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障害者法定雇用率は2026年7月から2.7%|37.5人以上の企業が確認すること

民間企業の障害者法定雇用率は、2026年7月1日に2.5%から2.7%へ引き上げられ、すでに施行されています。これに伴い、障害者を1人以上雇用する義務がある企業の範囲は、常時雇用する労働者「40.0人以上」から「37.5人以上」に広がりました。国・地方公共団体は3.0%、都道府県等の教育委員会は2.9%です。未達成でも直ちに罰金が科されるわけではありませんが、毎年6月1日時点の障害者雇用状況報告は義務です。また、障害者雇用納付金(不足1人につき月額5万円)は、常用雇用労働者数が100人を超える月が年度内に5か月以上ある企業に申告義務があります。本記事では、人数の数え方から報告・納付金・行政指導まで、厚生労働省などの一次資料に基づいて整理します。

この記事の結論

  1. 2026年7月1日から民間企業の法定雇用率は2.7%(施行済み)。 国・地方公共団体は3.0%、都道府県等の教育委員会は2.9%です(厚生労働省)。
  2. 雇用義務の対象は常時雇用する労働者37.5人以上。 労働者数を0.5人単位で数えるため「37.5人」という区切りになります(37.5人×2.7%=1.0125人→小数点以下切り捨てで1人)。
  3. 2026年6月1日時点の障害者雇用状況報告は、従来の2.5%(40.0人以上)基準で行われました(提出期限は2026年7月15日)。 37.5人以上の企業が新基準で報告するのは2027年6月1日分からです。
  4. 障害者雇用納付金(不足1人につき月額5万円)の申告義務があるのは、各月の常用雇用労働者数が100人を超える月が年度内に5か月以上ある企業です。 37.5人以上になっただけでは納付金は発生しません。
  5. 未達成自体への罰金はありません。 ただし、報告をしない・虚偽の報告のほか、雇入れ計画作成命令に違反して計画を作成しない・提出しない場合は30万円以下の罰金の対象で、改善が進まない場合は雇入れ計画作成命令→勧告→特別指導→企業名公表という行政指導の仕組みがあります。

障害者の法定雇用率とは?2026年7月1日から民間企業は2.7%

障害者の法定雇用率とは、事業主に義務づけられる「常時雇用する労働者に占める障害者の割合」の最低基準のことです。障害者雇用促進法(障害者の雇用の促進等に関する法律)に基づいて政令で定められ、民間企業には2026年7月1日から2.7%が適用されています。

今回の引き上げは、2023年3月1日に公布された政令(令和5年政令第44号)で決まっていたものです。経過措置により2024年4月1日にまず2.5%となり、経過措置の終了に伴って2026年7月1日に2.7%となりました。「引き上げ予定」ではなく、すでに施行済みである点にご注意ください。

改正前後の比較表

区分2024年3月31日まで2024年4月1日〜2026年6月30日2026年7月1日〜(現行)
民間企業の法定雇用率2.3%2.5%2.7%
雇用義務・報告義務の対象規模43.5人以上40.0人以上37.5人以上
国・地方公共団体2.8%3.0%
都道府県等の教育委員会2.7%2.9%
特殊法人等(独立行政法人を含む)2.8%3.0%

出典:厚生労働省リーフレット「障害者の法定雇用率引上げと支援策の強化について」、厚生労働省「令和7年 障害者雇用状況の集計結果」、総務省通知(総行女第2号・令和5年3月3日)(2026年8月6日確認)

なぜ引き上げられるのか

法定雇用率は、働く意思と能力のある障害者の数と労働者総数との割合をもとに、少なくとも5年ごとに見直すことが障害者雇用促進法で定められています。2.7%への引き上げは、2023年1月の労働政策審議会障害者雇用分科会での審議を経て決定されました。

実際の雇用も伸びています。厚生労働省の「令和7年 障害者雇用状況の集計結果」(2025年12月19日公表)によると、民間企業の雇用障害者数は70万4,610.0人と22年連続で過去最高を更新しました。一方で実雇用率は2.41%と当時の法定雇用率2.5%に届かず、達成企業の割合は46.0%にとどまっています。制度上の水準と企業の実態には、なお差がある状況です。

対象企業が「37.5人以上」になるのはなぜ?

雇用率制度では労働者を0.5人単位で数えるためです。「労働者数×2.7%」が1人以上となる最小の労働者数が37.5人(37.5×2.7%=1.0125人)であるため、常時雇用する労働者37.5人以上の企業に、障害者1人以上の雇用義務が生じます。

各企業が雇用しなければならない障害者の人数(法定雇用障害者数)は、次の式で計算し、小数点以下は切り捨てます。

法定雇用障害者数 = 常時雇用する労働者数(短時間労働者は0.5人で算入)× 2.7%(小数点以下切り捨て)

週20時間以上30時間未満の短時間労働者を0.5人と数えるため、企業の労働者数は「37.5人」のように0.5人刻みになり得ます。37.0人では37.0×2.7%=0.999人となり、切り捨てると0人で雇用義務は生じません。37.5人になると1.0125人となり、初めて1人の雇用義務が発生します。2.5%時代の「40.0人以上」(40.0×2.5%=1.000人)、2.3%時代の「43.5人以上」(43.5×2.3%=1.0005人)も同じ考え方です。

「常時雇用する労働者」の数え方

常時雇用する労働者とは、雇用契約の形式を問わず、①期間の定めなく雇用されている人、または②1年を超えて雇用されている・雇用が見込まれる人で、1週間の所定労働時間が20時間以上の人を指します(厚生労働省・障害者雇用状況報告の取り扱い)。

  • 週30時間以上:1人として算入
  • 週20時間以上30時間未満(短時間労働者):0.5人として算入
  • 週20時間未満:労働者数には算入しない

正社員・契約社員・パート・アルバイトといった呼び方は関係ありません。派遣労働者は、雇用主である派遣元の労働者数に含めます。なお、建設業・医療業などの「除外率設定業種」では、常時雇用する労働者数から一定割合(除外率)に相当する人数を控除したうえで計算します。除外率は2025年4月1日に各業種一律10ポイント引き下げられており、従来10%以下だった業種は除外率制度の対象外になりました(厚生労働省)。

自社が対象かどうかの判定手順

  1. 週20時間以上で働く常時雇用の労働者を洗い出す(雇用形態は不問)
  2. 週30時間以上=1人、週20〜30時間未満=0.5人で合計する
  3. (除外率設定業種のみ)除外率分を控除する
  4. 合計が37.5人以上なら障害者雇用義務あり。「合計×2.7%(切り捨て)」が必要人数
  5. 各月の合計が100人を超える(100.5人以上の)月が年度内に5か月以上あるなら、障害者雇用納付金制度の申告対象にも該当

なお、37.5人未満の企業に雇用義務はありませんが、障害者差別の禁止と合理的配慮の提供義務は企業規模を問わず適用されます(後述)。

雇用障害者数のカウント方法

雇用率の対象となるのは、原則として障害者手帳等で確認できる身体障害者・知的障害者・精神障害者です。週の所定労働時間と障害の程度によって、1人を「2人・1人・0.5人」と数えます。

カウント早見表

週所定労働時間30時間以上20時間以上30時間未満10時間以上20時間未満
身体障害者10.5―(算定なし)
重度身体障害者210.5
知的障害者10.5―(算定なし)
重度知的障害者210.5
精神障害者11(※特例)0.5

※精神障害者である短時間労働者(週20〜30時間未満)は、本来0.5人のところ、当分の間1人と算定する特例が適用されています。2023年4月以降は、雇入れからの期間などの要件なしで1カウントです。 ※週10〜20時間未満の算定(0.5人)は2024年4月に始まった仕組みで、重度身体障害者・重度知的障害者・精神障害者が対象です。就労継続支援A型事業所の利用者は、この特定短時間労働者の算定対象から除かれます。

**週10時間以上20時間未満の重度身体障害者・重度知的障害者・精神障害者は、雇用障害者数の分子には0.5人として算定されますが、常時雇用する労働者数の分母には含まれません。このため、分母と分子で対象範囲が異なります。**37.5人以上か・100人超かを判定する労働者数(分母)にも、週20時間未満の人は原則含まれません。

出典:厚生労働省「令和7年 障害者雇用状況の集計結果」注記、厚生労働省リーフレット「障害者の法定雇用率引上げと支援策の強化について」(2026年8月6日確認)

手帳等による確認とプライバシー

実雇用率に算入できるのは、原則として身体障害者手帳、療育手帳(知的障害の判定書等を含む)、精神障害者保健福祉手帳などにより障害者であることを確認できる人です。診断書のみで精神障害者として算定することはできません。また、手帳の有無の確認や情報の取得は、本人の同意とプライバシーへの配慮が前提です。厚生労働省は「プライバシーに配慮した障害者の把握・確認ガイドライン」を公表しており、画一的な調査や強要にわたる確認は認められていません。

計算例で確認する

以下の計算はすべて「法定雇用障害者数=労働者数×2.7%(小数点以下切り捨て)」で行い、2026年7月1日以降の基準を前提とします。比較用の改正前の数値は2.5%で計算しています。

例1:従業員37.5人相当の小売業(今回新たに対象になるケース) フルタイム(週40時間)35人+パート(週24時間)5人 労働者数=35+5×0.5=37.5人 法定雇用障害者数=37.5×2.7%=1.0125 → 1人 改正前は37.5×2.5%=0.9375→0人で対象外でした。2026年7月1日から障害者1人の雇用義務が生じ、障害者雇用状況報告は2027年6月1日分から対象になります。

例2:全員フルタイムの40人規模 40×2.7%=1.08 → 1人(改正前も40×2.5%=1.000→1人) 必要人数は変わりません。改正前は「ちょうど下限」の規模だった企業です。

例3:80人規模 80×2.7%=2.16 → 2人(改正前も80×2.5%=2.000→2人) 引き上げによってすべての企業の必要人数が増えるわけではありません。

例4:短時間労働者を含む150人規模(必要人数が増えるケース) フルタイム140人+パート(週20時間)20人 労働者数=140+20×0.5=150.0人 150×2.7%=4.05 → 4人(改正前は150×2.5%=3.75→3人) 規模によっては、今回の引き上げで必要人数が1人増えます。

例5:重度障害者・精神障害者を雇用している80人規模 必要人数は例3のとおり2人です。 ・パターンA:重度身体障害者1人(週30時間以上)を雇用 → 2カウントで充足 ・パターンB:精神障害者2人(いずれも週22時間)を雇用 → 特例により1+1=2カウントで充足 達成・未達成は「実雇用率が2.7%以上か」ではなく、**「法定雇用障害者数(切り捨て後の人数)以上を雇用しているか」**で判定します。パターンAの実雇用率は2÷80=2.50%と2.7%を下回りますが、必要人数2人を満たすため不足はありません。

出典:計算式・カウント方法は厚生労働省「令和7年 障害者雇用状況の集計結果」注記および同リーフレットに基づく(2026年8月6日確認)

対象企業がやるべきこと(義務と体制整備)

常時雇用する労働者37.5人以上の企業には、①法定雇用率(2.7%)以上の障害者雇用、②毎年6月1日時点の障害者雇用状況報告が義務づけられます。あわせて、障害者雇用推進者の選任が努力義務とされています。

障害者雇用状況報告(ロクイチ報告)

毎年6月1日現在の障害者雇用状況を、7月15日までに管轄のハローワークへ報告します(e-Govによる電子申請も可能です)。雇用している障害者が0人でも、対象規模の企業は提出しなければなりません。報告をしない場合や虚偽の報告をした場合は、障害者雇用促進法の規定により30万円以下の罰金の対象になります。費用はかからず、対象企業には例年5月下旬〜6月上旬に様式が送付されるほか、厚生労働省サイトからも様式を取得できます。

2026年の報告と2027年の報告はどう違う?

2026年分の報告は40.0人以上・2.5%基準で行われ、提出期限は2026年7月15日でした。厚生労働省のリーフレットも「令和8年6月1日時点の報告では、法定雇用率2.5%での不足有無などを確認します」と明記しています。施行日が7月1日であるためです。

一方、2027年分からは対象と基準が変わります。**2027年6月1日時点から、37.5人以上・2.7%基準で報告し、7月15日までに提出します。**今回新たに対象となった37.5人以上40.0人未満の企業の初回報告は、この2027年分です。ただし、2.7%の雇用義務そのものは2026年7月1日からすでに発生しています。「報告がまだだから義務もまだ」ではない点を混同しないでください。

社内体制の整備

  • 障害者雇用推進者の選任(努力義務):障害者雇用の促進と継続を図る社内責任者を置きます。
  • 障害者職業生活相談員の選任(義務):障害者を5人以上雇用する事業所では、資格認定講習の修了者や一定の実務経験者など資格要件を満たす人のうちから、選任すべき事由が発生した日(雇用する障害者が5人以上になった日)から3か月以内に選任します。選任したときは、遅滞なく管轄のハローワークへ選任報告書を提出します。
  • 障害者差別の禁止・合理的配慮の提供(全企業の義務):募集・採用時と採用後において、障害を理由とする差別は禁止され、過重な負担にならない範囲で合理的配慮(作業手順の調整、通院への配慮、施設・設備の工夫、業務指示の伝え方の工夫など)を提供する義務があります。2016年4月から企業規模を問わず適用されており、37.5人未満の企業も対象です。なお、働く人を守る職場環境の整備という点では、2026年10月1日からカスタマーハラスメント対策もすべての事業主の義務になります。詳しくは「カスハラ対策は2026年10月1日から義務化|企業が講じる10の措置とクレームとの違い」をご覧ください。
  • 採用後の定着支援:採用して終わりではなく、定期面談、配慮内容の見直し、支援機関との連携が定着を左右します。令和7年の集計では精神障害者の雇用者数が前年比11.8%増と大きく伸びており、体調の変動に応じた柔軟な勤務設計の重要性が増しています。

法定雇用率を達成できないとどうなる?

未達成そのものに罰金はありません。ただし、①納付金制度の対象企業(常用雇用労働者数が100人を超える月が年度内5か月以上)には不足1人につき月額5万円の納付金があり、②改善が進まない場合はハローワークの指導から企業名公表に至る行政対応が用意されています。

罰則の正しい理解

刑事罰(30万円以下の罰金)の対象となるのは、障害者雇用促進法86条に定められた次のような場合です。

  • 障害者雇用状況報告をしない、または虚偽の報告をした場合
  • 雇入れ計画作成命令に違反して、雇入れ計画を作成しなかった場合
  • 作成した雇入れ計画を提出しなかった場合

法定雇用率の未達成そのものに刑事罰はありません。また、納付金は罰金ではなく、障害者を多く雇用する企業との経済的負担を調整するための法定の拠出金です。納付金を納めても、雇用義務がなくなるわけではありません。

納付金・調整金・報奨金は「企業規模×月数」で判定する

  • 障害者雇用納付金:申告義務があるのは、各月の算定基礎日における常用雇用労働者数が100人を超える月が、対象年度内に連続または断続して5か月以上ある事業主です(JEED=高齢・障害・求職者雇用支援機構「令和8年度 申告申請書記入説明書」等)。労働者数は短時間労働者を0.5人で算入するため、実務上は**「100.5人以上となる月が5か月以上あるか」**で判定します。該当する場合、法定雇用率未達成なら不足1人につき月額5万円を納付し、達成していて納付金額が0円でも申告書の提出は必要です。100人を超える月が5か月未満であれば、原則として納付金の申告義務はありません。
  • 障害者雇用調整金:納付金の申告対象となる事業主が法定雇用率を超えて障害者を雇用している場合、超過1人につき月額2万9,000円(支給対象人数が年120人月を超える部分は2万3,000円)。
  • 報奨金:単純な「100人以下の企業」ではなく、納付金の申告義務がない事業主が対象です。各月の雇用障害者数の年度間合計が一定数(各月の常用労働者数の4%の年度間合計または72人のいずれか多い数)を超えて雇用している場合、申請により超過1人につき月額2万1,000円(年420人月を超える部分は1万6,000円)が支給されます。
  • 令和8年度分の納付金の算定:2026年6月以前は2.5%、7月以降は2.7%として算定し、申告期間は2027年4月1日〜5月17日です(厚生労働省リーフレット)。年度の途中で率が変わるため、対象企業は月別の労働者数・雇用障害者数の管理が例年以上に重要になります。

雇入れ計画作成命令から企業名公表までの流れ

厚生労働省の資料によると、実雇用率の低い企業への雇用率達成指導は次の流れで行われます。

  1. 障害者雇用状況報告(毎年6月1日の状況)
  2. 雇入れ計画作成命令:翌年1月を始期とする2年間の雇入れ計画の作成を、公共職業安定所長が命令
  3. 適正実施勧告:計画の実施状況が悪い企業に、計画1年目の12月に勧告
  4. 特別指導:雇用状況の改善が特に遅れている企業に、計画期間終了後9か月間、企業名公表を前提に実施
  5. 企業名の公表

不足数の特に多い企業には、厚生労働省本省による幹部への直接指導も行われます。令和6年度の実績は、雇入れ計画作成命令446社、適正実施勧告62社、特別指導37社で、企業名公表は0社でした(令和4年度は5社、令和5年度は1社)。

雇入れ計画作成命令は、障害者の雇用状況が著しく低い企業などを対象に行われます。具体的な対象基準や運用は、各年度の厚生労働省・ハローワークの案内で確認してください。なお、命令に違反して計画を作成しない場合や、作成した計画を提出しない場合は、30万円以下の罰金の対象です(障害者雇用促進法86条)。段階を踏む仕組みではあるものの、公表に至れば採用や取引への影響が大きいため、不足が分かった時点で早めにハローワークへ相談することが現実的な対応です。

資料によって数字が違うのはなぜか

障害者雇用は改正が続いた分野のため、検索結果やAIの回答には古い情報が混ざりがちです。次の対応関係を押さえておくと、自分で情報を検証できます。

  • 「43.5人以上」「45.5人以上」→ 法定雇用率が2.3%・2.2%だった時期の対象規模。現行は37.5人以上。
  • 「2.41%」→ 法定雇用率(義務の水準)ではなく、令和7年集計の実雇用率(実績値)。
  • 「教育委員会は2.7%」→ 令和7年集計時点の法定雇用率。2026年7月1日からは2.9%。
  • 「100人超200人以下は納付金月4万円」→ 過去の減額特例の名残。現在のJEEDの案内は一律月5万円。
  • 「調整金は月2万7,000円」→ 旧額。2024年4月以降は月2万9,000円。
  • 「2.7%へ引き上げ予定」→ 施行前の記事の表現。すでに施行済み。

よくある誤解と正しい内容

誤解正しい内容
37.5人以上になったら納付金を払う納付金の申告義務は、常用雇用労働者数が100人を超える月が年度内に5か月以上ある事業主が対象。37.5人以上になっただけでは発生しない
未達成だと罰金を科される未達成自体への罰金はない。30万円以下の罰金の対象は、報告をしない・虚偽の報告のほか、雇入れ計画の不作成・不提出(命令違反)
パートは全員0.5人で数える週30時間以上は1人。週20時間未満はそもそも労働者数(分母)に算入しない
2026年の6月1日報告から2.7%で判定された2026年分は2.5%・40.0人以上の基準で行われた(提出期限2026年7月15日)。新基準の報告は2027年分から(雇用義務は2026年7月1日から発生)
診断書があれば実雇用率に算入できる原則は障害者手帳等で確認できる人が対象。精神障害は精神障害者保健福祉手帳が必要
未達成が続くとすぐ社名を公表される計画作成命令→勧告→特別指導を経る段階的な仕組み。令和6年度の公表は0社
納付金を払えば雇用しなくてよい納付金を納めても雇用義務と行政指導の対象であることは変わらない

企業の対応チェックリスト(時系列)

いますぐ(2026年8月〜)

  • 常時雇用する労働者数を0.5人単位で算定する(週30時間以上=1、週20〜30時間未満=0.5。除外率設定業種は控除後)
  • 「労働者数×2.7%(切り捨て)」で必要人数を再計算し、現在の雇用カウントと突き合わせる
  • 37.5人前後の企業は、採用や退職で対象・対象外が変わり得るため、月次で労働者数を把握する仕組みをつくる
  • 各月の労働者数が100人を超える(100.5人以上の)月が年度内に5か月以上になりそうな企業は、納付金申告に備えて月別の記録を残す

不足がある場合(2026年内をめどに)

  • ハローワークの専門援助部門に求人の出し方・雇用管理を相談する
  • 業務の切り出し、受け入れ部署、合理的配慮の内容、社内相談窓口を検討する
  • 障害者雇用推進者を選任する(努力義務)

障害者を5人以上雇用する事業所

  • 選任事由が発生した日から3か月以内に、資格要件を満たす人のうちから障害者職業生活相談員を選任する
  • 選任後は遅滞なく、管轄のハローワークへ選任報告書を提出する

2027年4月1日〜5月17日

  • (令和8年度中に常用雇用労働者数が100人を超える月が5か月以上あった企業のみ)令和8年度分の障害者雇用納付金を申告する。2026年6月以前2.5%・7月以降2.7%の期間区分で算定し、納付金額が0円でも申告する

2027年6月1日→7月15日

  • 6月1日時点の雇用状況を確定し、7月15日までに障害者雇用状況報告を提出する(37.5人以上40.0人未満の企業は初回)

継続

  • 定着支援(定期面談・配慮内容の見直し)と支援機関との連携を続ける
  • 法定雇用率の次期見直しや除外率の動向を年1回確認する

相談先と支援制度

最初の相談窓口は、事業所を管轄するハローワークです。専門的な支援は地域障害者職業センター、生活面を含む定着支援は障害者就業・生活支援センターが担っています。

  • ハローワーク:求人の出し方、雇用管理、雇用率達成に向けた相談全般。
  • 地域障害者職業センター(JEED):各都道府県に設置。ジョブコーチ支援や職務設計など専門的な助言・援助。
  • 障害者就業・生活支援センター:就業面と生活面の一体的な相談・定着支援。
  • 障害者雇用相談援助事業:2024年4月に始まった、雇入れから雇用継続までの一連の雇用管理について原則無料で相談援助を受けられる仕組みです(厚生労働省)。
  • 助成金:障害者の雇入れや職場環境の整備に関する助成金・支援制度は複数ありますが、名称・要件・金額は改廃されます。本記事では個別の制度を断定的には紹介しません。利用を検討する時点で、必ずハローワークまたはJEEDの最新の案内で要件を確認してください。

よくある質問(FAQ)

Q1. 法定雇用率2.7%はいつから適用されていますか? A. 2026年7月1日からすでに適用されています(厚生労働省)。「引き上げ予定」ではなく施行済みです。

Q2. 従業員がちょうど37.5人です。何人雇用すればよいですか? A. 1人です。37.5人×2.7%=1.0125人となり、小数点以下を切り捨てて1人が必要人数になります。

Q3. 週20時間未満で働く障害のある人は雇用率に入りますか? A. 週10時間以上20時間未満の重度身体障害者・重度知的障害者・精神障害者は、雇用障害者数(分子)に0.5人として算定できます(2024年4月から。就労継続支援A型事業所の利用者は除く)。ただし労働者数(分母)には含めません。それ以外の週20時間未満の人は算定対象外です。

Q4. 障害者手帳を持っていない従業員は実雇用率に入りますか? A. 原則として算入できません。身体障害者手帳・療育手帳(知的障害の判定)・精神障害者保健福祉手帳などで確認できる人が対象で、確認には本人の同意とプライバシーへの配慮が必要です。

Q5. 派遣社員は派遣元・派遣先のどちらで数えますか? A. 雇用主である派遣元の労働者数・雇用障害者数に算入します。派遣先の雇用率には入りません。

Q6. 障害者の雇用が0人でも障害者雇用状況報告は必要ですか? A. 必要です。対象規模の企業は雇用数が0人でも提出義務があり、提出しない場合や虚偽の報告は30万円以下の罰金の対象です。

Q7. 常用労働者が100人前後の会社に、納付金の申告義務はありますか? A. 各月の算定基礎日に常用雇用労働者数(短時間労働者は0.5人算入)が100人を超える月が、年度内に連続または断続して5か月以上あれば申告義務があり、納付金額が0円でも申告書を提出します。5か月未満であれば原則として申告義務はありません。申告義務のない事業主でも、一定数を超えて雇用していれば報奨金(超過1人につき月額2万1,000円)を申請できます。

Q8. 2027年の報告から何が変わりますか? A. 対象が常時雇用労働者37.5人以上に広がり、2.7%基準で不足の有無が確認されます。新たに対象となった企業は、2027年6月1日時点の状況を7月15日までに報告します。

Q9. 納付金を払えば雇用義務は免除されますか? A. 免除されません。納付金は経済的負担を調整するための拠出金であり、納付後も雇用義務と行政指導の対象であることは変わりません。

Q10. 採用や定着はどこに相談すればよいですか? A. まず事業所を管轄するハローワークに相談してください。専門的な支援は地域障害者職業センター、生活面を含む定着支援は障害者就業・生活支援センターを利用できます。

今後変更される可能性がある項目

本記事は2026年8月6日時点の制度に基づきます。次の点は今後変わる可能性があるため、変更があり次第、本記事を更新します。

  • 次期の法定雇用率:少なくとも5年ごとに見直すルールがあり、2.7%の次の水準・適用時期は現時点で未定です。労働政策審議会障害者雇用分科会の審議動向が判断材料になります。
  • 除外率:法律の附則で「廃止の方向で段階的に縮小」する方針が定められており、今後さらに引き下げられる可能性があります(次回時期は未定)。
  • 精神障害者の算定特例:「当分の間」の措置であり、恒久ルールではありません。
  • 納付金関連の金額・助成金:制度改正で変わることがあります。申告・申請の前にJEEDの最新資料を確認してください。
  • 2026年6月1日時点の集計結果:例年どおりであれば2026年12月頃に厚生労働省から公表される見込みで、公表後に本記事の統計を更新します。

まとめ

2026年7月1日から、民間企業の障害者法定雇用率は2.7%となり、常時雇用する労働者37.5人以上の企業に障害者雇用の義務が生じています。出発点は、自社の労働者数を0.5人単位で計算し、「×2.7%(切り捨て)」の必要人数と現在の雇用カウントを突き合わせることです。「納付金の申告義務は100人を超える月が年度内5か月以上ある企業」「2026年の6月1日報告は旧基準で終了済み」という2点は誤解が多いため、社内で説明する際も正確に区別してください。不足がある場合も、ハローワークをはじめとする無料の支援体制があります。期限に追われる前に、採用と定着の準備を計画的に進めましょう。


免責・情報基準日 本記事は2026年8月6日時点の法令・公的資料に基づく一般的な制度解説であり、個別の労務管理や法的判断について助言するものではありません。実際の対応にあたっては、管轄のハローワーク、都道府県労働局、社会保険労務士等の専門家にご確認ください。制度は今後変更される可能性があります。

参考資料

  • 「障害者の法定雇用率引上げと支援策の強化について」(リーフレット)|厚生労働省・都道府県労働局・ハローワーク|令和5年政令公布を受けて作成(2026年8月6日確認)
  • 「障害者の法定雇用率引き上げのお知らせ(令和8年7月以降)」|福岡労働局|2026年8月6日確認
  • 「令和7年 障害者雇用状況の集計結果」|厚生労働省|2025年12月19日公表
  • 「障害者の雇用の促進等に関する法律施行令等の一部改正について」(総行女第2号)|総務省|令和5年3月3日
  • 「障害者雇用納付金制度の概要」(令和8年度版)|独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構(JEED)|2026年8月6日確認
  • 「障害者雇用納付金・調整金 申告申請のご案内」(令和8年度)|JEED|2026年8月6日確認
  • 「障害者職業生活相談員」(資格認定講習のご案内)|JEED|2026年8月6日確認
  • 障害者の雇用の促進等に関する法律(昭和35年法律第123号)、同施行令、同施行規則、令和5年政令第44号|e-Gov法令検索

経済・ビジネス

2026/7/21

カスハラ対策は2026年10月1日から義務化|企業が講じる10の措置とクレームとの違い

※本記事は2026年7月21日時点の法令・公表情報に基づいています。 この記事の結論 2026年10月1日から、改正労働施策総合推進法に基づき、カスタマーハラスメント(カスハラ)対策がすべての事業主の義務になります。労働者を1人でも雇う企業・個人事業主が対象で、中小企業への猶予はありません。企業は、カスハラに毅然と対応し従業員を守る方針の明確化、相談窓口の整備、被害発生時の事実確認や被害者への配慮、特に悪質な事案への対処体制づくりなど、厚生労働省の指針が示す10項目の措置を講じる必要があります。カスハラと ...

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