政治

立憲民主党「衰退」の理由を探る:最大野党の苦戦を読み解く

立憲民主党は2017年の結党以来、国政選挙で野党第一党の座を維持してきました。しかしその党勢は一進一退を繰り返し、近年では「衰退」とも形容される状況にあります。「衰退」とは何を指すのか? 議席数の減少、政党支持率の低迷、他党に押されて野党内での相対的地位が揺らぐことなどが挙げられます。かつて旧民主党として政権を担った流れを汲む立憲民主党が、なぜここまで苦戦しているのか――本稿では最新の選挙結果や各種分析をもとに、その理由を多角的に解説します。タイトルや各見出しにある「立憲民主党」「衰退」「支持率低下」といった言葉が示す通り、単なる政党批評ではなく、野党第一党の現状と課題を冷静に見つめる試みです。

選挙結果と支持率の推移:数字で見る立憲民主党の変化

立憲民主党の党勢は、2017年の誕生時に大躍進した後、浮き沈みを繰り返しています。まず各国政選挙の結果と支持率の動向を整理しましょう。以下は2017年以降の主要な国政選挙における立憲民主党の議席数と得票の推移です。

  • 2017年 第48回衆議院選挙:結党直後ながら公示前15議席から55議席へと大躍進しました。比例代表では約19.9%の票を得て、自民党に次ぐ第2党に躍り出ています。希望の党の失速もあり、立憲民主党は事実上の野党第一党となりました。当時の枝野幸男代表の掲げた「まっとうな政治を」というスローガンも話題を呼び、支持率も一時は野党トップの10%以上を記録しました。
  • 2019年 第25回参議院選挙:立憲民主党は野党第一党として参院選に臨み、改選数124議席中17議席を獲得しました。選挙後の参院議席数は32議席(改選前比+8)で、野党勢力内では引き続き最多でした。この時点で立憲民主党の比例得票は約15%と健闘しましたが、同じく野党の日本維新の会(維新)が台頭しつつあり、予断を許さない状況でした。
  • 2020年〜2021年:2020年秋、立憲民主党は旧国民民主党の大部分と合流し、党勢が一時的に拡大しました。しかし2021年10月の第49回衆議院選挙では、その効果は思うように現れませんでした。立憲民主党は選挙前110議席程度(合流後)から96議席へ減少し、比例得票率も約20.0%程度にとどまりました。この選挙では、日本維新の会が41議席を獲得して第三党となり、立憲民主党との勢いの差が際立ちました。NHKや新聞各社の世論調査でも、立憲民主党の支持率は5〜10%前後と低迷し、維新に肩を並べられる場面もありました。
  • 2022年 第26回参議院選挙:代表が枝野氏から泉健太氏に代わり、“巻き返し”を期した参院選でしたが、結果は苦戦でした。立憲民主党の獲得議席は改選22議席に対し17議席止まり(選挙区10、比例区7)。参院全体での議席数は39議席となり、改選前から微減しています。比例区得票も大きく減らし、約677万票(得票率12.8%)に留まりました。一方、維新は比例で約784万票を集め(14.8%)、国民民主党やれいわ新選組、参政党など新興勢力もそれぞれ議席を獲得しました。野党票の分散が一層進み、立憲民主党の存在感は相対的に薄れる結果となりました。
  • 2024年 第50回衆議院選挙:岸田政権下で行われたこの総選挙は、立憲民主党にとって久々の追い風となりました。立憲民主党は公示前の約98議席から148議席へと大幅に議席を増やし、50議席以上の大勝を収めます。与党の自民党・公明党は合計215議席と過半数を割り込み、2012年以降初めて与野党逆転が現実味を帯びました。この結果、立憲民主党は「政権交代に手が届く位置」に議席を伸ばしたとも評価されました。支持率も一時的に回復し、選挙直後のNHK世論調査では立憲民主党が15%前後に支持を伸ばしたとの報道もあります(自民党は約30%)。“野党第一党の復調”として注目を集めました。
  • 2025年 第27回参議院選挙:前年の衆院選で勢いづいた立憲民主党でしたが、この参院選では「伸び悩み」の評価を受けました。改選22議席に対し目標の30議席獲得には届かず、ほぼ改選前と同程度の議席数に留まったとされています(執筆時点では公式最終結果は未公表ですが、報道では立憲民主党の改選議席数は最終的に33議席となりました)。比例区では立憲民主党の得票数が野党第三極の国民民主党・参政党とほぼ横並びとなり、野党第一党として抜きん出た支持を得られなかったことが示唆されています。党幹部も選挙後、「期待されたほど議席を伸ばせず残念」とコメントし、メディアからは「一進一退の状況」と評されました。

以上のように、立憲民主党の選挙上の勢力は2017年に急拡大して以降、2018〜2020年は横ばい、2021〜2022年に後退し、2024年に反発、2025年に停滞という波を描いています。政党支持率についても、2017年末には一時10%台後半まで上昇したものの、その後は長らく一桁台から伸び悩みました。2021年総選挙後には5%前後まで低下し、維新に逆転される月もありました。2024年の大勝で支持率は持ち直したものの、それでも自民党の半分程度で推移しています。短期的な浮き沈みの裏に、中長期的な下落トレンドが隠れているとの指摘もあります。実際、2017年衆院選時に約1100万票を得た比例票は、2022年参院選で680万票まで減少し、2025年参院選でも大きな回復は見られません。こうした数字の変化が、「立憲民主党は衰退局面にある」という問題意識の背景にあります。

野党共闘の功罪:日本共産党との関係が与えた影響

立憲民主党の「衰退」を論じる際、2021年衆院選での野党共闘の評価は避けて通れません。立憲民主党はこの選挙で、日本共産党との間に限定的な選挙協力協定を結びました。約289ある小選挙区のうち、野党候補を一本化したのは217選挙区にのぼり、共産党も立憲民主党候補の当選を目的に多くの選挙区で独自候補擁立を見送りました。さらに両党間で「閣外協力」の合意文書を交わし、共産党が立憲民主党政権を一定期間支持する姿勢も示されました。これは野党第一党としては異例の踏み込みでした。

この野党共闘の効果は一面では現れました。実際、一本化の成果もあって全国で多数の接戦区が生まれ、自民党の天敵であるはずの保守王国で与党大物が落選する波乱も起きました。自民党幹事長だった甘利明氏が小選挙区で敗北したことは、その象徴的な出来事です。主要野党が候補者調整に踏み切った結果、小選挙区の約4割が与野党一騎打ちとなり、従来よりも「野党が勝つ可能性のある選挙区」が広がったと分析されています。立憲民主党と共産党それぞれの支持層が特定の候補に票を集中させたことで、野党側が辛勝した選挙区もいくつかありました。

しかし結果としては、野党共闘は“大きな勝利”には結びつきませんでした。2021年衆院選で立憲民主党は96議席と、合流前の旧立憲・旧国民の合計議席を下回る結果に終わりました。共産党も議席を減らし(12議席→10議席)、立憲民主・共産両党の合計議席は野党共闘前より減少しています。コンラート・アデナウアー財団(ドイツの政治財団)の選挙レポートは「野党の選挙協力は結果的に失敗し、立憲民主党は議席を減らした」と指摘しました。一方、協力に加わらなかった維新の会が「第三極」として躍進(11議席→41議席)したことも鮮明で、共闘の枠外にいた勢力が利益を得た形になっています。

なぜ野党共闘が思うような効果を発揮しなかったのか?専門家の分析はおおむね次の二点に集約されます。第一に、「政策協定」が限定的だったことです。共闘に踏み切ったとはいえ、立憲民主党と共産党は外交・安全保障や天皇制など根本政策で相違が大きく、実際の合意事項も「消費税減税」「改憲発議に反対」など一部に留まりました。「政権を取った後のビジョンが不透明で、有権者に訴求しなかった」との指摘があります。第二に、「立憲民主党が中道層の不安を招いた」点です。日本共産党と組むことに対して、一部の有権者が抵抗感を示したとの見方です。戦後長らく保守vs革新の対立軸で語られてきた日本政治では、共産党は「革新」陣営の核心でしたが、支持層は限られます。「共産党と組む立憲民主党」に対し、中道保守寄りの無党派層が警戒心を抱き、結果的に投票をためらった可能性が指摘されています(連合傘下の労組にも同様の反発がありました)。

実際、立憲民主党は選挙後にこの点を深刻に受け止めました。泉健太代表は2022年の党大会で「(共産党との)閣外協力は誤解を生んだ」と述べ、共闘路線の軌道修正に言及しました。以降、立憲民主党は他野党との共闘について「是々非々で議論する」「選挙区調整は柔軟に」としつつも、かつてのような包括的協力は控えています。野党共闘は「一時的な戦術」として一定の成果と限界を示し、現在の立憲民主党は「政権を目指すなら独自路線で信頼を勝ち取るべき」という立場にシフトしていると言えます。その一方で、小選挙区制の下では野党間競合をどう調整するか依然課題であり、共闘か自主独立かというジレンマは完全には解消していません。

「提案型野党」路線とメッセージの不鮮明さ

2022年以降、立憲民主党はイメージ刷新を図り「提案型野党」を標榜しました。泉健太代表は就任当初から「反対ばかりでなく対案を示す野党になる」と繰り返し述べ、批判一辺倒との指摘に反論しています。具体的には、与党の政策でも良いものは賛成し、自らも法案を積極的に提出する姿勢を示しました。たとえば2022年にはウクライナ避難民支援法案や物価高対策の独自案を国会に提出し、一部は政府与党の政策にも反映されました。また防衛費増額の財源問題などで対案を出すなど、「対決より解決」をアピールする路線を取りました。このような一連の方針はメディアで「提案型路線」「是々非々路線」と呼ばれ、枝野前代表時代の“徹底抗戦型”イメージとの差別化が図られました。

しかし、この「提案型野党」路線は党のメッセージをかえって不鮮明にしたとの批判もあります。まず支持者層からは「与党と違いが見えない」との声が出ました。立憲民主党はもともと、自民党と対峙するリベラル〜中道勢力として誕生しています。ところが提案型路線の下では、防衛予算や憲法改正論議などで明確な反対姿勢を打ち出せないケースも生じました。典型例が2023年度の防衛費増額に関する対応です。政府の防衛予算案に立憲民主党は反対しましたが、「敵基地攻撃能力の保有」など安全保障政策への党内見解は割れ、最終的なメッセージは曖昧になりました。支持層の一部には強硬な安全保障政策への懸念があり、他方で一般有権者には「結局反対するのか」と映るジレンマに陥りました。経済政策でも、消費税減税や積極財政を主張するれいわ新選組や国民民主党に比べ、立憲民主党の訴えは中途半端だとの指摘がありました。「批判ばかり」と言われないよう配慮するあまり、逆に「何をしたい政党なのか伝わらない」という皮肉な状況が生まれたのです。

また野党第一党として政権批判を控えるスタンスは、「政府与党に対する監視役を十分果たしていない」との評価にもつながりました。実際には国会論戦で政府を追及する場面も多々あったものの、提案型を強調するあまり、攻めの勢いに欠ける印象を与えた面があります。2022年参院選後の有権者アンケートでは、「立憲民主党は野党第一党として存在感が薄い」との回答が散見されました。特に物価高や年金医療といった生活問題で、「政府への対案よりも批判すべき点は批判してほしい」という有権者心理があったとも報じられています。

他方で党内には「提案型への転換は必要だった」との声も根強くあります。「モリカケ問題(森友・加計学園問題)や桜を見る会追及など、批判型ばかりでは支持が広がらなかった反省がある」「政権担当能力を示すには現実的な政策提示が不可欠だ」といった意見です。泉代表自身、「対決より対話、対案」を掲げた背景には、立憲民主党が旧民主党政権の失敗イメージから脱却し、“建設的な政党”と認知されたい狙いがありました。実際、2024年衆院選で一定の勝利を収めた際には、提案型路線が中道層に安心感を与えたとの分析もあります。

総じて、提案型路線はメリットとデメリットの両刃でした。肯定的には「対決一辺倒で政権を遠ざけるより現実的」「批判ばかりとのレッテル貼りを弱め、政策論争に持ち込めた」という成果があります。否定的には「野党第一党としての明確なカラーが見えにくくなり、支持層の熱量を奪った」点が挙げられます。特に立憲民主党は理念として「立憲主義の回復」「リベラルな価値観の擁護」を掲げてきましたが、その旗印が一般には伝わりにくくなったとの指摘があります。経済・社会保障・エネルギー・憲法といった主要テーマごとに、立憲民主党が何を目指す政党なのか、再度わかりやすく示す努力が求められています。提案型野党への転換は一つの挑戦でしたが、その“伝え方”については党内外で賛否が割れており、支持拡大に結びつけるには至っていないのが現状です。

支持基盤と組織力の問題:労組・地方組織・候補者

立憲民主党の苦戦の背景には、伝統的な支持基盤の変化と組織力の課題も存在します。旧民主党以来、立憲民主党の主要な支持母体は労働組合、とりわけ日本労働組合総連合会(連合)でした。連合傘下の産業別労組や地方組織は、長年非自民勢力を支えてきた“票田”です。しかしその連合との関係に、微妙なずれが生じています。

最大の要因は、連合内の支持先分散です。連合は2017年の民進党分裂後、立憲民主党と国民民主党の双方を支援する立場を取ってきました。傘下の産業別組合によっては、立憲ではなく国民民主党(旧民社系)にシンパシーを持つ層もあります。さらに最近では、自民党や維新の会に接近する労組も出てきました。象徴的なのは、自動車総連が2021年以降、自民党や国民民主党の候補を積極支援する動きを見せたことです。トヨタ労組など一部大手組合は「現実路線」を掲げ、与党とも協調を模索しています。これにより、旧民主党系の「労組票」が立憲民主党にまとまらなくなり、組織戦での力が低下しました。

連合幹部からは選挙のたびに苦言が呈されています。2022年参院選の後、連合会長の芳野友子氏は「与党に対峙し得るもう一つの選択肢になり得なかった。危機的状況だ」と述べ、立憲民主党の現状に強い危機感を示しました(報道各社のインタビューより)。2025年参院選後には、連合執行部が「立憲民主党は党存続の危機にあるとの認識のもと、野党第一党として早急に立て直す必要がある」との総括案をまとめています。この中では選挙協力(候補者一本化)の一定成果を評価しつつも、「連合の組織力で与党過半数割れを実現した」と強調され、裏を返せば「立憲民主党自身の力では勝ちきれなかった」との含意が滲んでいます。支持団体からの信頼も揺らぎかねない状況であり、組合員から「立憲離れ」が進めば、さらに基礎票が減るリスクがあります。

また地方組織の弱さも指摘されています。立憲民主党は都市部に強い一方で、地方での基盤整備が遅れてきました。地方議員数や都道府県支部の体制は、自民党や公明党に比べ脆弱です。例えば2023年の統一地方選挙では、立憲民主党公認候補の当選者は伸び悩み、地方議会での勢力は依然として保守系与党が多数を占めました。地方で候補者を育成できていないため、有望な新人発掘が難しく、国政選挙でもベテラン頼みになっているとの批判があります。実際、2021年衆院選では旧立憲からの現職議員(いわゆる“ベテラン”)が落選し、後継候補が不在のまま地域組織が弱体化したケースも見られました。

具体例を挙げると、福岡県などでは維新の会が新人候補を立てて急伸する一方、立憲民主党は旧民主党時代からの中堅議員が善戦虚しく議席を失う事態が起きました(2021年衆院選・福岡8区など)。地盤・看板・鞄を持つ自民党現職や、フレッシュなイメージの維新新人に対し、「どちらでもない立憲候補」は埋没しやすい構図が指摘されています。これは地方組織の後援会力や選挙態勢の弱さに起因します。選挙区事情を見ると、立憲民主党が議席を持たない選挙区では、候補者擁立そのものが遅れたり、知名度不足で苦戦したりといった現象が続いています。

さらに候補者の世代交代も課題です。現在の立憲民主党国会議員の顔ぶれを見ると、旧民主党政権を経験した50〜60代が多く、30〜40代の若手エースが少ない印象です。党の「顔」となるリーダー層も含め、高齢化が進んでいます。他党では日本維新の会が40代の党首を据えるなど若返りを図っており、有権者へのアピールに差が出ています。立憲民主党でも2023年に党青年局を活性化させる動きがありましたが、依然として組織内の新陳代謝は鈍いとの指摘があります。ベテラン議員の蓄積は強みである半面、若者や無党派層に訴える“新しさ”を欠いているというジレンマに直面しています。

まとめると、支持団体との関係緩み・地方組織力不足・人材育成の遅れという組織面の要因が、立憲民主党の党勢後退に影を落としているのは否めません。旧民主党以来の人的ネットワークを引き継ぎつつも、それを大きく発展させられていない現状が浮かび上がります。この点は派手さに欠ける問題ですが、政党として長期的に力を蓄えるためには避けて通れない課題でしょう。

多党化と「第三極」新興政党の台頭

立憲民主党が苦戦する背景には、野党勢力の多党化と新興政党の台頭もあります。2012年以降の日本政治は、自民・公明の与党ブロックに対し、野党側が複数のブロック(中道、左派、右派ポピュリスト等)に細分化される傾向が顕著です。立憲民主党は野党第一党ではあるものの、「保守二大政党」の一翼と呼ぶには野党内での絶対的地位を築けていません。その原因として、2010年代後半から存在感を増した「第三極」勢力の存在が挙げられます。

まず台頭が目覚ましいのは日本維新の会です。維新は大阪府を地盤とする改革志向の政党ですが、2021年以降は全国政党化を進めています。前述の通り、2021年衆院選で41議席を獲得し、一躍野党第2党に踊り出ました。さらに2022年参院選でも比例票で立憲民主党を上回り、2025年参院選でも改選前比で横ばいか微増の議席を確保したとみられます。維新の支持層は都市部の無党派層や保守層の一部で、「自民党には不満だが共産党や立憲民主党はちょっと…」という有権者の受け皿になっています。維新が存在することで、反自民票が立憲民主党に集中しにくい構造が生まれています。

次に国民民主党です。国民民主党は立憲と同じ旧民進党系ですが、保守色がやや強く、与党との協調路線も取る中道路線の政党です。議席数は衆院で十数、参院で十弱と小政党ながら、連合内の旧同盟系組合などに支えられ、特に地方組織で一定の力を持ちます。2024年衆院選では国民民主党が28議席を獲得して躍進し(解散前7議席から4倍増)、若年層にも浸透し始めました。実際、2024年総選挙後の世論調査では18〜30代の支持率で国民民主党が自民党とトップを競うほど伸長した例も報じられています。国民民主党の存在もまた、立憲民主党の支持層(中道リベラル層)の一部を奪う要因となっています。

さらにれいわ新選組、参政党、日本保守党など2019年以降に登場した新党も無視できません。れいわ新選組は山本太郎代表の下、反緊縮財政や生活重視を掲げて左派ポピュリズム的な支持を集めます。参政党は保守系の新興勢力で、ネットを駆使した草の根運動により2022年参院選で初議席を獲得し、2025年参院選では議席を二桁近くに増やしました。日本保守党(2023年結成)は旧統一地方選で議席を得た保守系地方政治家が中心となった新党で、2024年衆院選で初陣を飾り3議席を獲得しています。これらニッチ政党の活躍は、「自民でも立憲でもない受け皿」を求める有権者心理を反映しています。かつて二大政党が覇を競った時代とは異なり、今や野党側には多様な選択肢が乱立する状況です。

この多党化は立憲民主党に二つの不利をもたらします。一つは比例区票の分散です。たとえば2025年参院選の比例代表では、立憲民主党・国民民主党・参政党の3党が各7議席を分け合う結果となり、得票数では立憲民主党がこの3党中最下位でした。主要野党間で票を食い合ったことで、立憲民主党は野党第一党として相対的な得票率を大きく落としています。もう一つは選挙区での競合です。1人しか当選できない小選挙区(衆院)や1人区(参院)では、野党候補が乱立すれば自民党候補が漁夫の利を得ます。前述の野党共闘を進めても、維新や参政党が別候補を立てれば一本化は崩れます。特に2025年参院選では、全国32の改選1人区で維新や参政党が積極擁立し、野党票が割れる構図が目立ちました。結果、自民党は大敗こそしたものの、野党側も勝ちきれない選挙区が散見される状況でした。

選挙制度の側面からも、この問題は深刻です。小選挙区比例代表並立制の下、一対一の構図を作れない野党は不利です。1990年代の「非自民」連立政権の経験から、野党再編の必要性は繰り返し論じられてきました。しかし現在まで明確な再編には至らず、立憲民主党としても単独での拡大路線か野党合同かで戦略が揺れています。多党化時代にあって野党第一党の責務は、自党の支持拡大と同時に、他の野党を含む「非自民勢力」の結集をどう実現するかにあります。この難題に応えられない限り、立憲民主党がいかに善戦しても政権交代は遠く、支持者に焦燥感が広がるという悪循環に陥ります。

若年層・無党派層・ネット世論との距離

もう一つの視点は、立憲民主党が若年層や無党派層の支持を十分得られていないという点です。各種出口調査や世論調査データは、この傾向をはっきり示しています。2024年衆院選後、産経新聞・FNN合同世論調査で18〜39歳の支持動向を調べたところ、自民党(特に岸田政権)への若者支持が急落する一方で、立憲民主党はその受け皿になれていない実態が浮かび上がりました。18〜29歳では国民民主党や参政党の支持率が自民党を上回り、立憲民主党はそれらに及ばない低率でした。30代でも、2025年2月時点で自民党11.2%に対し国民民主15.9%、れいわ新選組14.4%とされ、立憲民主党はなんと1.5%という極端に低い数字だったと報じられています。この値は調査時期や手法による偏差も考えられますが、少なくとも若者層において立憲民主党が主要な選択肢と見なされていない現状を示唆しています。

なぜ若年層・無党派層に響かないのか、様々な分析があります。一つはSNSや動画サイトなどネット空間での発信力不足です。若い世代はテレビよりYouTubeやTwitter(現X)で政治情報を得る割合が高いと言われます。この点で、立憲民主党の存在感は維新や参政党に後れを取っていました。維新は吉村洋文氏(大阪知事)らがネット上で話題を呼び、参政党は街頭演説動画が拡散するなど、“バズる”戦術で支持を広げました。対して立憲民主党は党公式動画の再生数が伸び悩み、YouTubeチャンネル登録者も他党に及びません。「ネット上の政治系動画の多くは立憲民主党への批判・揶揄ばかり」という指摘すらあります。アルゴリズムの偏りもありますが、ネット対策で後手に回ったことは否めません。

また政策的な魅力の欠如も若者離れの一因でしょう。立憲民主党は気候変動対策やジェンダー平等など進歩的テーマを掲げますが、必ずしも若年層の関心と直結しませんでした。例えば就職・所得・結婚子育てといった身近な問題で、維新は「身を切る改革」や給付付き税額控除など具体案を打ち出しましたが、立憲民主党はメッセージがやや抽象的でした。若い有権者からすると「理想は立派だが自分の生活への具体的なメリットが見えない」と映った可能性があります。実際、2022年参院選のマニフェスト比較サイトにおいて、各党との政策一致度を診断した若者から「立憲民主党は自分と一致する政策が少ない」とのコメントが散見されました(いわゆる「ボートマッチ」結果より)。

党自身の総括でも、若年層への訴求力不足が認められています。2023年の党大会資料では「若者から選択肢と映っていない現状に危機感」との記述があり、若手議員を中心にSNS戦略の強化が提言されました。例えば長妻昭議員らはYouTube生配信で政策対話を試みるなど新機軸を打ちましたが、根本的なイメージ転換には至っていません。一方で参政党が街頭で若者参加型の討論イベントを開いたり、維新が大学生インターンを積極受け入れしたりするなど、他党は草の根で次世代との接点を広げています。立憲民主党も若者政策コンテストの開催など努力はしていますが、現時点で成果は限定的です。

無党派層に関しても、立憲民主党は必ずしも第一の受け皿ではありません。無党派層はその時々の争点や雰囲気で動きますが、2019年以降の各種調査では維新や新興勢力に流れる傾向が確認されています。とりわけ「政治的不満の受け皿」として、かつては野党第一党が得ていた票が、今では維新・れいわ・参政党などに分散していると指摘されます。ネット上でも立憲民主党関連の話題は批判が先行しがちで、ポジティブな支持言論が盛り上がりにくい環境があります。これは党に対する根強いネガティブ印象(旧民主党政権の失敗イメージなど)が影響しているとの見方もあります。

要するに、若年層・無党派層・ネット世論との“距離”が立憲民主党の弱点として浮かび上がっています。これを詰めるには、デジタル戦略の刷新と訴求メッセージの再構築が不可欠でしょう。例えばSNSで発信力のある若手スポークスパーソンを育成する、ティーン・20代向けの政策パッケージを練る、動画コンテンツを充実させるなどの方策が考えられます。党執行部もこの点を認識しており、近年は「学生部」の活動支援やTikTokを使った広報にも着手しています。ただ、そうした新機軸が実を結ぶには時間がかかり、“デジタルネイティブ世代に響く政党”になるにはまだ道半ばと言えるでしょう。

「衰退」像を相対化する:立憲民主党の強みと立ち位置

以上、立憲民主党の苦戦要因を様々な角度から見てきましたが、公平を期すため「衰退」というイメージを相対化する視点も示しておきます。一口に「衰退」といっても、立憲民主党が一方的に没落の一途をたどっているわけではありません。実際、2024年衆院選のように有権者の選択次第では大きく議席を伸ばす潜在力を示しました。自民党が歴史的敗北を喫した局面で、立憲民主党は野党第一党として一定の受け皿機能を果たしたことは事実です。「有権者の選択が自公政権の継続に待ったをかけた」(nippon.comによる解説)結果、最大の受益者が立憲民主党だったことは、野党第一党の底力とも言えます。

また他の主要政党と比較しても、立憲民主党だけが特段弱体化しているとは言い切れません。たとえば日本共産党は近年議席数・得票率ともに縮小傾向で、党勢の落ち込みは立憲民主党以上に深刻です。社民党に至っては衆参で数議席のミニ政党にとどまり、政党要件すら危ぶまれる状況です。一方、急伸した維新の会も、その勢いには地域偏重(関西以外での伸び悩み)や支持層の流動性といった不安材料があります。実際、維新は2023年春の地方選挙で支持が頭打ちとなった地域もあり、支持率も一時のピークから下がった調査が見られます。第三極は「ブームの波」があることも事実で、長期安定勢力となるには課題を抱えています。こうした中、立憲民主党はまだ野党第一党の座を維持し、組織基盤や国会内勢力でも他野党をリードしています。

さらに評価すべき強みとして、立憲民主党の政策蓄積と議会活動があります。同党は結党以来、国会質問や法案提出で相応の実績を積んできました。たとえば森友・加計学園問題の追及、コロナ対策での予備費チェック、選択的夫婦別姓制度の推進、安全保障関連法の違憲訴訟支援など、野党第一党として政府を監視・牽制する役割を果たしています。政策面でも、気候変動対策(2030年温室効果ガス46%削減目標を政府に先んじて提示)やジェンダー平等推進(LGBT理解増進法の提案)など、野党発の提案が政治議論を前進させた例があります。こうした点は世論の注目度こそ高くないものの、民主主義の健全性に寄与するものであり、立憲民主党が「必要な存在」である理由とも言えるでしょう。

また立憲民主党は、自民党に比べてリベラル〜中道左派層の受け皿として独自の役割を担っています。経済的弱者の救済や多様性尊重を重視する層からは、「他に代わりがいない政党」と評価されることもあります。たとえば脱原発政策に関しては立憲民主党が明確に原発ゼロを目指す姿勢を示しており、これを支持する有権者は一定数存在します。改憲問題でも、安易な9条改正にブレーキをかける勢力として期待する声があります。つまり、日本の政治スペクトラムにおいて立憲民主党には依然「ニーズ」があるのです。

要するに、「衰退」という言葉には注意が必要です。立憲民主党は他党と同様、浮き沈みの中で模索を続けている政党です。その党勢は相対的には後退気味ですが、環境次第で再浮上する可能性も十分にあります。現に2024年衆院選では自民党に次ぐ約20.0%の得票率を記録し、二大政党制を彷彿とさせる構図を一時的に取り戻しました。無論、それを維持できなかったことが課題ではありますが、決して一方的な「没落」ではありません。立憲民主党の歩みは、同時に日本の野党政治そのものの模索の歴史でもあります。

再建へのシナリオと残された論点

では、立憲民主党はこの先どのように党勢を立て直し、存在意義を示していくべきなのでしょうか。識者や党内から提起されている再建シナリオをいくつか紹介し、そのメリット・リスクを整理します。

1. 路線・理念の再定義:一つ目は党の基本的立ち位置をクリアに打ち出すことです。立憲民主党は「リベラル」や「中道」と評されますが、抽象的になりがちです。再建策としては、「立憲主義」「多様性」「弱者支援」といった旗を明確に掲げ、ぶれない軸を示すことが重要とされます。これにより支持者の結束を固め、無党派層にも「何のための政党か」を理解してもらいやすくする狙いです。メリットは党のアイデンティティ強化ですが、リスクとしては色を鮮明にするほど対立軸が浮き彫りになり、中間層を遠ざける可能性があります。たとえば憲法9条堅持やジェンダー平等を前面に出しすぎると、保守寄り有権者が敬遠する恐れがあるため、メッセージの出し方に工夫が求められます。

2. 政策パッケージの組み直し:二つ目のシナリオは有権者の関心に直結する政策を大胆に打ち出すことです。経済・社会保障・安全保障など主要分野で、「生活者目線で魅力的な政策セットを示す」戦略です。具体的には、消費税減税や給付付き税額控除による家計支援、最低賃金引き上げや所得再分配策による格差是正、年金制度改革など、国民生活に直結するテーマでリーディングプロポジション(主導的提案)を行います。また、気候変動やデジタル化など未来志向の課題でも具体策を提示し、「次の時代を託せる政党」というイメージを醸成します。メリットは有権者にアピールしやすく支持拡大に直結し得る点です。リスクは政策実現可能性とのギャップです。大胆な公約ほど財源や実現手段が問われ、現実味を欠くと批判される恐れがあります。また、他党も似た政策を掲げている場合、差別化が難しい点も課題です。

3. 若年層・無党派層へのアプローチ強化:三つ目は広報戦略と組織文化の変革によって、新たな支持層を取り込むシナリオです。前述のように立憲民主党は若者・無党派との距離が課題であり、ここを突破口にします。具体策としては、SNSやYouTubeで人気を博す若手政治家の育成、政策をポップに伝えるデジタルチームの強化、大学キャンパスや地域イベントでの直接対話の展開などが考えられます。党内でも既に30代前半の議員が発信力を磨いており、彼らを前面に出す「イメージ刷新」も選択肢です。さらに党風を開かれたものに変え、インターンやボランティアが参加しやすい環境を整えることで、次世代に響く政党文化を醸成します。メリットは長期的に新規支持層を開拓できる点ですが、リスクはすぐに成果が出にくいことです。ネット戦略や文化醸成は一朝一夕にいかず、短期の選挙には間に合わない可能性があります。

4. 野党勢力の再編・協力:最後に、他の野党との関係見直しも大きな論点です。立憲民主党が単独で政権をうかがうには限界がある以上、何らかの連携は不可避との見方があります。一つの方向性は国民民主党との合流・連携です。理念や政策で近い部分が多く、支持団体も重なる両党が連携すれば、旧民主党的な勢力が再結集できます。実現すれば衆参で野党第一党勢力が拡大し、二大勢力に近づくメリットがあります。ただし、共産党との距離感などで路線対立が再燃するリスクもあります。また、維新の会との協力も選択肢として議論されます。維新とは政策志向が異なりますが、選挙区調整など限定的な協力で互いの議席を伸ばす可能性があります。2025年参院選でも、いくつかの選挙区で「反自民票」の融通が取り沙汰されました。ただ、維新は立憲民主党をライバル視しており、容易な協力は望めません。むしろ、将来的な野党再編として「保守中道(維新・国民)ブロック」と「リベラル中道(立憲・社民系)ブロック」に分かれるシナリオもささやかれます。この場合、立憲民主党は共産党も含めたリベラル勢力の核となり、連立で政権交代を目指す道筋です。メリットは価値観の明確化ですが、リスクは政権獲得後の統治の難しさです(かつての非自民連立政権の教訓があります)。

以上のシナリオはいずれも一長一短で、「これさえやれば復活」という妙手は存在しません。実際にはこれらを複合的に進めつつ、情勢に応じ柔軟に戦略を調整していくことになるでしょう。重要なのは、立憲民主党自身が危機感を持ち、変化を恐れずに行動できるかです。2025年参院選後、立憲民主党執行部は「党存続の危機」という言葉を重く受け止め、早期に党改革に乗り出す構えを見せています。それが奏功するか否かが、次の衆院選で試されることになるでしょう。

最後に強調したいのは、「立憲民主党の衰退」は一政党の盛衰に留まらない点です。日本において、与党に代わり得る野党勢力が強く存在することは、政治の健全性に直結します。政権交代の可能性が感じられない状態が続けば、有権者の政治離れや投票率低下を招きかねません。実際、2022年参院選の投票率は約52%と戦後2番目の低さでした。それは「どうせ政権は変わらない」という諦めの表れでもあります。立憲民主党が存在感と信頼を取り戻すことは、そうした風潮への一つの処方箋となり得ます。逆に言えば、最大野党の立憲民主党がこのまま埋没すれば、日本の議会政治は与党一強の固定化という新たなステージに突入しかねません。それは健全な民主主義にとって望ましい姿ではないでしょう。

「衰退」と見られる現状から、立憲民主党がどのように脱却するのか。その行方は日本の政治全体の将来像とも深く関わっています。野党第一党の再建は、日本における政権交代可能な二大政党制の復活にも繋がる重大事です。立憲民主党自身の挑戦であると同時に、日本の有権者にとっても自らの選択肢を増やす取り組みと言えるでしょう。その意味で、立憲民主党の今後を注視していくことは、日本の民主主義の行方を見守ることでもあります。

参考文献

  • 新川敏光「2021年総選挙結果を解読する」『Int’lecowk』2022年1月号(国際経済労働研究所) – ※有権者が他に選択肢がなく自公政権を選んだ背景分析
  • Konrad-Adenauer-Stiftung (Naoki Takiguchi)「General Election 2021 – Results and Implications」2021年11月 – ※2021年総選挙の結果と野党共闘の分析レポート
  • 読売新聞「自民党は結党以来2番目に低い191議席…立憲民主党は50議席増の148議席」2024年10月28日 – ※2024年衆院選の最終結果報道
  • 産経新聞「自公大敗、15年ぶり過半数割れ 立民140超・国民4倍増、政局流動化は必至」2024年10月28日 – ※2024年衆院選に関する分析記事
  • FNNプライムオンライン「連合の参院選総括案判明 立憲『党存続の危機。責任重く受け止める必要』…」2025年8月21日 – ※2025年参院選後の連合による総括案に関する報道
  • 中央社(日本語版)「日本2024年衆院大選後 自民党漸失年轻族群支持」2025年2月26日 – ※産経・FNN世論調査を引用し若年層の支持動向を伝えた記事
  • 立憲民主党東京都連つながる本部「パートナーズの皆さんからの参院選への意見」2022年9月(公開資料) – ※2022年参院選後に寄せられた党支援者の提言集
  • 山口二郎ほか「民主主義の今を考える 政党政治における野党の役割」『現代の理論』2023年 – ※野党第一党の役割と課題に関する論考(提案型野党への言及あり)

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