
8月21日朝は、海外との取引、住まい、観光に関する新しい統計がそろいました。7月の輸出額と輸入額はともに過去最大でしたが、輸入の伸びが上回り、貿易収支は6,345億円の赤字です。東京都の募集家賃は前年同期比7.6%上昇し、訪日客は7月として過去最多となりました。
大きな数字だけを見ると景気の強さを感じますが、「金額と数量」「新規募集家賃と現在支払っている家賃」「訪日客数と消費額」を分けて読むことが大切です。
今日のポイント
- 7月の輸出額は11兆5,118億円、輸入額は12兆1,463億円で、ともに月間の過去最大
- 輸入の伸びが輸出を上回り、貿易収支は6,345億円の赤字
- 2026年4~6月期の東京都の募集家賃は前年同期比7.6%上昇
- 7月の訪日客は344万2,100人で、前年同月比0.1%増。7月として過去最多
輸出入額はともに過去最大、ただし貿易収支は赤字
財務省が8月20日に公表した7月の貿易統計速報によると、輸出額は前年同月比23.2%増の11兆5,118億円、輸入額は27.8%増の12兆1,463億円でした。輸出額、輸入額はいずれも月間の過去最大です。差し引きでは6,345億円の輸入超過となりました。
輸出では自動車、半導体等電子部品、半導体等製造装置が増加しました。輸入では原粗油、半導体等電子部品、非鉄金属の伸びが目立ち、原粗油の輸入額は前年同月比87.8%増でした。ロイターは、高い原油価格に加え、中東からの供給を補う代替調達が輸入額を押し上げたと報じています。
ただし、金額の伸びをそのまま取引量の増加と受け取ることはできません。財務省資料では、数量指数の前年同月比は輸出が5.2%増、輸入が1.2%増で、金額の伸びを大きく下回りました。価格や為替の影響も含まれるため、企業の販売数量や国内需要が2割以上伸びたという意味ではありません。
輸出関連企業には海外需要の強さを示す一方、原材料や燃料を輸入に頼る事業者には仕入れ負担の確認が必要な数字です。もっとも、輸入額の上昇率が、そのままガソリン代や電気代、店頭価格の上昇率になるわけではありません。今後、仕入先の価格改定や企業物価、小売価格にどの程度波及するかを分けて見る必要があります。
東京都の募集家賃は7.6%上昇、新しく借りる家計の負担が続く
内閣府が8月20日に公表した分析では、2026年4~6月期の東京都の募集家賃指数は128.8となり、前年同期比7.6%上昇しました。2016年1~3月期を100とする指数です。都区部を中心に高い伸びが続き、市町村部でも伸び率が上昇しました。
ここでいう募集家賃は、不動産会社などが新しい入居者を募る際に提示する家賃です。現在住んでいるすべての世帯の家賃が一律に7.6%上がったという統計ではありません。一方、これから転居する人や新たに賃貸住宅を探す人には、負担の重さが続いていることを示します。
今回の分析では、外れ値の処理方法も見直されました。内閣府は、見直し後の2026年1~3月期を前年同期比7.4%上昇と再計算しており、従来公表値との単純比較には注意が必要です。それでも、2四半期続けて高い伸びが示された点は、転居時の家計負担を考えるうえで重要です。
訪日客は7月として最多、ただし前年からの伸びは0.1%
日本政府観光局が8月19日に公表した7月の訪日外客数は344万2,100人で、前年同月比0.1%増となりました。7月として過去最高です。韓国、インドネシア、メキシコなど17市場で7月の過去最高を記録し、台湾は初めて70万人を超えて単月の過去最高となりました。
観光、宿泊、外食、小売、交通にとっては、訪日需要が高い水準を保っていることを示します。ただ、前年同月からの伸びはほぼ横ばいです。また、訪日客数だけでは、どの地域に宿泊し、いくら消費したかまでは分かりません。
日本政府観光局の発表でも、旅行者数、旅行消費額、地方部の延べ宿泊者数は別々の目標として扱われています。事業者は全国の総数だけで判断せず、自社地域の宿泊数、予約状況、客層、消費単価を合わせて確認する必要があります。
読者が確認しておきたいこと
- 輸入原材料や燃料を使う事業者は、仕入先からの見積もりや価格改定の有無を確認する
- 東京都で転居を考える場合は、統計の平均ではなく、希望地域・間取りの実際の募集条件を比較する
- 観光関連事業者は、訪日客総数だけでなく、自地域の宿泊数や消費額の統計を確認する
まとめ
7月は輸出入額がそろって過去最大となりましたが、輸入の伸びが上回り、貿易赤字が残りました。東京都では新規の募集家賃が高い伸びを続け、訪日客は7月最多ながら前年からは0.1%増にとどまっています。
記録更新という見出しだけで景気や暮らしを判断せず、数量、契約対象、地域別の内訳まで確認することが、家計と経営の判断には欠かせません。
出典
- 財務省「令和8年7月分貿易統計(速報)の概要」(2026年8月20日)
- Reuters「Japan’s exports surge on chips demand, imports hit record on oil costs」(2026年8月20日)
- 内閣府「2026年第2四半期の家賃動向」(2026年8月20日)
- 日本政府観光局「訪日外客数(2026年7月推計値)」(2026年8月19日)
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