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高市早苗・自民党新総裁後の政局を徹底検証:公明の去就、国民民主の鍵、首班指名の勝敗ライン

高市早苗・自民党新総裁後の政局を徹底検証:公明の去就、国民民主の鍵、首班指名の勝敗ライン

最終更新日:2025年10月8日(JST)
2025年10月、初の女性総裁が誕生した自民党は、衆参両院で過半数割れという厳しい政局に直面しています。本稿では高市早苗新総裁就任後の政局について、最新の会派別議席データと首班指名選挙の制度(憲法67条・決選投票・衆議院の優越)を踏まえ、公明党の連立離脱リスク国民民主党・日本維新の会との連携シナリオを検証します。主要プレーヤーの立場・利害や今後想定される3つのシナリオを数値で洗い出し、いま判明している事実と依然不透明な要素を整理しました。

TL;DR(要点まとめ):

  • 自民党は少数与党に転落:高市早苗氏が自民党総裁に就任(10月4日)。しかし直近の衆院選で自民党は196議席、公明党と合わせても220議席で過半数233に届いていません(2025年10月6日現在)。参議院でも自公計121議席(過半数125)と安定多数を喪失しています。
  • 公明党は連立続行に難色:公明党・斉藤鉄夫代表は高市新総裁との会談で、靖国参拝や外国人政策などの懸念が解消されなければ「連立政権は組めない」と伝達。公明は維新との連立にも否定的で、高市政権の与党維持には公明の要求受け入れが不可欠です。
  • 国民民主は協議に前向き:国民民主党の玉木雄一郎代表は、「要請があればしっかり向き合う」姿勢を示しつつ、年収の壁(所得税控除の上限)引き上げやガソリン税の暫定税率廃止など政策条件を提示しています。高市氏は5日に玉木氏と極秘会談し、麻生副総裁経由で連携模索を本格化。
  • 維新は静観も接近余地:日本維新の会は立憲民主党との野党共闘に慎重で、政策面では自民に近い部分もあります。ただ、高市氏(奈良選出)と維新(大阪基盤)には地域対立の因縁もあり、維新との連携拡大には不透明さが残ります。維新内部でも与党入りには賛否があり、現時点で正式連立には慎重との見方が有力です。
  • 首班指名選挙は衆院優越:臨時国会(10月中旬予定)での首班指名選挙では、衆参両院で別々に投票が行われます。過半数得票者がいない場合は上位2名で決選投票。両院で選出が異なれば両院協議会を経て、10日以内に一致しなければ憲法67条により衆議院の議決が優先されます。なお、首班指名の決選投票で得票が同数となった場合は、各院規則により「くじ」で決します(衆議院規則8条2項の準用〔同18条3項〕・参議院規則20条)。一般の法案等の採決が可否同数の場合には、憲法56条2項により議長が決します。

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最新トレンド:高市新総裁と政局の今

10月4日、自民党総裁選の決選投票で高市早苗前経済安全保障担当相が小泉進次郎農相を下し、第29代総裁に選出されました。自民党史上初の女性総裁誕生であり、衆参両院の特別国会にて日本初の女性首相となる見込みです。しかし、その足元では政権運営に重大な試練が待ち受けています。

直前の第50回衆議院議員総選挙(2024年10月27日投開票)で、自民党は議席を大きく減らし、公明党との与党合計でも過半数233に届かない結果となりました。自民党単独は選挙直後191議席(その後の補選等を経て2025年10月6日現在は196議席)と戦後初めて200議席を割り込み、野党勢力(立憲民主・維新・他)が合計238議席を占めるというねじれ国会状態に陥っています。参議院でも与党(自民100・公明21)が121議席と過半数125を下回り、衆参両院とも「少数与党」に転落しました。

こうした中、公明党との連立維持や野党の切り崩しが焦点となっています。高市氏は総裁就任当日の記者会見で「政策本位で協力いただける勢力とは積極的に連立の枠組み拡大を目指す」と表明。実際、就任直後から国民民主党との極秘会談や、党ベテラン麻生太郎氏を副総裁に起用しての橋渡し役に据えるなど、水面下で動きを見せています。

一方、与党パートナーの公明党は高市政権への警戒心を強めています。公明党の斉藤鉄夫代表は高市氏就任当日に会談し、自民党新総裁の歴史認識や靖国神社参拝、外国人共生策などに対する支持者の不安を伝え、「これら懸念の解消なくして連立政権なし」とクギを刺しました。公明側は政策協議の場を設け、高市氏の姿勢を見極める構えです。

高市新総裁にとって、まずクリアすべきハードルは10月中旬の特別国会での首班指名選挙です。衆議院では最大会派の自民党が候補擁立権を握りますが、現有勢力では初回投票での過半数確保が困難とみられます。参議院では野党勢力が多数を占めるため、両院で首班指名が食い違う可能性は高く、両院協議会から衆院優越による首班決定というシナリオも現実味を帯びています。

以上が最新の動向です。次章では、現時点の衆参両院の議席分布を詳しく確認し、数の上で各勢力がどのような位置にあるのかを整理します。

いまの議席マップ:衆参の勢力図

高市新総裁下で直近の国会を迎えるにあたり、衆議院465議席参議院248議席の最新勢力図を押さえておきましょう。それぞれ会派別の所属議員数(カッコ内は女性議員数)を示します。

表1:衆議院 会派別議席(最終確認日:2025年9月30日現在)

会派名(衆議院)議席数
自由民主党・無所属の会(与党)196
公明党(与党)24
立憲民主党・無所属(野党第一会派)148
日本維新の会(野党)35
国民民主党・無所属クラブ(野党)27
れいわ新選組(野党)9
日本共産党(野党)8
有志改革の会(無所属グループ) 7
参政党(野党)3
日本保守党(野党)2
議長(無所属)・副議長(無所属)等2
その他の無所属議員4
合計465
  • 衆議院の定数は465(過半数は233)。現在、自民・公明の与党計は220議席で過半数を割っています。無所属議員には、伝統的に議長(自民出身)と副議長(立憲出身)が含まれ、投票に加わらない慣例があります。

表2:参議院 会派別議席(最終確認日:2025年10月6日現在)

会派名(参議院)議席数
自由民主党(※会派名:自由民主党)100 (19)
立憲民主・社民・無所属(野党第1会派)42 (21)
国民民主党・新緑風会(野党)25 (8)
公明党(与党)21 (2)
日本維新の会(野党)19 (7)
参政党(野党)15 (7)
日本共産党(野党)7 (3)
れいわ新選組(野党)6 (2)
日本保守党(野党)2 (0)
沖縄の風(野党地域政党)2 (1)
各派に属しない議員(無所属)9 (4)
合計248 (74)
  • 参議院の定数は248(過半数は125)。現在、自民100+公明21=121議席で、過半数にはあと4議席足りません。立憲民主党と社会民主党の会派(42議席)には社民党議員1名と一部無所属を含みます。同様に国民民主党会派(25議席)は旧民主系無所属、各派に属しない9名には一人会派を含む無所属議員が含まれます。女性議員は衆参両院とも約15–20%前後です(参院74名〈29.8%〉、衆院は約10%台)。

上記の表から分かるように、衆議院では与党(自民・公明)の合計は220議席で過半数233に届かず、野党系会派の合計が与党を上回っています。参議院でも与党計121に対し野党系計は多数を占めています(例えば立憲・国民・維新・共産・れいわ・社民などを合わせると約130超)。ただし参議院では院の構成上、一部中立的な無所属議員もおり、与野党の明確なブロックに分けにくい側面もあります。

以上の議席マップから、高市新総裁は衆参いずれの院でも単独・現行の与党勢力のみでは法案可決や首班指名の過半数を確保できないことが明白です。衆議院ではあと13議席、参議院ではあと4議席以上の協力が必要となります。この「数合わせ」の課題を前に、高市氏がどのような戦略を取れるのか、次章以降で制度面・各アクターの思惑を踏まえて解説します。

首班指名選挙のしくみ(憲法67条)

新政権発足に向けて避けて通れないのが、特別国会で行われる内閣総理大臣の首班指名選挙です。ここでは、日本国憲法および国会法に定められた首班指名のルールを整理します。

  • 国会議員の中から指名: 内閣総理大臣は国会議員の中から国会の議決によって指名されます(憲法67条1項)。衆参両院の本会議でそれぞれ候補者を指名する選挙(投票)が行われ、一般に「首班指名選挙」と呼ばれます。候補資格は現職の国会議員で文民であることが条件です。なお戦後の例では全て衆議院議員から首相が選出されています。
  • 衆議院の優越: 衆参で異なる候補が指名された場合、両院協議会が開催され調整を試みますが、それでも一致しない場合は衆議院の議決が国会の議決となります(憲法67条2項)。過去に両院協議会で首班指名が一致した例はなく、常に衆院の選出者が首相に指名されています。また参議院が衆院指名後10日以内に首班指名を行わない場合も、衆議院の指名が自動的に確定します。このため、実質的には「衆議院で過半数を制する勢力の党首が首相となる」仕組みです。
  • 投票と決選投票: 首班指名選挙は各議員が記名投票で候補者名を記入して行われます。過半数(出席議員の過半数)を得票する候補者がいない場合、上位2名による決選投票にもつれ込みます。ここで最多得票を得た候補がその院における指名者となります。同数で決選投票でも決まらないケースは想定しにくいですが、首班指名の決選投票で得票数が同数となった場合は、各院規則により「くじ」で決します(衆:規則8条2項の準用〔18条3項〕、参:規則20条)。一般の採決が可否同数のときは憲法56条2項により議長が決します。これは参議院本会議でも1975年に実例があり、政治資金規正法改正案の採決が117対117の可否同数となった際、河野謙三議長が賛成と裁決して可決させました(※この「議長決裁」は各議院の議長・委員長が中立立場を保つために通常投票しない代わり、同数時に決定票を投じる制度です)。
  • 特別国会の日程: 衆議院議員総選挙後や内閣総辞職後に招集される国会は「特別国会」(首班指名選挙を行う国会)と呼ばれます。今回、高市氏を首班に指名する特別国会は10月中旬に招集される見通しです(具体日程は未確定)。首班指名選挙は召集日の本会議冒頭で実施されるのが慣例で、衆参同日に投票が行われます。

以上の制度からすると、高市新総裁が首相に就任するには衆議院本会議で相対的多数を確保することが必要です。衆院では最終的に衆議院の優越がありますが、一回目の投票で野党が結集し過半数(233票以上)を獲得した場合、その時点で野党候補が選出されてしまいます。現実には野党各党が別々の候補(立憲は野田佳彦代表、維新は馬場伸幸代表、国民民主は玉木代表など)を擁立するとみられ、過半数獲得者は出ずに決選投票にもつれ込む可能性が高いでしょう。

決選投票になれば、自民党候補の高市氏と、野党第一党・立憲民主党の野田氏の対決になる公算が大きいです。維新や国民民主など他党が決選投票でどちらに投票するかで勝敗が分かれますが、仮に立憲・維新・共産・れいわなど野党勢力が野田氏に結集すれば約239票(前述の野党合計)となり、高市氏の220票前後を上回る計算です。しかし維新は自主投票や白票の可能性も指摘され、玉木氏率いる国民民主も与党寄り姿勢を見せているため、一概に野田氏への野党票集約は不透明です。

いずれにせよ、首班指名では衆院で最大勢力の自民党が有利とはいえ、高市氏が決選投票で敗北するシナリオも理論上はありえます。その際は野党連合による別の首班(例えば野田佳彦首相)の誕生=自民党の下野を意味します。高市氏としては、まず衆院で確実に多数を得るため、事前に公明党との連立維持および国民民主党などからの協力確保に全力を挙げる必要があるのです。

次に、この首班指名や国会運営を巡って鍵を握る主要な政治アクター(自民・公明・国民民主・維新)の立場を詳しく見ていきましょう。

主要アクターの立場と利害

自民党(高市体制の基本方針・少数運営の選択肢)

自民党は総裁選を経て、高市早苗新総裁という新体制が発足しました。高市氏は安倍晋三元首相の路線を継承する保守強硬派として知られますが、新政権発足にあたり「謙虚に政策を進める」と穏健姿勢も強調しています。自民党内では、高市総裁を支えるために麻生太郎元首相が副総裁に復帰し、幹事長に麻生氏の義兄弟に当たる鈴木俊一氏(旧宮澤派)、政調会長に小林鷹之氏(高市陣営で総裁選4位)を充てるなど、挙党態勢の構築が図られました。派閥間の調整と論功行賞で党内基盤を固め、“短命政権”のリスクを抑える狙いがあります。

しかし、肝心の国会議席では少数与党という現実が横たわります。自民党執行部は、公明党が連立離脱に傾く最悪の事態も睨みつつ、「少数与党」での国会運営プランも検討しているとされます。少数与党とは、過半数を持たない政権与党が国会ごとに協力先を変えながら法案を通す運営形態です。これはかつて細川護熙内閣(非自民連立)や第一次安倍内閣後半のねじれ運営でも見られました。

高市政権が少数与党で乗り切る場合、以下の選択肢が考えられます。

  • 国民民主党との部分連合・閣外協力: 国民民主を与党に取り込まずとも、重要法案ごとに協議して賛成を得る戦略です。例えば補正予算や重要政策(防衛費増額、経済対策など)で玉木氏らと合意を図り、都度過半数を確保します。玉木氏自身「是々非々で政策本位の協力をする」と述べており、この路線は現実味があります。また国民民主には閣外協力(入閣せず予算案などに協力)の提案もありうるでしょう。
  • 維新との政策合意形成: 日本維新の会とは憲法改正や行財政改革で政策が近く、個別法案で共同歩調を取る可能性があります。維新が野党であり続ける間も、法案ごとに維新の要求を飲んで賛成を得る(いわゆる部分連合)ことは選択肢です。ただし後述のように、公明党が維新との接近に難色を示しており、維新協力は公明離反リスクと表裏一体です。
  • 早期の衆院解散・総選挙による民意再問: 自民党内には「このままでは国会運営が不安定すぎる」として、高市新総裁の高い知名度・初女性首相という追い風があるうちに早期解散で多数を奪回すべきとの声もあります。高市氏自身、総裁任期中(~2027年)のどこかで衆院解散は避けられないと見ていますが、就任直後に解散するのは賭けでもあります。世論調査では「高市新総裁に期待する」が66%と高水準との結果もあり、高い支持率が確認できれば年内解散も選択肢となるでしょう。ただし野党側も準備を始めており、解散は諸刃の剣です。

高市氏本人の政治手腕も不確定要素です。総裁選は番狂わせ的勝利でしたが、首相としての実績は未知数と多くのメディアが指摘しています。特に物価高対策や“アベノミクスの継承”に関して早急な成果が求められ、失敗すれば政権基盤が脆弱なまま政局に飲み込まれるリスクがあります。自民党としては高市政権を防波堤として長期政権化させたいところですが、一歩間違えば短命に終わる可能性もあり、国会運営を通じて高市氏の求心力が試されます。

公明党(懸念点・離脱条件のシグナル)

自民党と26年間連立を組んできた公明党は、今回の高市総裁就任に際しこれまでにない慎重姿勢を見せています。公明党にとって高市氏は「自公連立の想定内」ではなく、特に思想信条面でズレが大きい相手です。

斉藤鉄夫代表が高市氏との初会談(10月4日)で示した懸念事項は大きく3点ありました:

  1. 靖国神社参拝と歴史認識 – 高市氏は閣僚時代から靖国参拝を公言し、直近でも2025年8月15日に参拝した旨の報道があります。公明党・創価学会は中韓との関係悪化を招く靖国参拝に一貫して反対しており、「首相就任後は参拝しないこと」を強く求めています。歴史認識(先の大戦評価など)についても、公明党は高市氏の保守色に警戒しており、「歴史観に注意してほしい」と釘を刺しました。
  2. 外国人との共生政策 – 高市氏は外国人労働者の受け入れ制限や、特定技能制度の見直しに言及したことがあります。創価学会には在日外国人信者も多く、公明党は多文化共生を重視する立場です。斉藤代表は「無用に外国人を排斥しないように」と注文し、高市氏の移民政策への懸念を示しました。
  3. 政治とカネ・政策課題 – 公明党は与党として岸田政権まで掲げてきた政策(例えば「年収の壁」問題や子育て支援)を継続することを求めています。また統一教会問題等で浮上した自民党の政治資金スキャンダルについて、企業・団体献金のさらなる規制強化を訴えています。高市氏も総裁選で「裏金疑惑議員は党として処分」と述べましたが、公明は具体策を確認したい考えです。

斉藤代表はこれら「懸念点の解消なくして連立政権なし」とまで明言し、高市氏に強い姿勢を示しました。これは裏を返せば、公明党が納得できる譲歩や確約があれば連立を継続する意思も示唆しています。実際、会談では両党幹部による政策協議の場を来週にも設けることで合意し、高市氏も公明の要求に向き合う構えです。

ただ、公明党内には依然として連立離脱シナリオも取り沙汰されています。創価学会幹部や地方組織には「高市色が強い政権とは組めない」との声もあり、特に以下の事態が起これば離脱に傾く可能性があります。

追記(2025/10/07報道): 10月7日の自民・公明の会談では、公明側が引き続き「政治とカネ」問題(政治資金収支の不記載疑惑等)への対応を重視しており、ここで合意に至らなかったため連立合意は持ち越しになったと報じられています。斉藤代表は公明支持者の不安や靖国参拝・外国人政策に関する懸念を改めて示しつつ、企業・団体献金規制の強化や全容解明の姿勢を要求したとされています。これにより、特別国会召集日程や首班指名のタイミングが当初想定の10月15日頃からずれ込む可能性が高まった旨も伝えられています(出典:日本経済新聞系配信記事、2025/10/07)。

  • (A) 高市政権が日本維新の会と接近し、公明党をないがしろにする場合。大阪で維新と公明は長年対立関係にあり、公明は維新との三党連立には否定的です。斉藤代表も「維新との連立は無理」と4日会談で伝えています。もし高市氏が公明の反対を押して維新を与党に引き入れようとすれば、公明は政権を去る選択肢を取るでしょう。
  • (B) 懸案事項で高市政権が強硬路線を貫いた場合。たとえば、高市首相が靖国参拝を強行したり、移民政策で公明の提言を無視したりすれば、公明党は世論の反発も見越して決断を迫られます。公明が求める「年収の壁の撤廃(社会保険の扶養控除130万円→180万円引き上げ)」や「ガソリン補助の継続」に背く政策が出た場合も同様です。

公明党にとって連立離脱は最後の手段ではありますが、実際2009年の下野時には野党転落を経験しています。自民党との選挙協力(特に小選挙区調整)も含め、公明は極めて現実的に利害を判断する政党です。高市政権が公明党支持層の不安をどこまで取り除けるか、そして公明がどこまで譲歩を引き出せるかが、今後数週間の大きな焦点となります。

国民民主党(政策合致点・協議の有無/玉木発言)

キャスティングボートを握る存在として急浮上しているのが国民民主党です。玉木雄一郎代表率いる国民民主(衆院27議席・参院11議席程度)は、中道改革路線を掲げつつ与野党双方に一定距離を置いてきました。しかし今回、自民党が過半数割れしたことで「キングメーカー」となり得る位置づけです。

玉木代表はこれまで「政策本位で与野党問わず協力する」と述べ、岸田政権下でも予算案賛成や法案修正協議に応じてきました。高市新総裁就任に際しても、「要請があればしっかり向き合う」と連携協議に前向きな姿勢を示しています。実際、自民党側近は10月4日夜に「早期に国民民主と協議を進めたい」と打診し、高市氏は5日夜に玉木氏と極秘裏に会談したことが判明しました。さらに6日には麻生副総裁と国民民主の榛葉賀津也幹事長が会談するなど、水面下で接触が重なっています。

国民民主党が協力の条件として重視する政策合致点は以下のとおりです。

  • 「年収の壁」問題への対応: パート収入が一定額を超えると社会保険料負担が発生する現行制度(年収約130万円の壁)の引き上げ。玉木氏は「少なくとも180万円まで引き上げよ」と訴えており、高市氏も総裁選で類似の主張をしています。この点は合意可能性が高いでしょう。
  • ガソリン税(燃料税)の暫定税率廃止: 玉木氏は物価高対策としてガソリン税の一時的な税率引き下げ(トリガー条項凍結解除)や暫定税率撤廃を求めています。高市氏は財政規律派ですが、物価高騰下では柔軟に検討する可能性があります。公明党もガソリン補助延長を主張しており、この点は三党の利害が一致しやすいテーマです。
  • 防衛費増額と積極財政: 国民民主は防衛費の対GDP2%目標に賛成で、経済政策でも積極財政を容認しています。高市氏の「責任ある積極財政」路線や安保政策とも矛盾が少なく、概ね政策協議は進めやすい土壌です。
  • 憲法改正への姿勢: 玉木代表は憲法改正論議に前向きで、緊急事態条項創設や9条改正を議論する姿勢を持ちます。高市氏も改憲はライフワークであり、自民・維新・国民民主がまとまれば改憲発議に必要な国会発議要件(衆参各2/3)に近づきます。この点も協力余地です。

玉木氏としては、これら政策実現と引き換えに協力する代わり、党の独自性も保ちたい思惑があります。もし連立政権に加われば閣僚ポスト獲得もあり得ますが、支持層には旧民主党系の流れもあり「自民入り」に抵抗感があるでしょう。そのため現時点では「閣外協力」「部分連合」という形で、高市政権を支える可能性が高いと見られます。

国民民主党内でも意見は分かれますが、玉木代表自身はかねてより「与野党双方と是々非々でやる第三極」を標榜しており、政策が合致するなら政権協力も辞さない現実路線です。実際、立憲民主の辻元清美氏が玉木氏に野党結集を呼びかけた際も、玉木氏は応じずむしろ自民との協議を優先させたと報じられています。

重要なのは、公明党が離脱した場合の「自民+国民民主連立」というシナリオです。衆院では自民196+国民民主27=223議席となり過半数233にあと10足りません。しかし参院では自民100+国民民主(会派)25=125でぎりぎり過半数に達します。さらに維新などの協力を得られれば衆院過半数も見えてきます。このため、自民党内には「最悪公明が去っても国民民主+維新で新連立」というプランBも囁かれており、玉木氏はそのキーマンです。

玉木代表は高市氏について「我々が言っていた年収の壁を尊重する趣旨の発言をしている」と評価もしており、現在のところ高市政権との協調路線に傾斜しているように見えます。ただ最終判断は公明党の動向も睨みつつとなるでしょう。玉木氏はしたたかに交渉カードを切り、高市政権から最大限の政策的譲歩を引き出す構えです。

追記(2025/10/07報道): 国民民主の玉木雄一郎代表は10月7日放送のテレビ番組で、高市氏が就任直後に解散総選挙を検討する可能性に言及した上で、公明党が連立を離脱した場合の政局悪化を強く警戒すると述べました。玉木氏は「公明党が納得できず連立離脱となれば、物価対策(例:ガソリン税の見直し等)が年内に実施できなくなり、我々も協力できない」と指摘し、連立離脱が自民側にとって「負のスパイラル」を招くとの見方を示しました(出典:スポニチアネックス、2025/10/07)。

日本維新の会(立憲との距離・与党接近観測)

日本維新の会は今回の衆院選で議席を35に伸ばし(改選前11から大幅増)、「第三極」として存在感を増しました。共同代表の馬場伸幸氏(衆院)と藤田文武氏(衆院幹事長)は、是々非々の野党として政策本位で行動する方針を示しています。維新は本来なら野党第一党の立憲民主党と協力して「反自民」勢力を伸張したいところですが、以下のような距離が指摘されます。

  • 立憲民主党との不仲: 維新と立憲はこれまで野党間での候補者調整や統一行動があまり上手くいっていません。特に大阪など関西では立憲と維新が支持層を奪い合う関係で、維新は立憲に対抗する「保守二番手」ポジションを志向しています。このため、安易な野党共闘(野党結集政権)には組しにくい状況です。
  • 政策志向の近さ: 維新は小さな政府・改革志向で、自民党内右派とも通じる政策があります。例えば憲法改正、規制改革、歳出削減などで自民と協調可能です。岸田前政権下でも一部法案で維新は賛成票を投じています。馬場共同代表も「政策次第では協力を惜しまない」と述べており、与党接近の観測が常につきまといます。
  • 地域政党としての戦略: 維新は大阪府・大阪市での都構想など公明党と激しく対立した経緯があり、公明が与党にいる限り自民との直接連立は難しい面があります。しかし公明党がもし離脱すれば、自民にとって維新は代わりのパートナー候補になります。高市氏も総裁選後に維新代表へ表敬の意を示したとも言われ、公明離脱時の維新参画は現実的なカードです。

維新内部では、国政与党への参加について温度差があります。創業者の橋下徹氏は「野党でいるより一度政権に入って改革を断行すべき」と提言する一方、松井一郎前代表らは自民との連立は維新のアイデンティティを失うと懸念しています。藤田幹事長はTV番組で「臨時国会前に連立合意なんてあり得ない」と否定しましたが、裏では政策協議の可能性を否定しません。

実際、維新の国会議員票の動き方一つで首班指名選挙の勝敗も変わります。維新35人が決選投票でどちらに付くかは未定ですが、高市氏としては維新票は喉から手が出るほど欲しいはずです。維新側も、自民との連携で得られる政策実現と、野党として独自路線を貫くメリットを天秤にかけています。

総じて言えば、維新は現時点では「一匹狼」のスタンスを崩していません。他党(特に立憲)との連携には冷ややかですが、自民ともまだ距離を置いています。しかし政局次第で豹変する可能性もあり、例えば公明離脱→維新誘い込みという展開になれば、維新は与党入りに色気を示すかもしれません。高市政権にとって維新はダークホース的存在で、その動向は引き続き注視が必要です。

3つの連立シナリオ分析(短期〜中期)

以上の状況と各アクターの思惑を踏まえ、直近から中期にかけて考えられる3つの政権シナリオを整理します。それぞれ政権の組み合わせと実現のハードル、国会で必要な議席の読みを分析します。

シナリオA:自民+国民民主(少数与党の国会運営)

概要: 自民党が公明党と決別し、代わりに国民民主党と協力して少数与党政権を運営するシナリオ。国民民主は正式連立に入らず閣外協力または法案ごとの協力に留める想定です。

成立条件: 公明党が連立離脱(または排除)されることが前提です。その上で国民民主党が協力に同意し、高市政権を支持(首班指名で高市氏に投票)する必要があります。玉木代表が条件とする政策合意(年収の壁引き上げ、ガソリン税見直し等)を自民が受け入れることが鍵です。

議席計算: 衆議院では自民196 + 国民民主27 = 223議席。【過半数まで残り10議席】の不足となり、引き続き少数与党の域を出ません。参議院では自民100 + 国民民主(会派)25 = 125議席ちょうどで過半数クリア。(注:国民民主党参議院会派「新緑風会」は他会派からの加入者を含み25議席)。つまり参院ではギリギリ可決ラインに届きますが、衆院ではあと10人の協力が必要です。この10人は、無所属議員や維新・れいわなどから法案ごとに借りる形になるでしょう。

【シナリオAの利点・課題】: 自民にとって公明との確執から解放され、保守色の強い政策(例:防衛費増額や改憲)を進めやすくなります。国民民主にとっても政策を実現でき存在感を高められます。ただし衆院過半数を欠く不安定さは残り、重要法案ごとに維新など第三極の協力が不可欠です。また公明党は野に下っても影響力があり、選挙での創価学会票の協力を失う自民は次期総選挙で苦戦必至です。世論的にも「数合わせ」の印象が強く、高市政権が短命で終わるリスクがつきまといます。従ってシナリオAはあくまで次の衆院解散までの暫定政権的性格が強いでしょう。

シナリオB:自民+維新+国民(非公明連立の可能性とハードル)

概要: 自民党が公明を外し、日本維新の会国民民主党を加えた新たな連立政権を組む大胆なシナリオです。いわば「非公明」保守連立で、高市首相・馬場副首相・玉木官房長官…といった布陣もあり得ます。

成立条件: 公明党の離脱または自民からの排除が前提。維新・国民民主双方が与党入りに同意すること。最大のハードルは維新と国民民主の利害調整です。維新は閣僚ポストより政策実現を重視すると考えられますが、公明と違い選挙協力の基盤が弱く、与党参加に慎重な意見も多いです。玉木氏と馬場氏が共闘できるか(両党は地方選挙で競合関係もあり)も課題です。また維新内部に「反高市」感情が少なくない点もネックです。

議席計算: 衆議院では自民196 + 維新35 + 国民民主27 = 258議席となり、単独で過半数233を上回り安定多数(絶対安定多数=261に僅かに届かず)に迫ります。参議院では自民100 + 維新19 + 国民民主25 = 144議席で過半数125を大きく上回ります。ねじれは完全に解消し、与党で十分な議席を確保できます。

【シナリオBの利点・課題】: 数の上では最も安定する組み合わせです。衆参とも与党過半数となり、法案成立や首班指名に不安がなくなります。政策的にも、維新・国民は自民と近い分野(新自由主義的改革、積極財政と規制緩和など)が多く、合意形成は比較的容易でしょう。憲法改正も発議可能なラインです。ただ最大の課題は公明党の反発です。公明は野党転じても地盤を持ち、維新と激突するでしょう。また創価学会票を失うことで自民議席が先細りするリスクもあります。

さらに国政全体としては野党第1党が立憲民主・共産連合となり、与党vs.リベラル野党の対立軸が鮮明化します。政治が二極化する中で、維新と国民民主が与党に入ると第三極が消滅し、無党派層の受け皿が無くなる可能性もあります。維新・国民民主にとって政権参加は諸刃の剣で、改革勢力という独自色を失いかねません。したがってシナリオB実現には相当の政治的決断と妥協が必要で、実現確率は現時点では高くありません。高市政権が窮地に追い込まれた際の起死回生プランとして温存されている、と見る向きが多いです。

シナリオC:野党結集政権(立憲軸/公明の位置づけ/実現確率と必要条件)

追記(2025/10/08報道): 立憲民主党と日本維新の会は10月上旬に幹事長同士で協議し、野党統一候補について「野田代表にこだわらない」との考えを維新側に伝えたと報じられています。立憲の安住幹事長は、野党がコンセンサスを得て自民を上回る票を確保できる人物を選ぶべきだと述べ、維新側は「政策協議が前提だが連携の余地はある」と応じたとされています。これにより、首班指名に向けた野党側の調整が一段と現実味を帯びてきたと報じられます(出典:TBS NEWS DIG、2025/10/08)。

概要: 高市政権が国会で敗北し、自民党が政権を失う「野党連合政権」のシナリオです。立憲民主党を中心に、維新・国民民主・共産・れいわ・社民・(場合によっては公明党も)幅広い野党が結集して過半数を形成する構想になります。

成立条件: 首班指名選挙で高市首相が選出されず、代わりに野党側候補(例えば立憲の野田佳彦代表)が衆参いずれかで勝利すること。具体的には、維新・国民民主を含む非自民勢力が結束し、衆院で233以上の票を獲得する必要があります。そのためには、公明党がキャスティングボートを握ります。公明が野党側に回り、野党統一候補(例えば野田氏)に投票すれば、立憲(148)+維新(35)+国民(27)+公明(24)+共産(8)+れいわ他(10程度)=252前後となり過半数に達します。公明なしの場合、共産・れいわ・社民まで合わせても233にわずかに届かず(約228前後)足りません。

議席計算: 仮に立憲・維新・国民・共産・れいわ・社民・公明の“大連立”的な集まりが実現すれば、衆議院で約252議席、参議院でも立憲42+維新19+国民25+共産7+れいわ6+公明21=120弱と過半数付近になります。参院では少し足りない可能性がありますが、無所属議員の協力などで補うシナリオです。

【シナリオCの利点・課題】: 利点としては、高市氏のような強硬路線ではなく、より中道的な立憲民主党政権が誕生し得ることです。国民の一部には女性初の高市首相への不安(韓国・中国との関係悪化懸念など)があり、それを和らげる効果があるかもしれません。また公明党がこちら側につけば、自民党は一気に孤立します。

しかし課題は極めて多いです。まず維新と共産の共存が難しく、維新は共産党との連立には否定的です。共産党も閣外協力以上の関与は望まないでしょう。公明党が長年敵対してきた共産党と同じ枠に入ることも考えづらいです。さらに立憲民主と維新の政策的隔たり(例:憲法改正や安全保障観)も大きく、綱領的にまとまるのは至難です。

実現確率は現状ではかなり低いと考えられます。唯一、このシナリオが現実味を帯びる局面があるとすれば、総選挙後に自民党がさらに議席を減らした場合です。次の総選挙で立憲・維新・公明らが議席を伸ばし、自民が第1党を失えば、反自民連合政権が模索される可能性があります(いわば「2025年版・細川連立政権」の再来)。公明党は自民との連立解消後、どちらの政権に与するか現実的判断を迫られるでしょう。公明にとっては福祉重視の立憲政権も受け入れ可能ですが、維新との組み合わせには悩ましいところです。

結論として、シナリオCは机上では成り立つものの、実際には高市政権が国会で敗北し総辞職するくらいの事態が必要です。例えば初回の首班指名で野党候補が衆院過半数を制するなどドラマチックな展開が起きれば一気に現実化しますが、そのためには維新・国民民主・公明が結束する必要があり、現時点では想定しにくい状況です。

以上、3つのシナリオを概観しましたが、最も蓋然性が高いのはシナリオA(自民+国民民主)で、次がシナリオB(自民+維新+国民)、シナリオC(野党結集)は低位といえます。ただ政治状況は流動的であり、今後の世論や予算編成、人事を巡る駆け引き次第で変転し得ます。

リスクと不確実性(世論・人事・選挙協力・解散カード)

高市政権の行方を占う上で、数合わせ以外のリスク要因や不確実な要素にも目を向ける必要があります。ここでは主要なポイントを挙げます。

  • (1) 世論の支持動向: 冒頭に触れたJNN世論調査では「高市新総裁に期待する」が66%に達し、概ね好意的な船出です。女性首相誕生という歴史的出来事への期待感もあるでしょう。しかし、高市氏の保守色ゆえに反発する層や、石破前首相からの急転換に戸惑う国民も存在します。支持率が高位安定すれば与党内の結束が増し、野党の協力も得やすくなりますが、支持率急落時には公明党が見切りをつけたり、早期解散を打てなくなったりするリスクがあります。物価高や増税議論への対応次第で、世論は大きく揺れ動ぶ可能性があります。
  • (2) 政権人事の妙: 高市氏は組閣人事(首相就任後)でどのような布陣を敷くかも鍵です。公明党を慰留するなら公明枠入閣(斉藤氏の留任など)を提示する必要がありますし、国民民主との協力を進めるなら玉木氏や榛葉幹事長らにポストを提供することも考えられます。一方で、閣僚や党役員に極端な右翼的人物や問題議員を起用すると、公明・国民民主が離れる恐れがあります。汚職スキャンダル経験者などの起用も「政治とカネ」で攻撃対象になります。高市氏自身も過去に秘書給与問題で辞任歴があり、クリーンなイメージ構築が重要です。適材適所の人事で信頼を得られるか、不確実性が残ります。
  • (3) 自民・公明の選挙協力破綻: 仮に公明党が連立に留まったとしても、既に両党の関係はぎくしゃくしています。焦点は次期総選挙(衆院小選挙区)での協力です。公明党は前回、東京・大阪など小選挙区で自民候補を推薦しましたが、今回は高市総裁への不満から東京・大阪での協力見直しを示唆しています(特に東京では創価学会票の行方が左右される)。一方で自民党も大阪で公明現職への対抗馬擁立を検討するなど、不協和音が噴出しています。選挙協力が破綻すれば、互いの議席減に直結します。この懸案が解消するかどうかは、連立維持の可否とともに、今後数ヶ月の重大な不確実要因です。
  • (4) 解散総選挙のタイミング: 高市首相就任後、「ご祝儀相場」で支持率が高いうちに早期解散に打って出るとの観測も根強いです。支持率高・野党準備不足の状況なら議席奪還を図れるという算段です。しかし、現在の衆院任期は2025年10月まで残っており、無理に解散して敗北すれば本末転倒です。また新政権発足直後の解散は国民の反発も招きかねません。高市氏自身「まずは政策を前に進める」と述べており、すぐの解散はないと見る向きもあります。いずれにせよ解散権は首相の最強カードであり、今後の政局で常に選択肢となります。その行使時期は大きな不確実性です。
  • (5) 想定外の外交・安全保障危機: 高市氏は外交・安保でタカ派の立場ですが、近隣諸国(中国・北朝鮮・韓国)との関係悪化や有事発生は政権を直撃します。例えば中国が高市首相の靖国参拝に強く抗議し経済制裁を示唆する、北朝鮮が挑発する、韓国世論が反日感情を強める等の事態です。また台湾有事への対応で公明党が異論を唱えるケースも考えられます。こうした外交上のリスクは政局に不確実性をもたらし、公明離反や支持率低下要因となり得ます。

以上のように、高市政権は内外の多数のリスク要因を抱えています。安定した政権運営には、これら不確実性を一つずつ潰し込み、「今わかっている事実」に基づいて着実に手を打つことが求められるでしょう。

最後に、現時点で判明している確かなポイントと、まだ不透明なポイントをまとめ、結論とします。

結論:いま分かっていること/まだ不明なこと

高市新総裁をめぐる政局の現状を総括するとともに、現時点で判明している事実と今後の不確定要素を整理します。

いま確かな事実 (Confirmed)依然不明な点 (Uncertain)
・自民党は衆参とも過半数割れ。高市新総裁下で与党計220議席(衆院)/121議席(参院)の少数与党。公明党が連立に残るか離脱するか:政策協議次第で態度が変わる。靖国・外国人政策への高市氏の対応がカギ。
・公明党が高市氏に懸念点を公式伝達。「懸念解消なければ連立組めない」と強い表現。両党は政策協議入りで合意。国民民主との連携具体像:閣外協力に留まるのか、入閣も含めた正式連立に踏み込むのかは未定。玉木氏の要求に自民がどこまで応じるかも不透明。
・高市氏と玉木氏が10月5日に極秘会談し、麻生氏経由で国民民主との協議が進行。玉木氏も協力に前向きな発言。維新の去就:野党に留まり独自路線を貫くのか、自民に接近し与党入りを模索するのか。維新内部でも意見が割れ流動的。
・首班指名選挙は衆院優越により最終的に衆院多数派の候補が首相となる仕組み。衆参ねじれのため決選投票→衆院議決優先の公算大。首班指名の結果:野党候補がどの程度票を得るか。特に維新と国民民主、公明の投票行動で結果が変わり得る。高市氏敗北の可能性は低いがゼロではない。
・世論支持率は現時点で高市新総裁に比較的好意的(期待66%)。女性初首相への期待が高い。支持率の持続性:今後の政策対応や野党攻勢で支持率が上下する可能性。短期間で急落すれば政局は再流動化する。
・衆院解散権は高市首相(就任後)が自由に行使可能。任期満了まで1年ある。解散時期:高市氏がいつ解散総選挙に踏み切るか読めない。早期解散説もあれば、任期ぎりぎりまで粘る説も。
・自民・公明の選挙協力は緊張状態。大阪・東京での協力見直しが示唆されている。選挙協力の行方:特に次期衆院選で公明票なしで自民が戦えるのか、大幅な選挙区調整変更があるのか未確定。

以上の表のとおり、「数」の状況と基本的な制度上の枠組みは明らかになっています。一方で、それをどう埋め合わせるかという政党間の駆け引きや戦略には不確実な要素が多く残されています。

高市新総裁の下、自民党は初の女性リーダーによる新機軸を打ち出しつつ、失った多数派をどう再編成するかという困難な舵取りを迫られます。連立与党の枠組みが維持されるのか再編成されるのか、そして次期総選挙まで政権が安定運営できるのか。政治のダイナミズムが試される局面と言えます。

今後はまず特別国会での首班指名選挙の結果組閣人事が一つの山場となり、その後年末にかけて予算編成や重要政策を巡る与野党の駆け引きが本格化するでしょう。本記事で整理した事実関係とシナリオ分析が、読者の皆様にとって日本政治の現在地を把握し、近未来を展望する一助となれば幸いです。

よくある質問(FAQ)

Q1. なぜ公明党は高市早苗氏にそこまで懸念を示しているのですか?
A. 最大の理由は政治スタンスの違いです。公明党(支持母体は創価学会)は平和主義・福祉重視で、中道志向です。一方、高市氏は保守強硬派で靖国参拝や改憲などタカ派色が強い。創価学会員には中国や韓国にルーツを持つ人も多く、高市氏の歴史観や外国人政策への不安が大きいのです。また、公明党は長年連立を組んだ自民内でも穏健派(例えば岸田前首相)を好み、高市氏のような“右寄り”の政治家とは理念的距離があります。このため斉藤代表は異例の厳しい注文を出しました。

Q2. 首班指名選挙では具体的にどんな候補者名が投票用紙に書かれるのですか?
A. 慣例では、各会派が所属議員の中から首相候補を指名します。今回で言えば、自民党は高市早苗総裁を、立憲民主党は新代表の野田佳彦氏を擁立するでしょう。日本維新の会は馬場伸幸共同代表や音喜多駿政調会長など、国民民主党は玉木雄一郎代表をそれぞれ独自に候補に立てる可能性があります。共産党は志位和夫委員長、れいわ新選組は山本太郎代表といった具合です。第1回投票では各議員がこれら自党候補か他党候補に投票します。過半数得票者が出なければ最多得票の2名(恐らく高市氏と野田氏)が決選投票となります。

Q3. 衆議院と参議院で首班指名が食い違った場合、両院協議会では何が行われるのですか?
A. 衆参両院の代表各10名ずつ計20名で構成される両院協議会を開き、首相指名を一本化できないか話し合います。ただ首相指名の両院協議会は、これまで一度も合意に至ったことがありません。仮に今回開催されても、自民側は「高市氏を首相に」と主張し、野党側は「野田氏(または別の野党統一候補)を」と譲らないでしょう。憲法67条で10日以内に一致しない場合は自動的に衆院の議決(高市氏)が優先となるため、実質的には結論が変わることなく終わる見込みです。

Q4. 国民民主党は本当に連立政権に入るのでしょうか?
A. 現時点では閣外協力(連立に入らない協力)の線が濃厚です。玉木代表は「要請あれば向き合う」と述べていますが、支持者には反自民も多いため、いきなり入閣すると反発を招く可能性があります。まずは政策協定を結んで予算案などに賛成し、信頼関係を構築するのではないかと見られます。その上で状況次第では将来的に連立入り(入閣)もありえますが、玉虫色のスタンスを続けるのが玉木氏の持ち味でもあります。

Q5. 日本維新の会が与党に加わる可能性はゼロではない?
A. はい、ゼロではありませんがハードルは高いです。維新は自主独立を掲げる野党第2党で、支持者も「既成政党と一線を画す改革政党」と期待しています。ただし、仮に公明党が離脱して自民が少数政権に陥れば、維新に連立参加の打診が来るでしょう。この場合、維新内でも議論になるはずです。藤田共同代表は「臨時国会前の連立合意はない」と否定していますが、今後の情勢次第です。維新は政策条件(統治機構改革など)が飲まれれば現実路線に転じる可能性もあり、その動向は政局の台風の目となり得ます。

Q6. 高市政権が短命に終わるとしたら、どんなパターンですか?
A. いくつかシナリオがあります。一つは国会で重要法案が否決されるケースです。例えば来年度予算案が衆院を通らなかったり信任決議で敗北したりすれば、総辞職・解散に追い込まれます。もう一つは政権スキャンダルです。高市首相本人や閣僚に重大不祥事が発覚し、支持率が急落して政権維持が困難になる場合です。また、公明党が離脱して政権維持が物理的に不可能になる場合も短命終焉の引き金でしょう。特に初の女性首相という注目度も高く、周囲からの風当たりも強いため、些細な失敗が致命傷になるリスクがあります。

Q7. 公明党が本当に離脱したら自民党はどれくらい議席を失う?
A. 単純計算では公明党が現在衆院に持つ24議席(2025年10月6日現在)を失います。しかし、それ以上に影響が大きいのは創価学会の選挙支援です。これまでも公明支持者は自民候補(特に東京・大阪など)に票を振り分けてきました。連立解消となれば自民小選挙区候補の相当数が苦戦・落選するとみられます。専門家試算では20〜30議席規模で自民が失う可能性があるとも言われています(情勢による)。逆に公明党も自民協力なしでは選挙区当選が難しい地域があり、双方「持ちつ持たれつ」の関係でした。それが切れる痛手は自民にとって相当大きいでしょう。

Q8. 野党結集政権(シナリオC)が実現する現実味は?
A. 現状では低いですが、絶対にないとは言い切れないのが政治です。立憲・維新・国民・共産・公明らが大同団結するのは理念面で困難です。しかし例えば総選挙で自民が大敗し、立憲と維新の議席が逆転して野党合計が衆院の過半数に迫るような状況になれば、野党連立による政権交代が模索されるかもしれません。公明党がキャスティングボートを握る形で「反高市」の受け皿として立憲政権に参加する可能性もゼロではありません。ただ、現行の議席構成では野党政権樹立は非現実的なので、当面は各党が個別に自民と対峙・協調する状況が続くでしょう。

Q9. 高市新総裁の経済政策は岸田前総裁とどう違うの?
A. 高市氏は「サナエノミクス」とも呼ばれる独自の経済政策を掲げており、基本は安倍元首相のアベノミクス継承です。積極財政で経済成長を促す点は岸田氏と共通しますが、岸田政権の「新しい資本主義」が分配にも軸足を置いたのに対し、高市氏はより減税や公共投資など成長志向が強いです。また岸田氏は金融所得課税強化など再分配策を模索しましたが、高市氏はそれらに否定的で、富裕層優遇との批判もあります。金融市場では、高市政権で日銀利上げが遠のき国債増発もあり得るとの見方があり、円相場や金利への影響を注視する声もあります。

Q10. 憲法改正はこの政局で進みますか?
A. 憲法改正には衆参各2/3以上の賛成と国民投票が必要です。現状、改憲勢力(自民・維新・国民民主・一部無所属など)は衆参で2/3に達していません(衆院はあと数十票足りない)。公明党は平和主義の立場から改憲には慎重です。一方、高市氏は改憲意欲が強く、国民民主や維新もテーマによって協力的です。高市政権が維新・国民との協力関係を築ければ、例えば緊急事態条項9条への自衛隊明記といった項目で改憲発議にこぎつける可能性はあります。とはいえ、政局が安定しない中で改憲議論を急ぐのは難しいとの見方が一般的です。仮に高市政権が長期化し、シナリオB(自民+維新+国民民主)のような体制になれば、改憲実現が視野に入るでしょうが、現時点では改憲より足元の政権維持が優先と考えられます。

用語集

  • 首班指名(しゅはんしめい): 内閣総理大臣を国会で指名(選出)すること。特別国会の本会議で行われる。衆参両院で行い結果が異なれば両院協議会を開くが、最終的には衆議院の議決が優越する(憲法67条)。
  • 特別国会: 衆議院解散総選挙後に招集される国会。主に首班指名選挙を行うために開かれる(憲法54条2項)。内閣総辞職後にも召集される。今回は2025年10月中旬に召集予定。
  • 両院協議会: 衆参の議決が一致しない際に開催される協議機関。委員は各院10名ずつ。首班指名、予算、条約などで必ず開かれるが、成立には出席協議委員の2/3以上の賛成が必要。首班指名で成案が得られた例はない。
  • 衆議院の優越: 二院制において衆議院の意思を優先させる規定。首班指名では衆院が優先(憲法67条)、予算先議と議決の優越(憲法60条)、条約承認の優越(憲法61条)、法案再可決(憲法59条)などがある。
  • 少数与党: 議会において過半数に満たない議席しか持たない政権与党のこと。法案可決には野党からの協力が必要となる。不安定な政権形態で、日本では細川連立政権崩壊後~羽田内閣、安倍第一次内閣後半などの例がある。
  • 年収の壁: 主に社会保険料負担の発生ラインを指す俗称。配偶者が年間収入130万円を超えると被扶養者から外れ社会保険料がかかる制度などを指す(106万円/150万円など複数ラインあり)。国民民主はこの上限引き上げを主張。
  • ガソリン税の暫定税率: ガソリンにかかる揮発油税のうち、本則税率に上乗せされている部分。道路特定財源だったが現在もリッター当たり約25円が暫定的に課税されている。玉木氏は廃止・減税を主張。トリガー条項凍結解除も関連。
  • 部分連合: 政党間で正式な連立政権を組むのではなく、法案ごと・政策分野ごとに協力する形態。閣外協力や政策合意だけ結ぶ場合も含む。議席が足りない政権が特定政党の支持を都度取り付けて法案を通す際に使われる。
  • キャスティングボート: 決定投票権の意。議長決裁の比喩や、勝敗を左右する立場(少数政党など)が持つ影響力を指す。今回では公明党や無所属議員がキャスティングボートを握ると言われる。
  • 議長決裁(ぎちょうさいけつ): 憲法56条2項に基づき、可否同数の場合に議長が可否を決定すること。日本憲政史上、本会議では1975年参院の例が初。通常、議長は票決に加わらないが、この場合は中立を保ちつつ可否を決める。
  • 臨時国会: 内閣またはいずれかの議院の要求で召集される国会(憲法53条)。今回は特別国会とほぼ同時期に扱われるが、通常は通常国会(1-6月)以外に開かれる国会のこと。
  • 政権の安定多数: 議会において単独または連立で過半数(安定多数)を確保している状態。特に衆院では委員長ポスト確保に必要な絶対安定多数=261議席も指標となる。安定多数がない政権は野党に振り回されやすい。

参考資料

  1. 【自民党新総裁に高市氏選出】「女性として初の自民党総裁、近く臨時国会で首相指名へ」 ロイター (2025年10月4日)jp.reuters.comtoyokeizai.net
  2. 【第50回衆院選の結果】「自民191議席に後退、与党合計215で過半数届かず。立憲は148議席に躍進」 中央社 (CNA)日本語版 (2024年10月28日)zh.wikipedia.org
  3. 【参議院会派別議席数】「令和7年10月6日現在の参議院勢力図(自民100、公明21、立民42、国民25、維新19 他)」 参議院公式サイト (2025年10月6日)sangiin.go.jpsangiin.go.jp
  4. 【衆議院会派別議席数】「総選挙後の衆議院構成 (2025年9月30日時点):自民196、公明24、立民148、維新35、国民27 他」 Wikipediaテンプレート「衆議院の現在の構成」 (2025年9月30日版)ja.wikipedia.orgja.wikipedia.org
  5. 【公明・斉藤代表の発言】「『懸念点の解消なくして連立政権なし』高市新総裁に公明が注文」 TBS NEWS DIG (2025年10月4日)newsdig.tbs.co.jpnewsdig.tbs.co.jp
  6. 【高市×玉木 極秘会談】「高市氏、国民民主の玉木代表と秘密裏に会談。少数与党打開へ早期連携模索か」 毎日新聞 (2025年10月6日)newsdig.tbs.co.jp
  7. 【国民民主・玉木氏の姿勢】「自民、国民民主と連携協議へ 玉木氏『要請あればしっかり向き合う』」 毎日新聞 (2025年10月5日)mainichi.jp
  8. 【維新の立場】「自民・高市総裁就任で自民と維新の距離拡大?奈良VS大阪の遺恨、連携に影響か」 毎日新聞 (2025年10月6日)mainichi.jp
  9. 【政策協議事項】「玉木氏、高市新総裁に『年収の壁』引き上げとガソリン税暫定税率廃止を要求」 沖縄タイムス (共同通信配信, 2025年10月4日)konjichouin.hatenablog.comokinawatimes.co.jp
  10. 【世論調査】「高市新総裁に『期待する』66% 石破内閣支持率は…JNN世論調査」 TBS NEWS DIG (2025年10月5日)newsdig.tbs.co.jp
  11. 【憲法と議長決裁】「日本国憲法第56条第2項:可否同数のときは議長が決する。1975年参院本会議で117対117となり議長裁決を実施」 参議院「よくある質問」 (1975年7月4日の例)sangiin.go.jpja.wikipedia.org
  12. 【東洋経済による政局分析】「高市政権を待ち受ける地雷だらけの政局:少数与党で連立拡大協議へ」 東洋経済オンライン (星浩氏, 2025年10月6日)toyokeizai.nettoyokeizai.net
  13. [New1] スポニチアネックス「国民・玉木代表 公明の連立離脱なら…自民に待ち受ける負のスパイラル『我々も協力できないと』」(配信日:2025/10/07)
  14. URL:https://news.yahoo.co.jp/articles/4860020799d7fd43b0c08ba31cb4b22ccbe15a8d
  15. [New2] TBS NEWS DIG「立憲・安住幹事長、総理指名『野田代表にこだわらない』 維新に伝達 野党統一候補の選定に向け連携確認」(配信日:2025/10/08)
  16. URL:https://news.yahoo.co.jp/articles/a04b70444aad6b2d1c28ca99a4a19d24d427b076
  17. [New3] 日本経済新聞(配信)「自民、公明との連立合意持ち越し 『政治とカネ』の対応折り合わず」(配信日:2025/10/07)
  18. URL:https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA079ED0X01C25A0000000/

政治

2025/10/8

高市早苗・自民党新総裁後の政局を徹底検証:公明の去就、国民民主の鍵、首班指名の勝敗ライン

高市早苗・自民党新総裁後の政局を徹底検証:公明の去就、国民民主の鍵、首班指名の勝敗ライン 最終更新日:2025年10月8日(JST)2025年10月、初の女性総裁が誕生した自民党は、衆参両院で過半数割れという厳しい政局に直面しています。本稿では高市早苗新総裁就任後の政局について、最新の会派別議席データと首班指名選挙の制度(憲法67条・決選投票・衆議院の優越)を踏まえ、公明党の連立離脱リスクや国民民主党・日本維新の会との連携シナリオを検証します。主要プレーヤーの立場・利害や今後想定される3つのシナリオを数値 ...

政治

2025/10/5

高市早苗「首相就任見込み」徹底解説:論戦で見えた政策軸・初動100日ロードマップ・日本政治はどこへ向かうか

自民党の高市早苗前経済安全保障担当相(64)が2025年10月4日、決選投票を制して第29代総裁に選出されました。女性として初の首相就任が見込まれる高市新総裁について、本記事では総裁選の最新状況から政策の論点、今後100日間の展望までを詳しく解説します。 要点 女性初の首相へ: 2025年10月4日、自民党総裁選の決選投票で高市早苗氏が勝利し、新総裁に選出。特別国会は10月中旬に召集予定で、与党は過半数割れながらも衆院第1会派。野党が統一候補を擁立しない見込みのため、高市氏が首相に指名される可能性が高いと ...

政治

2025/9/28

自民党総裁選2025【最新】討論内容と候補者比較まとめ

更新日:2025-09-28 09:00 JST 結論: 自民党総裁選2025は、石破茂首相の退陣を受けて5人が争う混戦となっています。主要争点は物価高対策や減税策で、9月27日のネット討論では賃上げや減税の是非を中心に論戦。全候補がガソリン税の一部廃止など家計支援策で一致する一方、小泉進次郎氏の“好意的コメント要請”問題への質疑では各候補が慎重な姿勢を示し、党内融和を優先する姿勢が浮き彫りになりました。総裁選は10月4日に投開票され、新総裁は事実上次期首相となる見通しです。 速報・直近の重要ポイント 9 ...

政治

2025/9/27

小泉進次郎陣営「やらせコメント」問題を徹底解説 ニコ動ステマ指示24例の波紋

自民党総裁選2025に出馬中の小泉進次郎農水相の陣営が、動画サイト「ニコニコ動画」で小泉氏を称賛する好意的なコメントを書き込むよう支援者に依頼していたことが発覚しました。牧島かれん氏の事務所から送られたメールに24種類の参考例が記載され、一部に「ビジネスエセ保守に負けるな」など、他候補への批判と受け取れる表現が含まれていた。9月26日に小泉氏は記者会見で事実を認めて陳謝し「行き過ぎた表現があった」「再発防止を徹底する」と述べました。この「ステルスマーケティング(ステマ)」疑惑は党内外に波紋を広げ、陣営の牧 ...

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2025/9/25

【2025年版】日本版ユニバーサルクレジット導入ロードマップ 

TL;DR(要約):英国のユニバーサルクレジット(UC)の特徴である「55%テーパ+就労控除(ワークアローワンス)」と月次算定を軸に、日本でも“働けば手取りが増える”一体給付制度(仮称:就労連動一体給付)の導入を提言します。英国UCの成功例(就労インセンティブ強化)を取り入れつつ、初回5週間待機などの失敗からは学び、日本では初回給付の迅速化(無利子の橋渡し給付)や総合マイナポータル連携による効率化を図ります。制度は段階的に導入し、パイロット検証→全国展開まで緻密なロードマップを設定。最終的に所得階層全体で ...

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