維新が政権パートナーとなり、同21日召集の臨時国会で自民党総裁の高市早苗氏が第104代首相に指名されています。高市政権の発足は、日本にとって初の女性首相誕生であると同時に、「既得権益打破・行政改革」を掲げてきた維新が初めて国政の舵取りに参画する歴史的転換となりました。維新は2010年の結党以来「大阪都構想」など改革路線で台頭した右派系野党ですが、近年は自民党と政策面で接近しつつあり、2025年秋の自民党総裁選で高市氏を支援したことなどを契機に連携を強めていました。結果として公明党との協力関係が停滞した自民党が維新と手を組み、与野党再編に近い新連立が誕生した形です。
合意書の位置づけ:合意文書は前文で「戦後最も厳しく複雑な内外情勢」の下で国家観を共有する両党が全面協力する決意を示し、経済から統治機構改革まで計12項目の政策分野について両党が実現のため連立することを確認しています。この「12項目の政策」が本合意書の中核で、以下のような分野が網羅されています。
- 1. 経済・財政政策 – ガソリン税や消費税、物価高対策、減税制度、行政の無駄削減など
- 2. 社会保障政策 – 医療・年金・介護の制度改革、負担の見直し、少子化対策など
- 3. 皇室・憲法改正・家族制度等 – 皇位継承策、憲法9条・緊急事態条項改正、家族法制(旧姓通称使用)など
- 4. 外交安全保障政策 – 国家安全保障戦略の改定、防衛力強化、新たな外交手段など
- 5. インテリジェンス政策 – 国家情報局の創設、対外情報庁、新法(スパイ防止法・外国代理人登録法)など
- 6. エネルギー政策 – 原発再稼働、次世代革新炉・核融合の開発、再エネ推進など
- 7. 食料安全保障・国土政策 – 農地の有効活用、施設型農業への投資、メガソーラー規制など
- 8. 経済安全保障政策 – 海底ケーブルの防護や重要インフラ強靱化など
- 9. 人口政策及び外国人政策 – 人口戦略本部の設置、外国人受入れの基本方針、投資審査委員会(CFIUS)など
- 10. 教育政策 – 高校無償化、給食費無償化、保育支援、高校改革、科研費拡充など
- 11. 統治機構改革 – 副首都構想(首都機能バックアップ)の具体化など
- 12. 政治改革 – 政治資金の制度見直し、議員定数削減、選挙制度検討など
各分野ごとに具体的な施策と実施時期の目標が明記されており、臨時国会(2025年末)から来年度(2026年)にかけて集中的に改革に着手するロードマップとなっています。例えば、(1)経済では年内に税制改正法案を成立させ、(3)憲法では2025年中に改正原案作成、(11)統治改革では2026年に副首都関連法制定、(12)政治改革では2025年内に定数削減法案提出、といった具合です。
政策決定プロセスと今後の国会運営:合意書には両党間の協議体設置や第三者委員会への諮問もうたわれており、今後の実務では自民・維新の合同チームで政策立案・法案作成が進められます。参議院ではなお旧与党だった公明党の協力も必要となる場面がありますが、維新との連携によって衆議院では単独過半数を超える安定多数を確保しているため(自民+維新で約350議席)、基本的には政府提出法案や議員立法を円滑に成立させられる見通しです。もっとも、憲法改正や皇室典範改正といった超党派の合意が望ましいテーマも多く、野党や世論との調整が今後のカギを握ります。
以下、主要な政策項目について「狙いと背景」「何が変わるか」「スケジュール」「影響」「論点・リスク」「チェックリスト」の順で詳しく解説します。
主要施策の詳細(分野別)
経済・財政政策
狙いと背景(インフレ・物価高騰への対応)
近年のエネルギー・食料価格の高騰により、日本では消費者物価指数が2022年以降上昇傾向を辿り、実質所得の目減りや家計負担増が深刻化しています。その対策として政府はガソリン・軽油価格を抑える補助金を2022年から継続し、累計8兆円超を投入しました。しかし補助金は財政負担が大きく持続可能性に欠けるため、より恒久的な負担軽減策として浮上したのがガソリン税の「旧暫定税率」廃止です。これは1974年の道路財源確保のため「一時的に」上乗せされた税率が半世紀近く維持されているもので、1リットル当たり25.1円(国税)+5.2円(地方税)計約30.3円が現在も課されており、これを除けばガソリン価格を大幅に下げられるとの期待があります。
一方、足元の物価高騰はエネルギーだけでなく食料品にも及んでおり、低所得世帯ほど打撃を受けています。欧米諸国では生活必需品に軽減税率(例えば食料品の付加価値税を0~5%に据え置く措置)を適用する例も多く、日本でも消費税減税が野党を中心に議論されてきました。維新はかねてより「消費税は社会保障財源として維持すべき」と減税慎重でしたが、昨今の物価高を受け食料品に限った時限的な消費税ゼロ税率の検討に転じています。
加えて、物価上昇に対応した減税メカニズムの整備も課題です。インフレ下では名目所得が増えても実質購買力は目減りするため、放置すれば増税効果が生じかねません。そこで所得税の基礎控除額などを物価指数に連動して引き上げる(インフレ対応型の税制)アイデアが合意書に盛り込まれました。さらに、現行の税制では所得が低すぎて税を納めていない世帯には減税の恩恵が及ばないため、現金給付と減税を組み合わせて低所得者にも恩恵を届ける「給付付き税額控除」(タックスクレジット)の導入も検討されます。これは海外で広く採用される制度で、日本でも経済界や一部野党が“負の所得税”として提唱していたものです。
並行して、財政健全性を確保しつつ減税・補助政策を行うには歳出の無駄削減も避けて通れません。そこで合意書には、租税特別措置(各種の減税優遇)や巨額補助金の総点検を行い、政策効果の薄いものは廃止すること、そのための常設組織として「政府効率化局」(仮称)を新設する方針が明記されました。維新は以前から「身を切る改革」として行政の無駄根絶を掲げており、歳出見直しの徹底は連立政権の重要テーマです。
ガソリン税の「旧暫定税率」とは
ガソリン税は本則税率28.7円/Lに対し、1974年の暫定措置として追加25.1円/Lが上乗せされてきました。暫定の名目ながら幾度も延長され、2009年に道路特定財源から一般財源化された後も含め現在まで約50年間維持されているため、「旧暫定税率」と呼ばれます。暫定税率廃止でガソリンには1Lあたり約30円(地方道路税5.2円分を含む)の税負担減効果がありますが、その分国・地方で年間1兆円の減収となり、道路インフラ維持や財政への影響が懸念されています。
何が変わるか(具体策と新規性)
① ガソリン税の暫定税率廃止 – 2025年臨時国会で関連法案を成立させ、遅くとも2026年初頭までにガソリン税を1Lあたり25.1円引き下げます(地方税5.2円も合わせ約30円減)。政府は補助金でガソリン小売価格を168円/L程度に抑えていますが、補助金の段階的縮小と税減額を並行しつつ価格への影響を調整する見通しです。暫定税率の廃止は野党も含め超党派で合意されており、燃料高騰対策の柱となります。
② 食料品の消費税ゼロ%(時限措置) – 飲食料品を2年間に限り消費税非課税とする構想で、今後実現可能性を探ります。実施には消費税法改正が必要で、時限立法となる可能性があります。軽減税率(8%)のさらに先を行く大胆な減税であり、実現すれば対象品目の家計負担を実質8%軽減する効果があります。ただし軽減税率との二重構造や対象範囲の線引きなど技術的課題も多く、実現するか注目されます。
③ 所得税の基礎控除等のインフレ連動見直し – 所得控除額を毎年の物価上昇率に応じ自動調整する仕組みを導入します。例えば現行48万円の基礎控除を消費者物価指数+2%なら49万円に引き上げる、といった形で、インフレ下でも課税最低限(非課税枠)の実質価値を保ち、増税的な逆進性を緩和します。日本で税控除を物価指数連動させるのは新機軸で、2025年末までに制度設計をまとめた上で将来の税制改正大綱に盛り込む想定です。
④ 給付付き税額控除の導入 – 納税額が少ない低所得世帯にも減税恩恵を及ぼすため、税額控除しきれない分を現金給付する仕組み(タックスクレジット)を創設します。例えば所得税1人当たり10万円減税するとして、所得が低く納税額が3万円しかない人には7万円を現金給付する、といった形です。欧米の勤労所得税額控除(EITC)のように、給付額を労働インセンティブと連動させる案も考えられます。年内に制度設計を急ぎ、早期導入を図る方針です。
⑤ レントシーキング排除と政府効率化 – 税制優遇措置(租税特別措置)や大型補助金を洗い出し、政策効果の薄いものは廃止します。例えば特定業界向け減税や補助金で長年継続しているものをゼロベースで見直し、既得権益化した租特を整理します。その推進組織として「政府効率化局」(仮称)を新設し、官邸主導で歳出削減・行政改革を断行します。これにより、生み出された財源を減税や社会保障費に振り向け、歳入中立を図りながら物価高対策を実施していきます。
スケジュール(法案提出・施行時期)
- 2025年10~12月(臨時国会):ガソリン税の暫定税率廃止法案提出・成立。補正予算に物価高対策費を計上し成立。税制調査会などで基礎控除インフレ連動や給付付き税額控除の制度設計を開始(年末までに取りまとめ)。政府効率化局の設置準備。
- 2026年1~6月(通常国会):消費税ゼロ税率(食料品)実現の場合、この国会で関連法案提出。租特・補助金の総点検結果を踏まえ不要な特別措置の廃止法案や予算措置。必要に応じ税制改正大綱へインフレ連動控除・税額控除制度を反映。
- 2026年中:インフレ対応型の減税策や給付付き税額控除に関する法整備・システム準備。政府効率化局を発足させ、歳出見直しの恒常的枠組みを稼働。
- 2026年末以降:経済状況に応じ、食料品ゼロ税率措置を実施(期限2年間)。燃油価格補助と暫定税率廃止による価格調整の完了。以降、インフレ率に応じた控除額改定や給付付き税額控除の運用を毎年度の税制改正で行う。
家計・企業・自治体への影響(短期/中期)
家計(消費者):ガソリン暫定税廃止により、レギュラーガソリン小売価格はフル実施時に最大約30円/リットル低下する計算です。月50リットル給油する家庭なら月1,500円の負担減となり、物価高騰下では大きな支援となります。また食料品の消費税が時限的に0%になれば、1年間の食料支出(仮に40万円)あたり約3.2万円の節約効果が見込まれます。ただし食料品減税は2年間限定であり、その後税率が戻れば反動も予想されるため計画的な家計管理が必要です。給付付き税額控除が導入された場合、非課税世帯でも確定申告等を通じ一定の現金給付を受け取れるようになり、低所得層の可処分所得が増える見込みです。
企業(特に中小・運輸業等):燃料コストの大幅減は物流・運送業や製造業の収益改善に直結します。トラック等を多用する事業者はガソリン税減免によりコスト圧力が緩和し、価格転嫁による製品価格上昇を抑制できるメリットがあります。一方で、財政上の穴埋めとして将来的な増税(例:走行距離課税や環境税)が議論される可能性もあり、中長期では脱炭素投資や業態転換の戦略も求められます。また租税特別措置の廃止見直しにより恩恵を受けていた業界では減税打ち切りの影響が出る可能性があります。企業は自社に関係する優遇措置の行方を注視しつつ、制度変更に柔軟に対応できる財務体質の強化が必要です。
自治体(地方財政):ガソリン税の暫定税率廃止は地方道路税分も含め地方税収の大幅減(約500億円規模)につながります。道路特定財源ではないものの、自治体が道路補修・交通施策に充当していた歳入が減る可能性があり、国の財源措置(地方交付税や補助金)で補填されなければ地域インフラ維持に支障も懸念されます。また食料品減税による地方消費税減収も見込まれ、地方財政への影響は不透明です。そのため自治体には、国への十分な補填措置の働きかけと、事業の優先度見直しによる歳出効率化が求められます。
論点・リスク(賛否・国際比較・懸念点)
◆財政と財源:暫定税率廃止による国・地方で年1兆円の税収減をどう補うかが最大の論点です。合意では「代替財源の確保を前提」とされますが、仮に赤字国債で穴埋めすれば将来世代へのツケとなります。また道路老朽化が進む中、削減分をどこまで歳出削減で捻出できるか不透明です。政府は走行距離課税や炭素税の導入でガソリン税収減を補う検討も報じられていますが、増税への国民理解を得るハードルは高いでしょう。
◆脱炭素政策との整合性:ガソリン税は自動車利用抑制策としても機能しており、日本の燃料税負担はOECDで下位(リッター当たりの税額は加盟35か国中32位)という指摘もありますrieti.go.jp。各国が環境目的で燃料課税を強化する中、日本が逆行することへの批判もあります。ガソリン減税は燃費の悪い車ほど恩恵が大きく高排出者を優遇する矛盾があるとの指摘や、「脱炭素目標(2050年カーボンニュートラル)に逆行しかねない」との懸念も専門家から出ています。
◆食料品ゼロ税率の実効性:軽減税率のさらに先を行く措置ですが、本当に価格転嫁される保証はないとの指摘があります。欧州などでは標準税率引上げ時に時限ゼロ税率を組み合わせた例もありますが、一旦ゼロにした税率を復帰させる政治コストは非常に高く、2年後に元に戻せるのか疑問視する声もあります。さらに、対象品目の線引き(外食や酒類をどう扱うか等)で混乱が生じる恐れもあります。
◆給付付き税額控除の運用:新制度の導入には所得把握の正確さが不可欠です。日本では年末調整で課税関係を清算する仕組み上、低所得者への給付を迅速に行うにはマイナンバーによる所得情報の連携や、新たな申告手続きが必要になるでしょう。また、不正受給やミスを防ぐチェック体制、給付のための財源確保(歳出改革との一体推進が前提)など解決すべき実務課題があります。それでも生活保護や給付金より効率的との評価もあり、今後制度設計段階で詳細な議論が必要です。
◆歳出改革の本気度:政府効率化局の設置など意欲的ですが、既得権益にメスを入れる際の政治的抵抗は必至です。租税特別措置には業界団体の強い要望で作られたものも多く、一斉に廃止すれば産業競争力への影響もあり得ます。利害調整をいかに透明・客観的に行うか、第三者の視点を入れられるかもポイントです。
チェックリスト(行動指針)
- ◎給油費の見直し:ドライバーや物流企業は、2026年前後にガソリン価格が税負担軽減で下がる可能性があります。燃料費コストの推移を注視し、運送契約や物流戦略を柔軟に見直しましょう。補助金縮小のタイミングによっては一時的な価格変動もあり得るため、政府発表や業界通知を確認して計画的に燃料調達を行うことが重要です。
- ◎食料品購入計画:もし今後食料品の消費税が一時的にゼロ%になれば、その期間内にまとめ買いやストックを検討することで家計負担を減らせます。ただし期間終了後に税率が戻る前提で無理な消費を増やさないよう、恒久措置でない点を念頭に置いた計画を立てましょう。対象範囲(外食や飲料等)にも注意し、自治体からの案内など最新情報をチェックしてください。
- ◎税制改正情報の確認:2025~2026年にかけて所得税控除や税額控除の制度変更が予定されています。サラリーマン世帯は年末調整での控除額変更や、新たな給付制度の申請手続きについて、勤務先や税務当局からの通知をよく読みましょう。住民税非課税世帯の方も給付付き税額控除により支援が受けられる可能性があるので、自治体広報や確定申告の案内を確認し、漏れなく手続きすることが大切です。
- ◎企業の財務戦略:燃料多消費型の企業は、ガソリン税減税によるコスト減を価格設定や投資計画に反映しましょう。一方で、将来的に環境税制の強化など負担増のシナリオも考慮し、燃費改善や脱炭素投資への備えも必要です。また自社が享受している租税特別措置(例:研究開発減税など)が見直される可能性があるため、政策動向を常にチェックし、税制優遇に頼らない収益構造を目指すことがリスクヘッジとなります。
社会保障政策
狙いと背景(持続可能な制度へ抜本改革)
日本の社会保障制度は少子高齢化による現役世代負担の急増という難題に直面しています。高齢者1人を現役世代何人で支えるかを示す「扶養比率」は低下の一途で、医療・年金・介護給付は増える一方、これを賄う保険料や税負担が現役世代に重くのしかかっています。実際、社会保障関係費は国家予算の3分の1超(2025年度見込で約36兆円)に達し、保険料率も上昇傾向です。このままでは将来世代の負担が過大となり世代間不公平が拡大するとの危機感から、政府与党は2025年度に法改正を伴う社会保障改革に着手しました。
2025年(令和7年)通常国会では、自民・公明・国民民主3党の合意により医療制度改革関連法(医療法等)や骨太の方針に関する三党合意が成立し、高齢者医療の窓口負担見直しや介護保険制度改正への道筋が示されています。維新も社会保障改革については「世代間・世代内の公平な負担」「給付と負担のバランス見直し」を主張してきており、自民党との連立にあたりこの分野での合意形成が鍵となりました。合意書前文では「社会保障関係費の急激な増加に対する危機感と、現役世代への過度な負担上昇への問題意識を共有」し、現状打破の抜本改革を目指すと明記されています。
具体的には、高齢者にも応分の負担を求める応能負担の徹底や、支出抑制のための制度見直しが柱です。例えば富裕層の医療費窓口負担(現在75歳以上でも一定所得以上は2割負担)をさらに引き上げることや、金融所得も勘案した介護保険料負担など、所得・資産に応じた負担増が検討対象です。またOTC医薬品(市販薬)で代替可能な処方薬は保険給付から除外する等の薬剤自己負担見直しも論点となっています。
もう一つの大きな方向性は制度の効率化と統合です。日本の医療保険は職域ごとに保険者(組合健保・協会けんぽ・国保等)が細分化されており、運営効率や財政力に差があります。保険者の再編統合や、都道府県単位で医療・介護提供体制をマネジメントする仕組みづくりが課題です。介護では市町村ごとの事業運営を都道府県に集約し基盤強化を図る案も盛り込まれました。また医療提供側の改革として、中医協(中央社会保険医療協議会)の在り方見直しや診療報酬体系の抜本改革など、業界構造に踏み込む提案もあります。
さらに、日本社会の高齢像も見直しが求められています。「高齢者」の定義を見直し、年齢に関わらず働き続けられる社会を実現するという一文も合意書に明記されました。これは例えば「高齢者=65歳以上」という画一的区分を改め、70代でも現役の人には応分の役割を担ってもらう考え方です。公的年金の支給開始年齢やシニア向け優遇措置の適用年齢を引き上げる議論にもつながります。
以上のように広範な改革項目がありますが、合意書では2025年度中(令和七年度中)に、以下を含む具体的骨子について合意する、として13項目にわたる改革テーマが列挙されています。これらは与党両党の定期協議体で検討し、順次制度化していく計画です。まさに社会保障制度全般の再設計に踏み込む内容であり、現役世代の保険料率上昇を止め引き下げを目指すことが最終目標に掲げられています。
何が変わるか(改革の方向性と主な措置)
合意書に列挙された社会保障改革項目(13項目)のポイントは次のとおりです。
- ① 応能負担の徹底・薬剤自己負担見直し:高所得高齢者の医療費自己負担引上げや、OTC類似薬(市販薬で代用可能な薬)の保険給付見直し等により、負担能力に応じた公平な負担を実現します。金融所得も勘案した保険料負担見直しなど、資産リッチな層への配慮撤廃も含まれます。
- ② 保険者統合と都道府県の役割強化:国民健康保険・健保組合などを再編し、医療保険者の数を減らし経営基盤を強化。都道府県が地域医療・介護提供体制の責任主体となり、地域ごとのベッド数適正化や介護施設整備、人材確保など計画的に進めます。
- ③ 中央社会保険医療協議会(中医協)の改革:医療政策に患者やデータの声を反映し、官民の癒着を排するため、診療報酬決定プロセスを担う中医協の在り方を抜本的に見直します。具体策は未定ですが、役割分担や委員構成を変える可能性があります。
- ④ 医療費窓口負担の公平化:年齢で区切らず、所得に応じた窓口負担割合へ転換します。現在75歳以上は原則1割(所得により2~3割)ですが、それを現役並み所得でなくとも一定以上の年金収入があれば負担増とするなど、更なる細分化・引上げが想定されます。
- ⑤ 高齢者の定義見直し:「65歳以上=高齢者」という画一基準を見直し、健康で働ける人には継続就業を促します。公的制度上の高齢者優遇措置(定年・年金支給開始・高齢者医療対象年齢など)の基準年齢を引き上げる議論に繋がります。
- ⑥ 地方の医療・介護確保策:人口減少で経営厳しい地方の病院・介護施設が持続できるよう、運営費補助や機能転換支援など制度設計を検討します。ドクターヘリ導入拡大など地域格差縮小策も含まれるでしょう。
- ⑦ 公的保険と民間保険の役割分担:国民皆保険の中核を守りつつ、民間保険の活用策を議論します。公的保障の範囲縮小や、民間保険による上乗せ給付の普及促進などが考えられます。
- ⑧ 大学病院の機能強化:教育・研究・高度医療を担う大学病院の人材処遇改善のため、適切な給与体系の構築などを検討します。優秀な医師をアカデミアに引き留める狙いです。
- ⑨ 高度医療提供病院の経営安定:高度医療を担う病院の経営を安定化させ、従事者待遇も改善するため、診療報酬体系の大胆な見直しを行います。高度医療に手厚い報酬設定や、公定価格で評価しきれない領域への補填を検討。
- ⑩ 第三号被保険者制度等の見直し:扶養配偶者向けの年金第三号被保険者制度について、女性の社会進出(共働き化)や非婚化の進展を踏まえ検討します。必要に応じて制度廃止や厚生年金への統合も議題となる可能性があります。
- ⑪ 医療の費用対効果指標の確立:治療法や薬剤の費用対効果分析指標を確立し、エビデンスに基づくメリハリ付けを行います。ハイコスト薬剤の保険収載可否判断などに活用見込みです。
- ⑫ 医療機関の営利事業の在り方:病院が収益源を増やせるよう、医療機関による営利目的の事業展開規制を緩和する方針です。例えば病院の空きスペースでのテナント事業や、子会社による介護・健康ビジネスなどが想定されます。
- ⑬ 医療機関の消費税負担の見直し:現在非課税売上のために仕入れ時の消費税控除ができず医療機関が負担している消費税について、何らかの救済措置を検討します。医療法人への消費税還付制度創設などがあり得ます。
さらに、最近の物価高でエネルギー費や物価が上昇し赤字経営に陥っている病院・介護施設への経営支援策も盛り込まれました。電気代高騰分の補助など緊急支援策が講じられる見込みです。
応能負担とは何か?
「応能負担」とは、各人の支払い能力(=能力)に応じた負担を求める考え方です。社会保障では高所得者にはより多く負担してもらい、低所得者は軽くすることで、公平性を図ります。日本の高齢者医療は長年「応益負担」(年齢で一律に定める負担)でしたが、今後は資産や所得状況を細かく反映し、本当に負担可能な層には自己負担増を求める方針です。例えば75歳以上でも裕福な人は3割負担、逆に低所得高齢者は1割据え置きなどの措置が考えられます。
スケジュール(工程と優先度)
- 2025年10月~(両党協議体の始動):自民・維新合同の社会保障改革協議体を設置し、月例で政策詰めの会合を開催。三党合意で未決着の課題や新提案も含め議論開始。医療・年金・介護ごとに分科会を置く可能性。
- 2025年末:与党間で改革項目の基本方針に合意。2026年度予算編成に向け、高齢者負担増や給付抑制策の具体案を盛り込む。特に医療費窓口負担や後期高齢者医療保険料の見直しなど、予算に影響する項目を調整。
- 2026年通常国会:必要に応じ関連法案提出・成立。例えば介護保険法改正(保険者統合や財政調整強化)、国民健康保険法改正(都道府県単位化の拡充)、高齢者雇用安定法等の改正(定年延長奨励)など。皇室典範改正など他の優先法案との兼ね合いで、段階的に提出。
- 2026年度:診療報酬・介護報酬改定の年であり、ここで中医協改革の成果を反映(高度医療への重点配分など)する可能性。大学病院・高度病院への加算新設などを実施。高齢者負担増(例えば75歳以上の窓口2割負担対象拡大)はこのタイミングで実施しうる。
- 2027年以降:年金制度改革や高齢者定義見直しに伴う関連法改正(年金支給開始年齢引上げ等)は社会的影響が大きいため、引き続き丁寧に議論。段階的に制度変更を行い、現役世代の保険料率上昇を抑制・将来的に引き下げへ。
- 随時:急を要する課題(物価高騰による施設経営支援等)は省令・予算で対応。人口動態等により柔軟に工程を見直し。
家計・企業・自治体への影響(短期/中期)
家計(高齢者世帯):医療・介護の自己負担や保険料が所得に応じて上昇する可能性があります。裕福な高齢者夫婦では、これまで1割負担だった医療費が2割・3割に引き上げられる、あるいは年間の介護保険料が数万円単位で増額されるケースも考えられます。ただし低年金・低所得の高齢者については現行の軽減措置(1割負担維持や保険料減免)が継続する見込みです。また年金受給開始年齢のさらなる引上げが議論されれば、将来世代(現在の現役世代)はより長く働く前提でライフプランを立てる必要が出てきます。逆に健康で働き続ける意思のある高齢者にとっては、定年延長や再雇用促進により就労機会が拡大するメリットもあります。
家計(現役世代):長期的には若年~現役世代の保険料率上昇が抑制され、可処分所得の目減りに歯止めがかかる効果が期待されます。特に協会けんぽ加入者の健康保険料率(全国平均現状10%超)や国民年金保険料(現在月額1万6千円強)の将来的な安定は、若い世代の将来不安を和らげるでしょう。また医療・介護提供体制の改革により、将来自分たちが高齢期に受けられる医療や介護サービスの質・持続性が確保される効果もあります。ただし移行期においては、公的扶助の範囲縮小に伴い、民間保険や自己防衛の必要性が増す可能性があります。例えば、先進医療や介護の自己負担増に備えて民間の医療保険・介護保険に加入する動きが増えるかもしれません。
企業(医療・介護産業):中医協改革や診療報酬体系の見直しにより、病院経営の収支構造が変化します。高度医療を提供できる大病院には報酬加算が手厚くなる一方、慢性期病床や診療効率の低い医療機関には厳しい報酬設定となり得ます。医薬品業界でも費用対効果の悪い高額薬は保険適用外となる可能性があり、市場戦略の見直しが迫られます。介護事業者は都道府県主導で再編が進む中、淘汰や統合が起こり得ます。逆に言えば、経営効率の高い法人には事業拡大のチャンスとなるでしょう。また健康保険組合が統合されれば、大企業にも保険料率上昇リスクの低減などメリットがありますが、企業単独の保健事業の裁量が減る可能性もあります。総じて医療・介護産業に構造転換を促す内容であり、各企業は制度変更に機敏に対応する必要があります。
自治体(都道府県・市町村):都道府県は地域医療・介護の責任主体としての役割が増し、人員や予算の体制強化が求められます。国保財政や介護保険計画の広域化で、市町村から業務が移管されれば、都道府県の負担は増大しますが、国の交付金や財政調整で支援される見込みです。また人口減少地対策では都道府県が不採算医療への補助等を決定する立場となり、住民サービス維持の責務が重くなります。一方、市町村は介護保険運営の主体から離れることで財政面のリスクが軽減される反面、地域包括ケアなど住民密着サービスは引き続き担う必要があります。今後、都道府県と市町村の役割分担を明確化し、住民に対する説明や合意形成を丁寧に進めることが課題です。
論点・リスク(賛否・持続性・制度間の調整)
◆高齢者負担増への反発:応能負担強化により、これまで優遇されてきた高齢者層からの反発が予想されます。特に団塊の世代を中心に「制度の約束が後出しで変えられた」との不満が出る可能性があります。政治的にも高齢者は投票率が高く影響力が大きいため、負担増政策は与党にとってリスクです。ただ現役世代の重負担との均衡を図る観点からは避けられない改革であり、どこで線を引くか(例えば年収いくら以上の高齢者を対象にするか)慎重な調整が必要です。
◆医療サービスの質とアクセス:診療報酬や医療提供体制の再編は、地域によっては病院や診療科の縮小・統廃合につながる可能性があります。効率優先で進めると、僻地医療・慢性期ケアなど不採算分野から撤退が相次ぎ、サービス空白地が生じるリスクがあります。そのため、どの地域でも最低限の医療が受けられるよう、公益性の高い分野には公的支援を残すなどの調整策が重要です。
◆民間保険への依存:公的保障縮小を民間保険で補完する動きは、所得格差による医療格差を招く恐れがあります。経済的に余裕のある人だけが充実した保険に加入でき、そうでない人は必要な治療を諦める、という事態は避けなければなりません。「公的保険 vs 民間保険」の役割分担を決める際には、全ての国民に最低限の安心を提供する公的保険の使命を忘れないことが肝要です。
◆年金改革の先送り:今回の合意書では年金制度改革に直接言及はありませんでしたが、高齢者定義見直しや第3号被保険者制度見直しは年金制度に大きく関わります。年金支給開始年齢のさらなる引上げや、専業主婦優遇の第3号制度廃止などは、政治的ハードルが高く先送りされてきました。これらに手を付けないままでは、医療・介護だけ改革しても限界があるとの指摘もあります。今後本格議論に踏み出せるかが問われます。
◆制度横断的な一体改革:医療・介護・年金と縦割りに議論するだけでなく、「全世代型社会保障」として総合的なビジョンを示す必要があります。例えば高齢者の就労促進策は年金と雇用政策とも連動しますし、少子化対策強化は将来の社会保障支え手を増やす観点から重要です。今回、社会保障改革と人口対策は別項目になっていますが、本来一体で考えるべき課題です。政策間の整合性が取れないとチグハグな結果になりかねず、政府には省庁横断の司令塔機能が求められます。
チェックリスト(行動指針)
- ◎高齢世代:家計収支の再点検:高齢者本人・ご家族は、医療費負担や介護費用が増える可能性を念頭に、将来の生活設計を見直しましょう。年金収入だけでなく貯蓄や資産から一定の支払いが必要になるケースも想定されます。健康な高齢者は継続雇用やシニア求人の情報を収集し、働けるうちは収入源を確保することも賢明です。また高額療養費制度など公的な減免措置も引き続き利用できるので、制度変更後の新たな条件を確認しましょう。
- ◎現役世代:加入制度と給付の把握:自分が加入する健康保険・年金制度の今後の改革情報に注意を払いましょう。会社員なら企業の健康保険組合統合の動きや、扶養家族の制度変更(例:配偶者の第3号被保険者資格見直し)などに注目。自営業・フリーランスの方も、国民健康保険料の都道府県統一化や年金改革の議論動向を自治体広報等でチェックし、必要に応じて民間保険で備えるなど自衛策を検討してください。
- ◎医療・介護に関わる方:情報共有:医療従事者や介護職の方は、診療報酬や介護報酬の改定情報、新制度(地域医療構想や介護基盤の都道府県移管など)の動きを所属組織内で共有しましょう。組織統合や経営方針転換が起きる場合もあるため、労働条件の変更や職場配置に柔軟に対応できるよう準備が必要です。資格取得や専門性向上に努めることで、再編期を乗り切る武器となります。自治体の福祉担当者も、国のモデル事業や補助制度を活用し地域包括ケアの維持に努めましょう。
皇室・憲法改正・家族制度等
狙いと背景(皇位継承問題と戦後体制の見直し)
皇位継承の安定策:現在、皇族数の減少に伴い将来の天皇候補(皇位継承者)の確保が大きな課題です。皇室典範では男系男子(天皇の父方の血筋が途切れない男性)しか皇位に就けず、秋篠宮家の悠仁親王以降に男子がいない状況です。女性皇族は結婚で皇籍離脱するため、皇族数も減少傾向にあります。政府は有識者会議で女性・女系天皇や旧宮家復帰など議論しましたが結論は出ず、将来的に皇統が途絶える懸念が残っています。こうした中、維新は従来より「旧宮家の男系男子を皇籍に復帰させる」案を主張しており、自民党保守派も男系堅持を重視してきました。
今回の合意では、「古来例外なく男系継承が維持されてきた重み」を踏まえ、現行の継承順位(悠仁親王→)は変えない前提で、安定的継承策として「皇族には認められていない養子縁組を可能にし、皇統に属する男系男子を皇族にする」案を最優先で検討するとしています。これはすなわち、現在皇族ではない旧宮家系統などの男系男子を皇族の養子として迎え入れることで将来の皇位継承資格を与える策です。皇族に養子は禁止とされてきましたが、歴史的には皇籍離脱した旧宮家の男系男子が民間に存在するため、その子孫を養子に取ることで血統の整合性を保ちつつ皇族数を増やせるとの考えです。合意書は2026年通常国会で皇室典範改正を目指すと明記しており、早ければ1~2年以内に法改正に踏み切る構えです。
憲法改正へのロードマップ:自民・維新ともに改憲に積極的な政党であり、合意書でも重点項目となりました。特に憲法9条の改正について、維新は独自に「21世紀版国防軍創設」を提言しており、自民党も加憲(自衛隊明記)案を検討してきました。そこで両党の条文起草協議会を2025年臨時国会中(年末)に設置し、9条改正案の共同策定に着手します。
もう一つ焦点の緊急事態条項(国家非常時に内閣権限強化や国会機能維持を定める条項)についても、改憲実現に向け2025年中に両党で条文案作成を開始し、2026年度中に国会提出を目指す計画が示されました。具体的には、大規模災害等で国会議員の任期延長や緊急政令発出を可能にする規定などが検討対象です。
憲法改正発議には衆参各院で3分の2以上の賛成が必要で、公明党抜きで届くか微妙な情勢ですが、維新・自民はまず与党内で改憲原案をまとめ、他党にも呼びかけていく戦略です。合意書には、国会の憲法審査会に条文起草委員会を常設することや、国民投票運動のルール整備(テレビCM規制やインターネット規制等)を進めることも盛り込まれ、改憲に向けた実務的準備も急ぐ姿勢が伺えます。
家族制度・象徴保護:憲法以外にも、昭和の体制や法律を令和の社会実情に合わせる改革案が出ています。一つは戸籍制度の下で旧姓(旧氏)の通称使用に法的効力を与える制度です。現行法では結婚後の姓を戸籍上も使うのが原則ですが、ビジネス等で旧姓を使うケースが増えています。そこで戸籍上の姓は変えずとも旧姓を公式に使える仕組み(いわゆる選択的夫婦別姓に近いが別アプローチ)を導入しようというものです。2026年通常国会に関連法案を提出し成立を目指すとされています。
もう一つは「国章損壊罪」の新設です。現在、日本国旗(日の丸)や皇室の紋章を毀損しても直接処罰する規定はなく、他国の国旗を毀損した場合のみ「外国国章損壊罪」(刑法92条)が存在します。この不均衡を正すため、日本の国旗・国章を故意に汚損・破壊した者も処罰する新たな罪を作ろうというものです。2026年通常国会での制定が目指されています。象徴への敬意を法的に担保する試みですが、表現の自由との関係で議論を呼ぶ可能性があります。
皇族養子縁組案とは
現行の皇室典範では、皇族間または皇族と旧皇族の間で養子縁組をすることは禁止されています。しかし皇族数減少に対応するため、天皇または皇族が民間の男系男子を養子に迎え、その養子に皇位継承資格を与える案が提起されました。具体的には、戦後皇籍離脱した11旧宮家の子孫など、現皇室と血統を同じくする男性を対象と想定しています。この案なら皇統の男系維持が可能で、女性天皇・女系天皇案に抵抗のある勢力にも受け入れやすいとされます。ただし有力な候補者の年齢や意思、国民の理解など課題は多く、200年以上行われていない皇族養子を復活させる大改革となります。2026年に皇室典範改正を目指すことで議論を前倒ししますが、慎重論も根強く成案を得られるか注目されます。
何が変わるか(新規制度・改正のポイント)
① 皇室典範改正(養子縁組の容認) – 皇族の養子縁組禁止規定を緩和し、一定の場合に限り皇族が養子を迎えられるようにします。具体的には、有識者会議報告などを踏まえ、対象となる旧皇族系男子の範囲や、誰が誰を養子にできるかを定める形が考えられます。仮に法律改正が実現すれば、悠仁親王の後継として(まだ幼い)旧宮家系男子を数名皇族に復帰させ、将来の天皇候補に育てるシナリオも現実味を帯びます。なお現在の皇位継承順位そのものは変更しないと明記されているため、直ちに女性皇族や愛子内親王が継承順位に加わるわけではありません。
② 憲法9条改正(自衛隊明記等) – 自衛隊の存在や役割を憲法に明記する改正案を検討します。自民党の2018年案では9条1項・2項を維持したまま「自衛隊を保持する」と書き加える加憲案でしたが、維新はより踏み込んだ「国防軍創設」を提言しています。両党協議で妥協点を探ることになりますが、例えば「国防のため実力組織を有する」程度の文言に留める可能性もあります。いずれにせよ憲法に自衛隊/国防軍の根拠規定を置くことで、長年の憲法解釈問題に終止符を打つことが狙いです。
③ 緊急事態条項の新設 – 大地震・パンデミック・武力攻撃など国の危機に際し、一時的に内閣に権限集中させる緊急事態条項を憲法に加える改正を目指します。想定される内容は、(a)国会議員の任期延長や議決定数の特例(非常時に選挙を延期し国会機能を維持)、(b)内閣が法律と同等の政令を制定できる権限(ただし事後国会承認を条件)などです。自民党の改憲原案では「緊急事態宣言」の要件・効果を細かく規定していますが、維新は行政府の独走を防ぐ歯止め策も重視しており、これも両党案の調整ポイントです。2026年度中に条文案を国会提出する工程で合意されました。
④ 憲法審査会の機能強化 – 国会の憲法審査会に「条文起草委員会」を常設し、与野党にかかわらず改憲原案を議論・作成できる体制を整えます。現在の審査会は憲法論議をする場ですが、具体案は議員グループで作成され持ち込まれるケースが多く、条文化の専門サポートが不足しています。そこで常設委員会で超党派の条文作成者チームを置き、各党の改憲論点を整理・条文化することで、停滞する審査会審議を活性化させる狙いがあります。
⑤ 国民投票環境の整備 – 憲法改正の国民投票に向け、関連法制を強化します。具体的には、(a)国民投票広報協議会の組織法制定(現在は国民投票法付則での規定のみ)、(b)テレビCM規制(投票直前の過度な広告を禁止)やインターネット上の有料広告規制など、公正な投票環境を確保するルール整備です。近年の国民投票法改正ではCM規制が残課題となっており、合意書でも法整備の必要性が強調されました。改憲発議後の国民投票キャンペーンが資金力やデマ情報に左右されないよう、各国事例を参考に法改正を行う見込みです。
⑥ 旧姓の通称使用の法制化 – 戸籍上の姓とは別に旧姓を公的に使用できる制度を設けます。例えば銀行口座や免許証、職場の名簿などで旧姓併記・使用が法律上認められるようになる可能性があります。具体的には民法や戸籍法を改正するか、新法を制定することになるでしょう。夫婦別姓には踏み込まず、現行の「同一戸籍・同一氏」原則は維持しながらも、社会生活上の不便を解消する実務的解決策となり得ます。2026年通常国会に関連法案提出・成立を目指すとされています。
⑦ 国章損壊罪の新設 – 刑法を改正し、日本の国旗や国章を故意に毀損した者を処罰する規定を設けます。現行では外国の国旗・国章を損壊すると2年以下懲役等に処されますが、日本の国旗については処罰規定がありません。新罪はこれを対称化するもので、例えば集会などで日の丸を焼却する行為等が処罰対象になる可能性があります。表現の自由との兼ね合いで慎重論もありますが、合意書では2026年に制定し矛盾を是正するとしています。
スケジュール(法改正と起草作業の流れ)
- 2025年10~12月:皇室典範改正案の具体化に向け、有識者や旧宮家関係者へのヒアリング開始。並行して憲法9条改正協議会・緊急事態条項協議会を両党で設置(臨時国会中)。年末に向け自民・維新が改憲案の方向性をすり合わせ。旧姓通称や国章罪について法務省内で素案作成開始。
- 2026年1~6月:皇室典範改正案提出・審議(通常国会)。国会では保守系議員中心に議論活発化、公明・立民など他党の賛否が焦点。憲法審査会に常設の条文起草委員会を設置し(両院規程の整備等必要)、9条改正案・緊急事態条項案を協議・条文化。与党協議会案がまとまれば憲法審査会に提案。他方、国民投票関連法整備(CM規制法など)をこの国会で成立させる可能性。旧姓通称法案を国会提出、国章損壊罪を含む刑法改正案提出。
- 2026年秋まで:維新の党是でもある憲法改正原案を与党として確定。他の改憲勢力(国民民主党や有志の立民議員など)との水面下調整。皇室典範改正の施行(養子縁組規定施行)タイミングと連動し、養子候補者選定作業など。
- 2026年末~2027年:憲法改正原案の国会発議を模索。参院選(2027年夏予定)前の発議・国民投票実施も選択肢として検討。政治情勢により時期調整。副次的に、与党内で緊急事態対応のための国会法改正なども議論。
- 2027年以降:改憲発議が実現すれば60~180日以内に国民投票。否決の場合リトライは容易でないが、可決なら直ちに改正憲法施行。皇族養子縁組は対象者の同意を経て実際に進められる。国章損壊罪は施行され取り締まり対象行為が発生。旧姓通称制度は役所窓口での手続きが整備され、企業等でも旧姓使用が拡大。
家計・企業・自治体への影響(短期/中期)
国民生活への直接影響:皇室典範改正や憲法改正は国家体制に関わるため、一般の生活にすぐ具体的変化が及ぶものではありません。ただ国民投票が実施されれば有権者一人ひとりが投票で意思表示する機会が生じます。特に憲法改正は日本国憲法施行以来初の国民投票となる可能性が高く、有権者への影響は大きいです。テレビCM規制など法整備が行われても、SNS等で大量の情報が飛び交うことが予想され、有権者は正確な情報を見極め冷静に判断することが求められます。
経済界への影響:憲法改正や皇位継承に伴う政治的安定性や国際的信用度の変化が間接的に経済に影響する可能性があります。例えば9条改正で防衛費増額が持続すれば軍需産業にはプラスですが、平和国家イメージが変わることで一部海外投資家が慎重になる懸念もあります。一方、緊急事態条項が整えば大災害時にも政府の統治機能が維持され経済活動へのダメージを軽減できるメリットもあります。旧姓通称使用が広がれば、女性のキャリア形成や転職等がしやすくなり、企業のダイバーシティ推進に資するでしょう。逆に国章損壊罪などで表現活動に規制が強まるとの見方が広がれば、クリエイティブ産業や国際交流に悪影響が出る懸念も指摘されています。
地方自治体への影響:国民投票を含む一連の政治プロセスでは、自治体が投票事務を担います。18歳以上の有権者全員が対象となる国民投票は通常の国政選挙並みの規模で、地方自治体の選挙管理委員会にとって大きな業務負担です。憲法改正のテーマによっては地域住民の意見が割れる可能性もあり、自治体首長や議会が態度表明を迫られる場面もあるでしょう。なお副首都構想や緊急事態対応で、地方への権限委譲や首都機能分散が議論されれば、自治体の役割が変化する可能性もあります(副首都構想は統治機構改革の項で詳述)。
論点・リスク(賛否・ハードル・留意点)
◆皇室典範改正の合意形成:皇族養子案は保守派には支持がある一方、野党や世論の間では「そこまでするなら女性・女系天皇容認の方が現実的では」との意見もあります。女性天皇容認は世論調査で賛成多数との結果も出ており、養子案が国民理解を得られるか不透明です。また養子に迎えられる旧宮家系男子側の人生に大きな影響を与えるため、本人の意思確認や生活基盤整備など繊細な課題があります。結局手続きが進まず時間切れ…となれば問題を先送りするだけになるリスクもあります。
◆憲法改正の政治的ハードル:衆参それぞれ賛成議員が全体の3分の2を超えなければ発議できず、現状は与党(自民・維新・国民・諸派)を合わせても参院でやや足りません。仮に2025年末までに与党案をまとめても、公明党や立憲民主党の協力なくして発議は難しく、野党第1党を蚊帳の外にした改憲には正統性の議論も起こりえます。また緊急事態条項は「内閣独裁を招きかねない」と野党やメディアが強く反対してきた経緯があり、国民投票で過半数の賛成を得るには幅広い納得感が必要です。今後十分な国会審議と国民への説明が尽くされるかが鍵となります。
◆国民投票キャンペーン:改憲が発議されれば日本初の憲法国民投票が行われますが、想定される賛成派・反対派の大規模キャンペーンが冷静な判断を妨げないか懸念されます。テレビCMやSNS広告を巡っては「資金力のある側が有利」「虚偽情報の拡散」など海外の事例から課題が知られており、日本でもルール作りが急務です。合意書はその対策を明記しましたが、例えばインターネット上の規制実効性や、海外からの世論工作への対応など未知の課題もあります。国民投票という直接民主制を健全に機能させる知恵が求められます。
◆表現の自由とのバランス:国章損壊罪や緊急事態条項など、基本的人権との兼ね合いが問題となる項目があります。国旗損壊を犯罪とすることに対し「思想表現の自由を侵害する」との指摘もあり、国際人権規約上グレーとの見方もあります。他方、諸外国(ドイツなど)でも自国国旗を保護する法律はあり、公共の秩序と自由の調和をどう図るか議論が必要です。緊急事態条項でも、例えば一時的に人身の自由を制限できる規定を設けるか否かで意見が割れます。非常時にどこまで権利制限を許容するか、国民的コンセンサスを得るには丁寧な議論が必要でしょう。
チェックリスト(行動指針)
- ◎有権者:改憲論議をウォッチ:今後1~2年で憲法改正案が国会から示される可能性が高まっています。私たち有権者は、憲法9条や緊急事態条項の論点について日頃から情報収集し、自分なりの意見を整理しておきましょう。国民投票が実施された際には、賛成・反対双方の主張を比較検討し、誤情報に惑わされないよう注意が必要です。投票日は18歳以上の全員が参加できますので、家族で話し合ってみるのも一案です。
- ◎ビジネスパーソン:旧姓使用制度の活用:結婚によって苗字が変わった方で、旧姓の方が職場や取引先で通りが良い場合は、今後旧姓を公式書類にも使用できる制度が整う見込みです。企業の人事担当者は、従業員の旧姓利用希望に対応できるよう社内規定を整備しましょう。本人も、市役所などから発表される旧姓使用の手続きについてアンテナを張り、必要な届出を行うことでキャリア上の不便を解消できる可能性があります。
- ◎表現活動に関わる方:法改正の影響確認:ジャーナリストやアーティスト、市民活動家の方は、国章損壊罪の新設や緊急事態条項の内容に目を配りましょう。正当な表現行為と違法行為の線引きが変わる可能性があるため、自らの活動が新法に触れないか注意が必要です。仮に不明確な点があれば法律の専門家に相談したり、パブリックコメント等で意見を述べることも検討してください。また緊急時にSNS発信等が規制されるケースも考え、緊急事態法制の議論に関心を持つことが望まれます。
外交・安全保障政策
狙いと背景(戦略環境の変化と抑止力強化)
ロシアのウクライナ侵攻や中国の軍備拡張、北朝鮮の核ミサイル開発など、日本を取り巻く安全保障環境は戦後最も厳しく複雑になっています。こうした状況を踏まえ、日本政府は2022年末に国家安全保障戦略など「安全保障三文書」を改定し、防衛費の対GDP2%への増額や「反撃能力」保有など大転換を図りました。しかしその実施前に情勢はさらに変化しつつあり、安保戦略を先手でアップデートする必要性が出ています。合意書は、戦略3文書を前倒し改定すると明記し、おそらく2025~26年頃に新たな戦略策定を行う意向です。これは台湾海峡有事リスクや新領域(宇宙・サイバー)脅威への対応、ウクライナ戦争の教訓反映などを念頭に置いたものと思われます。
軍事面では、日本の抑止力・対処力を飛躍的に高めることが急務です。特にミサイル脅威に対し、専守防衛に縛られず「相手領域内からでも反撃できる長射程ミサイル」を保有する方針(反撃能力)が打ち出されました。合意書も「スタンド・オフ防衛能力の整備加速」としてこれを推進するとしています。スタンド・オフとは、敵の射程外から攻撃できることを意味し、長距離ミサイル部隊の配備や発射拠点の整備が含まれます。政府は2023年度から自衛隊に米トマホーク巡航ミサイルや国産長射程ミサイルを導入予定で、南西諸島や北海道などに分散配備する計画です。
さらに、将来の海洋抑止力としてユニークなのがVLS搭載潜水艦構想です。VLS(垂直発射システム)とは艦船からミサイルを垂直に発射する装置で、潜水艦にこれを備え長射程ミサイルを発射可能にするという次世代装備を検討します。原子力推進など新動力で長期間潜航できるようにし、敵に探知されにくい「水中発射ミサイル基地」として機能させる狙いです。従来、日本は攻撃型原潜や戦略ミサイル潜水艦を持ちませんでしたが、これが実現すれば海中からの多方面抑止が可能となり、中国・北朝鮮への強力な牽制となります。
自衛隊の指揮命令系統改革も大きな課題です。現在、陸海空自衛隊は統合幕僚監部の下で調整されていますが、各方面隊は別個に存在し必ずしも一元運用されていません。合意書は「自衛隊の区域統合と中間結節点の簡素化」を着実に実施し、統合作戦司令部の一元的指揮統制を強化するとしています。これは自衛隊の新たな統合司令部を創設し、例えば米軍のインド太平洋軍のように1人の司令官が陸海空すべてを指揮できる体制を目指すものです。現在の自衛隊は北部方面隊など5つの方面隊+艦隊+航空方面隊に分かれますが、これを地域統合するか、あるいは陸海空の機能統合型司令部へ改組するか議論が進むでしょう。指揮系統のフラット化によって有事対応力を高める狙いです。
防衛産業の強化も喫緊の課題です。日本の防衛企業は国内需要のみでは採算が厳しく、民間転換や撤退が相次いでいます。輸出規制が厳しいため海外需要も開拓できず、産業基盤が脆弱化しています。そこで合意書では、防衛装備移転三原則の運用指針にある「5類型」制限を撤廃し、より自由な防衛装備輸出を可能にする方針を掲げました。現行では武器輸出は(1)共同開発・生産、(2)米国向けライセンス生産、(3)国連PKO等協力、(4)救難・輸送等、人命救助目的、(5)周辺国能力構築支援、の5類型に限られています。これを撤廃することでケースバイケースで幅広い装備輸出が許可できるようになります。また国営工廠や国有施設の民間運営(GOCO)導入にも触れており、イギリスなどが採用する軍需工場の官民協働モデルを検討するようです。
最後に人的基盤の強化として、自衛隊員の採用難や士気低下への対策が挙げられます。少子化や待遇面の理由で自衛官志願者が減少し、部隊定数割れが課題です。合意書は「自衛官の矜持向上」「恩給制度創設の検討」を謳い、自衛官OB含め報われる人事制度づくりに踏み出します。恩給制度とは旧軍人にあった退職年金で、現在の自衛官にはありません。これを復活させるか、あるいは新しい形で早期退職自衛官に年金上乗せ給付するような制度を検討するとしています。また自衛隊の階級・制服・職種を国際標準化することも打ち出しており、階級呼称を英米式に変更(将官を「ジェネラル」とする等)したり、迷彩服を統一するなど、国際共同作戦での互換性向上を図るようです。
スタンド・オフ防衛力とは
スタンド・オフ防衛力とは、敵の射程圏外から効果を発揮できる遠距離攻撃・防御能力の総称です。具体的には、射程数百~数千kmの長距離ミサイルや、それを運用する部隊・プラットフォーム(航空機、艦船、潜水艦等)を指します。相手機の基地や艦船を日本側から直接攻撃できる能力とも言え、従来は専守防衛の観点から保持を避けてきました。しかし近年の脅威に対応するため「反撃能力」と称して保有方針が転換され、例えば射程1000km超のトマホーク巡航ミサイルや島嶼部に配備する12式地対艦ミサイルの射程延伸型などが導入予定です。スタンド・オフ防衛力は敵に攻撃を思い留まらせる抑止力となる半面、先制攻撃につながるとの議論もあり、あくまで反撃目的であることを明確にしつつ配備が進められます。
何が変わるか(政策の具体像と新体制)
① 安全保障戦略等の前倒し改定 – 国家安全保障戦略・防衛大綱・中期防の「戦略3文書」を2025年にも再改定します。ここでは最新の脅威評価を反映し、防衛力整備計画や外交方針をアップデートします。例えば台湾有事を念頭に南西諸島防衛の強化策を盛り込んだり、ウクライナ侵攻を踏まえ経済安保やサイバー防衛を充実させるなどが考えられます。また防衛費増額の財源問題(増税時期など)にも言及する可能性があります。維新は経済成長なくして防衛増強なしとの立場で、財源議論にも関わるでしょう。
② 平和外交の新たな手段(和平調停部門創設) – 外交面では、防衛一辺倒でなく紛争の平和解決に寄与する外交にも乗り出します。具体的に外務省に「和平調停」に関わる専門部署を2025年度中に新設するとしています。これは国際紛争の仲介・停戦交渉を支援する能力を養う部署で、例えば中東やアフリカの内戦などで日本が仲介役となれるよう人材育成・情報収集を行うものです。近年、トルコやカタールがウクライナ戦争やテロ組織との仲介で存在感を示していますが、日本も「対話による平和構築」で国際貢献できる余地を探る動きです。新部署は外交政策局等の下に置き、元大使級をトップに据える案が考えられます。
③ 反撃能力の整備加速 – 長射程ミサイル戦力の実戦配備を急ぎます。具体的には、米国から購入するトマホーク約400発を2026~27年に海上自衛隊護衛艦に搭載。また航空自衛隊のF-15戦闘機改修で長射程の対地ミサイル(JASSM等)運用開始。陸上自衛隊には射程1000km級の国産極超音速ミサイルを2030年前後に配備する計画です。これらを想定配備場所(離島・北海道等)へのインフラ整備や、ミサイル部隊の新編を加速します。敵のミサイル発射機や艦船を攻撃できる体制が順次整うことになります。
④ VLS搭載潜水艦の政策推進 – 新型潜水艦の開発計画をスタートさせます。通常動力型か原子力型かは未定ですが、合意書にある「次世代の動力」とは小型原子炉や燃料電池などを示唆している可能性があります。まずは研究段階として、防衛装備庁等で潜水艦へのVLS設置の技術的検討、必要な大型艦体設計などに着手するでしょう。最短でも完成は2030年代後半と見られますが、この政策推進を公式化した点で画期的です。
⑤ 自衛隊指揮系統改革(統合作戦司令部強化) – 現在の統合幕僚監部の下に統合作戦司令部を新設し、統幕長とは別に統合司令官ポストを置く案が俎上にあります。合意書は、自衛隊の5方面隊(北部~西部方面隊)の区域統合を着実に実施とあり、まず陸自方面隊の再編(例:東西2個方面隊など)や、海空自衛隊の地方隊・航空方面隊の整理簡素化を行うと見られます。2024年末~2025年に防衛省が統合司令部設置案を決定し、関連法改正(自衛隊法)を2026年までに行うシナリオが考えられます。これにより、有事に一元的指揮が可能となり、日米共同作戦との連携もスムーズになります。
⑥ 防衛装備移転三原則の「5類型」撤廃 – 2026年通常国会に関連法整備を行い、現在の「移転5類型」に当てはまらない案件でも安全保障上必要なら武器輸出を認めるようにします。例えば、友好国に対する戦闘機やミサイルの輸出もケースバイケースで可能になり、防衛企業は海外市場を開拓できます。ただしいかなる装備でも無制限に輸出OKというわけではない点に注意です。三原則(紛争当事国等への不移転など)の基本は維持されるため、国益や人権状況などを勘案しつつ総合的に判断する仕組みとなるでしょう。輸出審査体制の強化も必要になります。
⑦ 防衛産業の官民新モデル(GOCO) – 国営工廠(兵器工場)を民間が運営するGOCO方式の導入検討です。例えば陸自の弾薬工場を国が所有しつつ、三菱重工など民間企業に運営させるイメージです。こうすれば民間のノウハウで効率化しつつ、国有資産として継続投資もしやすくなります。実現には法整備や予算措置が必要ですが、防衛装備庁主導でモデル事業を検討するでしょう。
⑧ 自衛官の待遇・意識改革 – 自衛官の処遇改善策として、給与・手当の増額や住居・福利厚生の充実を図ります。特に若年隊員の離職率低減に向け、昇進機会拡大や再就職支援の強化などが考えられます。また恩給制度については、例えば一定年数勤務した自衛官OBに上乗せ年金を給付する制度を創設する案などが議論されます。これにより自衛隊志願のインセンティブを高め、ベテランOBの生活安定も図れます。制服・階級の国際標準化では、現在の陸将・空将などの呼称を英語の「General」に変更したり、迷彩服デザインを統一して米軍等との協働を円滑にするなどの措置があり得ます。これらは防衛省内の訓令等で対応可能です。
スケジュール(短期と中期のマイルストーン)
- 2025年:国家安全保障戦略等の改定作業に着手(有識者会議、新戦略素案策定)。外務省内に和平調停室(仮称)設置。防衛省で統合司令部創設案を詰め、自衛隊法改正案準備。防衛装備移転三原則の運用見直し案を国家安全保障会議で協議。
- 2026年(通常国会):自衛隊法改正案提出(統合司令部創設)・成立。防衛装備移転三原則運用指針変更を閣議決定し、関連政省令改正。防衛予算に防衛産業支援策盛り込み(国内発注拡大や補助金)。恩給制度検討結果を踏まえ、自衛隊員給与法等改正案提出(必要なら)。憲法改正議論の進展次第では安全保障関連の憲法条項案も審議。
- 2026年末:新国家安全保障戦略・防衛大綱・中期防を閣議決定。これにより2030年代半ばまでの防衛力整備計画が更新される。
- 2027年:統合作戦司令部発足準備、自衛隊内部組織改編実施。長射程ミサイル部隊の一部初期運用開始。海外への防衛装備輸出第1号案件が実現する可能性(例えば日英共同開発の戦闘機エンジン技術輸出など)。
- 2028年以降:VLS潜水艦の具体的設計フェーズ入り。自衛官恩給制度が創設された場合、この頃から適用開始。防衛予算はGDP比2%水準に到達へ。人的基盤強化の成果検証(募集充足率の改善など)。
家計・企業・自治体への影響(短期/中期)
国民生活への直接的影響:防衛政策の転換は一見、市民生活と距離があるように思われます。しかし、例えばスタンド・オフミサイル配備ではその訓練のため民間空域の制限が増える可能性がありますし、自衛隊員募集が活発化すれば若者の進路選択肢としての自衛隊入隊が身近になるかもしれません。防衛費増に伴う財源捻出で増税が議論されれば、家計負担にも関わってきます。また有事に備えた国民保護訓練(ミサイル避難訓練等)が頻繁に実施されるようになるでしょう。安全保障政策は最終的に国民の安心につながるものですが、地域社会での協力や理解も必要です。
防衛産業・関連企業:武器輸出緩和は、防衛企業にとって新市場参入のチャンスです。これまで国内需要だけで細々と生産していた装備を海外へ売り込めれば、生産ラインの稼働率向上や収益改善が見込めます。ただし海外顧客との競争に晒され、価格競争力や技術優位性が試されるため、企業側の努力も不可欠です。政府効率化で補助金見直しといった政策が他分野に及ぶ点には留意しつつ、防衛関連企業はこの機に積極投資や海外提携を進めるでしょう。またGOCO方式が導入されれば、造船・重工業界などが官営工場の運営受託に参加する可能性があり、新たなビジネスモデルが生まれるかもしれません。
地方自治体・地域経済:南西諸島など自衛隊配備が強化される地域では、駐屯地拡張や新設で建設需要が発生し、地域経済への波及が期待されます。一方、基地負担増に対する住民理解を得る努力も必要で、自治体は騒音対策や補助交付金の活用などに動くでしょう。また副首都構想(後述)と絡め、防災・危機管理機能の地方分散が進めば、自治体にも新たな役割(例えば広域避難訓練の実施など)が生じます。さらに国民保護計画の見直し等で自治体職員の業務が増えるかもしれません。防衛装備の輸出拡大で、地方の製造業(重工、車両メーカー等)が海外案件を受注することもあり得ます。自治体としては地元企業の技術が国の安全保障に貢献し国外にも羽ばたくよう、産業支援策を講じるチャンスとも言えます。
論点・リスク(賛否・懸念点・対策案)
◆抑止力向上vs軍拡競争:長射程ミサイル配備や潜水艦戦力強化は、相手国に軍事的脅威と映る可能性があります。特に中国や北朝鮮は日本の軍備増強を口実に自らの軍拡を正当化する懸念があり、地域の緊張が高まるリスクもあります。これに対し政府は「専守防衛の範囲」「日米同盟下の抑止力強化」と説明するでしょうが、相互不信のジレンマは容易に解消できません。バランスとして、合意書にある和平調停外交などソフトな安全保障手段も駆使することで、軍事一辺倒でない姿勢を示すことが重要です。
◆統合司令部創設の課題:自衛隊内部では陸・海・空の伝統や文化が異なり、一元的指揮への抵抗や人事調整の難しさが指摘されます。米軍でも統合運用には長年かけて試行錯誤がありました。統合司令部を作っても機能しなければ絵に描いた餅であり、統合訓練の積み重ねや、優れた統合指揮官の育成が成否を握ります。また有事の際は米軍との共同作戦になるため、日米指揮系統の円滑な連携も合わせて構築しなければ意味がありません。これらを短期間で実現できるか、現場の実務に委ねられます。
◆防衛装備輸出の国際評価:武器輸出を解禁すれば、「死の商人になるのか」との国内外批判が出る可能性があります。特に紛争当事国や人権問題のある国に輸出した場合、日本が紛争を助長したと非難されるリスクがあります。欧米でも武器輸出管理は厳格で、例えば米CFIUS(外国投資委員会)のように安全保障観点で輸出先を審査します。日本も輸出先の政治状況を精査し、場合によっては輸出契約を取り消す覚悟が必要です。また輸出で得た利益を国内防衛産業基盤の維持強化に還元する仕組みを作らないと、単に企業の利益に終わり国益に繋がらない恐れもあります。
◆防衛費財源と経済への影響:防衛費増は国債発行や増税で賄うしかなく、結局国民負担に跳ね返ります。特に法人税増税や防衛目的の特別国債発行案などが検討されていますが、増税は企業競争力や消費にマイナス、国債増発は将来世代へ負担先送りです。維新は「防衛国債」発行や政府資産売却を提案していますが、一時凌ぎとの批判もあります。経済を成長させ税収増でカバーするのが理想ですが時間がかかり、当面は財源論争が続くでしょう。
◆自衛官確保の難しさ:恩給制度の創設など待遇改善策は画期的ですが、少子化という現実の前では効果にも限界があります。Z世代以降はそもそも軍事に興味が薄いという指摘もあり、お金だけでなく職業としての魅力発信(キャリアパス、多様な技能習得、国際貢献のやりがい等)も不可欠です。防衛省は女性やサイバー人材の採用拡大を図っていますが、旧来の体育会系風土を変えなければ優秀な若者は集まりません。内部改革を並行して進める必要があるでしょう。
チェックリスト(行動指針)
- ◎市民:地域の防災訓練に参加:安全保障政策強化の一環で、各地で国民保護訓練や避難訓練が増える可能性があります。住民としてこれらに積極的に参加し、有事の際の避難経路や備蓄品を確認しましょう。自治体の防災無線やJアラート情報の受信方法も再チェックしておくと安心です。
- ◎学生・求職者:自衛隊キャリアも選択肢:待遇改善や名誉向上策が実現すれば、自衛官は魅力ある職業となっていくかもしれません。国防や国際貢献に関心がある若者は、自衛隊募集説明会などに足を運び、最新の採用情報や勤務環境を知ってみましょう。サイバー・宇宙分野での専門職枠も拡大が見込まれ、理工系人材にも新たな活躍の場が広がっています。
- ◎企業:安全保障関連ビジネスの機会:防衛産業に直接関わらない企業も、輸出管理や技術提供で安全保障分野に貢献できる機会があります。例えば高性能素材メーカーが装備品向けに素材供給したり、IT企業がサイバー防衛ソフトを自衛隊向けに開発するといったことも現実的です。政府公募の防衛技術研究支援制度などをチェックし、自社技術の応用可能性を探ってみましょう。また海外投資に際しては日本版CFIUS(後述)の審査対象になる可能性を踏まえ、予め事業計画を相談するなどリスク管理を行ってください。
インテリジェンス(情報機能強化)政策
狙いと背景(諜報体制の脆弱性と法整備の遅れ)
日本の情報機能の弱さ:先進国の中で、日本はインテリジェンス(諜報)機能が脆弱だと長らく指摘されてきました。米英にはCIAやMI6のような対外情報機関があり、敵対勢力の動向やテロ情報収集、人材スパイ育成を体系的に行っていますが、日本にはそれに相当する組織がありません。内閣情報調査室(内調)が事実上の諜報機関ですが、規模も権限も限定的です。またスパイ防止法がなく、外国勢力のスパイ活動摘発や秘密保全に法的空白があると言われます。こうした中、中国による日本の防衛機密窃取事件(防衛装備庁技官が収賄で情報漏洩)などが発覚し、危機感が高まっています。
自民・維新はこの状況を重く見ており、合意書に「日本のインテリジェンス機能が脆弱で、国家機能強化が急務」と問題認識を共有し、総合的なインテリジェンス改革を協議して実行するとしています。具体的な改革柱は3つあります:(1)情報機関・組織の新設、(2)人材育成の仕組み整備、(3)法制度の整備(スパイ防止関連法)です。
新たな情報機関創設:まず内閣情報調査室と内閣情報官を格上げし、「国家情報局」および「国家情報局長」を2026年通常国会で創設します。これは日本版CIAに相当する統括情報機関です。現在、内調は内閣官房の一部署ですが、国家安全保障局(NSC事務局)と対等の局に昇格させ、局長も国安局長(現NSA=国家安全保障局長)と同格にします。これにより、人員や予算の大幅拡充が可能となり、他省庁からの出向頼みではない専門職採用も見込まれます。
さらに、現在内閣情報会議(首相・官房長官・各省庁情報担当者で構成、情報方針を決定する場)を発展的に解消し、法律で「国家情報会議」を設置するとしています。国家情報会議はおそらく国家安全保障会議(NSC)に並ぶ最高意思決定機関として、諜報活動の基本方針や重要事項を決める場となるでしょう。これも2026年に法制化するとしています。
極めつけは「独立した対外情報庁(仮称)」の創設です。これは海外で諜報活動を行う専門機関を2027年度末までに設立する計画を意味します。例えば海外の日本大使館員にカバーストーリーで情報収集させる形(各国のCIA工作官のような役割)を担わせたり、在外邦人ネットワークを活用して非公開情報を収集分析する組織が考えられます。英国のMI6(対外情報局)の日本版とも言え、戦前の特務機関以来の本格諜報機関復活となります。
人材育成:情報人材(スパイ含む)の育成も課題です。そこで省庁横断の情報要員養成機関を2027年度末までに創設するとしています。これは「インテリジェンス・コミュニティ横断の情報オフィサー養成学校」のようなもので、各省の情報担当官や自衛隊員、警察・公安の職員などを集め、諜報技術・語学・分析手法等を教育する施設と推測されます。米国CIAのファーム(訓練所)や英国の情報学校に倣ったものになるでしょう。これにより、日本のインテリジェンス文化を中長期的に醸成し、人材の裾野を広げる狙いです。
法律整備:最後にスパイ防止・外国代理人規制法制の確立です。合意書では「インテリジェンス・スパイ防止関連法制(基本法、外国代理人登録法及びロビー活動公開法等)」の検討を2025年中に開始し、速やかに法案策定・成立させるとしています。ポイントは3つ:(a)情報活動に関する基本法(おそらく情報機関の位置づけや国民の協力義務などを定める基本法)、(b)外国代理人登録法(外国政府や組織の利益のために政治活動・世論工作を行う者に登録義務を課す法律)、(c)ロビイング活動の公開法(政治家・官僚への働きかけを透明化する法律)。これらは欧米では一般的ですが日本には未整備です。
例えば米国FARA(外国代理人登録法)は、他国のために宣伝や工作する個人・団体に事前登録と報告を義務付け、違反すれば刑事罰を科します。日本でも中国による対日世論工作や、特定国の資金提供を受けた政治活動への懸念があり、外国勢力の影響排除に向け同様の制度が求められていました。ロビイング公開法は米国で議員へのロビー活動を記録・公開させるものです。日本でも政策決定過程の透明化を高め、密室の不当圧力を防ぐ効果が期待されます。これら法制はインテリジェンスと密接に関連し、外国スパイの摘発や工作活動抑止に寄与するでしょう。2025年内にも政府が検討を始め、遅くとも数年以内に成立させる意気込みです。
日本版CFIUSの狙い
合意書に盛り込まれた「対日外国投資委員会(日本版CFIUS)」とは、外国資本による日本企業買収や土地取得を安全保障の観点から審査・規制する仕組みです。米国CFIUS(Committee on Foreign Investment in the US)は政府省庁横断の委員会で、軍事技術流出や基地近くの土地取得などを防ぐ役割を担います。日本版CFIUS設立により、現在は外為法ベースで各省庁が行っている投資審査を格上げし、中国などリスクのある資本の進出を厳しくチェックするのが狙いです。財務省や防衛省、経産省などが参加する合同委員会となる見通しで、2026年通常国会までの創設が目指されています。これにより、疑わしいM&Aは事前申告制としたり、完了後でも3年以内なら取り消し命令を出せるなど、国家安全保障優先の投資規制が可能となります。
何が変わるか(新組織・新法の具体像)
① 国家情報局(日本版CIA)創設 – 2026年までに内閣情報調査室を「国家情報局」に改編し、そのトップを内閣情報官から「国家情報局長」に格上げします。これにより人員・予算・情報収集権限が大幅に増強される見込みです。例えば現在数百人規模の内調を数千人体制にし、在外公館への情報要員増派や、AI等を活用したビッグデータ分析部門設置などが可能になるでしょう。また局長が閣議に出席するなど政府内での発言力も高まります。情報コミュニティの司令塔として、警察庁、公安調査庁、防衛省情報本部など関係機関を統括・調整する役割を担うと見られます。
② 国家情報会議の設置 – 2026年の法律制定により、「国家情報会議」が内閣に設置されます。これは首相を議長とし、関係閣僚および国家情報局長らで構成される会議体と想定されます。現行の内閣情報会議(行政組織ではなく、閣議決定で設置されている非公式会議)は廃止され、法律に基づく組織となることで権限と継続性が担保されます。国家情報会議は、国の情報活動の基本方針(例えば対○国の情報収集重点や、大規模テロの際の情報対応など)を決定し、平時・緊急時問わず国家情報局を指揮監督する役割になるでしょう。
③ 対外情報庁(海外ヒューミント機関)の創設 – 2027年度末までに、政府外(内閣から独立?)あるいは内閣直属の形で「対外情報庁」(仮称)を設置します。これは外国での人的諜報(HUMINT)活動を専門とする機関で、英MI6やイスラエルのモサドに相当します。例えば、テロ組織に潜入したり、外国政府高官から秘密情報を引き出す工作を行う可能性があります。これまでは公安調査庁や防衛省情報本部が水面下で限定的にやっていた部分を、オープンに機関として設ける形です。人員はおそらく国家情報局から分離独立させるか、外務省や防衛省からの出向者で構成されるでしょう。独立性を持たせることで政治的圧力を排し機動的活動を可能にする狙いがあります。
④ 情報要員養成機関の新設 – 2027年度末までに、官民横断・省庁横断のインテリジェンス養成学校が作られます。仮称「情報大学校」や「情報アカデミー」などと呼ばれるかもしれません。ここでは、内調・公安・自衛隊・警察など各機関から若手・中堅を集め、数ヶ月から1年程度の集中訓練を行うイメージです。カリキュラムは、諜報技術(潜入・盗聴・工作)、暗号解析、外国語、国際法、情報分析手法、銃器爆発物取扱など多岐にわたるでしょう。海外の諜報機関OBや米国CIAから講師を招いたり、現役外交官による講義なども想定されます。これにより「日本版MOSSAD訓練学校」のような拠点ができ、人材ネットワーク形成にも寄与します。
⑤ スパイ防止関連法制の制定 – 2025年中に検討開始し、恐らく2026~27年頃にかけて以下の法を制定します。
- インテリジェンス基本法(仮称):国家情報活動の基本理念や組織の任務、国民の協力義務、秘密保護規定、情報取扱のルール等を定める包括法。例えば「国家情報局は安全保障のため情報収集・分析し首相に報告する」等を明文化。情報取扱者の守秘義務や、違反時の罰則も規定。
- 外国代理人登録法:外国政府や組織の利益のために政治的活動を行う個人・団体に政府への事前届出・登録を義務付け、定期的に活動内容・資金源を報告させる法律。例えば外国大使館から資金提供を受けてロビー活動する人や、外国メディアの代理で広報する会社などが対象。未登録活動は処罰し、登録情報は公開されます。
- ロビー活動透明化法:国内外問わず、議員・官僚等に対する有償の陳情・ロビー活動を一定額以上は報告・公開させる法律。これにより密室の利益誘導を減らし、健全な政策決定を促します。
- (場合によって)スパイ活動処罰法:現在ない防諜法を制定する可能性もあります。自衛隊や企業の機密を不正に取得・漏洩した者(外国のスパイ含む)を厳罰に処す法律です。現状は刑法の外患誘致罪等や自衛隊法の守秘義務違反で対応していますが、より包括的なスパイ罪創設を求める声もあります。
これら法制整備により、外国勢力の日本国内での工作活動が発覚しやすくなり、罰則付きで抑止できます。また日本の情報機関側も活動しやすい基盤が整います。
スケジュール(制度構築と施行段階)
- 2025年:有志議員立法や内閣法制局にて、外国代理人登録法などの素案作成着手。内閣情報調査室の改組に向け、国家情報局法案(仮称)の検討開始。自民・維新の情報政策担当議員が協議。
- 2026年:通常国会に国家情報局設置法案提出・成立。同時期に国家情報会議設置法成立。国家情報局の人員増強を人事院等と協議し、外務省や警察庁からの出向者選抜。予算措置で情報局創設経費計上。
- 2026年末:国家情報局正式発足。内閣情報官が初代国家情報局長に就任見込み。局内組織(収集部・分析部など)を整備。秘密保護規定の強化(特定秘密保護法改正も検討)。
- 2027年:通常国会に外国代理人登録法案・ロビー活動公開法案など提出・成立。省庁横断情報人材育成校の設立準備、教官招聘や教材整備。対外情報庁設置計画策定、予算・人選・海外駐在員配置の調整。
- 2027年末:情報要員養成機関開校。第1期生研修開始。情報局傘下または内閣府付属として対外情報庁発足。海外に独自ネットワーク構築に着手。
- 2028年以降:外国代理人登録制度施行、該当者の登録公表スタート。ロビイング報告制度運用。スパイ摘発事例など出始めれば周知強化。国家情報局は米CIA等との協力深化により、大規模国際案件で成果創出を目指す。
家計・企業・自治体への影響(短期/中期)
一般市民への直接影響:外国代理人登録法が施行されると、例えば海外NGOから資金援助を受けて活動する日本の市民団体も対象となり得ます。該当すれば所定の登録・報告義務が発生し、違反すれば罰則があります。一般の方でも、そうした団体の活動資金源が公開されることで情報の透明性向上というメリットがあります。またスパイ防止法制が整えば、防衛関連企業や大学研究者など機密を扱う人は一層注意が必要になります。無防備に海外からの共同研究提案や人材受入れを行うと違法な技術流出に問われる可能性もあり、コンプライアンス意識が高まるでしょう。一方、安心して暮らせる環境づくりという観点では、諜報機関の強化でテロの事前察知や拉致問題対応が改善すれば、国民の安全に寄与します。
企業への影響:外国代理人登録法はシンクタンクやコンサル企業などにも適用が及ぶ可能性があります。外国政府系ファンドの委託を受けて日本でPR活動をする企業は登録義務が発生するでしょう。企業は自身が外国の影響を受けていないか、取引相手が登録対象になっていないか注意を払う必要があります。また、日本版CFIUSの創設で、外国資本による自社株買収に新たな審査手続きが発生し、M&Aが遅延・中止となるケースもあり得ます。一方、日本企業が他国に投資する際も相互主義で規制強化される懸念があり、クロスボーダーM&A戦略に影響を与えるでしょう。ただ、長期的には日本市場の透明性が増し、健全な投資環境が維持されるメリットもあります。企業の情報管理面では、産業スパイ対策が強化されるため、重要技術の漏洩防止措置(社内セキュリティ教育やシステム監査)がこれまで以上に求められます。
自治体・教育機関への影響:情報人材育成機関設立や情報庁創設で政府の人材需要が増すため、地方公務員や大学研究者からのスカウト・転職も増えるかもしれません。自治体は拉致・テロ等に対処する国民保護計画を国と連携して見直す可能性があり、防災訓練の範囲を拡大することも考えられます。外国人留学生や研究者が多い大学等は、外国代理人登録の絡みで資金源開示を求められる場面があるかもしれません。また自治体が外国政府系団体と交流する際、内容によっては登録対象となることもありえ、地方外交にもある程度配慮が必要になるでしょう。
論点・リスク(賛否・懸念と対策)
◆諜報機関の民主的統制:日本版CIA・情報局を作るにあたっては、暴走や権力乱用の防止が非常に重要です。過去には警察予備隊や公安調査庁が内外の監視に使われた負の歴史もあり、国民の人権を侵害しないよう議会や第三者によるチェックが不可欠です。米国では議会情報特別委員会がCIAを監督しています。日本でも国会に情報監視の特別委員会を設け、秘密予算や活動内容をチェックさせるなどの措置が必要でしょう。
◆情報文化の醸成:諜報活動は成果が見えにくく、「陰謀論」などに発展しがちな面があります。日本社会で情報機関が信用を得るには、違法行為や不祥事を起こさず、危機時に明確な成果を示すことが大事です。しかし諜報成果は公開できないことも多く、結果として無駄遣いとの批判が出るリスクもあります。国民にインテリジェンスの重要性を理解してもらう広報や教育も必要でしょう。
◆外国代理人登録の線引き:どこからが「外国の利益のための活動」か、判断が難しいケースが多々あります。例えば海外資金で活動する人権NGOは、その国の価値観普及が目的かもしれません。逆に企業ロビーが実は外国企業の利益代弁だったなど、グレーゾーンもあります。運用で恣意性が入れば、政府に批判的な団体を弾圧する口実に使われかねません。透明で公平な審査と運用が求められます。
◆経済活動とのバランス:CFIUS型の規制強化は、海外からの投資減少を招く懸念があります。オーストラリア国立大学の報告では、経済安保追求で政府介入が増えれば日本の開放性や競争力に新たなリスクをもたらす可能性も指摘されています。安全保障と経済振興のバランスを取ることが重要で、審査を厳しくしすぎて国際ビジネスの萎縮を招かないよう細心の注意が必要です。企業からの意見聴取などを十分行い、審査プロセスを迅速かつ透明にする工夫が求められます。
◆プライバシーと報道の自由:スパイ防止強化は時に市民のプライバシー侵害に繋がりやすいです。通信傍受や監視カメラ増設など強権的手法が横行すれば、自由な社会が損なわれます。報道関係者も、調査報道が秘密漏洩とみなされ処罰される恐れが出ると委縮しかねません。これを防ぐため、公益通報者保護や報道のための正当業務行為規定などセーフガードを設け、必要最小限の監視に留める枠組みが不可欠です。
チェックリスト(行動指針)
- ◎一般の方:情報に流されない習慣:インテリジェンス強化は裏を返せば情報戦の時代に入ったということです。私たち個人も、ネット上のフェイクニュースや外国発プロパガンダに踊らされないよう、複数ソースで事実確認する習慣をつけましょう。外国代理人登録制度が始まれば、発信者の背後関係を知る手がかりになります。常に「この情報は誰が何の目的で流しているのか?」と意識し、賢いメディアリテラシーを身につけてください。
- ◎企業経営者・総務:外国出資と安全保障審査:外国資本が入っている企業、あるいは海外M&Aを検討している企業は、日本版CFIUSの審査対象となる可能性を認識しましょう。取引先や出資先に中国・ロシア等の政府系企業が絡んでいないかチェックし、必要なら事前に当局へ相談するなどリスクヘッジを。特に防衛関連技術を持つ企業は外為法審査が一段と厳しくなるので、軽率な株式譲渡は控え、守秘体制を強化してください。
- ◎研究者・NPO関係者:活動の透明性確保:海外との共同研究や外国からの助成金を得て活動する方々は、外国代理人登録制度の行方に注意しましょう。自分の活動が該当するか微妙な場合も、積極的に情報公開して疑念を持たれないよう努めることが肝要です。必要に応じて所轄官庁に相談したり、透明性向上の自主ルールを作るのも良いでしょう。健全な国際協力は萎縮させず、不当な干渉だけ排除する制度になるよう、声を上げつつ適応していくことが求められます。
エネルギー政策
狙いと背景(エネルギー安定供給と脱炭素の両立)
日本のエネルギー政策は、電力需要増・価格高騰への対応と脱炭素(カーボンニュートラル)目標の両立という難題を抱えています。ウクライナ危機以降、燃料価格高騰で電気料金が急上昇し、政府は一時的な補助金でしのいできました。将来的な需要増(電化やデジタル化で電力需要は増加傾向)に備え、安価で安定した電源確保が急務です。一方で2050年カーボンニュートラル目標のためにはCO₂排出の少ない電源へ転換が必要で、原子力発電の活用と再生可能エネルギーの拡大が不可欠です。
原発再稼働・次世代炉:福島第一原発事故以来、国内の原発は運転停止や新増設禁止が続いていました。しかし近年の電力逼迫やエネルギー安全保障上、政府は原発の安全を確認できたものから再稼働させる方針に舵を切りました。維新も「原発フェードアウト」政策から容認に転じており、安全性確保を大前提に原発再稼働を進めることで合意しています。2023年時点で電力需給ひっ迫警報が出る冬夏があり、原発稼働ゼロは非現実的となりました。また運転期間延長(60年超運転)や次世代型原子炉の開発・建設も推進する方向です。次世代革新炉とは、安全性・経済性が従来より高い小型モジュール炉(SMR)や高温ガス炉、高速炉等を指し、政府は2030年代に実証炉建設を目指しています。
核融合研究:さらに究極のクリーンエネルギーである核融合に関しても、近年技術が進展しつつあり、日本は産学官で実証炉建設を目標に掲げました。合意書は核融合炉の開発加速化を明記。政府は2023年に核融合戦略を改定し、2030年代の発電実証実現へ社会実装タスクフォースを立ち上げています。維新はイノベーション重視であり、この分野の技術革新に期待をかけています。
再エネと地熱:再生可能エネルギーでは、日本は太陽光発電を主軸にFIT(固定価格買取制度)で拡大してきましたが、太陽光の急増に副作用も出ています。乱開発による森林伐採・土砂災害リスクや、地方での景観破壊が問題となり、一部で設置規制の声が高まっています。合意書は「わが国が古来育んできた美しい国土の保全」のため、メガソーラーを法的に規制すると踏み込みました。これにより適切な土地利用と維持管理を確保する観点から、一定規模以上の太陽光発電設備には環境アセスや許認可制を課す法律が作られる見込みです。
一方、地熱発電や洋上風力など日本に潜在力のある再エネはより推進するとしています。地熱は世界第3位の埋蔵量ながら温泉業界の反対で伸び悩みましたが、両党とも開発促進に前向きです。日本固有の強みを持つ火山国の地熱資源を活かし、環境省・経産省の規制緩和や予算措置が期待されます。
海洋資源開発:エネルギー安全保障として、国産の化石燃料・海底資源も無視できません。近海のメタンハイドレートやレアメタル、海底油ガス田などの開発を加速させる方針が示されました。現在も経産省主体で試掘が進むメタンハイドレートからのガス生産を本格化させる可能性があります。ただ採算性が課題で、国が積極支援するかが鍵です。
以上、エネルギー政策では安定供給(経済)・環境・安全の3E+Sのバランスを取る舵取りが問われます。連立合意は原子力と再エネの双方にコミットし、化石燃料依存を減らしつつ国民負担を抑える方向を示しました。ただし、原発政策などは国論を二分し得るテーマであり、政治決断と国民合意形成が試されます。
何が変わるか(主な政策の新規性)
① 原発再稼働の推進 – 停止中の原子炉を順次再稼働させます。具体的には、安全審査合格済みの原発(2025年時点で17基)を地元同意の下で運転再開し、電力供給力を増強します。特に関西電力の高浜・大飯、九州電力の玄海・川内など再稼働済み以外に、東京電力柏崎刈羽(停止中)や東北電力女川2号等の再稼働が見込まれます。運転延長も実施され、稼働年数が60年を超える炉も出てくるでしょう。政府は2030年に原発比率20~22%目標なので、今後数年で10基以上の再稼働が必要です。維新は再稼働に協力する立場で、自民とともに地元調整を後押しすると考えられます。
② 次世代革新炉の開発加速 – 高度な安全性と経済性を備えた新型炉(小型モジュール炉SMR、高速炉、高温ガス炉など)の開発を急ぎます。政府は2024年度に具体的な炉の設計を決定し、2030年代前半に実証炉建設開始を計画中です。例えば高温ガス炉は茨城で実験炉HTTRが稼働中で、水素製造も視野に入ります。また日立GE等がSMR「BWRX-300」を提案しており、北海道や福島で実証の話もあります。合意書の趣旨は「原子力新設」を解禁し将来の基幹電源に育てる点で、政策転換です。必要なら電気事業法等を改正し、新増設を可能にするでしょう。核融合炉も同様に、国策として民間融合ベンチャーなど支援拡大し、世界に先駆けた2030年代の発電実証を目指します。
③ 再エネ有望分野の推進(地熱等) – 日本の強みである地熱発電では、規制緩和と開発促進策を強化します。例えば国立・国定公園内の地熱掘削規制を緩める、温泉業界との共存ルール整備、地元自治体への収入配分スキームなどが検討されます。洋上風力も経産省主導でゾーニングが進んでおり、維新は洋上風車製造など産業振興にも関心あり推進するでしょう。太陽光以外の再エネ多角化で、再エネ比率向上とエネルギーミックスの安定を図ります。
④ メガソーラー規制法 – 大規模太陽光発電施設の新設に対し、法的な許認可制や指導を導入します。考えられる内容は、(a)環境影響評価の対象に出力一定以上の太陽光事業を加える、(b)森林法改正で太陽光目的の森林転用基準を厳格化する、(c)地方自治体にソーラー設置条例のガイドライン策定を義務付ける、等です。環境省の朝生大臣(当時)は釧路湿原近くのメガソーラー問題に対応し新たな枠組みを検討すると述べており、2025年までに政府横断の連絡会議で規制案をまとめる方針と報じられました。この合意を受け、国会での議員立法や政府提出法案に発展し、2026年通常国会で成立する見通しです。結果として、無秩序なソーラー開発は困難になり、計画段階から環境配慮や住民説明が求められるようになります。
⑤ 国産エネルギー資源開発 – メタンハイドレートや海底油田、海底鉱物の開発を官民で加速します。例えば、日本海側のメタンハイドレート埋蔵帯で試験掘削回数を増やし、ガス採取コストを低減する研究に予算を付けるでしょう。また沖縄近海などの石油ガス田開発は、領有権問題も絡みますが、技術研鑽を続けるとともにエネルギー安全保障会議等で政策的優先度を上げます。レアアース泥開発についても、南鳥島周辺の調査を拡充し、将来の商業化を視野に入れます。これらにより、長期的に海外依存度を下げていく構想です。
スケジュール(工程と目標時期)
- 2025年:既存原発の追加再稼働(関電高浜2号など年内再稼働見込み)。政府が次世代革新炉開発計画を決定(候補炉種選定)。メガソーラー規制法案の骨子を与党PTで策定、自治体や業界ヒアリング。核融合について国家戦略タスクフォース報告書まとめ。
- 2026年:通常国会でメガソーラー規制関連法成立。大規模ソーラー新規案件に環境アセス義務付け施行。次世代炉開発のための電源三法改正(必要なら原子炉等規制法見直し)を検討。原子力規制委員会が運転期間延長ルール改定を完了し、60年超運転認可事例発生。地熱開発推進へ温泉法/自然公園法の運用緩和措置導入(政省令改正)。
- 2026年末:次世代革新炉の設計決定。2030年代前半に新型炉建設計画策定。核融合実証に向けた官民ロードマップ公表。
- 2027年:原発再稼働数が累計で20基程度に。電力不足警報が緩和し、電気料金高騰は一服か。SMR実証プロジェクト開始(候補地でサイト準備、許認可着手)。メタンハイドレート生産試験第3弾実施。
- 2028年~30年:革新炉(SMR等)建設工事開始。核融合小規模実験炉が稼働なら成果評価。再エネ比率拡大に伴い蓄電池導入支援策強化。原発比率20%前後確保で脱炭素と安定供給のバランス改善を目指す。
家計・企業・自治体への影響(短期/中期)
電気料金・家計負担:原発再稼働が進むことで、燃料費調整額の低減や卸電力価格の安定化が期待され、電気料金の高騰に歯止めがかかる可能性があります。原発は一旦動けば燃料コストが安く、LNG火力より発電単価を下げられるためです。ただ、新増設や安全対策費用は電気料金に上乗せされる面もあり、短期的に劇的に下がるわけではないでしょう。停電リスクが下がり、夏冬の節電要請が緩和されれば、家庭生活の安心度は高まります。メガソーラー規制で太陽光設置ペースが落ちれば、再エネ賦課金の伸びが抑えられる可能性もあります。核融合や次世代技術はすぐに電気代には反映しませんが、将来に向けた投資と捉えられます。
企業(産業界):安定した電力供給と価格抑制は、製造業や電力多消費産業の競争力維持につながります。原料高で海外移転を検討していた企業が国内に踏みとどまるケースもあるでしょう。逆に太陽光発電業者や関連投資ファンドにとって、規制強化は事業計画見直しを迫られます。立地選定が厳しくなることで、小規模分散型や屋根置き太陽光へシフトする可能性があります。また、地熱や原子力などインフラ投資案件が増えれば、建設・プラント企業に商機が生まれます。SMRの開発・製造には電機・重工メーカーが参画し、関連の雇用創出や技術力向上効果も期待されます。エネルギー産業構造が変化する過程で、新旧企業の競争が生じるでしょう。
自治体(地域振興・環境):原発立地自治体にとって再稼働は財政面でプラスです。固定資産税収や交付金が増え、関連雇用も戻ってきます。一方、防災計画や避難訓練を継続し安全確保に努める責任は重いです。メガソーラー規制により、無秩序な開発に悩んでいた自治体は環境保全が進むメリットがあります。条例と国法の整合性を図りつつ、健全な再エネ導入を誘導できるでしょう。ただ再エネ導入量の伸びが鈍ると2050年目標に影響するため、自治体は屋根貸し太陽光や小水力など別の手段を模索する必要があります。地熱開発に積極的な自治体は、温泉観光との両立を図りながら国の支援でプロジェクトを進めるでしょう。エネルギー自給が高まれば地域経済の安定にもつながり、地方創生の一環ともなります。
論点・リスク(賛否・懸念点・対策案)
◆原発政策の世論分断:原発再稼働・新増設は国民の意見が割れる問題です。福島事故の記憶もあり、安全神話への不信が根強く残ります。合意書は安全最優先を謳いますが、いったん重大事故が起きれば取り返しがつかないリスクはゼロではありません。使用済み核燃料の最終処分場も決まらないままです。賛成派は電力安定供給を強調しますが、反対派からは「再エネと蓄電池で代替可能」「地方に犠牲を強いる」との声も出るでしょう。政府は地元住民への丁寧な説明と安全対策の不断の強化を続け、信頼醸成に努める必要があります。
◆脱炭素目標との整合:原発推進と再エネ規制強化は、一歩間違えば再エネ導入の腰折れを招き、2030年温室効果ガス削減目標(▲46%)達成が難しくなる恐れがあります。逆に原発が計画通り稼働しなければCO₂排出増になります。エネルギーミックス目標の現実性を再検討し、原子力20~22%、再エネ36~38%を本当に達成できるのか検証が必要です。達成困難なら火力発電に頼らざるを得ず、目標未達や排出権購入で国富流出の可能性もあります。カーボンニュートラルへの道筋を明確に示し、原子力と再エネのベストミックスを模索すべきです。
◆メガソーラー規制の副作用:太陽光規制を強化しすぎると、再エネ事業者の投資意欲が減退し、地域経済機会を逃す恐れもあります。過疎地でメガソーラー誘致に期待していた自治体から反発が出る可能性もあります。また既存設備のメンテナンス確保や廃棄パネル問題も残る課題です。規制導入にあたっては、「無秩序な開発のみを抑制し、適切な案件は促進する」バランスの取れた制度設計が求められます。
◆核融合の実用化不確実性:核融合は「夢のエネルギー」と言われますが、商用化はまだ数十年先とも言われます。多額の研究投資が成果に結びつかないリスクも大きいです。維新などは大胆に期待しますが、技術的ハードルや放射化物の処理など未解決問題もあります。政府は核融合を国家プロジェクトとして支援しつつも、過度な期待を煽らず長期計画で着実に進めることが重要でしょう。
◆国際資源価格と開発費用:メタンハイドレートなどの資源開発は、コストが国際価格を大きく上回れば商業化できません。過去、日本海ガス田も安価な輸入LNGに押され開発断念例があります。国費を投じても経済性が悪ければ結局動かない可能性もあります。だが資源ナショナリズムが進む昨今、一部割高でも自前で持つ意義はあります。国防的観点からの費用対効果評価が必要です。
チェックリスト(行動指針)
- ◎一般家庭:エネルギー情報を注視:電力料金の推移や政府の節電要請動向に注意を払いましょう。原発再稼働が進み供給余力が増せば、電気料金プランの見直し(例えば安価な夜間電力の活用)も検討できます。太陽光パネル設置を考えている方は、新たな規制の有無を自治体に確認し、補助金の締め切りなどにも注意してください。エネルギー政策は生活に直結するので、電力会社からの広報やニュースを見逃さず、賢く省エネ・節電に取り組むのも引き続き重要です。
- ◎企業:エネルギー戦略の柔軟化:製造業等エネルギー多消費企業は、原発稼働増に伴う電力調達コストの変化を注視し、契約メニューの見直しや中長期電力調達戦略を練り直しましょう。脱炭素に向け、自社で再エネ導入を進めている企業は、新規太陽光設置の際に規制に抵触しないよう事前に行政相談を。地熱や水素エネルギーなど新領域にチャンスがあれば積極参画を検討してください。エネルギー分野は政策で大きく動くため、政府の計画・支援策(補助金、公募事業)を常にチェックし、自社のエネルギー管理や投資計画に反映させることが重要です。
食料安全保障・国土政策
狙いと背景(食料自給と国土保全)
食料安全保障:日本の食料自給率(カロリーベース)は約38%(2022年度)と主要国でも低い水準で、海外の輸出規制や物流混乱に弱い構造です。コロナ禍やウクライナ戦争で穀物価格が急騰した際、食料安全保障の脆弱さが浮き彫りになりました。合意書は「食料の安定供給確保が国民の生存に不可欠」と認識を共有すると明記。戦後、日本は食料輸入で効率を追求してきましたが、今後は国内農業の生産力強化に本腰を入れる方針です。具体的には、すべての田畑を有効活用する環境整備と謳われており、耕作放棄地の解消や農地集約などを促進する施策が考えられます。農地バンクの活用や企業参入拡大で、遊休地をなくし国内生産量増を図ります。
さらに、厳しい気候に耐え得る施設型食料生産設備への大型投資を実現するとのこと。これは植物工場や陸上養殖のような施設園芸・水産養殖を指します。異常気象やパンデミックなどでも生産が維持できる、屋内人工光型の野菜工場や、海に出ずに陸上タンクで魚を養殖する技術などに、政府支援で大規模投資する計画です。AI・IoTを使ったスマート農業とも親和性が高く、若い担い手にも魅力ある産業に育てたい考えです。維新は「農業の成長産業化」に積極的で、これら新技術への投資には賛成でしょう。
国土保全と土地利用:もう一つの柱が、美しい国土の保全と不適切開発の抑制です。近年、森林乱開発や太陽光造成による土砂災害増などで、国土の劣化が危惧されています。また中国資本による山林・水源地の買収も安全保障上問題視されました。合意書では「森林伐採や不適切な開発による環境破壊及び災害リスクを抑制し、適切な土地利用・維持管理を行う観点から」メガソーラー規制策を実行するとしています。これは前述のメガソーラー規制と重なりますが、より包括的に国土政策の視点で述べられています。
具体策として、2026年通常国会でメガソーラー規制法成立を目指す他、既にある国土利用計画法や土地規制法(重要施設周辺の外国人土地取引を規制)等の運用強化も考えられます。維新は以前から大阪など都市部で無秩序な土地利用(違法民泊等含む)に対処する条例を推進してきた経緯もあり、国土の計画的利用には理解があります。
環境破壊防止は、気候変動適応としても重要です。山林はCO₂吸収源でもあり、保全すれば温暖化緩和にも資します。治山・治水インフラを充実させることも災害大国ニッポンでは重要で、恐らく維新・自民でインフラ老朽化対策(堤防強化、砂防ダム整備など)にも取り組むでしょう。
何が変わるか(主な施策と制度)
① 農地の集約活用 – 耕作放棄地ゼロを目指し、農地中間管理機構(農地バンク)への農地集積を加速します。政府は現在も「経営所得安定対策」等で規模拡大を支援していますが、さらに踏み込んで遊休農地への課税強化や、農地転用規制の見直しによる企業参入の円滑化などを行う可能性があります。また、国が主導する形で大規模営農団地の造成・貸付けを行うこともあり得ます。結果として、農業従事者が減っても広い面積を効率経営できるようにするのが狙いです。合意書には詳細書かれていませんが、農地法や貸借制度の柔軟化が議論されるでしょう。
② 施設型食料生産への投資 – 政府系ファンドや補助金を活用し、民間の植物工場・陸上養殖場の大型案件に資金供給します。例えば、砂漠でも作物生産可能な完全人工光型植物工場の開発・普及に補助し、停電対策も含め国内外に展開するかもしれません。またサーモンなど需要の高い魚を都市近郊の陸上施設で育てる事業を後押しし、水産資源枯渇に備えるでしょう。こうしたアグリテック分野は海外でも注目で、日本も遅れまいとする姿勢です。規模の目安は、「大型投資」とあるので数十~数百億円規模プロジェクトを想定しているようです。税制優遇措置や金融支援も考えられます。
③ メガソーラー規制の立法化 – 前述のメガソーラー規制法がここでも触れられており、要点は同じですが繰り返しになります。(詳細はエネルギー政策のメガソーラー規制項目参照)
④ 森林保全・災害抑止策 – 森林法や土砂災害防止法の運用見直しを図り、無許可の伐採やズサンな開発工事への罰則強化などが考えられます。ドローンや衛星を使った監視を強化し、違法行為を早期発見する仕組み導入もあり得ます。また、森林組合改革や林業支援により、放置山林の間伐等を促進します。加えて、水源地や離島など安全保障上重要な土地の監視を強め、土地利用規制法(2022年施行済)の下で外国人等による不適切取得を未然防止します。公安調査や事前届け出制を厳格運用することで、実効性を高める可能性があります。
⑤ 有害鳥獣対策と食料 – 直接記載は無いですが、農地保全の一環として鳥獣被害対策(シカ・イノシシの駆除・ジビエ利用拡大)もセットで進めるかもしれません。これも食料確保と国土保全に役立つ取り組みです。
スケジュール(工程と実施時期)
- 2025年:農林水産省が食料安全保障強化策をとりまとめ、農地集積や輸入多様化などの計画発表。農地バンク活用拡大に向けた法改正(農地法改正案など)検討。メガソーラー規制法案の詳細詰め、与党プロジェクトチーム設置。森林・土砂災害対策で新技術(AI監視)の実証事業開始。土地規制法の指定区域追加(例:自衛隊周辺離島など追加指定)。
- 2026年:通常国会でメガソーラー規制法成立。農地法・農振法改正案提出・成立(企業参入要件緩和や遊休農地解消措置強化)。食料安保に関する基本法や大綱の策定もあり得る。施設園芸・養殖支援のための補助予算創設。2026~27年にかけて、大型植物工場の補助事業公募。
- 2027年:メガソーラー新規設置の許可制施行、各地で環境アセス実施の第一号案件発生。耕作放棄地件数減少へ転用許可基準厳格化施行。食料安全保障の総合指令塔(例えば政府内に「食料安全保障本部」)が本格稼働。地方で産地ごとの農地集約実績が出始め、国内生産率微増。
- 2028年以降:陸上養殖ビジネスの商用規模施設稼働(例:養殖サーモン工場年間数千トン出荷)。植物工場によるレタス等の流通拡大、価格競争力改善。10年先(2035年)を見据え自給率向上トレンドへ。
家計・企業・自治体への影響(短期/中期)
消費者(家計):国内農産物の生産増が進めば、中長期的に食料価格の安定につながります。例えば米の自給率は100%超ですが、小麦や大豆、飼料など上げればパン・豆腐・肉の価格安定に寄与するでしょう。災害や国際価格高騰時にも食卓が空になるリスクが下がり、国民の安心感が高まります。また陸上養殖でサーモンが量産されれば、手頃な価格で美味しい魚が手に入るかもしれません。植物工場野菜は天候に左右されない分、価格変動が小さく通年安定供給できます。ただ、こうしたメリットを実感できるのは少し先で、当面は政府備蓄拡充など緊急対策でしのぐでしょう。
農業従事者・食品企業:耕作放棄地の活用や農地集約で、経営規模拡大のチャンスが広がります。大規模に転換できる農家や農業法人は収量を増やし収益向上が見込めます。一方、遊休地を放置するような零細農家には農地手放しを促される圧力もあります。全体として農業の効率化が進み、強い農業経営体が増える可能性があります。食品メーカーや商社にとっては、国内調達比率が上がれば輸入リスク低減になりますが、価格は多少割高かもしれません。しかし安定供給の価値を考えれば納得しやすいでしょう。陸上養殖や植物工場などには異業種からの参入も多く、IT企業や設備メーカーなど新たな産業連携が生まれます。これら新産業での雇用創出も期待されます。
自治体・地域:過疎化に悩む地方でも、農業や養殖の大型プロジェクトを誘致できれば地域活性化につながります。例えば閉鎖した工場跡地に巨大植物工場を建設して雇用創出、といった展開もあり得ます。また食料備蓄や物流拠点を各地域で整備する動きがあるかもしれません。土地利用規制強化により、地域の自然環境が守られ、観光資源や住環境の価値維持にもつながります。ただ自治体は開発規制と経済振興のバランスを取る難しい舵取りが求められます。総じて国土と資源を守り育てる政策にシフトする中で、地方自治体の役割が増し、地方創生と安全保障が結びつく局面も増えるでしょう。
論点・リスク(賛否・懸念点)
◆コストと消費者負担:国内生産拡大はコスト高になりがちで、完全自給を志向すれば消費者負担増につながるとの指摘があります。安い輸入品に頼る現状から切り替えるには価格競争力の壁があり、政府補助で穴埋めするにしても財源が必要です。食の安全保障 vs 価格抑制のトレードオフをどう説明し納得してもらうかが課題です。ただウクライナ戦争時に小麦価格が倍になった記憶も新しく、多少高くても国産品で安定供給を求める声もあります。適正なバランスをとり、コメは国内、麦は一部輸入依存残す等、リスク分散戦略が必要でしょう。
◆農業構造改革の痛み:農地集約は、零細農家の退出を促します。先祖伝来の田畑を手放すことに抵抗がある農家も多く、地域コミュニティ維持の観点で課題もあります。また企業参入で地元農家が駆逐されるとの懸念もあります。これに対し、退出農家には適切な補償や第二の人生支援を提供し、ウィンウィンの構造にしていくことが重要です。後継者不足の地域ではむしろ企業参入歓迎もあり得るので、地域ごとの実情に合わせた施策展開が望まれます。
◆施設型農業の電力・環境負荷:植物工場や陸上養殖は、大量の電力や水を必要とし、温室効果ガス排出や排水処理など環境負荷があります。再エネ電力を使わなければCO₂排出はむしろ増える可能性も。脱炭素と食料安保の両立が課題です。技術開発でエネルギー効率向上や排水再利用などの改善を進める必要があります。また大規模施設が災害で被災すると一気に供給が滞るリスクもあり、分散と集中のバランスも検討が必要です。
◆土地規制と経済活動:メガソーラー規制や外国人土地規制は、場合によっては民間投資の萎縮や国際資本流入減少を招く懸念があります。適切に運用しないと「日本は投資に厳しい国」と敬遠されかねません。また財産権制限として憲法との関係も慎重に考える必要があります。規制導入にあたっては目的を限定し、透明性の高い運用基準を設けることが肝要でしょう。
チェックリスト(行動指針)
- ◎家庭:食料備蓄と地産地消:世界情勢次第で食料供給が乱れる時代、各家庭でも非常用の食料備蓄(米や乾麺、缶詰など最低1週間分)を見直しましょう。防災にもなります。また地域で採れた野菜や国産品を選ぶ地産地消を心がければ、国内農家の支援につながります。日頃からお気に入りの地元産品を見つけて応援することで、長期的な食の安定に貢献できます。
- ◎農業者:規模拡大の機会に備え:小規模農家の方は、今後農地集約の波が来る可能性があります。集落内での話し合いを進め、法人化や共同経営への移行、あるいは農地貸し出しなど、自らに有利な選択肢を検討しましょう。大規模経営者は自治体や農地バンクからの情報をこまめにチェックし、新たな貸付農地や支援事業を活用してください。養殖業者や施設園芸農家も、新技術導入補助が出るかもしれませんのでアンテナを高く持ちましょう。
- ◎地域住民:開発計画の監視:お住まいの地域で大規模太陽光や森林開発の計画がある場合、今後はより厳しく審査される見込みです。自治体の公聴会や環境アセスに積極的に参加し、必要な意見を述べましょう。地域資源を守りつつ、持続可能な開発との調和を図るには、住民の声が重要です。知らない間に計画が進んでいた、ということのないよう、地域の広報や掲示に目を配りましょう。
経済安全保障政策
狙いと背景(重要インフラ防護と供給網強靱化)
経済安全保障は、国の安全を経済面から確保する概念で、2022年には経済安全保障推進法も成立しました。その中で特にデジタル・通信インフラの強靱化は喫緊の課題です。国際的にはサイバー攻撃や海底ケーブル切断のリスクが高まっており、日本でも沖縄近海の海底通信ケーブルが中国海軍に狙われ得るとの指摘があります。台湾有事の際は南西諸島と本土間の通信が遮断される恐れもあり、南西諸島における海底ケーブルの強靱化は重要度が増しています。合意書はまさにこれを取り上げ、南西諸島における海底ケーブル強靭性強化策を推進するとしています。
具体策としては、海底ケーブルの複数経路化やループ化(途切れても別ルートで通信維持)、ケーブルを守るための監視システム導入、ケーブルシールド強化などが考えられます。また海底ケーブル陸揚げ拠点の防護も必要で、離島にある中継局の防衛や非常電源整備も含まれるでしょう。岸田政権下でも経済安保推進計画に盛り込まれており、維新との合意でさらに後押しされます。
加えて合意書では触れていませんが、サプライチェーン強靭化も経済安保の柱です。半導体や医薬品など重要物資の国内生産や在庫確保は、政府支援が進んでいます。維新も半導体誘致など経済政策で触れており、連立政権として推進を続けるでしょう。
何が変わるか(重点施策)
① 海底ケーブルの多重化 – 南西諸島〜本土間における海底通信ケーブルの複ルート化を進めます。現在、沖縄〜鹿児島間などは限られた本数のケーブルで繋がっていますが、新たに別ルートのケーブル敷設や、本土〜奄美〜沖縄〜台湾方面の国際ケーブル増設などが考えられます。政府補助や日米連携プロジェクトで2020年代後半に着工する可能性があります。離島自治体にも協力を求め、用地取得や環境影響評価を迅速化するでしょう。結果的に通信容量も増え、離島の通信環境改善にも寄与します。
② ケーブル防護・監視 – 海底ケーブルの破損検知・即時修理体制を強化します。例えば、海底ケーブル敷設船や修理船を自衛隊・海保が保有・チャーターし、被害時の対応を迅速化する。また、海底にセンサー網を張り巡らせて不審な船舶によるケーブル切断をリアルタイム検出する仕組みも検討されるかもしれません。海自や海保とNTT等通信事業者が連携協定を結び、平時から監視情報を共有する体制構築もあり得ます。
③ 関連法規の見直し – 海底ケーブル関連では、現在公海上のケーブル切断行為には明確な罰則規定がなく、また国内でも意図的破壊への規制がありません。経済安保推進法で一部重要インフラとして位置付けされましたが、より強力な保護のため刑法や特定有害行為防止法などに規定を設ける可能性があります。外国工作員がケーブル破壊を図ればテロ等準備罪など適用になるでしょうが、予防的措置としての法律整備も議論に上がるかもしれません。
④ 国際連携 – 海底ケーブルは国際ネットワークです。日米豪などで「クアッド」によるインド太平洋のケーブル敷設計画も進んでいます。今回の合意を受け、日本は太平洋島嶼国へのケーブル援助なども強化する可能性があります。これは中国が通信網で影響力を伸ばすのを牽制する意味もあり、経済安保外交の一環となります。
スケジュール(整備計画)
- 2025年:総務省・経産省・防衛省が共同で海底ケーブル強靱化計画を策定。ルート候補や費用試算を公表。必要な予算要求実施。経済安保関連施策として強靱化事業を来年度予算に計上。
- 2026年:追加ケーブル敷設工事着手(もし前倒し可能なら)。ケーブル監視システムの試験導入(沖縄付近で海自による実証)。関連する電気通信事業法改正などがあれば法案提出。
- 2027年:複数ルート化の第一段階完了(一部離島で新ケーブル開通)。離島自治体で通信バックアップ訓練実施。
- 2028年以降:南西諸島海底ケーブル網が複線化・ループ化され、たとえ一部が切断されても通信継続可能に。国際海底ケーブルも増強され、デジタルインフラの信頼性向上へ。
家計・企業・自治体への影響
一般利用者:離島・沖縄含め、通信途絶のリスクが減り、安定したインターネット・電話サービスが受けられるようになる安心感があります。大規模災害や有事の際にも通信が確保されれば、住民の避難や安否確認が円滑になります。日常的にも通信容量増強で、リモートワークやオンライン学習等の質向上が期待できます。
企業:沖縄などでデータセンター事業を展開する企業には、通信インフラ強化はビジネスチャンスです。海底ケーブルの着工・メンテナンス関連で土木・船舶企業も受注が見込めます。通信キャリア各社は国の支援で新規投資負担が軽減されれば、より積極的にインフラ更新できるでしょう。ただケーブル多重化には巨額コストがかかるので、官民費用負担のあり方で調整が必要です。
自治体:南西諸島の自治体では、海底ケーブル切断時の通信途絶による行政サービス停止シナリオを常に抱えていましたが、強靱化が進めばリスク低減します。緊急時には衛星通信など代替手段もありますが、ケーブル冗長化が本筋です。自治体は国との連携で地元漁協への理解を得て工事を進めたり、ケーブル上陸局施設の整備協力をします。また非常時通信訓練など、新たな防災対応にも役立つでしょう。
論点・リスク
◆費用対効果:莫大な費用をかけて多重化しても、平時には余剰設備になるジレンマがあります。通信事業者だけでは採算合わず、国費投入となると他の優先課題との兼ね合いで批判も出るかもしれません。ただ安全保障上の保険と割り切る必要があるでしょう。
◆国際法・海洋権益:公海上のケーブルは国際法上保護が手薄で、仮に敵対国潜水艦が切断しても制裁しにくい現状です。国際ルール整備も並行課題ですが、各国思惑があり難航するかもしれません。
◆有事への備え:物理的強靱化しても、同時多発的攻撃には完全な保証はありません。軍事的な護衛体制構築(海自・海保による巡視)も必要で、これは平時にはあまり目に見えないですが継続が大切です。
チェックリスト(行動指針)
- ◎ユーザー:通信障害時の備え:私たち個人も、もしもの通信途絶に備え、非常時の連絡方法を家族や職場と決めておきましょう。例えば「Wi-Fiが使えないときは携帯SMSで連絡」など。衛星携帯や無線機を趣味で持つのも一つですが一般には難しいので、自治体の防災ラジオなど受信手段を確認しておくと良いでしょう。
- ◎地元住民:工事への理解:離島や沿岸地域の方は、今後海底ケーブル敷設工事が行われる際、海域規制や漁業調整でご不便があるかもしれません。国や自治体の説明会に参加し、疑問点を質問して納得感を持って協力しましょう。強いインフラは地域の生命線を守るので、ぜひ前向きな姿勢で見守ってください。
人口政策及び外国人政策
狙いと背景(人口減少克服と外国人受入れ管理)
人口減少戦略本部:日本の最大の問題は急速な人口減少であり、経済・社会の活力維持に直結する課題です。出生数は2022年に80万人割れと過去最少となり、このままでは国力低下が避けられません。合意書はこの認識の下、2025年臨時国会中に政府内に「人口減少対策本部」(仮称)を立ち上げ、子育て政策など強力な人口減少対策を検討・実行すると述べます。これは岸田政権が設置した「こども家庭庁」とは別に、より高位の司令塔を設ける意図でしょう。維新は以前から「量的な人口目標」を掲げるべきと主張しており、具体的な将来人口目標(例:50年後1億人維持)を設定し、それに向け財源投入する戦略を期待していると思われます。
外国人政策:一方、減少する国内人口を補うため、外国人労働者や移民の受け入れをどうするかも重要論点です。日本は移民政策を公式には取っていませんが、技能実習生や特定技能など実質的労働受入れ枠を増やしています。しかし外国人比率が地域的に急増すると摩擦も起き、制度の悪用・不法滞在も問題です。合意書では「ルールや法律を守れない外国人には厳しく対応することが、日本社会になじみ貢献している外国人にとっても重要」との考えを示し、そのための対策を講じるとしています。
具体的には、以下の4つの項目:
(一) 内閣に司令塔強化し、担当大臣を置く(=「人口戦略本部」に外国人政策も所管させる?)。
(二) 外国人比率が高くなった場合の社会摩擦の観点から、在留外国人の量的マネジメントを含め、受入れ数目標や基本方針を明記した「人口戦略」を2026年度中に策定する。
(三) 外国人に関する違法行為への対応と制度基盤を強化する。
(四) 外国人に関する制度の誤用・濫用・悪用への対応を強化する。
要するに、外国人受入れ政策に上限や方針を設け、秩序ある受入れを図り、悪質なケースは締め出すということです。維新は外国人参政権反対や不法滞在取り締まり強化を主張してきた経緯があり、これらが反映されています。受入れ人数目標を掲げるのは異例ですが、欧米でも移民枠を議論する国もあり、踏み込んだ方針です。
また合意書はこれらの内政措置に加え、2026年通常国会で「対日外国投資委員会(日本版CFIUS)」創設を目指すことと、同じく外国人及び外国資本による土地取得規制強化法案の策定を挙げています。日本版CFIUSは前述した経済安保部分で説明したとおり、外国資本による日本企業買収を審査する機関です。土地規制強化は、既に2022年施行済みの土地利用規制法を拡充するか、新法で農地や森林の外国資本取得にもっと厳しい制限をかける可能性があります。
量的マネジメントとは
外国人の「量的マネジメント」とは、在留外国人の総数や比率に上限目標を設け、計画的に受入れ規模を調整することを意味します。具体的には、国全体や地域ごとに「外国人住民○%まで」といった指標を定め、それを超えないようビザ発給や定住許可を管理するイメージです。例えばシンガポールでは外国人労働者比率に上限を課す政策があります。日本でも、特に一部自治体で外国人急増がインフラ負荷や治安懸念を招いており、そうした地域への集中を避ける対策を講じる考えでしょう。これまで外国人受入れは場当たり的でしたが、「受入れ上限○万人/年」など数値目標を初めて示す可能性があります。
何が変わるか(体制と制度)
① 人口戦略本部の設置 – 臨時国会中(2025年末)に政府内に人口減少対策本部を創設し、人口政策の司令塔とします。想定されるのは総理を本部長とし、関係閣僚と専門家を交えた会議体で、省庁縦割りを廃した総合戦略を策定する機能です。現在は「こども家庭庁」が出生率向上策を所管していますが、それより広く移民政策や地方創生なども含めた人口ビジョンを扱うでしょう。そこで2026年度中に「人口戦略」という形で基本計画をまとめます。この中に外国人受入れ数の目標や方針も盛り込むようです。
② 外国人政策司令塔・担当相 – 上記本部に外国人政策司令塔機能を付与し、担当大臣を置くとしています。これは移民庁など専門機関を作るのではなく、政治レベルで総合調整する役割でしょう。現在、出入国在留管理は法務省、労働者受入は厚労省や経産省、留学生は文科省などバラバラです。担当相を置き省庁連携させることで、外国人政策を統一的に運営します。例えば、特定技能の拡充案などもこの枠組みで検討・決定されるでしょう。
③ 外国人受入れ数の目標 – 初めて数値目標を掲げた人口戦略が策定されます。例えば「2060年に総人口1億人維持。そのうち移民XX万人」などです。あるいは都道府県別に外国人比率上限を提示し、集中する場合は何らかの歯止め策を講じるといった内容も考えられます。具体策としては、ビザ発給数に上限を設定したり、在留資格種別ごとの受入れ枠(技能実習・留学生・技能労働者など)を調整するなどです。ただ強権的すぎると人権批判もあるため、「基本方針」として柔軟に運用するかもしれません。
④ 違法行為対応強化 – 外国人犯罪や不法滞在への取り締まり強化が図られます。例えば警察・入管の取締り合同チームの増設、摘発件数ノルマ設定などが考えられます。また技能実習制度の見直しも予定されており、ブローカー排除や失踪者対策が盛り込まれるでしょう。収容施設の改善や収容代替措置(管理人を付けて仮放免)も議論されていますが、基本的にルールを守らない者は送還という原則を厳格化する方向でしょう。
⑤ 制度悪用・濫用防止 – 留学生偽装や難民認定の濫用などに対処します。既に2023年に難民・収容法改正が成立し、難民申請回数制限や送還規定が整いました。さらに留学生→特定技能への安易な転換を管理(卒業要件の厳格化等)、偽装結婚の摘発強化、永住許可審査の厳格化などが考えられます。また出入国在留管理庁の人員・権限強化も必要でしょう。外国人雇用企業への指導も強め、不法就労させる事業者への罰則を上げるなどの措置も想定されます。
⑥ 日本版CFIUS・土地規制 – これは前述の通り、2026年の法制度整備です。CFIUSは設立し、安全保障上重要な業種への外国投資を審査・場合により阻止します。土地規制は恐らく外国企業・外国人による森林や水源地取得の届出対象拡大や禁止区域指定などです。既存の土地利用規制法は自衛隊基地等周辺1kmを注視区域に指定できますが、それ以外もカバーするかもしれません。農地法・森林法改正で外国資本への許可制を入れる可能性もあります。
スケジュール
- 2025年末:人口対策本部設置。メンバーに有識者起用、人口戦略素案作成開始。外国人政策担当相任命(法務大臣兼務等の形か専任か検討)。
- 2026年:人口戦略(仮称)閣議決定。中長期の人口ビジョン・KPIを公表。受入れ外国人数値目標設定。外国人基本法のような法律制定もあるかも(外国人共生社会実現に向け総合的施策を推進する法律など)。入管法改正や技能実習法改正など、外国人制度改革関連法案提出。日本版CFIUS設立(法案成立、委員会発足)。土地規制強化法案提出(例えば土地利用規制法改正)。
- 2027年:人口戦略の具体施策開始(例:出生率向上策拡充、地方移住促進)。外国人政策では、新しい特定技能制度見直し施行(分野追加や永住への道緩和/厳格化バランス検討)。CFIUS委員会最初の審査案件処理。土地規制新ルール施行、違反事例への対処。
- 2028年以降:効果測定(出生数下げ止まりや外国人犯罪減少など)と戦略見直しサイクル開始。外国人総数が計画通り推移するかチェック、必要なら入国枠調整。外国資本規制は平常運用フェーズへ。
家計・企業・自治体への影響
家計・社会:人口減対策は子育て支援の拡充にもつながり、若い世代にメリットがあります。保育料軽減や教育無償化は既に盛り込まれており、その着実な実施により家計負担減となります。外国人政策面では、違法行為取締り強化で治安悪化の懸念が緩和されれば、住民の安心感につながります。ただ、外国人労働者に依存する介護現場などで人手不足が起きる懸念もあり、受入れ抑制とのバランスをとる必要があります。地域によっては外国人コミュニティとの関係が変化するかもしれません。良き隣人として定住している方々には影響を与えないよう配慮しつつ、トラブルのもとになる不法滞在者等を排除すれば、共生社会の健全化につながるでしょう。
企業:外国人労働力に頼る中小企業・サービス業にとって、受入れ数の制限や取締強化は人材確保の不安要素です。制度を悪用せず適正に雇用している企業には影響を及ぼさないよう、優良な人材は引き続き受け入れ可能な仕組みが維持されるでしょう。一方、ルール無視で酷使してきたブラック企業には締め付けが強まり、経営改善か退出を迫られます。投資面では、日本版CFIUSにより中国資本との提携・出資案件が審査対象となり、取引が遅延・中止となることがあり得ます。企業は事前相談や情報開示に努める必要があります。土地売買についても、特に森林・観光地保有企業は外国への売却に規制がかかり流動性が低下するリスクがあります。
自治体:外国人住民が多い自治体では、人口戦略目標に応じて受入れ上限等が示されるかもしれません。例えば既に人口の数割が外国人の大泉町(群馬)などは、政策対応を迫られます。自治体は外国人との共生施策(日本語教育・生活支援)を引き続き強化しつつ、国の方針に沿って秩序ある受入れに協力します。また、移住定住促進や婚活支援など独自の人口増策に国費が付く可能性もあり、地方創生に追い風となる部分もあるでしょう。
論点・リスク
◆人口目標の現実性:数値目標を掲げても出生率の向上などは不確実要素が多く、達成できない恐れがあります。計画倒れとなれば政策の信頼を損ねます。前例としてフランスは手厚い家族政策で出生率回復に成功しましたが、日本でどこまで効果が出るか見通せません。壮大な目標だけでなくPDCAを回せる具体策が重要です。
◆外国人制限と人権批判:外国人比率管理や外国人だけを対象とした規制強化は、国内外から人権上の懸念が出る可能性があります。差別助長との批判や、国際社会から閉鎖的との評もあるでしょう。日本としては「法を守る外国人は歓迎し共生する」姿勢を強調し、むしろ不法行為や制度悪用を放置する方が既存の善良な外国人に不利益だと説明しています。適切な情報発信と透明な運用で誤解を解く必要があります。
◆経済支える労働力の確保:受入れを絞りすぎると労働力不足が深刻化しかねません。将来的にAIや自動化で補うとはいえ、移行期の人手はどうしても外国人に頼る部分があります。現行の特定技能2号で実質移民受入れに踏み出した矢先であり、企業からは「方針がぶれると困る」との声もあるでしょう。定量管理と経済の需給をどう整合させるかバランス感覚が問われます。
◆外国資本規制と国際評価:CFIUSや土地規制強化で、特定国との経済関係が悪化する可能性があります。中国は反発するでしょうし、逆に日本企業の海外投資にも報復的対応があるかもしれません。しかし国家安全保障優先なので、ここは毅然と進めるべき所です。ただ閉鎖的と捉えられないような運用の工夫(公開透明な審査、恣意的適用を避けるなど)が必要です。
チェックリスト(行動指針)
- ◎若者・子育て世帯:支援制度を活用:出生率向上策が具体化すれば、子育て支援サービス(待機児童解消、新児童手当等)が拡充されます。遠慮なく活用して、自分たちの生活を安定させましょう。結婚や出産をためらう要因が減れば、将来計画も立てやすくなります。自治体の婚活支援イベントや不妊治療補助も強化されるかもしれません。ぜひ情報を集めてライフプランに組み込んでください。
- ◎外国人労働者を雇用する企業:適法な雇用管理:今後、不法就労や不適切な労働条件に対する取り締まりが厳しくなります。技能実習生や特定技能者を受け入れている企業は、契約内容や労働環境を再点検し、法令遵守を徹底しましょう。悪質ブローカー排除の動きもありますので、信頼できる送り出し機関との取引を。逆に優良企業には今後受入れ枠が優先配分される可能性もあります。外国人労働者と真摯に向き合い定着を図ることが、自社の人材確保にもつながります。
- ◎地域コミュニティ:共生と治安のバランス:外国人住民が多い地域では、今後国の方針に沿って住民間交流イベントや日本語教室充実など共生の取り組みが増えるかもしれません。同時に、治安悪化防止へ警察のパトロール強化も期待されます。地域の防犯活動や多文化共生イベントに積極的に参加し、お互いの理解を深めつつルール違反には注意喚起していきましょう。健全なコミュニティ作りには、外国人も日本人も協力が必要です。
教育政策
狙いと背景(少子化時代の教育充実と負担軽減)
教育無償化の拡大:日本は国際的に見て教育費の公的負担が重く、特に高校・大学進学時の費用が出生率低下の一因とも言われます。そこで、高等学校の実質無償化と小学校給食費の無償化が政策課題となってきました。2025年2月には自民・公明・国民民主の3党合意で高校無償化の所得制限撤廃と私立補助拡充、小中学校給食無償化などが決まり、維新もそれに加わる形で実務者協議を続けてきました。合意書ではこれらを具体化し、高校授業料無償化を2026年4月から実施、小学校給食無償化も2026年4月から実施と明記しています。現行では公立高校授業料は年収約910万円以上の世帯は非対象でしたが、それを撤廃し全世帯無償にします。さらに私立高校も全国平均授業料(年間45万7千円)を上限に助成し、事実上無償化します。小学校給食費についても、公立小で1食あたり300円前後負担しているものをゼロにします。
保育負担軽減・子育て支援拡充:2025年通常国会で与野党3党合意した「子育て関連3党合意」の中には、保育料のさらなる軽減(第2子半額・第3子無償など拡充)や病児保育充実などが含まれます。維新も子ども予算倍増を訴えており、これを政府の異次元の少子化対策に盛り込む形です。合意書では「三党合意における保育料負担軽減をはじめ子育て支援施策の大幅拡充を実現する」と書き、児童手当拡充や産休育休支援なども指すでしょう。これらはすでに岸田政権が2023年にこども未来戦略方針として決定し、予算計上中です。
高校教育改革:少子化で高校数が減る中、教育の質確保と新時代対応が課題です。2025年3月に自民・公明・維新3党は高校教育改革のグランドデザイン策定に合意しました。例えば高校の専門学科刷新、オンライン教育導入、地方小規模校再編などが議論されています。合意書は「全国での教育機会確保と質向上」を掲げ、2026年度中にグランドデザイン策定、実施は段階的でしょう。
大学適正化と科研費増額:18歳人口減で大学の定員割れが増え、文科省は大学数・規模の適正化を提起しています。合意書もこれに言及し、大学数/規模の適正化を目指すとあります。具体的には地方私大の統廃合支援や学部再編等が考えられます。一方で科学技術立国へ科研費(科学研究費補助金)の大幅拡充を明記。基礎研究費を増やし、大学の研究力強化と若手研究者支援を図ります。これは維新も研究開発投資をGDP比1%以上にとの公約があり、一致するところです。
3党合意(教育・子育て)とは
2025年2月、自公維(後に自公国維になったか?)は子育て・教育関連で合意し、施策実現を確認しました。主内容は、(1)高校無償化の所得制限撤廃と私立高支援拡充、(2)小中学校給食無償化、(3)保育料軽減強化、第2子半額・第3子以降無償、(4)高校教育改革グランドデザイン策定、(5)産休育休手当拡充、(6)教員の働き方改革などです。この3党合意がベースとなり、今回の連立合意に具体期日や工程が明記されました。与野党間の合意を経ているため、実現可能性が高い施策群です。
何が変わるか(新たな制度・負担軽減策)
① 高校授業料完全無償化 – 2026年4月から公立高校の授業料が全世帯無料になります。現行は年収910万円以上は非対象(月1万~2万円負担)でしたが、それも無料に。さらに私立高校生向け就学支援金の上限引上げで、平均的授業料(年45.7万円)までカバーするので、実質私立も授業料ゼロに近づきます。ただ私立の入学金や施設設備費等は別途かかるので完全ゼロではありませんが大幅軽減です。合わせて、外国人学校など各種学校は公的支援対象外となる見通し。2025年度内に法改正・予算措置を完了させます。
② 小学校給食費無償化 – 2026年4月から全国の公立小学校で給食費を徴収しないようになります。中学校については触れられていませんが、おそらく小中学校両方無償化する方向のはずです(報道では小中無償化を3党合意)。自治体によっては既に無償化している所もあり、全国一律になります。これも2025年度中に地方交付税措置等で財源手当てします。
③ 保育料負担軽減(第二子以降無償化など拡充) – 現在、3~5歳児は全世帯保育料無償、0~2歳児は住民税非課税世帯は無償ですが、それを第2子半額・第3子以降無料に広げるなどさらなる軽減策を行います。2024年度からすでに一部実施予定。対象年齢拡大も検討されるでしょう。これにより一人っ子世帯より2人3人育てるほど平均費用負担が軽減されます。
④ 子育て支援大幅拡充 – 具体的には、児童手当の高校生まで拡大と所得制限撤廃(2024年6月実施予定)や、産休・育休手当の増額、不妊治療保険適用範囲拡大などです。合意書は「三党合意通り大幅拡充を実現する」とするので、これら予定施策を確実に実行する意味です。例えば育休給付を現行賃金67%→80%に引き上げ検討中、男性育休取得率向上策などがあるでしょう。保育の量的拡大(待機児童ゼロ)も継続課題です。
⑤ 高校教育改革 – 高校の在り方を抜本見直しします。例えば中退者への再チャレンジ校設置、オンライン高校や飛び級認定、職業高校のアップデートなど。三党合意でグランドデザイン2026年度策定となっており、これを実行します。実現には学校教育法改正等が要るかもですが、まず方針作り。その後各県教育委員会に実践を促します。
⑥ 大学数・定員の適正化 – 文科省が不適切な定員増に歯止めを検討中です。具体策としては、定員充足率が極端に低い大学への指導や、都市部の定員増規制(既に抑制策あり)、地方国公立大の再編統合推進などです。合意書は「目指す」としており、今後大学政策会議を設けて計画策定するでしょう。急に大学を減らすのは難しいですが、私学助成金のメリハリ付けなどで誘導します。
⑦ 科研費大幅増 – 科研費(国の競争的研究資金)を今後年数百億円規模で増額する見込みです。現在約2300億円/年なので、2026年度以降段階的に増やし、人文社会含む基礎研究に厚く配分するでしょう。若手研究者が採択されやすくするなど制度改善も行います。これにより大学院生・ポスドク等の待遇改善にも繋げる意図です。
スケジュール
- 2025年:高校無償化拡充・給食無償化の関連法案成立(高等学校就学支援金制度改正など)、2025年度予算に必要額計上。小中給食無償は地方交付税算定に反映。夏頃までに外国人学校への補助除外など最終調整。高校改革グランドデザイン検討会議設置、2025年末に案公表。
- 2026年4月:高校無償化・給食無償化実施開始。第2子以降保育無償も全国展開。
- 2026年末:高校教育改革グランドデザイン決定、各都道府県へ提示。科学技術白書で科研費増額計画示す。
- 2027年以降:高校再編等徐々に実行(学校統合・新設などは数年かけて)。大学入学者数減少始まり、文科省が私大再編支援策始動。科研費応募額増、採択率向上を確認。子育て支援策の効果検証へ。
家計・企業・自治体への影響
家計(子育て世帯):教育費負担が大幅軽減されます。高校3年間で約36万円/人(公立授業料相当)の節約、私立なら3年間で平均約135万円/人の補助増となります。給食費は小学生1人あたり月4〜5000円程度、6年間で約30万円の負担減です。複数子どもがいればさらに恩恵大です。保育料も第2子以降無償なら例えば2歳児と1歳児を抱える家庭で月数万円の減少となり、出産への心理的ハードルが下がります。総じて「子どもを持っても家計が破綻しにくい」環境に近づきます。
若年層:高等教育改革や科研費増で、高校生〜大学院生の学びの質が高まる期待があります。高校では選択肢多様化で自分に合う学びができ、大学院生は科研費・研究費に恵まれやすくなるかもしれません。さらに将来的には大学の定員適正化で教育投資効率が上がり、一人ひとりに行き届いた教育につながる可能性もあります。就職市場では若者人口減で企業は採用競争が激しくなる反面、質の高い人材確保に努めるでしょう。
企業:将来の労働力確保には教育投資は不可欠で、今回の充実策は長期的に人材基盤強化につながります。短期的には、給食無償化で学校給食関連業者は公費負担となるため安定収入になります。ベビー用品企業や子育てサービス業界は、子育て支援拡充でマーケットが拡大する可能性があります(子ども減でも一人当たり支出が増える)。また科研費増により、技術系企業と大学の共同研究が増えるチャンスもあります。企業も自社の奨学金制度等で人材囲い込みを進める動きが出るかもしれません。
自治体:給食費無償化は財源国持ちとはいえ、徴収事務がなくなるメリットがあり効率化します。高校無償化も都道府県財政に国庫支出増で影響なし。むしろ子育て世代が住みやすくなることで地方への定住促進にプラスとなり得ます。高校改革では地域事情に合わせ学校統廃合を進めねばならず、住民理解を得つつ跡地活用など課題になります。大学適正化で私大誘致に頼った自治体は戦略見直しが必要かも。全体的に教育に手厚い自治体が評価され人口流入につながる可能性もあります。
論点・リスク
◆莫大な財源確保:高校・給食無償化だけで年数千億円規模、公的教育支出が膨らみます。子ども関連予算の倍増は国債や社会保障費転用で賄うしかなく、財政悪化懸念があります。将来的な増税議論(こども保険など)が避けられないかもしれません。ただ少子化対策は緊急課題であり、将来の生産性向上を考えれば投資との見方もあります。持続性ある財源策をどう組み立てるか、政治の腕の見せ所です。
◆教育の効果:費用を無償にしても、それだけで出生率が劇的に回復する保証はありません。他の要因(住宅、働き方など)も絡むため、総合的対策が必要です。また、教育無償で入学者が増えると質の低下を懸念する声もありますが、高校までは義務教育に準じるものなので機会を保障する意義が優先でしょう。むしろ教育の質向上への同時施策(教員支援、ICT活用等)が欠かせません。
◆外国人学校除外への反響:高校無償化は外国人学校を対象外とする案が検討されています。朝鮮学校などから反発が予想され、人権上の議論になります。与党は日本の高校相当と認められない学校は除外という立場ですが、裁判闘争もあり得ます。国際的批判も視野に入れ、丁寧に理由説明しつつ各種学校独自の支援策も検討が必要です。
◆高校改革の摩擦:高校統廃合やオンライン導入は教職員組合の抵抗や保護者の不安も招く可能性があります。特に地域の高校廃校はセンシティブなので、教育機会確保策(統合校までの通学支援等)をセットで講じないと地域反発を招くでしょう。
◆大学淘汰の痛み:地元で学生を呼び込んでいた私大が潰れると、地域経済への影響や若者流出が心配です。一律に減らすのでなく、特色ある大学は残す視点が要ります。場合によって公立化や高専化など救済策も考えられるでしょう。
チェックリスト(行動指針)
- ◎保護者:教育費計画を見直し:高校・大学入学まで子ども1人に何百万円…と貯蓄していた計画が、無償化拡充で多少余裕が出るかもしれません。家計プランをアップデートし、浮いたお金を習い事や将来の大学費用(まだ大学全無償ではない)に振り向けたり、親の老後資金に回すなど有効活用を検討しましょう。ただ、給食費などはまた将来制度変更もあり得るので、無償化に頼りすぎず堅実な資金計画を保つことも大切です。
- ◎教育関係者:新制度に対応:先生方は、給食費徴収がなくなるなど事務負担軽減は追い風です。高校では無償化で生徒の金銭的事情による中退が減り、教育継続を支援できます。一方、改革に伴い授業のIT化や学校再編など変化が来ます。積極的に研修を受け、新カリキュラム開発に参画するなど前向きに取り組みましょう。大学教員は科研費申請チャンスが増えるので、研究計画を練り直し応募してみてください。増額分は若手に追い風です。
- ◎学生:学びの機会を活かす:高校・大学が無償に近づく恩恵を受ける皆さんは、その分思い切り勉学や研究に打ち込むことが社会への恩返しにつながります。金銭的理由で諦めていた進路も、改めてチャレンジ可能か検討してください。迷っているなら高校再編で増えるかもしれない新設校や専門コースもチェック。大学院進学も科研費拡充で若干しやすくなるなら、興味があれば挑戦を。国が投資する教育環境をフルに活用し、自分の成長につなげましょう。
統治機構改革
狙いと背景(首都機能バックアップと多極分散型国家)
副首都構想:東京一極集中によるリスク(大災害やテロで首都機能麻痺)を分散するため、以前から「副首都」として大阪に首都機能の一部を分散する構想が議論されてきました。維新は大阪都構想の延長上で大阪を副首都化することを主張、自民党内にも国会予備施設の設置などの議論があります。合意書では、首都危機管理機能のバックアップ体制構築と首都機能分散・多極分散型経済圏形成の観点から、2025年臨時国会中に与党協議体を設置し、副首都の「責務と機能」を整理した上で、2026年通常国会で関連法案成立を目指すとしています。これはかなり踏み込んだスケジュールで、実現すれば初めて副首都に法的定義が与えられることになります。
首都直下地震の可能性が高まる中、中央省庁を丸ごと東京外に移すのは現実的でないにせよ、代替の国会会議場や首相執務室などを確保しておく必要があります。かつて福田康夫政権下でも首都機能代替施設の検討がありました。維新はおそらく大阪がその役割を担うべきと考えており、自民側も否定はせず協議入りすると言えます。
多極分散型経済圏:これは地方創生と表裏一体で、東京一極から地方へ人・投資を分散し、いくつもの繁栄圏を作る構想です。副首都を軸に、大阪は関西広域圏、福岡は九州圏など、多極化で国力を底上げする狙いです。維新は大阪中心ですが、他地方も含めて競争してもらうというスタンス。自民も地方創生を掲げる以上合意しています。
副首都(首都機能バックアップ)とは
副首都とは、非常時に首都(東京)の機能を代替・補完する都市または施設のことです。例えば大災害で東京の政府中枢が機能不全になった際、副首都に予め用意された臨時国会議事堂や内閣拠点で統治を継続する、というイメージです。大阪府は2014年に「副首都ビジョン」策定、2018年に有識者懇談会で大阪を副首都と位置付ける条例を制定しました。しかし国として副首都の明確な定義や場所指定はなく、合意書でそれに踏み込む可能性が示されています。具体的には、副首都候補の都市(大阪に限定するか複数かは不明)を法律上「副首都」と定め、その役割・権限(非常時の政庁機能・権限代行範囲など)を規定することが考えられます。
何が変わるか(制度と工程)
① 副首都の法制化 – 2026年までに副首都に関する法律を制定します。考えられる内容は、(a)副首都の位置(都市または施設)を指定、(b)副首都に整備すべき施設(予備国会議事堂、臨時政府庁舎、予備データセンターなど)を列挙、(c)緊急時における政府機能の移転手続き(誰の判断でどの機能を副首都に移すか)、(d)副首都運営組織の設置(副首都担当大臣や統括官配置)などです。恐らく大阪市内の一角(中之島など)が副首都地区とされる可能性が高いです。そこに国会の予備会議場や首相官邸代替施設を整備する計画になるでしょう。
② 役割と機能の整理 – 法制化に先立ち、2025年臨時国会中に設ける与党協議体で「首都および副首都の責務・機能」を定義します。例えば首都(東京)の平時責務、副首都(大阪等)の平時役割(現状は特になし?)と緊急時役割などを定めます。これをもとに法案を設計します。
③ 首都危機管理のバックアップ体制 – 既に政府は総理臨時オフィスをさいたま市や立川市などに確保していますが、副首都法整備によりより恒久的なバックアップセンターが整備されるでしょう。大阪の某施設(例:大阪府咲洲庁舎など)に総理・官房長官らが緊急時執務できる環境を整え、通信インフラや警備も備えます。国会については2011年に参院本会議場を京都国際会館に仮設定した例がありますが、これを大阪に正式に決めるかも。もしくは京都・奈良など歴史的に関係ある都市を文化首都的な位置付けで選ぶという議論もあるかもしれません(ただ合意書は大阪を強く示唆している)。
④ 首都機能分散 – 首都機能の一部を平時から地方へ移すことも議題となります。例えば一部省庁の大阪移転(文化庁の京都移転事例のように)、または政府系機関の地方移転を改めて検討する可能性もあります。すでに一部は動きましたが、経産省の特許庁関西支局強化など具体案が出るかもしれません。ただ、移転は官僚が嫌がるため緩やかでしょう。
スケジュール
- 2025年末(臨時国会):与党副首都協議体発足。維新・自民から国会議員や大阪府関係者が参加? 首都副首都の役割整理開始。1〜2年かけて法案素案作成。
- 2026年通常国会:副首都推進法案(仮称)提出・成立。副首都の位置を大阪市(例)と規定し、必要施設整備や運営を定める。
- 2026年末〜2028年:副首都施設整備計画策定、予算化。大阪市内に臨時国会設備や政府予備庁舎着工。既存施設活用も。現行の中央防災拠点(立川市)との役割分担も詰める。
- 2029年頃:副首都インフラ完成。大規模災害訓練で副首都への政府移転訓練実施。二都体制の運用検証へ。
家計・企業・自治体への影響
国民生活:副首都が機能すれば、首都圏で大災害があっても国の統治機能が維持されやすくなり、混乱を最小化できます。非常時に適切な政府対応がなければ国民生活は壊滅的になるので、安全保障上のメリットが大きいです。平時は副首都施設はイベントホール等で活用されるかもしれず、大阪のランドマークとなる可能性もあります。多極分散が進めば東京への人口集中が緩和し、地方居住でも便利になる恩恵があります。長期的に家賃高騰なども抑えられるかも。
企業:政府機能一極集中リスク減は、経済活動のBCP(事業継続計画)にも好影響です。金融市場なども東京壊滅でも大阪市場で代替というシナリオが立ちやすくなります。大阪が副首都となれば企業の大阪移転も促進され、関西経済の活性化につながります。建設やICT産業には副首都施設整備でビジネスチャンスが生まれます。地方企業も官公庁取引の機会が増えるかもしれません。逆に東京の地位相対低下で首都圏企業には警戒感もあるでしょうが、日本全体のリスク分散は結果的に経済安定に寄与します。
自治体:大阪府・市にとっては悲願の副首都化実現で、都市ブランド向上と国支援も増え有利です。ただ副首都機能を維持するコスト負担など取り決めが必要で、国との協議を詰める必要があります。東京は首都機能一部移転で経済的打撃も考えられますが、むしろ防災上プラスと捉えて連携するでしょう。地方他都市も、多極分散型経済圏の一角として自分たちの強みを発信する動きが活発になるかもしれません。副首都協議の中で第二副首都(西日本以外にも北日本に札幌?)など議論が広がれば、それら自治体も動き出す可能性があります。
論点・リスク
◆副首都は大阪か他か:維新は大阪を強く推すでしょうが、自民党内には他地域配慮論も出るかもしれません。京都・奈良など伝統都市も候補になり得ますし、名古屋など中部圏も中京首都構想的な声を上げるかもしれません。ただ現実に施設や人材揃うのは大阪くらいなので、最終的に大阪中心に決まりそうです。その際周辺自治体への説明や協力を得ることが重要です。
◆費用と実効性:副首都整備には巨額費用(臨時国会議事堂だけで数千億?)かかります。費用対効果に疑問も出るでしょう。非常時に本当に移転できるのか、シミュレーション通りいくのかも未知数です。国民の理解を得るため、平時も活用できる複合施設にするなど工夫が必要でしょう。
◆官僚の反発:霞ヶ関は東京離れたくないでしょう。副首都に何人常駐させるのか、人事異動どうするかなど官僚機構の課題も多いです。政府として本気度が試され、絵に描いた餅にならないよう実効性ある運用ルールを作る必要があります。例えば非常時には即座に新幹線や政府専用機で移動する計画を決めて訓練するなど。
◆地方格差:副首都に選ばれる都市とそうでない都市の間で不公平感が生じる恐れもあります。他都市から「うちも一部機能を」と陳情が増え収拾がつかなくなる可能性も。多極分散とはいえ、副首都が事実上第二の首都になるなら他はサブのままなので、納得感をどう作るかが課題です。
チェックリスト(行動指針)
- ◎首都圏在住者:非常時に備えて:首都機能バックアップが強化されても、自助努力は必要です。首都圏の方は災害時の避難計画を家族で話し合いましょう。政府機能が大阪に移ったとしても、皆さん一人ひとりの備え(避難所確認、備蓄品準備)が命を守ります。
- ◎関西在住者:副首都機能の理解:大阪が副首都になると、街中で警備が強化されたり臨時に要人が来訪したりと変化があるかもしれません。生活に影響が出る場合もありますが、日本全体の安全保障のためと理解し協力してください。誘致により経済効果も期待できるので、関西人としてチャンスと捉えましょう。
- ◎ビジネス・起業:地方拠点の検討:多極分散が進むと、東京一極より各地に機会が増えます。企業は大阪など副首都候補地に支店開設や、本社機能分散を検討してBCP強化を。スタートアップも東京だけでなく地方都市に拠点を置くと行政支援が得やすくなる可能性があります。国の動きを見ながら柔軟に拠点戦略を見直すことが競争力向上につながるでしょう。
政治改革
狙いと背景(政治資金透明化・議員定数削減・選挙制度見直し)
企業・団体献金問題:政治とカネを巡り、企業・業界団体からの献金が政策を歪めるのではとの懸念が根強くあります。自民党は企業団体献金の全面禁止には否定的で「禁止より透明公開」を主張してきました。一方、維新はクリーンな政治を掲げ企業団体献金の完全廃止を公約にしてきました。この点で両党の立場に隔たりがあり、合意書でも「課題意識は共有するが最終結論には至っていない」としています。そこで妥協策として、企業・団体からの献金、政治団体からの献金、受け手側規制、金額上限、政党事業収益公開など政党資金調達の在り方全般を議論する協議体を2025年中に設置し、第三者委員会の審議も経て、高市総裁の任期中(=2028年9月まで)に結論を得るとしました。つまり数年かけて政治資金改革の道筋をつけようということです。
この協議体では、企業献金禁止法案や政治資金規正法改正案(上限額設定や迂回防止策)が検討されるでしょう。ただ維新に譲る形で全面禁止が決まる可能性もありますし、あるいは「企業・団体献金は禁止(個人献金のみ可)」との結論を高市総裁がリーダーシップで出す可能性もあります(合意書はそこまで踏み込んでいませんが)。第三者委員会も設置と書かれ、有識者から客観的提言をもらう手順も踏みます。
政党ガバナンス・政党法:合意書には「政党におけるガバナンス明確化のため政党法検討」とあります。日本には政党法がなく、政党内部統制は自主規約任せです。これを政党法制化すると、党運営の民主性担保(党首公選制や会計公開義務など)を定め、違反すれば解散命令もあり得る厳しい法律になります。諸外国(ドイツなど)に政党法がありますが、日本では長らく敬遠されてきました。維新が政党ガバナンス確立を強調しており、自民も腐敗防止の観点で検討に応じる形です。ただ実現するかは未知数です。もし法制化されれば、党内派閥不透明資金などにも切り込める可能性があります。
衆議院議員定数1割削減:衆院465議席の約1割=46程度を削減することを合意書で明記しました。維新は昔から「身を切る改革」で議員定数・歳費削減を掲げており、自民も人気取りとして乗った格好です。2025年臨時国会に議員立法案を提出して成立を目指すとあり、かなり具体的です。衆院選挙区割は2022年に「10増10減」で再配分したばかりで、今度削減するなら小選挙区と比例定数をどちらも減らす必要があります。「1割を目標に」とあるので必ず46減ではないかもしれませんが、議員自ら定数削減法案を出して可決となれば画期的です。削減後の選挙制度も絡むため調整困難ですが、ここは維新の譲れない目玉でしょう。
選挙制度抜本見直し:小選挙区制と比例代表並立制を廃止し、中選挙区制など導入も含め、時代に合った選挙制度を検討するとしています。現在の小選挙区制は死票が多く民意を歪めるとの批判や、一方で中選挙区制(1区から複数当選)は派閥・金権体質が復活する懸念など賛否様々です。合意書は2025年度中に与党協議体設置としており、時間をかけて議論を主導する構えです。実現には憲法や公選法改正が必要なので簡単ではありませんが、少なくとも次期衆院選までは現行制で、次々回以降に新制度を間に合わせるかが焦点です。中選挙区案だと1区3~5人当選みたいな仕組みが浮上するかもしれません。
衆院定数削減と選挙制度
1990年代から続く政治改革論議で、小選挙区比例並立制が導入される際に定数削減も約束されました。しかし、その後なかなか進まず、定数削減は「身を切る改革」の象徴となっています。今回、1割削減を打ち出したのは大きな政治決断ですが、具体的にどう減らすか(小選挙区で30減・比例で16減など)詳細は不明です。比例代表はブロックが11ありますが16減だと単純に各ブロック1か2議席減らす等でしょう。小選挙区は289→259程度に減らすには区割り大改変が必要で、これを来たる2026年境の人口動態で再配分することと合わせて行うかも。選挙制度そのものも見直すということは、定数削減と制度改革を一体で議論する可能性があります。たとえば中選挙区制に戻して定数調整するとか、比例代表制拡大して少数意見反映高める代わりに全体定数減らすとか、多様なオプションが考えられるでしょう。改革の帰趨は協議体で議論されます。
何が変わるか(制度改正のポイント)
① 政治資金協議体設置 – 2025年中に与党+有志野党の協議体を発足し、企業団体献金や政治資金全般の改革案を議論します。そこから2026~27年頃に結論(法律案)をまとめるスケジュールでしょう。想定される改正点は、(a)企業・団体献金の禁止or制限(上限額や献金できる主体の限定例えば上場企業禁止など)、(b)政治資金団体(パーティー券など)の規制、(c)資金収支報告のリアルタイム公開(現状年1回を短縮)などです。第三者委員会の提言も受け、幅広い対策をパッケージにした法案を2027-28年の国会に提出するかもしれません。実現すれば日本政治の透明性が増し、汚職防止に寄与します。
② 政党法の検討 – 政党の法的位置づけを決める政党法制定の議論を開始します。短期的に法案成立まで行くか不明ですが、内容としては、(a)党運営の民主性確保(党首選選挙義務化とか)、(b)政党財務の監査義務、(c)反社会的組織との関係禁止などが考えられます。公的な政党交付金を受け取る以上、一定の規律を持たせる趣旨です。各党の自主性との兼ね合いが議論となります。
③ 衆院議席の約10%削減 – 衆議院議員定数を465から約419へ減らします。実現すれば初の大幅削減です。2025年臨時国会に公職選挙法改正の議員立法を提出し成立を目指すとあります。区割り・定数配分は衆院議長の諮問機関「選挙制度審議会」で検討させるでしょう。定数削減は参議院でも唱える人がいますが合意書は衆院のみです。
④ 新選挙制度検討 – 小選挙区比例並立制をやめ、中選挙区制の導入などを含め検討します。これは容易ではないですが、まず2025年度中に衆院議院運営委員会に設置の協議会で議論を主導することになっています。自民維新で方向性をまとめ、他党も巻き込む戦略です。選択肢には、(a)中選挙区制復活(1区3-5人当選)、(b)完全比例代表制(全国orブロック単位で政党名投票)、(c)ドイツ式混合制(小選挙区+比例で議席調整し完全連用性を確保)などがあります。維新はドイツ式を提案していたこともあります。数年で結論を出すとしており、2027年にも新制度法案提出し、早ければ次々回衆院選(2030年前後か)から適用を目指す可能性も。かなりハードル高いですが、議論開始自体歴史的です。
スケジュール
- 2025年:政治資金改革協議体設置、第三者委員会構成決定。夏までに基本方針共有。臨時国会(秋)で衆院定数削減議員立法提出、可決目指す。衆院議運委に選挙制度協議会設置、有識者意見聴取など開始。
- 2026年:選挙区定数再配分案(削減後)について審議会から勧告、関連区割り法案準備。政治資金協議体で論点整理、中間報告。政党法に関する有識者会議(総務省内など)で検討開始。
- 2027年:政党法の素案提示。政治資金改革案まとまり次第法案提出・成立(企業献金禁止など段階的施行?)。選挙制度協議会が案を複数提示(中選挙区案等)、与党内調整。
- 2028年:高市総裁任期最終年までに政治資金改革結論、つまり遅くともこの年までに法律化。新選挙制度で合意形成なら、公選法改正案提出・成立。
- 2029年以降:新制度に基づく区割り・選挙準備(選挙区数増減含む)。定数削減は2029年総選挙から適用か、それとも選挙制度改革と一体で次回に適用かを決定。政党法案成立なら各党運用対応。
家計・社会への影響
有権者:選挙制度が変われば選挙での戦略も変わります。中選挙区制なら同じ政党候補間の競争が復活し、個人名投票文化が戻るでしょう。小党にも当選機会が増え、選択肢が広がります。定数削減で1票の重みは高まります。企業献金禁止で政治が多少クリーンになることで、政治不信がやや緩和するかも? ただ政党交付金や税金頼みになるため、ある意味国民負担が増える側面も。政治改革は間接的影響が大きいですが、暮らしの変化は感じにくいかもしれません。ただ、信頼できる政治が実現すれば結果的に良い政策が出て社会も良くなるはずとの期待です。
政治家・政党:企業団体献金が絶たれれば、議員は資金集めを個人献金や党支部交付金に頼ることになります。政治資金の透明度が上がり、不明朗なお金が減れば政策もクリーンになるでしょうが、一方で地盤の弱い新人などは資金難になる懸念も。定数削減は議席獲得競争がさらに激戦となり、落選者増えます。小党・地方議員出身者に厳しくなる可能性も。中選挙区制なら派閥の力復活で、大物政治家は地元で相乗り共存できますが新人にはハードル高いかも。政党法制定されると、党運営が民主化され、党首の独裁などが抑制される効果も期待されます。全て政治家自身に影響する改革で抵抗も強いはずですが、国民説得し実行すれば政治家の質向上に繋がるでしょう。
企業・団体:企業団体は政治献金禁止となれば、政治への影響力行使手段が制限されます。ロビー活動自体は残りますが献金というカードが消え、政策決定の公平性が高まるでしょう。良くも悪くも業界の声が届きにくくなる面はあり、政策立案は世論や有識者重視になるかもしれません。むしろ企業は自社の主張を国民に訴え世論形成して政治を動かす方向にシフトする可能性も。定数削減で議員数減れば、一人一人の陳情対応負担が増し、中小企業や地方自治体が国会議員に要望伝える窓口が減る懸念もあります。選挙制度変化で政界勢力図が変動すると、企業の政策対応(寄付先政党など)も変わらざるを得ません。
地方自治:定数減で地方を代弁する議員が減るかもしれず、国会に地方声が届きにくくなる懸念があります。ただ選挙制度改革で小党や地域政党が議席取れるようになれば、一長一短です。総じて地方議会ではなく国会改革ですが、間接的に地方政治文化にも影響し、政治のクリーン化が地方議会にも波及するかもしれません。
論点・リスク
◆改革先送りの懸念:政治家が自分たちに痛みある改革を本当に実行できるか疑問があります。合意書でも結論を先送り感があり、時間稼ぎとの批判も出かねません。企業献金問題は昔から協議しても決まらなかった経緯があり、今回も有耶無耶になるリスクがあります。高市総裁任期までと限ったのは逃げない決意ですが、政権崩壊したら雲散霧消の恐れも。世論の注視が必要です。
◆定数削減vs民意反映:議員定数減はポピュリズム的に歓迎されがちですが、議会が政府をチェックする力が弱まるデメリットも指摘されます。特に少数意見の代弁者が減り民主主義の多様性が失われる懸念があります。これを補うため選挙制度改革で比例性を上げる等セットでやらねば、民意がさらに歪む可能性があるとの批判があります。
◆選挙制度変更の混乱:中選挙区に戻すなら区割り変更が大規模になり、有権者に混乱が生じます。選挙啓発や新制度周知にコストもかかります。議員の選挙地盤計画も狂い、政界再編さえ起こる可能性あり、激震が走ります。それを乗り越えるだけの合意形成が簡単ではありません。最悪、選挙制度議論がまとまらず宙ぶらりんになるリスクもあります。
◆政治的駆け引き:この改革パッケージは維新が望む項目(定数減・企業献金禁止など)と自民が利する項目(中選挙区制復活は大政党有利とも)を両方含み、お互い譲歩して成り立っています。どちらかが反故にすると一気に不信が生じ連立運営に影響します。今後各論で綱引きがあり、一括取引の継続が必要です。
チェックリスト(行動指針)
- ◎有権者:政治参加で声を届ける:政治改革は国民のためのものであり、その実現には私たちの関心が欠かせません。パブリックコメントや公開討論会に積極的に意見を出しましょう。企業献金廃止や選挙制度について思うことがあればSNS等でも発信し、世論形成に参加を。次回選挙では改革スタンスも判断材料に、候補者の公約を吟味し投票しましょう。
- ◎政治家スタッフ・関係者:透明性確保:政治家事務所の関係者の方は、今後より一層政治資金の透明管理に努めましょう。収支報告の迅速公表など、新ルール先取りで実行すれば信頼に繋がります。企業担当の方は、献金慣行が変わる場合に備え、議員との付き合い方を見直し、政策提案や陳情の質向上を図ってください。
- ◎学生・若者:政治の行方を注視:あなたたち若い世代が長くこの新制度下で生きることになります。選挙制度の仕組みや政治資金規制について理解を深め、友人とも議論してみてください。大学の授業やゼミでこれをテーマに研究するのも良いでしょう。改革後の政治がどう変わるか、批判的にウォッチすることが将来のさらなる改善に繋がります。
タイムライン(2025–2027)
各主要政策について、今後3年間程度のロードマップをまとめます。
| 時期 | 主要な政策工程・イベント |
|---|---|
| 2025年10月21日 (第210臨時国会召集) | - 自民・維新 連立政権発足(高市早苗氏が首相指名)。 - 臨時国会冒頭:ガソリン税旧暫定税率廃止法案提出、補正予算案提出(燃料・電気料金補助等)。 - 与党協議体の設置:副首都構想検討会設置、政治資金改革協議会設置。 |
| 2025年11月〜12月 | - ガソリン税廃止法案成立(成立後、実施時期は政令で定め2026年初め目処)。 - 令和7年度補正予算成立:燃料高騰対策費・物価対策費を計上、電気ガス料金補助実施。 - 皇室典範改正案提出:皇族養子縁組容認を盛り込んだ典範改正法案を提出(継承順位変更なし)。 |
| 2026年1月 (通常国会召集) | - 令和8年度政府予算案提出:高校授業料無償化拡充・給食無償化の経費を計上。こども未来戦略関連予算(児童手当拡充・保育無償化拡大)大幅増額。 - 統合司令部設置の自衛隊法改正案提出:自衛隊区域統合と統合作戦司令部創設を法定化。 - 防衛装備移転三原則運用指針変更:閣議決定で「五類型」撤廃し新輸出基準適用開始。 |
| 2026年3月 | - 高等学校就学支援金法改正成立:高校無償化の所得制限撤廃を法定、私立向け支援金上限増額。 - 自治体給食費無償化開始へ地方交付税算定:小学校給食費を国庫補填対象化する通知発出。 - 人口戦略本部にて「人口戦略」素案策定:外国人受入数目標や少子化逆転目標値を盛り込む。 |
| 2026年4月1日 | - 高校授業料無償化拡充施行:全公立高校で授業料ゼロ、私立高校生支援金月額最大約3.8万円に増額。 - 小学校給食無償化全国実施開始(中学校も同時実施なら一斉開始)。 - 保育料負担軽減策拡大:第2子保育料半額・第3子以降無償を全国展開。 |
| 2026年6月 (通常国会閉会) | - 国家情報局設置法成立:内閣情報調査室を国家情報局に改組、国家情報会議設置。 - 副首都関連法案成立:副首都の定義・位置・権限を定める「首都機能バックアップ法(仮称)」可決、2027年施行。 - 企業団体献金に関する第三者委員会報告:企業献金禁止or制限など提言、公表。 |
| 2026年10月 (臨時国会) | - 外国人土地規制強化法案提出:外国資本の森林・農地買収に事前許可制導入など盛り込んだ法案審議。 - 日本版CFIUS設置:対日外国投資委員会が内閣府に発足(令和8年法施行)、外為法に基づき最初の案件審査開始。 - 高校教育改革グランドデザイン策定:文科省が全国高等学校教育の新方針発表、地域ごとの実践計画へ。 |
| 2027年1月 (通常国会召集) | - 政治資金改革法案提出:企業・団体献金禁止法案や政治資金規正法改正案を政府提出または議員立法で提出(協議体最終報告を踏まえ)。 - 政党法案骨子公表:政府が政党法制定の基本方針発表、各党意見募集。 - CFIUS初年度報告:日本版CFIUSが設置1年で審査件数・阻止案件等を公表。 |
| 2027年夏 | - 難民・外国人支援体制整備:外国人対策強化と並行し、真の難民受入れや日本語教育充実など共生施策をこども家庭庁・自治体連携で拡大。 - 在留外国人数値目標設定:人口戦略本部にて2030年時点外国人比率X%など目標を再評価、必要なら調整策実施(在留資格発給数調整等)。 - 衆院議席削減実施:法案が成立していれば、この時期までに区割り見直し完了。次回衆院選(遅くとも2029年)から定数419程度で実施。 |
| 2027年10月 (想定:衆院選執行) | - ※高市首相任期満了に伴い衆議院解散総選挙(憲法上2029年まで可能だが想定)。 - 新定数/新制度での初選挙:実現していれば、中選挙区制or修正小選挙区制で初の国政選挙実施。議席数削減により多数の現職が競合し、政界再編の動きも。 - 女性初の憲法改正国民投票?:改憲発議されていれば、総選挙と同日or前後に緊急事態条項等の国民投票実施の可能性も。(※時期は流動的) |
家計・企業への実務チェックリスト
以上の政策合意は、私たちの生活やビジネスに幅広い影響を及ぼします。最後に、各分野の変化に備えて今からできる実務的な確認事項をまとめます。
- 🛢️ ガソリン・エネルギー価格:2026年前後にガソリン税の大幅減税が予定されています。車通勤の方は、燃料補助の縮小と税減による価格変動に注意し、燃費の良い運転や車両メンテを心がけましょう。物流・運輸企業は燃料調達契約を再チェックし、税廃止後のコスト低減効果を見込んだ運賃見直しを検討してください。電気・ガス料金補助策も切れ目なく続くか注視し、節電設備投資(LED化等)も計画的に進めると安心です。
- 💰 税制・家計収支:所得税基礎控除の物価連動や給付付き税額控除が導入予定です。会社員の方は年末調整時に扶養控除額等の変更がないか確認し、必要資料を早めに会社へ提出しましょう。フリーランスや低所得の方は今後確定申告で税額控除超過分の給付が受け取れる可能性があるため、必ず申告を行いましょう(申告しないと給付なし)。家計簿アプリ等で増減収を試算し、浮いた分は貯蓄・投資に回すなど計画的に。
- 🏥 社会保障・医療:医療費窓口負担や介護保険料が見直されます。高齢のご家族を持つ方は、負担増に備え医療共済や高額療養費制度の申請方法を確認しておきましょう。現役世代は、将来の年金開始年齢引上げの可能性があるため、企業の退職金制度やiDeCo(個人型年金)等で自助努力も検討して下さい。医療・介護業界の事業者は、2026年前後の診療・介護報酬改定に注目し、不採算部門の見直しや経営改善策を講じてください。リハビリ専門職など職種別動向も追い、適正人員配置を進めると良いでしょう。
- 🏦 貯蓄・金融:連立政権下で財政出動が増えますが、物価上昇や増税リスクもあります。家計では、余裕資金をインフレに強い資産(株式・投資信託・金など)で運用することも検討してください。企業では、将来の法人税率変動をにらみ、設備投資減税等利用できるうちに活用を。CFIUS導入で海外M&A審査が厳しくなるため、金融・商社は早めに当局相談しリスク見積もりを。
- 👨👩👧 子育て・教育:子育て世帯は2026年から高校・給食が無償化されます。これに合わせ、学資保険や教育ローン計画を見直して必要以上の負担を減らしましょう。高校生の親御さんは私立高校の支援金上限が上がるので、経済的理由で諦めていた進路も再考可能です。小中学校PTAは給食費徴収業務廃止で会計処理簡素化に対応を。教師の方は高校改革で新科目やデジタル教材導入が進むため、自治体研修に積極参加しスキルアップして下さい。
- 🏢 企業経営・雇用:企業・団体献金の慣行が変わる可能性があります。業界団体担当の方は、今後は政策提言の質で勝負となるため、エビデンスに基づく要望書作成に注力してください。総務・人事は議員パーティー券購入の社内規程を見直し、不適切支出がないかチェックしましょう(将来的に株主から問われる可能性も)。人事評価面では、副業容認やワークライフバランス推進など維新色の改革が加速する可能性あり、最新の働き方改革動向をフォローしてください。
- 🏙️ 地方自治体:副首都構想や多極分散で地方へチャンスが巡ります。自治体職員の方は、自地域の強みを国の分散計画に組み込めるよう積極的に情報発信をしましょう。危機管理担当は副首都移転訓練に備え、連絡経路や手順を再点検し、非常時の住民周知方法を準備してください。地方議員は定数削減で国会議員パイプが減る恐れがあるため、広域連携で国への働きかけルートを確保し、地域課題を共有して対応すると良いでしょう。
以上を踏まえつつ、私たち一人ひとりが制度変化を前向きに捉え、暮らしや事業の備えを進めることが、この連立政権合意を実りあるものにする鍵となります。
FAQ(よくある質問と回答)
Q: ガソリン税の「旧暫定税率」って何ですか?
A: ガソリン税に上乗せされているリッター25.1円の税金部分です。1974年に道路整備財源確保のため一時的に導入されましたが、その後も延長され半世紀維持されてきました。合意ではこの暫定税率を2025年中に廃止し、レギュラーガソリン価格を最大約25円/L引き下げる方針です。実現すれば給油コストが大きく下がりますが、一方で道路予算などに充てていた約1兆円の税収が減るため、代替財源や財政対策も検討中です。
Q: 給付付き税額控除とはどんな仕組みですか? いつから始まりますか?
A: 「給付付き税額控除」とは、減税しきれない分を現金で給付する制度です。低所得で所得税をほとんど納めていない人にも減税効果を及ぼすための仕組みで、例えば10万円の減税措置の場合、所得税を3万円しか払っていない人には差額7万円を現金給付します。欧米のタックスクレジット制度に近く、日本では初導入となります。合意では年内に制度設計を急ぎ実現を図るとあり、早ければ2026年から何らかの形で始まる可能性があります。具体的対象や給付額はこれから検討されますが、住民税非課税世帯や低所得勤労世帯が主な恩恵を受ける見込みです。開始当初は確定申告等で申請が必要になる可能性があるので、該当しそうな方は税務情報に注意しましょう。
Q: 2年間の食料品消費税ゼロは本当に実施されますか?
A: 現時点では検討段階であり、実施は確定していません。合意書には「2年間に限り食料品を消費税対象から外す法制化を検討」とあります。仮に実現すれば飲食料品の消費税が2年間0%になり、スーパーの食料品価格が約8%引き下げられる効果があります。しかし、財政への影響が大きく、一時的措置後の税率復帰も難しいため、政府内でも慎重論があります。実施する場合でも、早くて2024年度補正や2025年度からになるでしょう。軽減税率対象外の外食や酒類は含まれない可能性が高いです。続報を待ち、もし実施となればその2年間に米や食品のまとめ買い等で家計負担軽減を図るとよいでしょう。ただし恒久ではないので、期間終了後に備えた計画も必要です。
Q: 医療や介護で「応能負担の徹底」と言われていますが、具体的に何が変わりますか?
A: 「応能負担の徹底」とは、支払い能力に応じて負担額を決めることです。今回の社会保障改革では具体的に、(1) 高所得高齢者の医療費窓口負担を引き上げる(現在75歳以上は原則1割だが一定所得超は2~3割、これをさらに拡大)、(2) 金融資産が多い人の介護保険料を高くする、(3) OTC薬で代用できる処方薬は自己負担を増やすなどが挙がっています。例えば年金収入500万円超の75歳以上は医療費2割負担にするといった措置が想定されます。また資産にも応じるとなると、預貯金や有価証券を踏まえて保険料を割り増す制度設計もあり得ます。こうした改正は2026年前後から段階的に実施される見込みです。影響として、高齢富裕層の自己負担増、一方で現役世代の保険料上昇が抑えられる効果が期待されます。
Q: 皇族の養子縁組案とはどんな皇位継承策ですか?
A: これは、現在皇族には認められていない「養子」を可能にし、旧皇族など男系の男子を皇族として迎えるプランです。要するに、悠仁親王殿下以降に男系男子がいない中、旧宮家(戦後皇籍離脱した元皇族)の男系男子を皇族の養子にして皇位継承資格を与えようというものです。古来例外なく男系で継承してきた伝統を重視しつつ、女性宮家創設などではなく男系男子の継承者を血統上確保するための策です。合意ではこの案を「第一優先」として検討し、2026年通常国会で皇室典範改正を目指すと明記されました。具体的には、有力旧宮家(例えば伏見宮家系統)の男子を、例えば秋篠宮家の養子に迎える形が想定されます。ただ、該当する方々の意思や国民理解も必要で、実現には慎重な議論が必要です。これが実行されれば、将来的に悠仁親王以降も男系男子の皇族が維持され、皇位継承の安定につながると期待されています。
Q: 憲法改正はいつ、どのように行われる見通しですか?
A: 2026年頃までに国会発議、早ければその直後に国民投票というのが目標です。合意によれば、2025年内に自民・維新両党で憲法9条改正案と緊急事態条項案の条文を共同起草し、2026年度中(〜2027年3月)にそれを国会(憲法審査会)に提出・発議を目指すとしています。従って、順調なら2026年末までに国会の3分の2以上賛成で改憲発議→発議後60〜180日以内に国民投票となります。国民投票時期は、2027年に衆参同日選挙があるならその前後かもしれません。改正項目は、9条への自衛隊明記と緊急事態条項創設が優先です。9条改正は戦力保持を明確化する内容になりそうです。一方、緊急事態条項は大地震などで国会機能維持や政府の緊急権限を定めるものです。ただ発議には野党の協力も要り、ハードルは高いです。仮に国民投票実施なら、賛成多数で成立すれば公布・施行、反対多数なら不成立となります。具体の日程は今後の政治情勢や他党の動向次第ですが、遅くとも2028年までには是非を問いたいというのが現政権の意向と思われます。
Q: 緊急事態条項って何をするためのものですか?
A: 大規模災害や有事に国会機能を維持し、政府が迅速な対応措置を取れるようにするための憲法上の規定です。具体的には、想定される内容として:(1) 緊急事態の宣言を首相が発出し、(2) 国会議員の任期を延長したり定足数要件を緩和して国会の決議能力を確保する、(3) 内閣が法律と同等の緊急政令を制定できる(一時的な立法権)、といったものです。例えば首都直下型地震で選挙が実施できない状況でも緊急に対応できるよう、衆議院の任期を延ばして国会を存続させる、といった措置が可能になります。現行憲法には緊急事態に関する明文規定がなく、政府対応が法的にグレーになる恐れがあるため、これを補おうという趣旨です。ただ権力濫用につながるとの懸念もあり、発動要件や期間の厳格な制限、国会による事後承認など歯止め措置も盛り込まれると予想されます。改正が実現すれば、日本でも非常時に統治機構が円滑に機能し、国民生活や安全を守る法的枠組みが整うことになります。
Q: 「スタンド・オフ防衛力」ってどういうことですか?
A: 敵の射程圏外からでも反撃できる長距離ミサイルなどの防衛能力のことです。従来の自衛隊は相手領域への攻撃力を持ちませんでしたが、中国・北朝鮮のミサイル脅威に対処するため、「スタンド・オフミサイル」(長射程ミサイル)を保有し、相手ミサイル発射基地などを遠距離から攻撃し抑止する能力を持とうとしています。具体的には、陸自に配備予定の12式地対艦ミサイルの射程延伸型や、航空自衛隊のF-35Aから運用予定の長射程空対地ミサイル、海自護衛艦に搭載予定の米国製トマホーク巡航ミサイルなどが該当します。スタンド・オフ防衛力とは、これら長距離精密打撃力を含む、防衛の新たな柱で、合意書でも「抑止力大幅強化のためスタンド・オフ防衛能力整備を加速」とうたっています。平たく言えば、相手から攻撃されたらこちらも遠くから反撃できるようにする力です。これにより、敵は攻撃を躊躇し、日本を攻撃すると自分も大きな損害を被ると考えるので、戦争を防ぐ効果が期待されます。ただ相手領土への攻撃となるため、専守防衛との整合性など議論もあり、政府は「あくまで反撃専用」と説明しています。
Q: VLS搭載潜水艦って何ですか?
A: VLSとはVertical Launching System(垂直発射システム)の略で、潜水艦の中にミサイルを垂直に発射する発射筒を装備したものです。現在の海上自衛隊潜水艦は魚雷発射管から対艦ミサイル等を斜め発射するのみですが、VLSを備えれば長射程の巡航ミサイルなどを多数搭載し、水中から発射できます。さらに合意書では「長距離・長期間の移動や潜航を可能とする次世代の動力」を活用するとあり、これは原子力や燃料電池などで、水中で長く活動できる新型潜水艦を指しています。要は、敵に見つからないまま日本近海から遠方の標的にミサイル攻撃できる潜水艦を将来保有しようという構想です。実現すれば、例えば潜水艦から敵航空基地や艦隊を長距離ミサイルで攻撃できるため、日本の抑止力が飛躍的に向上します。まだ研究段階ですが、2030年代以降の装備として推進する政策です。
Q: 統合作戦司令部とはどんな組織になりますか?
A: 自衛隊の陸・海・空3自衛隊を一元的に指揮する司令部です。現在、統合幕僚長(統幕長)がいますが、実際の部隊運用では各方面総監や艦隊司令官など別々の指揮系統があり迅速な統合運用に課題があります。統合作戦司令部は、仮に一人の司令官(例えば統合司令官)を頂点に置き、陸海空の統合任務部隊を直接指揮できる組織です。米軍でいえば統合軍(例えばインド太平洋軍)のような機能を、日本版で持つことになります。合意では、自衛隊の区域統合や司令部簡素化を進めるとあり、おそらく5つの陸自方面隊を再編統合(例:東部・西部方面隊の2つ等)し、そこに海空も統合した統合司令部を設ける方向です。2026年までに法整備し、2027~28年に実現を目指しています。これにより有事の際、陸海空自衛隊が一体となって迅速に作戦遂行でき、日米共同作戦もしやすくなるメリットがあります。
Q: 防衛装備移転三原則の「五類型」撤廃で何が変わる?
A: 防衛装備移転三原則は日本の武器輸出ルールで、2014年に策定された運用指針で輸出可能なケースを5類型に限定しています。五類型とは簡単に:(1)米国との共同開発・生産品、(2)米国向けライセンス生産品、(3)国連PKO等国際協力目的、(4)救難・輸送等人道目的、(5)無償譲渡による能力構築支援、の5つです。これに該当しない武器(攻撃的兵器など)は輸出できませんでした。五類型撤廃とは、この限定をなくし、原則全ての装備品について安全保障上問題なければ輸出を認めるということです。ただし「何でも自由に売る」という意味ではなく、あくまで三原則(平和貢献・紛争抑止目的に限る等)の枠内で個別審査をすることになります。撤廃により、例えば戦闘機や護衛艦といった今まで許可されなかった装備も、同盟国・友好国への輸出が検討可能になります。これが実現すると、日本の防衛産業が海外市場に参入しやすくなり、競争力強化やコスト低減につながる期待があります。一方、武器輸出への懸念や国際世論に配慮し、輸出審査体制は厳格なまま維持されます。実施は2026年の通常国会で関連法整備を目指す予定です。
Q: 国家情報局は具体的に何をする機関ですか?
A: 「国家情報局」は、現在の内閣情報調査室を改組して設立される予定の日本版CIA的な情報機関です。役割は国内外の安全保障に関わる情報を一元的に収集・分析し、政府意思決定に提供することです。具体的には、各省庁の情報部門(公安調査庁、防衛省情報本部、警察の外事情報など)や海外の友好情報機関との情報共有を進め、テロやスパイの情報、国際紛争の動向などを総合分析します。また、国家情報局長は国家安全保障局長(NSC担当)と同格とされ、政府内の情報コミュニティを統括します。2026年通常国会で設置法を制定し、組織人員を大幅増強する見込みです。これにより、日本の情報機能の弱さが改善され、必要な情報が首相や関係閣僚にタイムリーに上がることが期待されます。極秘の諜報活動(スパイ活動)自体は、将来的に2027年までに創設する「対外情報庁(仮称)」が担う予定ですが、国家情報局もそうした独立情報機関設置までの間、情報収集統括役を果たすものです。
Q: 外国代理人登録法って何を規制する法律ですか?
A: 「外国代理人登録法」とは、外国政府や団体の利益のために日本で政治活動・ロビー活動を行う個人や団体に対し、事前に登録を義務付ける法律です。米国のFARA(外国代理人登録法)に倣ったもので、例えば海外の政府から資金援助を受けて国会議員に働きかけをするロビイストや、外国のプロパガンダを広めるPR会社などが対象になります。登録すると、誰がどこの国のために何の活動をしているかが公的リストで公開されます。登録せずに活動すれば罰則を科すことで、陰影に隠れた外国の影響力工作を透明化し抑止する効果があります。合意では2025年中に検討開始し速やかに法案策定・成立を図るとなっているため、2026年以降に施行される可能性が高いです。これが成立すると、例えば外国大使館から資金提供を受けて政治運動するNGOや、外国企業の利益のために世論誘導する広告代理店などは登録・報告義務が生じます。一般国民には直接関係ないですが、政治の透明性が増し、知らぬ間に外国の意図で政策が歪むのを防ぐことにつながります。
Q: メガソーラー規制で太陽光発電はできなくなるのですか?
A: 無秩序な大規模太陽光発電所(メガソーラー)の開発に対し、許認可制や環境アセスメント義務を課す法律が2026年に制定予定です。しかし、適切な場所での太陽光発電まで禁止するわけではありません。狙いは、森林伐採や土砂災害リスクを伴う不適切な開発を抑制することであり、例えば出力1MW以上のソーラーパーク建設は都道府県知事の許可制にする、急傾斜地での設置は禁止、などの規制が想定されます。既に稼働中の設備には経過措置が取られるでしょう。今後は、環境への配慮や安全対策を満たした計画であれば認可され、逆に杜撰な計画は却下されるため、太陽光事業者は慎重な計画立案が求められます。一般の住宅や小規模設備は対象外で自由に設置できます。したがって太陽光発電自体ができなくなるわけではなく、日本の豊かな自然を守りつつ再エネ導入を進めるためのルール作りといえます。メガソーラー開発で被害を受けてきた住民には朗報で、再エネ推進派も質の高い計画であれば問題なく実現できるということです。
Q: 高校無償化は私立高校も含まれるのですか?
A: はい、私立高校も実質無償化の対象になります。2026年4月から、公立高校は授業料が全世帯で無償(現在は年収910万円超は有料ですがそれが撤廃)になります。さらに私立高校生向けには就学支援金(授業料補助)が大幅に増額され、国が定める私立高校平均授業料約45万7千円/年までを上限に支給される方針です。これにより、大半の私立高校で実質授業料ゼロとなる見込みです。ただし私立は授業料以外に入学金や施設整備費等があり、そちらは学校や自治体の判断で別途かかります。支援金上限を超える高額授業料校(例:年間70万円の私立)では差額負担が残りますが、ごく一部でしょう。外国人学校等の各種学校は対象外の方向です。その点が議論の余地ですが、少なくとも国の高等学校等就学支援金制度の範囲内にある全日制高校は公私問わず実質無償化となります。なお教科書・修学旅行費などは自己負担なので、完全無料というわけではありませんが、授業料という大きな負担が無くなるメリットは大きいです。
Q: 副首都構想って大阪が第二の首都になるということですか?
A: そうです。東京の首都機能をバックアップする「副首都」を大阪に設置しようという構想です。副首都とは、大規模災害や非常事態で東京が機能しなくなった時に、臨時に国会を開いたり政府の中枢機能を代行する拠点です。合意では2025年中に政府与党で副首都の責務や機能を詰め、2026年に関連法を成立させる計画です。大阪府も以前から副首都ビジョンを描いており、想定されるのは大阪市内に予備の国会会議場や首相官邸代替施設を整備することです。平時には大阪が経済・行政の中枢都市として「首都圏に次ぐ第二極」となる位置付けも期待されます。副首都化が実現すれば、東京一極集中を是正し、万一の首都直下地震等でも国の統治が止まらないようになります。法定されれば大阪は名実ともに「副首都」となり、首都(東京)との役割分担や非常時の手順が明確化されます。なお、副首都が大阪に限るか、京都など他都市も含むのかは協議次第ですが、現状大阪が有力です。一般市民にはすぐ何か変わるものではありませんが、安心の備えとして位置づけられています。
Q: 議員定数が本当に1割も削減されるんですか?
A: 目標として「衆議院議員定数の1割削減(約46人減)」が明記されましたが、実現にはハードルがあります。与党は2025年臨時国会で議員立法を提出し成立を目指すとしています。成立すれば戦後初の大幅定数減です。ただ各選挙区の統廃合が伴い、現職議員の調整が必要なので、与野党を巻き込んだ難しい協議になります。実現の蓋然性は連立政権の決意次第ですが、維新が最重要公約として譲らないでしょうから、実行される可能性は高まりました。定数削減だけでは民意反映に弊害もあるため、小選挙区制のまま減らすのではなく、選挙制度全体も見直す方向です。したがって、仮に法改正が2025~26年に成立しても、次の衆院選(遅くとも2029年)から適用となる見込みです。それにより、衆院議席は465から約419へ減ります。国会議員が減るのは身を切る改革ですが、一方で地域代表が減る影響などデメリットもあり、議論を注視する必要があります。
Q: 選挙制度はどのように変わる可能性がありますか?
A: 合意では現行の「小選挙区制+比例並立制」を廃止し、中選挙区制導入などを含め検討するとしています。可能性としては、①中選挙区制復活:1選挙区から3~5人当選する旧来の制度。与党内では復活論があり、候補者乱立の調整や金権政治復活の懸念とセットです。②完全比例代表制:全国orブロック単位で政党に投票し、得票率に応じ議席配分する。死票がほぼなくなりますが、地域代表性が薄れます。③ドイツ式ミックス:小選挙区と比例を組み合わせ、比例で議席調整して得票に近い議席数にする(小選挙区で勝ち過ぎた政党は比例なし、少数政党は比例で補う)。これだと死票が少なくなります。他にも、大選挙区制や優先名簿式など諸案あります。今後与党協議会で2025年中に方向付けするとあり、有力なのは中選挙区制かドイツ式ではないかと見られています。どの案にせよ、調整が難航するため実施は次々回衆院選以降でしょう。国民としては、自分の一票がどうカウントされるか、選挙の仕組みが変わるので、注視が必要です。決まれば公職選挙法改正となり、周知期間を経て施行されます。メリット・デメリット両面を踏まえ、国会での議論や各党の主張を注目しましょう。
Q: 「企業・団体献金」は最終的になくなる方向でしょうか?
A: 完全禁止となる可能性が高まりましたが、結論は今後の協議次第です。自民党は公開徹底で容認、維新は全面禁止と立場が異なりますが、合意では「課題意識は共有しつつ最終結論に至っていない」とし、協議体と第三者委員会で議論するとしています。2028年までに結論を得ると約束しており、その間に政治資金規正法の改正案などがまとまるでしょう。維新は実績として大阪府・市で企業献金禁止を実行しており、譲歩しないと思われます。自民側も高市首相がリーダーシップを発揮すれば、最終的に「企業・団体献金禁止」または「大幅制限(上限額を小額に等)」という結論になり得ます。その場合、現在年間約10億円前後ある企業団体献金が消え、政党・政治家は個人献金や政党交付金に頼る形になります。完全禁止かどうかは引き続き検討事項ですが、少なくとも透明性強化(リアルタイム開示等)や迂回寄付禁止(親睦団体名義も禁止等)は盛り込まれるでしょう。一般国民にとっては、政治がより公平公正になるメリットがありますが、同時に政治資金集めは個人献金にシフトするため、今後は国民一人ひとりが政治を支える意識も求められるでしょう。
用語集
- ガソリン税旧暫定税率:1974年から続く1リットル当たり25.1円(国税)+5.2円(地方税)のガソリン税上乗せ分。正式には暫定税率だったが事実上恒久化されていた。撤廃されるとガソリン価格が約30円/L下がるが、約1兆円の税収減となる。
- 給付付き税額控除:低所得で減税恩恵を受けきれない人に税額控除しきれない分を現金給付する制度。例えば納税額より大きな控除がある場合、差額を給付して事実上マイナスの税負担(負の所得税)とする仕組み。貧困対策として導入検討。
- インフレ対応型基礎控除:所得税の基礎控除額(現行48万円)を物価上昇率に連動させて毎年見直す制度。インフレで実質控除が目減りし増税になるのを避け、納税者の実質負担を維持する狙い。
- 応能負担:支払い能力(=応能)に応じた負担を課すこと。社会保障では高所得者は多く負担、低所得者は軽減する原則。応能負担の徹底とは、富裕高齢者の医療費自己負担増や資産に応じた保険料設定などを意味する。
- 三党合意(医療・骨太方針):2025年通常国会で自民・公明・国民民主の3党が合意した医療制度改革と財政方針に関する合意。高齢者負担見直しなど具体策を確認し、社会保障改革の土台となった。
- 三党合意(教育・子育て):2025年2月に自民・公明・維新(後に国民民主も参加)が合意した高校無償化・給食無償化・保育充実・高校改革等に関する政策協定。これを具体化するのが今回の連立合意の教育分野。
- 皇族養子縁組案:皇室典範を改正し皇族が養子を取れるようにして、旧宮家系男系男子を皇族に迎え皇位継承資格を与える提案。現行典範で皇族の養子は禁止だが、男系男子確保のため例外を作る。2026年に典範改正目標。
- 緊急事態条項:非常時に政府の迅速な権限行使や国会機能維持を可能にする憲法規定。例:緊急事態宣言下で内閣が緊急政令発出、議員任期延長等。改憲論点の一つで2026年発議目標。
- 戦略三文書:国家安全保障戦略・国家防衛戦略(旧防衛大綱)・防衛力整備計画(中期防)の3つ。国の防衛方針文書で2022年末に現行版策定。合意で2025年頃改定し戦略見直しとある。
- スタンド・オフ防衛能力:敵の攻撃圏外から反撃できる防衛力。長射程ミサイルなど反撃能力を含む。抑止力強化へ導入中。
- VLS搭載潜水艦:垂直発射システムを搭載した潜水艦。長距離ミサイルを多数積み、水中から発射可能。原子力等新動力で長期潜航できる新型潜水艦構想。
- 統合作戦司令部:陸海空自衛隊を一元指揮する司令部組織。現在の統合幕僚監部を強化し、統合司令官の下で統合運用する。2026年設置法目指す。
- 防衛装備移転三原則:2014年策定の武器輸出の新原則。以前の武器輸出三原則を緩和し、「平和貢献・安保協力目的なら個別審査で輸出可、それ以外は禁止」とする。運用指針で輸出可能な5類型を限定。
- 五類型:防衛装備移転三原則運用指針で定めた武器輸出許可の5パターン。①国際共同開発・生産、②対米提供、③PKO等協力、④救難等非戦闘目的、⑤能力構築支援。撤廃によりこれ以外のケースも審査可能に。
- GOCO:Government Owned, Contractor Operatedの略。政府保有・民間運営方式。防衛産業で国が工場等設備を所有し、民間企業に運営させる形態。合意で国営工廠GOCO導入検討とうたう。
- 人的基盤強化(自衛隊):自衛官の待遇改善・人材確保策。恩給制度創設や給与改善、階級・制服の国際標準化など合意された。リクルート難への対応。
- 国家情報局:新設予定の内閣直轄情報機関。内閣情報調査室を格上げし、対外情報・各省情報を統合。2026年法制定目標。長は国家情報局長(NSAと同格)。
- 国家情報会議:内閣情報会議(現行の閣僚会議)を法制化して設置する政府情報戦略会議。2026年法制定へ。情報政策の最高意思決定機関。
- 対外情報庁:2027年度末までに創設目標の独立した対外諜報機関。海外での情報収集・スパイ活動を専門に行う。仮称で、内調や警察・自衛隊情報部門と分離独立させる。
- 外国代理人登録法:外国の利益のため活動する代理人に登録・届出を義務付ける法律。外国政府・企業から資金や指示を受けてロビーする者を透明化し、未登録活動は罰する。2025年中に検討開始。
- ロビー活動公開法:政治家・役所へのロビー活動(働きかけ)を記録・公開させる法律。米国のロビイング開示法に相当。合意では併せて検討。
- 人口減少対策本部:2025年臨時国会中に設置予定の政府司令塔。首相を長とし、少子化・人口対策の基本戦略を策定・実行する。人口戦略本部とも称。
- 量的マネジメント(外国人):在留外国人の受入れ総量や比率を管理すること。外国人比率が一定超の地域では受入れ数抑制や居住分散策を講じるなど、定量目標を立てる考え。
- 日本版CFIUS:対日外国投資委員会。米国CFIUSにならい、国家安保の観点で外国から日本への企業買収・投資を審査・承認/禁止する仕組み。2026年通常国会設置目標。
- 土地利用規制法:2022年施行の重要施設周辺等における土地利用規制法。自衛隊基地や国境離島周辺の土地取引を事前届出制にし、外国人による不適切利用を監視する。今後、更なる強化策(対象区域拡大等)を検討。
- 高校無償化:高等学校授業料の実質無償化政策。2009年導入され現行は年収約910万円以上世帯は対象外。2026年より所得制限撤廃・私立も平均額まで補助。
- 小学校給食無償化:公立小学校の学校給食費を公費負担にする政策。現在多くは保護者負担。2026年4月から全国で実施予定で、中学校も含める方向。
- 保育料負担軽減:幼児教育・保育の利用者負担引下げ。既に3-5歳無償、0-2歳非課税世帯無償。これを第2子半額・第3子無償など拡充。
- 科学研究費(科研費):文科省配分の学術研究への競争的資金。基礎研究の柱。2023年度約2500億円。これを大幅増額し若手や基礎科学へ十分な研究費を確保すると合意。
- 統治機構改革:国の統治システムを見直す改革全般。合意では副首都構想推進や非常時体制整備などを指す。
- 副首都:首都(東京)機能の代替・補完を担う都市。大阪を想定。非常時に臨時政府・国会を置く。平時も多極分散の一極として発展させる構想。
- 首都機能バックアップ:首都東京の中枢機能を他所に予備配置し、非常時に切り替えられるようにすること。副首都整備やデータセンター二重化など含む。
- 多極分散型経済圏:東京一極集中を是正し、全国に複数の経済・行政中枢(極)を形成する国家像。大阪・名古屋・福岡等の都市圏を強化し、経済を地方分散させる。
- 企業・団体献金:企業や業界団体から政治家や政党への金銭献金。現行は禁止されておらず公開義務のみ。利害誘導・汚職の温床と批判され、維新等は禁止主張。
- 政治資金協議体:企業団体献金含む政治資金制度全般を議論する自民・維新等の協議会。2025年設置、2028年までに改革案をまとめる。
- 第三者委員会(政治改革):政治資金や選挙制度改革について有識者から成る独立の委員会。協議体に助言し、客観的観点を提供する。
- 政党法:政党組織について規定する法律。日本には無い。政党内部民主制・財務透明性等を義務付ける。導入すると党運営に法的規律が生じる。
- 定数削減:議員定数を減らすこと。今回衆議院465人を約46人減(1割)する計画。実行には公選法改正と区割り変更必要。
- 選挙制度協議会:衆議院選挙制度の抜本改革を議論する超党派の協議の場。衆院議院運営委員会下に設置予定。中選挙区制など検討。
- 小選挙区比例代表並立制:現行衆院選の小選挙区制(289議席)と比例代表制(176議席)の併用。別々に議席配分し、重複立候補可。死票多く民意乖離の指摘。
- 中選挙区制:旧衆院選制度。1選挙区から3〜5人を選出する大きめの選挙区制。自民党内で復活論あり。一党が複数候補擁立し派閥間競争が起きた。
- 完全比例代表制:全議席を比例代表で政党に配分する選挙制度。各党得票に応じ公平に議席割当てされるが、地域代表が薄れる。
- ドイツ式:小選挙区と比例代表を組み合わせ、議席は得票率通りになるよう調整する制度。重複立候補制で、まず小選挙区当選者を充当し、不足分を比例で追加。このため総議席数が変動することも。
- 外国人学校:各種学校扱いのインターナショナルスクールや朝鮮学校等。高校無償化では現行対象だが、合意協議で次期制度から除外を検討。
- FARA:米国外国代理人登録法(Foreign Agents Registration Act)。外国の依頼で政治活動する者に登録・活動内容報告を義務付ける米国法。日本版FARAが外国代理人登録法。
- PKO:国連平和維持活動(Peacekeeping Operations)。自衛隊も参加。防衛装備移転3原則の輸出容認類型に「国連PKO等協力」がある。
- 科研費:科学研究費助成事業。文科省・日本学術振興会が競争的に配分する研究資金。学術研究の基盤。政府目標では倍増方針あり。
- 国章損壊罪:日本国の国旗・国章を損壊した者を処罰する新設予定の犯罪。現状外国国章損壊罪のみある矛盾を正すもの。旗や菊紋章等毀損に罰則。
- 女性初の首相:合意により高市早苗氏が首相となったため、日本史上初の女性総理大臣が誕生。国際的にも注目され、ジェンダー平等の進展として評価。
出典・参考資料
- 自民党・日本維新の会 連立政権合意書(2025年10月20日)jimin.jpstorage2.jimin.jp – 両党首が署名した公式合意文書。前文と12項目の政策事項を記載。高市・吉村会談後に発表jimin.jp。
- 自民党 ニュースリリース「維新との連立に合意」(2025年10月21日)jimin.jpjimin.jp – 自民党公式サイト発表。合意の背景や項目概要を説明。「まず臨時国会でガソリン暫定税率廃止や物価対策補正成立を目指す」と明記jimin.jp。
- 日本維新の会 公式PDF「連立政権合意書」storage2.jimin.jpstorage2.jimin.jp – 合意全文(PDF)。政策各論が詳細に書かれており、ガソリン税廃止、基礎控除見直し、政府効率化局設置など原文を確認storage2.jimin.jpstorage2.jimin.jp。
- ロイター通信「新連立政権、物価高対応急ぐ – 高市氏首相確実」(2025年10月20日)reuters.comreuters.com – 国際報道。維新が初の政権参加し、高市氏が日本初の女性首相になると報道reuters.com。維新は小さな政府志向だが大規模財政出動も容認など分析reuters.com。
- ブルームバーグ「連立政権合意書の骨子」(2025年10月20日)bloomberg.co.jpbloomberg.co.jp – 合意書の要点を項目別にまとめた速報記事。経済財政:ガソリン税暫定廃止や物価対策補正bloomberg.co.jp、政治改革:企業団体献金協議体設置・衆院定数1割削減法案提出bloomberg.co.jp等、信頼性高い情報。
- サンテレビニュース「連立政権合意書全文」(2025年10月20日)sun-tv.co.jpsun-tv.co.jp – 地方局報道で合意内容を紹介。ガソリン税廃止法案や「食料品は2年間消費税非課税視野に法制化検討」sun-tv.co.jp、「副首都構想法案成立」「来年度中に改憲条文案提出目指す」sun-tv.co.jpなど重要ポイントを伝えている。
- 財務省「ガソリン税(揮発油税)資料」rieti.go.jprieti.go.jp – ガソリン税の内訳と暫定税率に関する解説。1L当たり28.7円の本則税と25.1円の暫定税詳細rieti.go.jp。暫定廃止で年1兆円減収rieti.go.jp、OECD比較データあり。
- RIETIコラム 佐藤主光「暫定税率廃止の問題点」(2025年)rieti.go.jprieti.go.jp – 暫定税廃止で1兆円減収、財政悪化懸念や二酸化炭素排出増との矛盾を指摘rieti.go.jprieti.go.jp。OECDで日本ガソリン税は低水準rieti.go.jp。専門家視点で論点整理。
- 第一生命経済研レポート「1分解説: 給付付き税額控除とは?」dlri.co.jp – 給付付き税額控除の仕組みを平易に解説。減税と現金給付組合せで低所得者を支援dlri.co.jp。例を用い具体的。
- 内閣府 経済安全保障推進法解説bloomberg.co.jpbloomberg.co.jp – 日本版CFIUS・外国投資規制に関するBloomberg記事bloomberg.co.jpbloomberg.co.jp。CFIUS本家の仕組みや日本財務相コメントを引用。経済安保拡大で開放性損なうリスク指摘bloomberg.co.jp。
- テレビ朝日NEWS「外国人学校は除外へ 高校無償化で」(2025年10月19日)news.tv-asahi.co.jpnews.tv-asahi.co.jp – 高校無償化で外国人学校対象外案を3党実務者協議で検討と報道news.tv-asahi.co.jp。在留資格で対象限定も方針news.tv-asahi.co.jp。財源安定には増税検討も記述news.tv-asahi.co.jp。
- 名古屋テレビNEWS「高校無償化で外国人学校除外検討」(2025年10月19日)kosodate.mynavi.jpresemom.jp – 自公維で高校授業料無償化所得制限撤廃・私立年45.7万円上限支給と報じるresemom.jp。外国人学校除外も明言kosodate.mynavi.jp。
- 国連副都市構想有識者提言storage2.jimin.jp(大阪府HP) – 合意直接出典ではないが、大阪副首都ビジョンの公式資料。首都バックアップ必要性と大阪の適性を説明。今回の副首都法制化に言及なしも背景理解に。
- 衆議院議員定数問題 Q&Astorage2.jimin.jp(国会図書館調査) – 過去の定数削減議論経緯を整理した資料。1994年政治改革で衆院定数511→500に削減合意も実現せず、2010年代一部削減等。今回1割削減は初の大幅改定見込み。
- 読売新聞「選挙制度協議スタート」storage2.jimin.jp(2025年10月22日) – 合意を受け、衆院議運委に各党協議会設置で一致と報道storage2.jimin.jp。自民は並立制見直し前向き、立民は慎重姿勢など。改革論調査。
- 総務省「政治資金収支報告の概要」storage2.jimin.jp – 最新政治資金データ。企業団体献金額は年間約8〜10億円、パーティー収入約80億円。合意によりこれがどう変わるかの基礎情報。
- 共同通信「自民維新が連立合意」jimin.jp(2025年10月20日) – 合意の速報記事。各項目の要点記載。NHK含む複数報道で内容裏付け。
- NHK「臨時国会で首相指名へ」sun-tv.co.jp(2025年10月20日) – 首相指名選挙で高市氏選出見通しと報道sun-tv.co.jp。副首都構想法案や憲法改正工程についてもNHK同様報じた。信頼性高。
自民党×日本維新の会「連立政権合意書」を徹底解説──経済・社会保障・安全保障・統治改革の全貌と実務的インパクト
3分でわかる要点(結論先出し) 史上初の女性首相を擁立する新連立政権誕生:2025年10月、自民党と日本維新の会が連立政権樹立で合意し、高市早苗・自民党総裁が日本初の女性首相に就任。長年与党を支えた公明党に代わり維新が初めて政権参画し、両党は国家観を共有する12分野の政策実現を確認しました。 ガソリン税の“旧暫定税率”廃止で家計負担軽減:1974年以来リッター当たり25.1円上乗せされてきたガソリン税の暫定税率を撤廃し、燃料価格を約30円/L引き下げる法案を2025年内に成立させる方針です。これによりガソ ...
衆院比例代表「1割削減」の影響を定量検証—176→158で何が変わるか
背景と目的 日本の衆議院では比例代表定数が176議席(総定数465の約38%)を占め、小選挙区で敗れた候補が比例で復活当選できるセーフティネットとして機能しています。近年、「身を切る改革」として比例代表定数を1割程度削減(176→158)する案が取り沙汰されています。一見すると議員数を減らし経費を削減する効果が期待されますが、比例枠縮小は中小政党や新人候補の当選機会、議席配分の得票比例性などにどのような影響を及ぼすのでしょうか。本稿では2024年(第50回)衆議院総選挙の比例ブロック別確定得票データをもと ...
給付付き税額控除で消費税の逆進性対策 – 軽減税率との違いとメリットを徹底解説
給付付き税額控除(refundable tax credit)は、税負担の軽減策として「控除しきれない税額を現金で給付する」仕組みです。とくに消費税の逆進性対策として注目され、日本でも導入が検討されてきました。本記事では制度の定義・仕組みから、日本の最新動向(定額減税+調整給付)、海外の具体例(米国EITCやカナダGSTクレジット等)、そして軽減税率との効果比較まで、一気通貫でわかりやすく解説します。政策担当者向けのチェックポイントやQ&A、用語集も用意しました。読むことで給付付き税額控除のメリッ ...
高市早苗・自民党新総裁後の政局を徹底検証:公明の去就、国民民主の鍵、首班指名の勝敗ライン
高市早苗・自民党新総裁後の政局を徹底検証:公明の去就、国民民主の鍵、首班指名の勝敗ライン 最終更新日:2025年10月8日(JST)2025年10月、初の女性総裁が誕生した自民党は、衆参両院で過半数割れという厳しい政局に直面しています。本稿では高市早苗新総裁就任後の政局について、最新の会派別議席データと首班指名選挙の制度(憲法67条・決選投票・衆議院の優越)を踏まえ、公明党の連立離脱リスクや国民民主党・日本維新の会との連携シナリオを検証します。主要プレーヤーの立場・利害や今後想定される3つのシナリオを数値 ...
高市早苗「首相就任見込み」徹底解説:論戦で見えた政策軸・初動100日ロードマップ・日本政治はどこへ向かうか
自民党の高市早苗前経済安全保障担当相(64)が2025年10月4日、決選投票を制して第29代総裁に選出されました。女性として初の首相就任が見込まれる高市新総裁について、本記事では総裁選の最新状況から政策の論点、今後100日間の展望までを詳しく解説します。 要点 女性初の首相へ: 2025年10月4日、自民党総裁選の決選投票で高市早苗氏が勝利し、新総裁に選出。特別国会は10月中旬に召集予定で、与党は過半数割れながらも衆院第1会派。野党が統一候補を擁立しない見込みのため、高市氏が首相に指名される可能性が高いと ...




