
「小学校の英語って何年生から始まるの?」「成績はいつからつくの?」——2020年度から小学校英語の制度が大きく変わり、保護者世代の経験とは仕組みがかなり違っています。現在は、小学3・4年生で「外国語活動」が必修になり、5・6年生では教科としての「外国語(英語)」が始まって通知表の評価対象になります。この記事では、文部科学省の学習指導要領に基づいて、段階別に学ぶ内容・評価の仕組み・中学校への接続でつまずきやすいポイント・お金をかけない家庭学習までをまとめました。本文は2026年8月17日時点の現行制度に基づいています。
この記事の結論・要点
最初に要点をまとめます。
- 英語は小3・4で「外国語活動」(必修・週1コマ程度・数値の成績なし)、小5・6で教科「外国語」(週2コマ程度・通知表の評価対象)、中学で本格的な教科学習という3段階です。
- 外国語活動は「聞く・話す」でコミュニケーションの素地を、小5・6は「読む・書く」を加えて基礎を育てる、と学習指導要領で役割が分けられています。
- 語彙は小学校で600〜700語、中学校で1,600〜1,800語(合計2,200〜2,500語)が目安。中学の学習は小学校で音声に慣れ親しんだ語彙・表現を、文字と文法で捉え直す設計です。
- 全国調査では「自分の考えは言えるが、理由を添えて書く・話すことに課題」という傾向がはっきり出ています(2026年8月公表の最新調査を本文で解説)。
- 家庭学習は高額な教材や教室がなくても成立します。教科書の音声(QRコード)や放送講座、図書館など無料の手段を年齢別に紹介します。
30秒で分かる早見表
小1から中3までの英語の位置付けを1枚で確認しましょう。授業時数は学校教育法施行規則の標準授業時数(1コマは小学校45分・中学校50分)です。
| 段階 | 位置付け | 年間標準時数 | 中心となる活動 | 通知表の数値評価 |
|---|---|---|---|---|
| 小1・小2 | 必修の設定なし(学校・自治体裁量の活動例あり) | ― | 歌・あいさつ等に触れる学校もある | なし |
| 小3・小4 | 外国語活動(教科ではない) | 各35 | 聞く・話す中心。英語に慣れ親しむ | なし(文章での所見) |
| 小5・小6 | 教科「外国語」 | 各70 | 聞く・話すに加え、読む・書くの入り口 | あり(評定は多くの小学校で3段階) |
| 中1〜中3 | 教科「外国語」 | 各140 | 5領域をバランスよく。文法の体系的学習 | あり(5段階の評定が一般的) |
「必修はいつから?」の答えは、外国語活動としては小3から、教科(成績がつく形)としては小5から、と2段階で覚えるのが正確です。
小学校の英語はいつから始まった?制度の年表
現在の形(小3・4外国語活動+小5・6教科)になったのは2020年度からです。それ以前の2011年度から2019年度までは、小5・6の外国語活動(成績のつかない週1コマ)だけが必修でした。
| 年度 | 制度の変化 |
|---|---|
| 2011年度〜 | 小5・6で「外国語活動」が必修化(年35単位時間)。教科ではなく数値評価なし |
| 2018〜2019年度 | 現行制度への移行期間(先行実施) |
| 2020年度〜 | 現行制度に全面移行。外国語活動が小3・4へ前倒し、小5・6は教科「外国語」に |
| 2021年度〜 | 中学校で現行学習指導要領が全面実施。語彙増・5領域評価・「授業は英語で行うことが基本」に |
つまり、いまの中学生・高校生は「小学校から英語をやってきた世代」ですが、その中身は学年によって少しずつ違います。上のお子さんと下のお子さんで小学校英語の経験が違うのは、制度変更のタイミングによるものです。
小3・4の外国語活動では、文部科学省が作成した教材などを使い、歌・ゲーム・簡単なやり取りを通して英語の音やリズムに慣れ親しみます。外国の生活や文化への気付きも大切な内容で、この点は社会科で学ぶ世界の国々や文化と響き合う学びです。
段階別に何を学ぶ?【小1・2〜中3】
小3・4は「聞く・話す」で素地づくり、小5・6は「読む・書く」を加えて基礎づくり、中学は5領域(聞く・読む・話す〔やり取り〕・話す〔発表〕・書く)で本格的な教科学習——これが学習指導要領の設計です。
次の表で段階別に整理します。中学の学年ごとの文法の並び(中1でbe動詞、中3で関係代名詞など)は、学習指導要領が学年別に定めているのではなく検定教科書の標準的な構成です。教科書会社により配列は前後します。
| 段階 | 位置付け | 主な目標 | 学ぶ内容の例 | 読む・書く・聞く・話すの扱い | 評価 | つまずきやすい点 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 小1・2 | 必修の設定なし | ―(学校裁量) | あいさつ・歌など(実施校の例) | 音声への接触が中心 | なし | ―(個人差の入口) |
| 小3・4 | 外国語活動 | コミュニケーションの素地 | あいさつ、数、色、好きなもの、簡単なやり取り | 聞く・話す中心。文字は音との出会い程度 | 文章の所見(数値なし) | 「英語=楽しい遊び」の段階で差は見えにくい |
| 小5・6 | 教科「外国語」 | コミュニケーションの基礎 | 自己紹介、日常・学校生活の話題、アルファベット、音声で慣れた語句を書き写す | 4技能へ拡大。書くは「写す・例を参考に書く」段階 | 観点別評価+評定(3段階が一般的) | 音は分かるのに文字と結び付かない |
| 中1 | 教科「外国語」 | 簡単な情報や考えを理解し伝え合う | be動詞・一般動詞、疑問文・否定文、代名詞、過去形など(教科書標準) | 5領域を毎時間の言語活動で | 観点別+5段階評定 | 文法用語の洪水、単語を書いて覚える負荷 |
| 中2 | 同上 | 同上(話題・表現の拡大) | 不定詞、動名詞、助動詞、比較、受け身など(教科書標準) | 同上。発表・やり取りの比重増 | 同上 | 文の構造(語順)の理解、長文への移行 |
| 中3 | 同上 | 同上(まとまりのある内容へ) | 現在完了、関係代名詞、間接疑問、仮定法の基本など(教科書標準) | 同上。まとまった文章を読む・書く | 同上 | 「理由・根拠を添えて」発信すること |
語彙は小学校で600〜700語に音声で慣れ親しみ、中学校で1,600〜1,800語を加えて計2,200〜2,500語程度を扱います(学習指導要領の目安)。ここで大事なのは、小学校の語彙は「書けるようになった語」ではなく「聞いて分かる・言える語」が中心だという点です。中学はこの音声の貯金を、文字と文法で捉え直すところから始まります。
なお現行課程では、仮定法のうち基本的なもの・現在完了進行形・原形不定詞など、以前は高校で扱っていた文法の一部が中学に加わりました。また中学校では「授業は英語で行うことを基本とする」と学習指導要領に明記されています。保護者世代の中学英語より、扱う範囲も授業の英語量も増えていると考えてください。
小学校英語と中学校英語は何が違う?
一言でいえば「音声で慣れ親しむ英語」から「文字と文法で整理する英語」への転換です。この転換のギャップが、いわゆる中1のつまずきの正体です。
| 観点 | 小学校(外国語活動〜外国語科) | 中学校(外国語科) |
|---|---|---|
| 中心 | 音声(聞く・話す) | 5領域のバランス(読む・書くの比重が急増) |
| 文字 | アルファベットと「書き写す」段階 | 単語の綴りを覚えて自分で書く |
| 文法 | 用語では教えない(表現のまとまりで慣れる) | 用語(三単現・不定詞など)で体系的に整理 |
| 語彙 | 600〜700語に音声で慣れ親しむ | 1,600〜1,800語を追加(計2,200〜2,500語) |
| 評価 | 小3・4は所見のみ、小5・6から評定 | 5段階評定。定期テスト・パフォーマンステスト |
| 授業の言語 | 日本語の支えが多い | 英語で行うことが基本 |
小学校から中学校への接続——6つのつまずきと対処
「小学校では楽しくやれていたのに、中学で急に点が取れない」という相談には共通パターンがあります。原因はお子さんの能力ではなく、段階の設計上ここにギャップが集中しているためです。
- 会話はできたのに点が取れない:小学校は「慣れ親しみ」重視で正確さを細かく問いませんが、中学は綴り・語順・文法の正確さが得点に直結します。対処は、言える表現を「書いてみる」練習を早めに足すことです。
- アルファベットは書けるのに単語が書けない:文字の形と、音と綴りの対応(音のかたまりで読む・書く力)は別の力です。単語練習は「読み上げながら書く」を徹底し、音と切り離した書き取りにしないことが近道です。
- 音では分かるのに英文が読めない:これも音と文字の対応の問題です。教科書のQRコード音声を流しながら指で追う「聞き読み」を毎日数分続けると、音と文字が結び付いていきます。
- 文法用語で混乱する:小学校では「三単現」という言葉を使わずに表現ごと慣れているため、中学で用語が一気に導入されると迷子になります。用語の暗記より「例文とセットで覚える」よう促してください。
- 単語量に追いつけない:小学校の600〜700語は「音声で慣れた」扱いのため、中学ではそれを書ける形にしつつ新出語も増えます。1日で詰めず、少量を毎日、音声つきで回すのが現実的です。
- 小学校での経験差:学校・地域・家庭によって小学校段階の英語経験には差があり、中1の教室には出発点の違う生徒が混在します。文部科学省の英語教育実施状況調査でも、CEFR A1(英検3級)相当以上の英語力をもつ中3の割合は全国で52.4%(令和6年度)まで伸びた一方、地域差が大きいことが示されています。差があるのは普通のことで、中学からの積み上げで十分追いつける設計です。
つまずきの中身は、全国調査のデータでも裏付けられます。2026年8月に公表された令和8年度全国学力・学習状況調査(文部科学省・国立教育政策研究所)では、中学英語が初めて4技能すべてコンピュータ方式(CBT)で実施され、結果は500を基準とするIRTスコアで全国499でした。内容面では、「自分の考えやしたいことは書ける・話せるが、その理由を添えることに課題」が明確で、理由まで話せた生徒は該当問題で28.4%にとどまりました。さかのぼると令和5年度調査でも「話すこと」の平均正答率は12.4%で、発信技能、とりわけ理由・根拠を組み立てて伝える力が一貫した課題です。家庭でできる対策はシンプルで、日本語でも英語でも「どうして?」「because で言うと?」と理由をひとこと足す習慣をつけることです。理由を述べる力は母語の力とも地続きなので、国語で育つ言葉の力も参考にしてください。
英語の成績はいつから?通知表の見方
通知表で英語に数値の評価(評定)がつくのは小5からです。小3・4の外国語活動は、数値ではなく文章による所見で評価されます。
小5・6の教科「外国語」は、他教科と同じく「知識・技能」「思考・判断・表現」「主体的に学習に取り組む態度」の3観点で評価され、指導要録上の評定は小学校では3段階です。中学では5段階の評定が一般的になります。なお、通知表そのものの様式・表現は学校ごとに定められるため、細かな見え方は学校により異なります。「小4まで所見だけだったのに小5で急に3段階がついた」のは制度どおりで、お子さんの英語力が急に測られ始めたわけではありません。評定に一喜一憂するより、所見や観点別の記載から「聞く・話すは良いが書くがこれから」といった凸凹を読み取るほうが、家庭のサポートに直結します。
家庭でできる英語学習【年齢別・お金をかけずに】
家庭学習の柱は「音声に触れる量」と「理由をひとこと足す習慣」です。高額な教材や教室に通わなくても、無料・低コストの手段で十分に環境はつくれます。
| 段階 | 家庭でできることの例(無料・低コスト中心) |
|---|---|
| 小1・2 | 英語の歌・子ども向け番組を一緒に楽しむ。無理な先取りは不要で、日本語の読み聞かせも立派な土台づくり |
| 小3・4 | 学校で習った表現を家で使ってみる(What color do you like?ごっこ)。放送・配信の子ども向け英語講座 |
| 小5・6 | 教科書のQRコード音声で「聞き読み」毎日5分。アルファベットと音の対応を焦らず反復。図書館の英語絵本 |
| 中学生 | 教科書音声の音読・シャドーイング、単語は音声つきで少量毎日。話す・書く練習では「理由をひとこと」足す |
教科書のQRコードから音声・動画教材にアクセスできるのは、1人1台端末を前提としたデジタル学習環境が整ってきたことの恩恵です。学校のICT環境の現状と家庭側の注意点は1人1台端末とデジタル学習環境の現状で詳しく扱っています。
一つ、データに基づく励ましを添えます。令和8年度の全国調査では、「自分の考えを英語で書く」「まとまった内容を発表する」といった言語活動に授業で取り組んだと受け止めている生徒ほど、英語のスコアが高い傾向が示されました。つまり効くのは特別な教材ではなく、使ってみる機会の量です。家庭でも、正しさの指摘より「言えたこと・書けたこと」を面白がる姿勢が、いちばんの学習環境になります。早期から教室に通っていないことを心配する必要はありません。学習指導要領は、小学校で素地と基礎を育て、中学から本格的に積み上げて到達できるように設計されています。
よくある質問(FAQ)
Q1. 小学校の英語は何年生から始まりますか? 外国語活動として小3から必修です(週1コマ程度)。教科としての英語(成績がつく形)は小5からで、週2コマ程度になります。小1・2は必修の設定はなく、学校や自治体の裁量で活動を行う例があります。
Q2. 英語の必修化はいつからですか? 小5・6の外国語活動は2011年度から必修でした。現在の形(小3・4外国語活動+小5・6教科)は2020年度から、中学校の現行課程は2021年度から全面実施されています。
Q3. 外国語活動と教科の英語は何が違いますか? 外国語活動は教科ではなく、聞く・話す中心にコミュニケーションの素地を育てる時間で、数値の成績はつきません。教科の外国語は読む・書くを加えて基礎を育て、検定教科書を使い、観点別評価と評定の対象になります。
Q4. 通知表で英語の成績がつくのは何年生からですか? 小5からです。小学校の評定は3段階が一般的で、中学では5段階になります。小3・4の外国語活動は文章による所見のみです。通知表の様式は学校ごとに異なります。
Q5. 小学校で英検を受けさせるべきですか? 制度上、小学校英語に検定は必要ありません。目標や励みとして受ける選択はあり得ますが、受けないことで学校の学習が不利になる仕組みはありません。本文で触れたCEFR A1(英検3級)相当という指標は、中学卒業段階の全国的な政策目標として使われているものです。
Q6. 中学英語では単語をいくつ覚えますか? 学習指導要領上、中学で1,600〜1,800語を扱い、小学校の600〜700語と合わせて2,200〜2,500語程度が目安です。小学校分は音声中心の慣れ親しみなので、中学で「書ける語」に育て直す時間を見込んでおくと計画が立てやすくなります。
Q7. 大人の学び直しはどこから始めればいいですか? 中1〜中2の教科書レベルの文法(be動詞〜不定詞・比較)と、音声つきの音読からが定石です。現行の中学教科書は音声教材とセットで使える構成なので、「読める」だけでなく「聞ける・言える」を並行させると、当時の学習より定着しやすくなります。
次期学習指導要領の検討状況(参考・2026年8月17日時点)
本記事は平成29年告示の現行学習指導要領に基づいています。次期学習指導要領は中央教育審議会で審議中で、文部科学省の資料(2026年7月8日)では答申が2026年度冬頃、改訂告示が年度末の予定、全面実施は小学校2030年度・中学校2031年度と想定されています(変更の可能性があります)。基準日時点で答申・告示はまだなく、現在の児童生徒に適用されるのは本記事の現行制度です。英語教育の扱いも審議対象に含まれるため、確定した段階で本記事を更新します。
まとめ
小学校英語は「小3から素地、小5から基礎と評価、中学で本格化」という3段階の階段です。中1で急に難しく感じるのは、音声中心から文字・文法中心への転換点だから。ギャップの正体(音と綴り・文法用語・理由を添える発信)が分かっていれば、家庭での手当ては教科書音声と毎日の少量練習で十分に届きます。焦って高い教材をそろえるより、「聞く量」と「理由をひとこと」を日常に足すことから始めてみてください。他教科の全体像は社会科ガイド・国語ガイドもどうぞ。
出典・参考資料
- 文部科学省「小学校学習指導要領(平成29年告示)」外国語活動・外国語、同解説 https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/new-cs/1384661.htm
- 文部科学省「中学校学習指導要領(平成29年告示)」外国語、同解説(同上ページ)
- e-Gov法令検索「学校教育法施行規則」別表第一・第二(標準授業時数) https://laws.e-gov.go.jp/law/322M40000080011
- 文部科学省「児童生徒の学習評価及び指導要録の改善等について(通知)」(平成31年3月29日) https://www.mext.go.jp/b_menu/hakusho/nc/1415169.htm
- 文部科学省・国立教育政策研究所「令和8年度全国学力・学習状況調査 報告書・集計結果」 https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/gakuryoku-chousa/sonota/1419141_00008.htm /「結果(概要)のポイント」(2026年8月3日) https://www.nier.go.jp/26chousakekkahoukoku/report/data/26summary_point.pdf
- 国立教育政策研究所「令和5年度全国学力・学習状況調査 報告書・調査結果資料」 https://www.nier.go.jp/23chousakekkahoukoku/
- 文部科学省「英語教育実施状況調査」(外国語教育関連ページ) https://www.mext.go.jp/a_menu/kokusai/gaikokugo/index_00006.htm
- 文部科学省 教育課程部会「学習指導要領等の改訂に関するスケジュール(イメージ)」(2026年7月8日) https://www.mext.go.jp/content/20260708-mxt_kyoiku01-000050888-6.pdf
情報基準日:2026年8月17日
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