
厚生労働省が公表した6月の毎月勤労統計確報では、物価の影響を除いた実質賃金が前年同月比2.2%増となり、速報の1.6%増から上方修正されました。あわせて、政府が事業売却益への課税繰り延べを検討しているとの報道と、ローソンが9月29日から手巻おにぎりを値下げするとの発表が出ています。
3つの情報は確定度が異なります。実質賃金は公表済みの確報、事業再編税制は関係者情報に基づく検討報道、ローソンの値下げは開始日が先の企業発表です。この違いを分けて読むことが大切です。
今日のポイント
- 6月の実質賃金は「持家の帰属家賃を除く総合」で前年同月比2.2%増
- 現金給与総額は53万4,823円で4.0%増。速報の53万1,677円、3.4%増から上方修正
- 非中核事業の売却益を成長事業の買収へ再投資する企業について、課税を繰り延べる案を政府が検討しているとReutersが報道
- ローソンは9月29日から、エリア限定品を含む手巻おにぎり全品を原則10円値下げ
6月の実質賃金は2.2%増、速報から上方修正
厚生労働省が8月24日に公表した毎月勤労統計の確報によると、事業所規模5人以上の6月の現金給与総額は、1人平均53万4,823円で前年同月比4.0%増でした。消費者物価指数の「持家の帰属家賃を除く総合」で実質化した実質賃金は2.2%増、総合指数で実質化した参考値は2.3%増です。
8月5日の速報では、現金給与総額は53万1,677円で3.4%増、実質賃金は1.6%増でした。今回の確報で、賃金額と伸び率の双方が上方修正されたことが新しい点です。
ただし、53万4,823円を「一般的な月給」と受け取るのは適切ではありません。現金給与総額には、基本給や残業代に加えて、賞与などの「特別に支払われた給与」も含まれます。
確報では、きまって支給する給与が29万9,671円で3.4%増、所定内給与が27万9,511円で3.5%増、特別に支払われた給与が23万5,152円で4.7%増でした。パートタイム労働者の所定内給与の時間当たり額は1,446円で、4.4%増となっています。
家計では、給与明細を見る際に、毎月継続する所定内給与と賞与などを分けて確認すると、継続的な収入を把握しやすくなります。企業が自社の人件費を確認する場合も、定例給与と特別給与を分けて見る必要があります。
今回の数字は全国の標本調査による平均値であり、すべての働く人の賃金が2.2%増えたことを意味するものではありません。確報の調査対象は3万3,058事業所、回答は2万4,895事業所で、回収率は75.3%でした。
事業売却益の課税繰り延べを検討と報道、まだ制度決定ではない
Reutersは8月25日未明、政府が、企業による非中核事業の売却益について、成長事業の買収へ再投資することなどを条件に、課税を繰り延べる新制度を検討していると報じました。
複数の関係者への取材に基づく報道で、8月末の2027年度税制改正要望への盛り込みを経て、年末の税制改正大綱への反映を目指すとされています。
報道された案では、子会社株式や事業の売却で得た資金を数年以内に中核事業に関連する買収へ再投資し、買収後に賃上げや設備投資などを行うことが条件になる見通しです。売却益にかかる約30%の法人税を無期限に繰り延べる案とされていますが、売却から買収までの期間や対象企業、対象取引などの詳細は今後詰められます。
現段階では、政府の公式な税制改正要望や制度資料を確認できていません。「課税の繰り延べ」は、税負担が正式に免除されることと同じではなく、すべての中小企業やM&Aに適用されると決まったわけでもありません。
事業売却や買収を検討する企業は、8月末の税制改正要望、年末の税制改正大綱、その後の法案提出・成立・施行の有無を順に確認する必要があります。報道段階の制度を前提に、売却価格や納税額、資金計画を確定することは避けるべきです。
ローソン、9月29日から手巻おにぎりを原則10円値下げ
ローソンは8月24日、米の市場価格が低下したことを受け、9月29日から全国の店舗で、エリア限定品を含む手巻おにぎり全品を、商品の仕様を変えずに一律10円値下げすると発表しました。一部商品は11円の値下げです。
例として、「シーチキンマヨネーズ」は税込181円から171円へ、「熟成紀州南高梅」と「北海道産日高昆布」は194円から184円になります。北陸エリア限定の「福井梅」なども対象です。
コメの生産者段階や卸売段階の価格変化が、必ずそのまま小売価格へ反映されるわけではありません。今回は、米の市場価格低下を理由として、具体的な小売商品、改定額、開始日が企業から正式発表された点が新しい動きです。
家計にとっては身近な値下げですが、対象はローソンの手巻おにぎりで、開始日は9月29日です。今回の発表だけで、コメや食品全体の価格が同じように下がると判断することはできません。店頭では、対象商品と価格改定日を確認する必要があります。
読者が確認しておきたいこと
- 給与明細では、現金給与総額だけでなく、所定内給与、残業代、賞与を分けて見る
- 事業再編税制は、8月末の公式要望と年末の税制改正大綱で、対象企業・対象取引・再投資期限を確認する
- ローソンの値下げは9月29日開始で、対象は手巻おにぎり。ほかの商品や他社の価格とは分けて考える
まとめ
8月25日朝は、賃金、企業税制、食品価格に関する3つの動きが出ています。
6月の実質賃金は確報で2.2%増へ上方修正されましたが、賞与などを含む平均値であり、毎月の基礎的な賃金とは分けて読む必要があります。
事業売却益の課税繰り延べは、現時点では報道された検討案です。ローソンの値下げは正式発表ですが、9月29日からの手巻おにぎりに限られます。
確報、検討報道、将来の価格改定という情報の段階を区別し、今後の正式発表や次回統計を確認していきましょう。
出典
- 厚生労働省「毎月勤労統計調査 2026年6月分結果確報」(2026年8月24日)
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/monthly/r08/2606r/2606r.html - 厚生労働省「毎月勤労統計調査 2026年6月分結果確報・概況PDF」(2026年8月24日)
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/monthly/r08/2606r/dl/pdf2606r.pdf - 厚生労働省「毎月勤労統計調査 2026年6月分結果速報」(2026年8月5日)
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/monthly/r08/2606p/dl/pdf2606p.pdf - Reuters「政府、非中核事業の売却益で課税繰り延べ検討 事業再編を促進=関係者」(日本時間2026年8月25日)
https://jp.reuters.com/markets/japan/VC3POV6DNVMMVDO2OB4CNO57UM-2026-08-24/ - ローソン「おにぎりの価格改定でお米の消費拡大」(2026年8月24日)
https://www.lawson.co.jp/company/news/detail/1531424_2504.html - Reuters「ローソン、手巻きおにぎり全品を10円値下げ コメ市場価格低下で」(2026年8月24日)
https://jp.reuters.com/economy/A4RFWVX2GBP6FO2X4LUHNNCANE-2026-08-24/
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