メンタルヘルス 子育て

共働きママの子育て悩み・育児ストレス対策ガイド ~ワンオペ育児からの解放と支援策~

はじめに:子育ての悩み・育児ストレス、ひとりで抱えていませんか?

 フルタイムで働きながら子育てをする生活――それは喜びとやりがいに満ちる一方で、「子育ての悩み」や「育児ストレス」を抱えやすい大変な毎日でもあります。特に20~40代の共働きママ(在宅勤務・時短勤務含む)の多くが、仕事と育児の両立による時間的プレッシャーや孤独感に直面しています。「家族のために頑張らなきゃ」と自分を奮い立たせる反面、心の中では「私だけこんなに大変?」と不安になることはないでしょうか。実はあなたの感じるそのストレス、とても自然な反応です。そして決してあなただけの問題ではありません。

 データで見ても、育児中の家庭のストレスは現代社会で深刻な課題となっています。例えば、日本では夫婦のいる世帯の約7割が共働きで、仕事と育児を両立する家庭が当たり前の時代になりました。その中で、厚生労働省の調査によれば強い心理的ストレスを抱える成人は約1割にのぼります。さらに、育児期の親を対象にしたアンケートでは、「子どもの教育資金に不安を感じる」と答えた親が83.5%にも達し過去最高となりました。こうした数字からも、多くのママ・パパが日々子育てにまつわる悩みや将来への不安を抱えていることが読み取れます。

 本記事では、そんな共働きママたちのリアルな悩みに寄り添い、安心して実践できる対処法と利用できる支援策を専門家の知見や最新データとともに包括的にまとめました。ワンオペ育児による孤独感への対処、仕事と家庭のタイムマネジメント、そしてポジティブな子育ての心構えなど、今日からできる工夫が満載です。最後にはよくある質問にもQ&A形式でお答えし、悩めるあなたの背中をそっと押せる内容になっています。どうか一人で抱え込まず、本記事をヒントに「今の自分にできること」から始めてみてください。きっと少しずつでも心が軽くなり、あなた自身とご家族の笑顔を増やす助けになるはずです。

1. 子育て世帯の“今”を数字で読む

―データに見る育児ストレスの現状―

 まずは子育て世帯が置かれている現代の状況を、いくつかの数字から確認してみましょう。統計データを読むことで、自分たちの悩みが社会全体で共有されている課題であることがわかります。

  • 共働き世帯の増加:夫婦のいる家庭では共働きの割合が年々増えています。2021年時点で夫婦世帯の68.8%が共働きというデータがあり、現在では共働きが当たり前の時代となりました。共働きである以上、ママもフルタイムで働くケースが多く、時間や心に余裕がなくなりがちです。
  • 高ストレス層の存在:厚生労働省「国民生活基礎調査」によれば、強いストレス状態(K6スコア※10点以上)にある人は全体の約9.8%にのぼります。育児世代に限定した詳細はありませんが、乳幼児を育てる時期は睡眠不足やホルモン変化も重なり、特にストレスを感じやすい時期だと考えられます。
  • 育児によるメンタルヘルスへの影響:出産前後の両親のメンタルについて、日本で10年間にわたり追跡した研究では、ママの不安・抑うつ症状は出産後10年間高いレベルで持続することが報告されました。さらに「男性(パパ)は助けを求めにくいためストレスを受けやすい可能性がある」とも示唆され、産後うつは決して母親だけの問題ではなくパパにも影響しうることが分かっています。
  • 「保活」のストレス:共働き家庭にとって避けて通れないのが保育園探し(いわゆる保活)です。2024年に保活を経験した保護者への調査では、実に82.4%が「保活中は普段よりストレスが増えた」と回答し、前年(65.5%)より大幅に増加しました。希望する保育園に入れない不安や、子どもを抱えて説明会に通う負担など、保活は両親の心身に大きなストレスを与えています。
  • 教育費への不安:少子化とはいえ教育費の家計負担は依然として重く、多くの家庭で将来への不安を感じています。ソニー生命の調査(2024年)によると、親の83.5%が「子どもの教育資金に不安を感じる」と回答しました。教育費のピークが近づく中高生の親では不安度が特に高く、将来に向け経済的プレッシャーを抱える親が大半であることがわかります。

 いかがでしょうか。このように数値で見てみると、仕事・育児を両立する家庭の多くが様々なストレス要因にさらされている現状が浮かび上がってきます。「自分だけじゃない」と少しホッとした方もいるかもしれません。次章では、そうした育児ストレスや親の孤独感を生み出す具体的な原因に焦点を当て、代表的な5つの要因を掘り下げてみましょう。

2. ストレスと孤立を招く5つの要因

―「ワンオペ」「時間がない!」…その原因に目を向ける―

 育児ストレスや親の孤立感を引き起こす背景には、いくつか共通するパターンがあります。ここでは共働きママたちの声や専門家の分析から浮かび上がる5つの主な要因を整理しました。当てはまるものがないかチェックしてみてください。

  1. ワンオペ育児(育児の担い手不足) – 夫や周囲のサポートが得られずママが育児を一人で背負っている状態です。パートナーの長時間労働や育児休業未取得、実家の遠方化など様々な理由で起こります。「誰にも頼れない」孤立感が母親の心理的負担を大きくします。近年は男性の育休取得率も向上し、2023年度には男性で30.1%と初めて3割を超えました(前年17.1%)が、それでも女性の取得率84.1%に比べるとまだ低く、依然としてママのワンオペ状態を防ぎきれていません。
  2. 時間的プレッシャー(タイムプレッシャー) – とにかく時間が足りない!フルタイム勤務に家事・育児が重なると、一日はあっという間です。子どものお迎えや家事に追われ、自分の休息や趣味の時間は後回し。「常に何かに追われている」感覚から心身が休まらず、ストレスが蓄積します。特に子どもが小さいうちは予測不能なハプニング(夜泣きや発熱など)も多く、予定通りに進まないストレスも加わります。
  3. 職場復帰の壁 – 出産・育休を経て仕事に復帰する際の心理的・実務的ハードルです。ブランクによるキャリアへの不安、復帰後の職場の理解不足や配置転換、残業や出張への対応問題など、「仕事と家庭を両立できるのか?」というプレッシャーがのしかかります。周囲に迷惑をかけまいと無理をしてしまい、ママ自身が追い詰められてしまうケースも少なくありません。また保活がうまくいかず「職場復帰したくても保育園に入れない」という制度上の壁にぶつかる家庭もあります。
  4. 保活ストレス – 前述の通り、希望の保育園に子どもを入れるための活動(保活)は共働き家庭にとって重大な関門です。情報収集や見学予約、書類準備に奔走し、結果が出るまで落ち着かない日々…。2024年の調査では8割以上の保護者が保活で心身にストレスを感じています。「どこの園も定員いっぱい」「職場復帰までに預け先が決まらないかも」といった不安から、夫婦ともに精神的に疲弊しがちです。特に第一子の保活では要領も掴めず、想像以上の重労働となります。
  5. 経済的不安(教育費・生活費) – 子育てには何かとお金がかかります。習い事や進学費用、将来の学費を考えると不安は尽きません。実際、先のソニー生命の調査でも8割超の親が教育資金に不安を感じています。また物価高や将来の年金不安も相まって、「このまま働き続けても教育費と住宅ローンで精一杯…」という声も。経済的不安は夫婦の精神的余裕を奪い、家庭内のピリピリ感や夫婦喧嘩の原因にもなりがちです。

 以上のような要因が絡み合い、ママたちの心に重くのしかかっています。あなたはいくつ当てはまりましたか? 多くの共働きママが複数の要因を同時に抱えているのが実情でしょう。ただ裏を返せば、これらの要因に対策を講じることでストレス軽減の糸口が見えてくるとも言えます。次章では、科学的根拠に基づいたポジティブな子育て(Positive Parenting)の考え方を紹介し、ストレスフルな育児を乗り越えるヒントを探っていきましょう。

3. 科学が裏付ける「ポジティブ・ペアレンティング」とは

―怒涛の毎日に余裕と笑顔をもたらす育児法―

 「ポジティブ・ペアレンティング」という言葉をご存知でしょうか? 直訳すれば「肯定的な子育て」ですが、具体的には子どもへの前向きな関わり方を重視した育児法のことです。ただ感情論で「怒らず褒めて育てましょう」という話ではありません。その有効性は科学的なエビデンス(根拠)によって裏付けられており、世界保健機関(WHO)や各国の小児医学会なども積極的に推奨しています。

 WHOは2023年にガイドラインを公表し、0~17歳の子どもを持つ親に対するポジティブな養育支援プログラムの有効性を示しました。このガイドラインでは、虐待的な養育や過度に厳しいしつけを減らし、親子の良好な関係を促進することで、親のメンタルヘルス不調や子どもの問題行動を予防できるとしています。具体例としては、親が子どもに一貫したルールと温かい関わりを持つこと、感情的な体罰ではなく褒める・促す関わりで子どもを導くことなどが挙げられます。

 実践例として世界中で導入されているのが「トリプルP(Triple P)プログラム」です。これはオーストラリア発の包括的な子育て支援プログラムで、親がポジティブ・ペアレンティングのスキルを段階的に学べるよう工夫されています。メタ分析(包括研究)によると、トリプルP参加後は子どもの問題行動が減り、親の精神的健康と育児スキルが向上することが確認されています。さらに地域全体でトリプルPを実施すると、育児ストレスによる児童虐待や里親委託の件数が有意に減少したという報告もあります。つまりポジティブな関わりへの転換が、親子双方に良い影響をもたらすのです。

 > 専門家コメント: 臨床心理士の田中あかり先生はこう指摘します。「ポジティブ・ペアレンティングでは、まず親御さん自身がリラックスし、子どもの良いところを見つけて伝える姿勢が大切です。忙しい毎日でも、小さな声かけやスキンシップを通して『あなたのことを大切に思っているよ』と子どもに伝えるだけで、親子の信頼関係が深まり問題行動が減るケースが多いんです。結果として親のストレスも軽減し、日々の育児に少し心の余裕が生まれます」。ポジティブな関わりは決して難しいテクニックではなく、親子のコミュニケーションを見直すちょっとした意識改革なのかもしれません。

 もちろん、親だって人間ですから完璧にはできませんし、ついイライラして怒ってしまう日もあるでしょう。それでも大丈夫。大切なのは親自身が自分を責めすぎず、できる範囲で前向きな関わりを増やそうと意識することです。そうした小さな積み重ねが、やがて親子の笑顔と信頼関係を育んでいくのです。

 次章では、日本で利用できる具体的な支援制度やサービスに目を向けてみましょう。育児を一人で頑張りすぎず、使えるものは上手に使うこともポジティブな子育てのコツですよ。

4. 日本で使える支援制度・サービス完全ガイド

―頼れるものは全部頼ろう!公的制度から民間サービスまで―

 日本には、子育て家庭を支援するための公的制度やサービスが数多く用意されています。「そんなの知らなかった!」というものもあるかもしれません。この章では共働きママの視点で役立つ支援策を幅広くご紹介します。遠慮なく活用して、育児の負担を少しでも軽減しましょう。

  • 育児休業制度と給付金:出産前後のママには産前産後休業(産休)と育児休業(育休)が法律で認められています。会社員であれば育休中に給与の一部を補填する育児休業給付金(最大で休業前賃金の67%)が雇用保険から支給されます。また2022年の法改正で、パパも取得しやすい産後パパ育休(出生時育児休業)制度が創設されました。これは赤ちゃん誕生後8週間以内に最大4週間取れる特別な育休で、夫婦で協力して育児を始める大きな助けとなります。まずは職場の人事担当に相談し、これら制度を遠慮なく利用しましょう。
  • 職場の両立支援策:育児中の労働者を支えるため、法律により様々な両立支援策が企業に義務付けられています。例えば短時間勤務制度(子が3歳になるまでは希望すれば1日6時間程度の時短勤務が可能)、子の看護休暇(小学校就学前の子どもの看病や予防接種のために年5日~10日取得可)、残業免除制度(小学校入学前の子がいる労働者は請求すれば残業免除)などです。在宅勤務制度を整える企業も増えています。「周りに遠慮せず権利を行使する」ことも大切です。これらを上手に使えば仕事と育児の両立ハードルはぐっと下がります。
  • 子どもの預け先(保育園・学童など):共働き家庭の強い味方が保育所や学童保育です。認可保育園だけでなく、認定こども園、地域型保育(小規模保育や家庭的保育)など自治体の紹介する様々な施設があります。2019年から始まった幼児教育・保育の無償化により、3~5歳の子どもの保育料は原則無料、0~2歳児も住民税非課税世帯なら無料です。経済的負担を理由に預け控える必要はありません。また病児保育(子どもが病気のとき一時的に預かる施設)や一時保育(週数回だけ預ける)などの制度も整備されています。地域の子育て支援課などに問い合わせ、利用可能な保育サービスを確認しましょう。
  • 経済的支援(手当・助成金):子育て家庭には各種手当や助成金があります。代表的なものが児童手当で、中学校卒業までの子ども1人につき毎月1~2万円(所得制限あり)が支給されます。また自治体ごとに、乳幼児医療費助成(子どもの医療費自己負担を無料または軽減)、ひとり親家庭等の住宅手当、第三子以降の保育料無料化など独自の支援もあります。2023年からは物価高騰対策の臨時給付金なども支給されました。これらは申請しないともらえない場合も多いので、お住まいの自治体ホームページを定期的にチェックしましょう。「知らなかった」で損をしないようにしたいですね。
  • 相談窓口・心のケア:育児の悩みを相談できる窓口も充実しています。各自治体の子育て世代包括支援センターでは、助産師や保健師に妊娠期~子育て期まで幅広く相談できます。また地域の保健センターでは乳幼児健診の際に産後うつの問診(EPDSチェック)を実施し、必要な場合は専門医療につなげてくれます。厚生労働省の「まちなか相談室」や24時間子育て相談ホットライン、民間の育児相談SNSなども活用できます。心理的に限界を感じる前に専門家に相談することは決して甘えではありません。あなた自身の心の健康を守ることが、結果的にお子さんの健やかな成長につながるのです。
  • コミュニティ・サポート:地域やオンラインのママコミュニティも力になります。児童館や地域子育て支援センターの親子サロンでは、同年代の子を持つママ同士が自由に交流できます。近所に頼れる知り合いができると心強いものです。さらに自治体によるファミリー・サポート・センターでは、会員同士で子どもの送迎や一時預かりを助け合う仕組みがあります(有償ボランティア)。また最近はオンライン上で悩みを共有できるママ向けSNSコミュニティやチャット相談も増えています。「自分だけじゃない」と思える仲間の存在が、孤独な育児の大きな支えになるでしょう。ただしSNSの利用は後述する「SNS疲れ」にも注意が必要です。

 ざっと挙げただけでも、これだけ多くの支援策があります。「知らなかった…!」という制度やサービスがあれば、ぜひ詳しく調べてみてください。厚生労働省やこども家庭庁の公式サイトには支援制度の一覧や利用方法が分かりやすくまとめられています。遠慮せず手を借りることも、立派な育児スキルの一つです。家族とあなた自身の笑顔を守るために、利用できるものは積極的に活用していきましょう。

5. 今日からできるストレスケア&タイムマネジメント

―頑張るママへ、心と時間の上手なリフレッシュ法―

 データを知り、原因を分析し、支援も確認しました。最後に、忙しいママでも「今日から実践できる」ストレスケアと時間管理のコツをお届けします。専門家の提案や先輩ママたちの工夫をヒントに、ぜひできそうなものから取り入れてみてください。小さな習慣の積み重ねが、あなたの心の余裕と毎日の充実感をきっと育んでくれるはずです。

  • 優先順位をつけて手放す勇気:完璧を目指すと自分を追い詰めてしまいます。やるべきことを書き出し、重要度・緊急度で仕分けしてみましょう。全部は無理でもOKです。「まあいっか」と割り切ることも大切。例えば掃除や料理の時短化(ルンバやミールキットの活用)、残業は断る、など自分にとって譲れないこと以外は思い切って省略・簡略化しましょう。
  • パートナーと家事育児をシェア:夫婦はチームです。遠慮せず旦那さんにも具体的にお願いしましょう。「言わなくても察して」はNGです。TODOリストを共有し、できたらしっかり感謝を伝えることでお互い気持ちよく協力できます。最近は男性の育児参加も当たり前になりつつありますし、パパ自身も関わるほど育児の大変さを理解してくれるはずです。夫婦のコミュニケーションを密にして、一人で抱え込まない環境作りを。
  • スキマ時間の活用とタイムボックス:通勤時間や休憩中などのスキマ時間に、買い物のネット注文や明日の準備などを済ませてしまいましょう。TODOを先回りで片付けると後が楽になります。また「この作業は15分だけ」など時間を区切って集中する(タイムボックス法)も有効です。ダラダラやるより短時間で済み、残り時間をリラックスに充てられます。スマホのタイマーを上手に使ってみてください。
  • 睡眠と栄養を最優先に:忙しいとつい削りがちな睡眠・食事ですが、心身の健康の基本です。疲れたら家事より睡眠!と割り切って十分な休息を取ってください。食事もコンビニや宅食サービスを活用しつつ、野菜やタンパク質を意識しましょう。栄養バランスが整うと気力も湧いてきます。特に朝食をしっかり摂ると一日の血糖値が安定し、イライラ防止に役立ちます。ママが元気でいることが家族の幸せの土台です。
  • ミニリフレッシュ習慣:毎日5~10分でも自分だけのリラックスタイムを作りましょう。朝のコーヒータイム、通勤前の深呼吸ストレッチ、お風呂で好きな音楽を聞く――方法は何でもOKです。深呼吸は緊張を和らげる効果抜群なので、ゆっくりお腹から息を吸って吐く呼吸を数回するだけでも落ち着きます。短時間でも「何もしない・好きなことをする」時間を意識的に確保することで、心の栄養補給をしましょう。
  • 仲間とつながる・一人の時間を楽しむ:ママ友とのおしゃべりはストレス発散に有効です。同じ境遇の仲間と悩みを共有すると「うちも同じ!」と笑い合えて元気が出ます。ただし他人と比べて落ち込むようなら無理は禁物。むしろ一人で好きなことを楽しむ時間も大切です。趣味に没頭したりお気に入りのドラマを観たり、育児以外の自分を取り戻す時間を意識的に作ってください。
  • SNS疲れへの対策:情報収集や交流にSNSは便利ですが、育児中はときにSNS疲れを招くことがあります。キラキラした他人の投稿を見て自己嫌悪に陥ったり、多すぎる育児情報に振り回されたり…。もし疲れを感じたら思い切ってSNSアプリを開かない日を作りましょう。通知をオフにするだけでも効果があります。代わりに日記を書いたり紙の本を読むのもおすすめです。デジタルデトックスで頭をリセットし、自分のペースを取り戻しましょう。
  • 専門家の力を借りる勇気:心や体の不調が続くときは、早めに専門家に相談しましょう。特に産後うつや慢性的な不安症状は治療やカウンセリングで改善できます。かかりつけの産婦人科や精神科に相談したり、自治体の心理相談を利用してください。「弱音を吐くこと」は決して悪いことではありません。勇気を出して一歩踏み出した先には、きっとあなたに合った適切なサポートがあります。
  • 「今だけ」を楽しむマインド:子どもが小さい時期は大変ですが、振り返ればあっという間です。「この子がこんなに甘えてくれるのは今だけなんだ」と捉えてみると、しんどい瞬間も少し愛おしく感じられるかもしれません。成長とともに確実に手は離れていきます。無理なときは適度に手を抜きつつ、「こんな経験ができるのは今だけ」と思ってみると、意外と気持ちが楽になります。
  • 自分を認め、頑張りすぎない:最後に何より大切なのは、自分自身を労わり認めてあげることです。「今日もよくやってるよ、私!」と心の中で自分を褒めてあげてください。失敗しても落ち込まないで。育児に正解はありません。あなたが日々愛情を注いでいること、それ自体が素晴らしい財産です。他の誰でもないあなたがお母さんであることに、子どもはきっと感謝しています

 以上、明日から…いえ、ぜひ今日から試せるリフレッシュ&時間術をお伝えしました。全部を一度に実践する必要はありません。気になったものを一つでも、ぜひ生活に取り入れてみてくださいね。「こんな小さなことで?」と思うかもしれませんが、続けるうちに心と体の調子が整い、家族にも笑顔が増えていくのを実感できるはずです。

 それでは最後に、共働きママから寄せられるよくある質問にQ&A形式でお答えします。「こんな時どうすれば?」という具体的な悩みに対するヒントをまとめましたので、ぜひ参考にしてください。

6. よくある質問(FAQ)10選

※このセクションでは、子育てと仕事の両立に悩むママたちから実際によく聞かれる質問と回答をまとめています。同じような疑問や不安をお持ちでしたら、ぜひ参考にしてください。

Q1. イライラして子どもにきつく当たってしまいます…。どうしたら怒りをコントロールできますか?
A. まず、自分が疲れていたりストレスフルな時にイライラしやすくなるのは当然のことだと受け止めましょう。完璧な親でいようとせず、「イライラするほど私は頑張ってるんだ」と自分を責めないでください。その上で、怒りそうになったらいったんその場を離れる・深呼吸するなどクールダウンのクセをつけましょう。子どもが安全なら、数十秒目を閉じて呼吸を整えるだけでも落ち着きます。また日頃から睡眠と栄養をしっかり取ること、夫や周囲に協力を求めママの負担を減らすことも怒りの予防につながります。イライラは「休息が必要」という心のサイン。自分を労わってあげてくださいね。

Q2. ワンオペ育児で孤独です。大人と話す時間もなく、誰にも相談できません…。
A. ワンオペ育児、本当にお疲れ様です。その孤独感、想像以上につらいですよね。ぜひ地域やオンラインのママコミュニティを積極的に利用してみてください。児童館や支援センターの親子サロンに出かけてみる、ファミリーサポートに登録してみる、ママ向けSNSで悩みを吐き出してみる等、同じ立場の人とつながるだけで「自分だけじゃない」と心が軽くなります。それでも難しい場合は専門の相談窓口を頼ってください。保健師さんやカウンセラーは話を聞くだけでなく具体的な助けも提案してくれます。一人きりで抱え込まず、「話すだけでも楽になる」経験をぜひしてみてください。あなたの孤独な思いをわかってくれる人は必ずいます。

Q3. 毎日時間に追われて余裕がありません。タイムマネジメントのコツはありますか?
A. 共働きママにとって時間は宝物ですよね。ポイントは「やらないことを決める」ことと「隙間時間を活用する」ことです。まず全部は無理と割り切り、家事の手抜きや時短サービスの利用など優先度の低いことは大胆に省きましょう(例えば掃除は週末まとめて、料理は宅配ミールキットに頼るなど)。次に、通勤中や昼休みなど数分~数十分の隙間時間にできることは済ませてしまいます(ネットで買い物、明日の持ち物準備など)。また、ToDoリストに時間制限を設けて取り組む「○時までにこれを終わらせる」というゲーム感覚も効果的です。完璧を目指さず「これくらいで十分!」と自分に言い聞かせることで、時間にも心にも少しずつ余裕が生まれてきますよ。

Q4. 子どもが体調を崩したとき、仕事との両立がパンクしそうです…どう対応すれば?
A. お子さんの急な発熱や体調不良、本当に焦りますよね。まず職場の制度をフル活用しましょう。小さな子どもがいる社員には子の看護休暇がありますので、有給休暇と合わせて遠慮なく取得してください。職場には事前に「子どもが病気の時は看護休暇を使います」と伝えておくとスムーズです。また自治体によっては病児保育(病気の子を一時預かりしてくれる施設やシッター)サービスがあります。地域の病児保育の登録を事前に済ませておくと、いざという時すぐ預けられて安心です。周囲に頼れる親族がいれば定期的にお願いしてみるのも一手です。いずれにせよ、一人で全部抱えず制度や周囲に頼ることが大切。子どもが治ったら職場へ感謝の気持ちを伝えつつ、フォローも忘れずに。お互い様の精神で乗り切りましょう。

Q5. 育休から復帰したものの、仕事の戦力になれていない気がして落ち込んでいます。
A. 育休復帰直後は誰でも戸惑って当然です。ブランクを埋めようと無理をしていませんか?職場の期待も実際には「いきなり100%は無理だよね」というものかもしれません。焦らず少しずつ勘を取り戻していきましょう。もし業務量が多すぎる場合は上司に相談し調整してもらってください。あなたが元のペースを取り戻せるまで周囲に甘えていいんです。また、復職ママ向けの研修や交流会が社内外にあれば参加してみましょう。同じ境遇の仲間と情報交換するだけでも前向きなヒントが得られることがあります。何より育児と両立しながら働いているあなたはそれだけで素晴らしい。自信を持って、できる範囲で着実に進んでいきましょう。

Q6. 子どもが言うことを聞かず、つい感情的に怒鳴ってしまいます…。改善できますか?
A. 子どもは大人の思い通りにはなりませんし、イヤイヤ期や反抗期はなおさらですよね。対応策として、ポジティブ・ペアレンティングの考え方を取り入れてみましょう。例えば「○○しなさい!」ではなく「○○しようね、一緒にやろうか」と提案型に言い換える、できたことを小さくても褒めるなどです。難しい場合は一度深呼吸してから低いトーンで静かに話すと、逆に子どもも耳を傾けてくれます。また日常生活で子どもが選択できる場面(服を選ぶ、ご飯のお手伝いをする等)を増やすと、「自分で決めたい」欲求が満たされて指示に従いやすくなる効果もあります。怒鳴らなくても伝わる工夫を少しずつ試してみてください。うまくいった時は親子とも笑顔になれますし、悪循環から抜け出せるはずです。

Q7. 子どもが就寝後、家事を片付けていると自分の睡眠時間がほとんど取れません…。
A. ママの睡眠不足は深刻です。家事の優先順位を見直し、睡眠時間を最優先に確保しましょう。例えば夕食の後片付けを朝に回す、洗濯物は部屋干しのまま翌日畳む、掃除はロボット掃除機に任せる等、手を抜けるところは抜いてください。「○○しなきゃ寝られない」という固定観念を一度リセットしましょう。それでも厳しい場合、週末にご主人に子どもを見てもらって昼間に1~2時間の仮眠を取るなどして睡眠負債を解消しましょう。家事代行サービスをスポットで利用する手もあります。あなたの睡眠は家族のためでもあります。寝不足で体調を崩す前に、思い切って家事より睡眠を選ぶ勇気を持ってくださいね。

Q8. 将来の教育費が不安で、仕事を続けるべきか迷っています…。
A. 教育費の不安、痛いほどわかります。お金のために仕事を続けたいが育児との両立は大変…ジレンマですよね。まず、公的な教育費支援制度を確認しましょう。高校無償化、高校生等奨学給付金、高等教育無償化(授業料減免&給付型奨学金)など、所得に応じて大学まで支援を受けられる制度が拡充しています。また学資保険や児童手当の積立など計画的な貯蓄も大事ですが、無理のない範囲でOKです。肝心なのは家計管理で不安を「見える化」すること。ファイナンシャルプランナーに相談すると将来シミュレーションを作ってくれます。漠然とした不安を具体的な数字に落とし込み、「このまま働けば大丈夫」「足りなければここで教育ローンを活用しよう」などプランを立てることで心配を軽減できます。仕事を続けるか迷う場合も、プロに相談しつつ夫婦でじっくり話し合ってみてください。

Q9. 自分の時間が全く取れずストレスです…。育児中でもリフレッシュする方法はありますか?
A. 自分の時間、大事ですよね!短時間でも自分を取り戻せるリフレッシュ法をいくつか提案します。1つ目は朝5~10分早起きしてホットコーヒーをゆっくり飲む時間を作る。静かな朝のひとときがその日一日の心を整えてくれます。2つ目は通勤や買い物の道すがら、あえて遠回りして季節の景色を楽しむ。「今日は桜が綺麗だな」など日常に小さな発見を取り入れると気分転換になります。3つ目は子どもが寝た後に好きなドラマや漫画を少し見る。一日の終わりに「これを楽しみに頑張ろう」と思える時間を用意するのです。ポイントは短くても毎日続けられる楽しみを見つけること。こうしたミニ・リフレッシュ習慣があるだけで、ストレスの蓄積がかなり違ってきますよ。

Q10. 夫があまり育児に協力的ではなく不満です。どう働きかければいいでしょう?
A. パパの協力が得られないのは切実な悩みですね。まずは具体的なお願いをすることから始めてみましょう。「もっと手伝ってよ!」ではなく、「週2回はお迎えをお願いしたい」「○○はあなたに担当してもらえると助かる」と明確に伝えます。その際、「あなたも仕事で疲れてるのは分かるけど、私もいっぱいいっぱいなの。一緒に頑張ってくれると嬉しいな」と感謝とお願いの形にすると効果的です。それでも動いてくれない場合、パパ自身が育児の大変さを実感する機会を作りましょう。例えばママが一日外出してパパに子どもと過ごしてもらうと、「こんなに大変だったのか!」と初めて気づくことがあります。最後に、男性向けの子育て講座やパパコミュニティへの参加を促すのも手です。他の父親の話を聞くと刺激を受けて変わるケースもあります。根気強く対話を続けて、二人三脚で育児できるよう働きかけてみてください。きっとあなたの想いは少しずつ伝わるはずです。

7. まとめ:悩みを抱え込まないために

 子育てと仕事に毎日奔走するママへ、最後にお伝えしたいことがあります。「ひとりで頑張りすぎないで」ということです。本記事で見てきたように、共働き家庭の子育ては社会全体の課題であり、多くのママ・パパが同じ悩みを抱えています。だからこそ公的支援や周囲の助けが用意され、科学的な育児アプローチも研究されてきました。どうかそれらをフルに活用し、「自分だけでどうにかしなきゃ…」という重荷を下ろしてください。

 悩んだときはぜひ声に出してみましょう。 家族や友人に打ち明ける、自治体の相談窓口に電話する、SNSで同じ境遇の人に相談する…。誰かに話すだけで心が軽くなることもあります。そして専門家の力を借りることも恐れないでください。産後うつなどメンタルヘルスの不調は、適切なケアで必ず良くなります。あなたが笑顔を取り戻すことが、お子さんにとっても何よりの幸せなのです。

 あなたは十分に頑張っています。 うまくいかない日があっても、それはあなたが手を抜いているからではなく、それだけ育児が大変だという証です。完璧なお母さんでなくていい。時には休んでいい。周りに頼っていい。最後にもう一度、この記事を読んでいるあなた自身に伝えてください。「毎日本当によくやっているね。大丈夫、あなたは一人じゃないよ」と。

 一歩ずつでも、できることから始めてみましょう。その先にはきっと、今より少し心に余裕を持ったあなたと、安心して成長するお子さんの姿があるはずです。私たちはそれを信じていますし、あなたの育児を心から応援しています。

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参考文献・出典(References)
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  4. マイナビニュース (2024). 【保活】保護者8割超が「ストレス」と回答 – 最大の負担は?news.mynavi.jp.
  5. ソニー生命保険 (2024). 子どもの教育資金に関する調査2024(結果概要)sonylife.co.jp.
  6. World Health Organization (2023). WHO guidelines on parenting interventions to prevent maltreatment and enhance parent–child relationshipswho.int.
  7. American Academy of Pediatrics (2014). For Teens: Creating Your Personal Stress-Management Plan(Kenneth R. Ginsburg著)healthychildren.orghealthychildren.org.
  8. Triple P International (2008). Triple P – Positive Parenting Program: Comprehensive Meta-Analysis(Nowak & Heinrichs)triplep.nettriplep.net.
  9. 久保 尊洋ほか (2024). 周産期および産後うつ病の10年間の軌跡(日本人両親を対象とした縦断研究). Journal of Affective Disorders(オンライン速報)carenet.com.

メンタルヘルス 子育て

2025/5/25

子育ての悩み・育児ストレス完全ガイド ~共働きパパが安心して頼れる科学的対処法~

はじめに: 共働きでフルタイム勤務しながら子育てをするお父さんへ。仕事と育児の両立による疲れや、「自分はちゃんと父親業をできているのか?」という不安を抱えていませんか。実は、そうした子育ての悩みや育児ストレスは決してあなただけのものではありません。日本では夫婦のいる世帯の約7割が共働きで、多くのパパ・ママが日々奮闘しています。厚生労働省の調査によれば、日本人全体でも高ストレス状態にある人の割合は約9.8%にも上ります。本記事では、最新の一次データや国際的なエビデンスに基づき、共働き世帯が直面する育児の現状 ...

メンタルヘルス 子育て

2025/5/25

共働きママの子育て悩み・育児ストレス対策ガイド ~ワンオペ育児からの解放と支援策~

はじめに:子育ての悩み・育児ストレス、ひとりで抱えていませんか?  フルタイムで働きながら子育てをする生活――それは喜びとやりがいに満ちる一方で、「子育ての悩み」や「育児ストレス」を抱えやすい大変な毎日でもあります。特に20~40代の共働きママ(在宅勤務・時短勤務含む)の多くが、仕事と育児の両立による時間的プレッシャーや孤独感に直面しています。「家族のために頑張らなきゃ」と自分を奮い立たせる反面、心の中では「私だけこんなに大変?」と不安になることはないでしょうか。実はあなたの感じるそのストレス、とても自然 ...

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