
導入
「ネポベイビー(Nepobaby)」とは、著名人や権力者の子どもが親の社会的資源や影響力によって恩恵を受け、キャリア上の機会を得る現象を指す新語です。直訳すれば「ネポティズム(縁故主義)の赤ちゃん」、すなわち親の七光りで成功した人物という意味合いで、特にハリウッドを中心とする芸能・文化産業で近年注目を集めています。この言葉は2022年前後にSNS上で急速に広まり、米国のニューヨーク誌が「ネポベイビー」特集を組むなど大衆文化にも浸透しました。その背景には、世界的な経済格差の拡大と機会不平等への不満があり、世代間の公平性やメリトクラシー(能力主義)神話への疑問が高まっていると指摘されています。実際、社会学者の見解によれば、この「ネポベイビー」論争は高度に不平等化する社会状況の中で必然的に生じた議題であり、特権やコネクションがどのように世代を超えて再生産されるのかを示す事例としても捉えられます。
本稿では、社会学分野の専門家の立場から「ネポベイビー」現象に関する過去36か月以内(おおむね2022年以降)に公表された最新の学術研究・政府報告・特許などを網羅的にレビューします。特に(1) 社会的インパクト(不平等の再生産や世代間移動への影響、文化資本の伝達メカニズムなど)、(2) メディア表象(SNS上の言説や有名人自身の発信、ジェンダー偏差を含む表象の特徴)、(3) 政策・法制度(雇用の公平性確保策や文化・芸能分野における透明性向上の試み等)の観点を中心に、最新知見を紹介・分析しつつ、その社会学的含意を考察します。
背景
ネポティズム(nepotism)――すなわち縁故主義――は歴史的に決して新しい現象ではありません。権力者が自らの“親族(nepōs)”を重用することは、中世・近世から現代に至るまで政治・経済・宗教組織で繰り返されてきました。なお、ラテン語のnepōsは本来「孫・子孫」を意味し、そこから「甥」という意味も派生したとされています。こうした縁故による人事は、往々にして能力本位の選抜と相反し、不平等の固定化につながるため、これまでもしばしば批判の対象となってきました。社会学や経済学の文献でも、縁故採用は人材のミスマッチを生み出して組織の効率や知的生産性を損なう可能性があると指摘されています。また、フランスの社会学者ピエール・ブルデューが提唱した「文化資本」の概念になぞらえれば、裕福で社会的地位の高い家庭は子どもに高度な教育や業界知識、人脈といった無形の資本を豊富に与えることができると考えられます。その結果、こうした文化資本の世代間伝達によって親と子の地位が連動しやすくなる点が、不平等再生産の一因になるわけです。
こうした理論的背景を踏まえ、「ネポベイビー」現象は特定の業界における縁故主義の顕著な表れとして注目されます。中でもハリウッドや音楽業界、ファッション界などでは昔から有名一家・芸能一家が活躍してきましたが、SNS時代に入って一般大衆がそれを可視化・批判しやすくなったことが、近年の大きな論争のきっかけとなりました。たとえば映画監督の娘や俳優の息子が若くして重要な役を得る事例は枚挙にいとまがなく、「親の七光り」による成功に対して、メリトクラシーを信奉する立場から疑問を呈する声が高まったのです。一方で、この現象は芸能分野にとどまりません。政治の世界でも「世襲議員」や「二世首相」といった形でネポベイビーは多数存在し、多くの民主制国家で世襲的なリーダーが顕著になっているという研究報告もあります。カナダのジャスティン・トルドー首相や米国のブッシュ家、大韓民国や南アジア諸国の政界一族など、各国で事例が挙げられることから、ネポベイビーは特定の国・業界だけの話ではなく、広く社会構造にかかわるテーマとして浮上しているわけです。
分析
1. 社会的インパクト:不平等と世代間移動への影響
ネポベイビー現象の社会的インパクトとしてまず挙げられるのは、富や地位の世代間再生産を助長し、社会的流動性(世代間移動)を阻害する可能性です。最新の研究によると、縁故による採用や昇進は個人の能力・努力とは独立に特定の家系に有利に働き、その結果として「生まれによる格差」の固定化を招くと示唆されています。
さらに、親と同じ組織に就職した若者の初期賃金が明らかに高くなるという統計もあります。たとえば、全米規模の行政データを用いた調査によれば、親と同一の雇用主に勤め始めた場合、初期賃金が平均19%ほど上昇するとの報告があります。こうした「コネの経済効果」は、富裕層の子弟を一層富裕に、貧困層の子弟をさらに不利に追い込む方向に作用しやすいとされ、世代間の経済的粘着性(親の社会経済的地位が子世代に強く影響する度合い)を高める要因の一つとなり得ます。結果として、「能力主義による上昇」という物語は現実からかけ離れてしまう恐れがあるのです。
加えて、縁故主義は人材配置のミスマッチを引き起こし、社会全体の効率や革新性にも影響を及ぼし得ます。学術界の歴史データを用いた研究では、父親と同じ大学に就職した「学者一家」の子息はそうでない学者に比べ研究業績が下がる傾向が指摘されています。この結果は、中世から近世ヨーロッパの大学において才能のある研究者が正当に登用されない「誤配置」が生じ、知的生産の質が低下した可能性を示唆しています。現代のビジネスでも、中小企業の経営における家族縁故中心の人事がイノベーション活動を抑制するとの報告があり、縁故主義の文化は組織の活力を損ねる要因にもなりかねません。
もっとも、縁故による恩恵と個人の能力・資質との関係は一様ではありません。親から受け継がれるのはコネだけでなく、高度な教育環境や専門技能である場合も多いため、ネポベイビーの中には確かな実力を備えている人もいます。実際、ハリウッドのネポベイビーに関しては「有名な姓のおかげでチャンスは得られたかもしれないが、最終的に成功を掴んだのはその人物の才能と努力ゆえ」という擁護論がしばしば展開されます。しかし肝心なのは、そのような恵まれた育成環境や教育資源が特定の家庭に偏在している点です。メリトクラシーが掲げる「才能と努力はどの層にも均等に存在し得る」という前提を踏まえても、特権が再生産されるプロセスを放置すれば結果として不平等が拡大する可能性は避けられません。
なお、ジェンダー面への意外な影響も指摘されています。政治学の国際比較研究では、民主政治における「世襲制」は原則として公平性を損なうものの、男性優位が根強い社会においては女性が権力の座に進出する数少ないルートになってきた事例もあるといいます。たとえば南アジア諸国では、男性指導者の妻や娘が後継となることで、結果的に西欧諸国より早期に女性首相が誕生したケースが見られました。もちろんそれ自体は民主主義の原則からみると不公正との批判も強いのですが、ネポベイビー現象が社会構造や文化的文脈によって多面的に作用する例として示唆的です。
2. メディア表象:擁護と批判、SNSとジェンダー
次に、ネポベイビーをめぐるメディア表象について最新研究動向を見てみます。主に(1) 従来型の主流メディア(新聞・雑誌・テレビなど)によるフレーミングと、(2) ソーシャルメディア上での大衆的言説という二つのレベルに注目できます。
まず主流メディアに関しては、ネポベイビー現象を取り上げる記事の多くで当人たちを擁護・正当化する論調が含まれる傾向があると、内容分析の結果が示しています。2024年に公表された社会学的研究によると、ハリウッドや音楽業界のネポベイビーに触れたオンライン・紙媒体の記事331本を分析したところ、約44%の記事が「有名人の子どもは贅沢な生活を送るが、最終的に成功を勝ち取ったのは本人の才能と努力があればこそ」といった擁護的なフレームを提示していたそうです。これは、縁故による機会獲得という構造的な不公平を覆い隠し、結果的に特権の正当化を助長しかねないと批判されています。一方、ネポベイビーの弊害を真正面から論じた記事は全体の19%ほどにとどまり、残りの記事はゴシップ的に扱うか問題視をほとんどしないという実態が浮き彫りになりました。
これに対し、ソーシャルメディア(Twitter〈現X〉やInstagramなど)では、一般ユーザーが有名人の出自を暴露・共有して「◯◯もネポベイビーだ」と糾弾する投稿が相次いでいます。実際、2022年に米国で「ネポベイビー」という言葉が爆発的に広まった背景にも、ある女優(映画監督ジャド・アパトーの娘)がネポベイビーであると指摘するツイートが拡散した出来事があったとされます。さらに興味深いのは、こうしたネポベイビー批判の言説が政治的・文化的論争と結びつくケースです。たとえばインドのヒンディー語映画産業(ボリウッド)では、保守的な民族主義勢力が映画界を「ネポベイビーと汚職の温床」と非難し、大衆の不満を煽ってボイコット運動を展開した事例が報告されています。このように、SNS時代には縁故特権への大衆的怒りが露わになりやすく、そのレッテル貼りが過熱する一方で、批判の矛先が女性俳優に過度に集中するなどのジェンダー的偏向も指摘されます。
ジェンダー面においては、縁故主義の恩恵は実際には裕福な白人男性に最大限及ぶとの分析がある一方、ポピュラーな「ネポベイビー」批判では女性有名人が格好の標的にされやすい“ねじれ”が観察されています。ボリウッドでも、批判対象はしばしば著名俳優の娘や女性スターに集中しがちでした。こうした現象の背景としては、女性有名人のスキャンダル的報道がメディアで消費されやすいことや、社会的に女性へ向けられる厳しい評価基準(ダブルスタンダード)が影響していると考えられます。ネポベイビー論争もまた、既存のジェンダー構造を反映した表象のあり方を問い直す必要があるでしょう。
最後に、有名人側の対応として、一部のネポベイビー当事者が特権を認めて自己発信する動きも注目されています。ハリウッドでキャリアを積む二世俳優・女優がインタビューの中で「確かに親のおかげで得した部分はある」と認めつつ、同時に自分の努力をアピールするといった例が増えているのです。また、2023年2月のSAGアワード授賞式では、大女優ジェイミー・リー・カーティスが自らを「I’m a nepo baby」とジョーク混じりに称し、この話題に沸く世間の空気を軽やかにいなしつつ、特権の存在を可視化する一幕もありました。こうした自己開示によって構造的不平等への議論が深まることを期待する声もあり、当事者の発信が一石を投じる可能性があります。
3. 政策・法制度:公正な雇用と透明性の模索
最後に、ネポベイビー現象への政策・法制度上の対応策について整理します。縁故主義は従来、公務員制度や企業コンプライアンスの分野で長年問題視されてきたため、各国で一定の規制やガイドラインが存在します。多くの国の公務員法や人事規定では、直属の親族を雇用・昇進させることを明示的に禁止したり、採用時には利益相反を避けるため第三者委員会による面接や透明な公募手続きが定められたりしています。しかし、こうした反ネポティズム規制の実効性には限界があるという指摘もあります。
たとえば、ポーランドやアルバニアなど15か国を対象にしたクロスカントリー研究によれば、形式的な親族採用の禁止規定があっても、親族以外の近しい縁者を互いに推薦し合う“抜け道”が生じるなど、結局は組織内の序列や報酬格差にほとんど変化が見られなかったケースが確認されました。また、コロンビアの官僚制における事例調査でも、導入された反ネポティズム法が十分に機能せず、家庭や人脈によるえこひいき(favoritism)が温存されている実態が報告されています。こうした研究結果は、公正な人材登用を実現するには、親族禁止規定のような部分的対策だけでなく、より包括的で透明性の高い制度設計が欠かせないことを示唆しています。
民間セクター、とりわけ文化・芸能産業においては、ネポベイビー的な縁故採用を直接的に禁じる法律は基本的に存在しません。映画や音楽の現場では、プロデューサーや監督が自分の子を起用したり、家族経営の事務所が自社タレントを優先的に売り出したりすることが企業の裁量に委ねられているからです。しかし近年、こうした業界でも多様性確保や公正なオーディション制度を求める声が高まっています。たとえばアカデミー賞などの主要アワードを主催する団体は、人種や性別の多様化を促進するガイドラインを設けており、新人発掘にも門戸を広げようという姿勢を見せ始めています。これは「ネポベイビー禁止」を狙うものではありませんが、閉鎖的な縁故による人事慣行に多少の風穴を開ける可能性はあるでしょう。
また、専門家の中には「業界全体の透明性向上が、構造的不平等を是正する第一歩になる」と提言する声もあります。具体的には、有名人の子どもが自ら縁故を公言した上で、恵まれない新人への支援に取り組むことや、企業や大学などの採用・昇進プロセスを広く公開し、外部有識者の審査を導入することなどが考えられます。一部の欧米企業ではすでに「親族推薦」の場合は別枠の審査手続きを課すといった運用例も見られ、こうした取り組みが拡大すれば、ネポベイビー的特権が入り込みにくい環境を作り出すことが期待されます。
さらに、社会全体の規範づくりも重要です。政治学の文脈では、世襲政治に対する有権者の認識を変え、血筋でなく実績本位でリーダーを選ぶべきだと再認識することが求められています。同様に、ビジネスや学界でも「縁故よりも実力を評価する」という規範意識を高めることが欠かせません。国連腐敗防止条約など国際的な枠組みでも、縁故主義は汚職と同様に公共の信頼と制度の健全性を損なう慣行として問題視されており、結局のところネポベイビー現象と表裏一体の縁故主義を抑制する試みは、多面的なアプローチで継続していくしかないのが実情といえるでしょう。
結論
本稿では、「ネポベイビー(Nepobaby)」という言葉を手がかりに、縁故主義の問題を社会学的な観点からレビューしました。社会的インパクトの面では、ネポベイビー現象が不平等再生産のメカニズムとなり得ること、すなわち家族の社会経済的地位が次世代のキャリア機会に大きく影響し、世代間の格差固定や才能の埋没を引き起こす懸念があると考えられます。これはメリトクラシー神話の実態を揺るがし、組織や社会全体の効率低下につながる恐れも含んでいます。
また、メディア表象に目を向けると、主流メディアではネポベイビーを擁護する論調が少なくない一方、SNS上では怒りや糾弾が直接的に噴出しており、さらに政治的・文化的文脈と結びついて過激化する例も報告されています。こうした批判の矛先が女性や特定の属性に偏るジェンダー面の問題も看過できません。一方で、当事者が自ら特権を認め透明性を高める動きも生まれ始めており、その是非はともかく今後の議論と変革のきっかけになるかもしれません。
政策・制度面では、長らく公務員制度や企業コンプライアンスの観点から縁故主義を抑制する取り組みが進められてきましたが、その限界が各種研究で浮き彫りになっています。文化・芸能産業では法的規制の及ばない領域も多く、業界全体の透明性強化や多様性促進など、自発的な改革が必要とされます。さらに広範な社会規範の転換――すなわち「血筋や縁故でなく実力を評価する」という意識の徹底――も含め、多面的なアプローチが不可欠です。
結局、「ネポベイビー」という新語が急速に広まった背景には、現代社会の機会不平等や世代間格差への深い問題意識があります。単なるゴシップ用語にとどまらず、21世紀における社会階層論・文化論を考える上で極めて示唆的な概念といえるでしょう。今後も縁故主義の影響を直視し、その是正策を探っていくことは、公正で活力ある社会の実現にとって重要な課題となります。誰もが才能と努力によってチャンスを得られる世界をめざし、ネポベイビー論争を一過性の流行語で終わらせず、着実な制度改革や意識改革につなげていくことが求められます。
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