
本日のニュースは「賃金」と「企業決算」の確定値がテーマです。6月の実質賃金は前年同月比1.6%増と6か月連続のプラスになり、賃金の伸びが物価上昇を上回る状態が半年続いていることが統計で確認されました。春闘では経団連の最終集計がまとまり、大手企業の賃上げ率は3年連続の5%台で確定しました。企業側では、ホンダが円安などを追い風に4〜6月期で過去最高益を計上し、通期予想を上方修正しています。
今日のポイント
- 6月の実質賃金は前年同月比1.6%増。プラスは6か月連続で、共同通信によると6か月以上続くのは2021年以来(厚生労働省・速報値)
- 名目賃金(現金給与総額)は53万1,677円で3.4%増。日本経済新聞によると、3%以上の伸びが5か月続くのは1992年3月以来34年3か月ぶり
- 経団連の最終集計で、大手の賃上げ率は5.37%。引き上げ額の月1万9,752円は、報道によると1976年の集計開始以降で最高
- ホンダの4〜6月期は純利益が約2.3倍の4,509億円。通期の最終黒字予想を4,000億円へ引き上げ
- 円相場は8月5日午後の東京市場で1ドル=157円台と、ホンダの新しい想定レート155円より円安の水準
6月の実質賃金は1.6%増 賃金の伸びが物価を上回る状態が半年続く
厚生労働省が8月5日に公表した毎月勤労統計調査(2026年6月分・速報値、従業員5人以上の事業所が対象)によると、物価変動の影響を除いた実質賃金は前年同月比で1.6%増えました。プラスは6か月連続で、共同通信によると、6か月以上増加が続くのは2021年(2〜8月の7か月連続)以来です。
名目賃金にあたる働き手1人あたりの現金給与総額は53万1,677円で、前年同月比3.4%増でした。日本経済新聞によると、3%以上の伸びが5か月続くのは1992年3月以来、34年3か月ぶりです。内訳では、基本給にあたる所定内給与が27万9,189円(3.4%増)、夏の賞与を含む「特別に支払われた給与」が23万2,445円(3.5%増)と、月給と賞与の両方が伸びました。今年の春季労使交渉による賃上げや2025年の最低賃金引き上げの広がりに加え、好調な企業業績が賞与を押し上げたと報じられています。
実質賃金の計算に使う6月の消費者物価指数(持ち家の家賃換算分を除く総合)は前年同月比1.9%の上昇でした。5月の1.7%より上げ幅は広がったものの、名目賃金の伸び(3.4%)がこれを上回ったため、実質賃金はプラスを保った形です。
家計にとっては、「給料は上がっても物価も上がって実感がない」という状態から、少なくとも統計上は賃金の伸びが物価を上回る局面が半年続いていることになります。ただし報道では、今後の食品の値上げや原油価格の動向が懸念材料になり得るとの指摘があり、厚労省の担当者も動向を注視する姿勢を示しています。今回の数字は速報値のため、後日の確報値で修正される可能性がある点にも留意が必要です。
大手の賃上げは3年連続5%台で確定 引き上げ額は過去最高
経団連は8月4日、2026年春季労使交渉(春闘)の大手企業の妥結結果(最終集計)を公表しました。定期昇給とベースアップを合わせた月例賃金の引き上げ率は加重平均で5.37%でした。前年(5.39%)をわずかに下回ったものの、3年連続で5%を超えています。日本経済新聞によると、5%超が3年続くのは1989〜91年以来35年ぶりです。
引き上げ額は月1万9,752円で前年より557円増えました。朝日新聞によると、現在の集計方法になった1976年以降で最高の金額です。経団連の資料では、業種別で情報通信(8.28%)、印刷(6.81%)、建設(6.76%)などが高く、製造業平均は5.36%、非製造業平均は5.38%でした。
注意したいのは、この集計の対象が原則として従業員500人以上の大手企業(23業種248社のうち、集計できた146社)である点です。中小企業の状況は同じではなく、経団連による中小企業の最終集計は、昨年は8月下旬に公表されています。中小企業にお勤めの方やパートで働く方は、今回の数字がそのまま自分の職場の賃上げ率を意味するわけではないことに留意が必要です。
一方、中小企業の経営者にとっては、大手の賃上げが5%台で3年続いたことは、採用市場の賃金相場や取引先の人件費水準が着実に切り上がっていることを意味します。経団連は背景に物価上昇への対応や人材確保・定着があると分析しており、価格転嫁や生産性向上によって賃上げの原資をどう確保するかが引き続き課題になります。
ホンダが通期を上方修正 円安と北米・二輪の好調が押し上げ
ホンダ(本田技研工業)は8月5日、2026年4〜6月期(2027年3月期第1四半期)の連結決算(国際会計基準)を発表しました。決算短信によると、売上収益は前年同期比13.5%増の6兆615億円、営業利益は117.4%増の5,307億円、親会社株主に帰属する四半期純利益は129.3%増(約2.3倍)の4,509億円でした。共同通信によると純利益は4〜6月期として過去最高で、Car Watchによると営業利益も四半期として過去最高です。
あわせて2027年3月期通期の見通しを上方修正しました。最終損益は従来予想の2,600億円の黒字から4,000億円の黒字へ、営業利益は5,000億円から6,500億円へ引き上げています。前期(2026年3月期)は電気自動車(EV)事業の戦略見直しに伴う関連損失の計上で4,239億円の最終赤字だったため、黒字回復の幅が広がる見通しです。日本経済新聞によると、想定為替レートを1ドル=145円から155円に見直したことが修正の柱で、円安による営業増益効果は1,700億円とされています。なお、8月5日午後の東京外国為替市場の実勢は1ドル=157円台(13時54分時点で157円60銭付近)と、見直し後の想定よりさらに円安の水準でした。
事業別では、インドやブラジルで販売を伸ばした二輪事業の営業利益が2,339億円と四半期として過去最高になり、営業利益率は20.5%に達しました。四輪事業では北米でのハイブリッド車販売の好調が報じられています。
円安は輸出企業の利益を押し上げる一方、為替は8月上旬の政府・日銀による円買い介入後も振れやすい状況が続いています。想定レートと実勢の差は、今後の上振れ要因にも下振れ要因にもなり得ます。株式や投資信託を保有している方は、決算の数字だけでなく、想定レートや関税影響といった前提条件を会社の決算資料で確認しておくと判断の材料になります。
読者が確認しておきたいこと
- 勤務先の賃上げ額と夏の賞与を給与明細で確認し、物価上昇分を差し引いた「実質」の感覚で家計の収支を見直す
- 春闘の5.37%は大手中心の数字。自分の勤務先や業界の規模に近い数字は、今後公表される中小企業の集計や、確定していく地域別最低賃金と併せて確認する
- 中小企業の経営者は、人件費の相場上昇を前提に、価格転嫁の交渉状況と採用条件の見直しを点検する
- 投資をしている人は、保有銘柄の決算資料で想定為替レートなどの前提条件を確認する
まとめ
賃金統計と春闘の最終集計がそろい、「名目賃金は高い伸びが続き、実質でもプラス」という現状が数字で裏づけられました。ただし、実質プラスが続くかどうかは今後の物価と賃金の両方にかかっており、現時点で断定はできません。企業側では円安が輸出企業の収益を押し上げていますが、想定レートと実勢の差は業績の変動要因であり続けます。毎月の統計と、自身の給与明細や事業の数字を照らし合わせて確認していくことが大切です。
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出典
- 厚生労働省「毎月勤労統計調査 2026(令和8)年6月分結果速報」(2026年8月5日)https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/monthly/r08/2606p/2606p.html
- 日本経済新聞「6月の実質賃金1.6%増、6カ月連続プラス 夏季賞与伸び」(2026年8月5日)https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA048840U6A800C2000000/
- 中日新聞Web(共同通信配信)「実質賃金6カ月連続プラス 21年以来、6月1.6%」(2026年8月5日)https://www.chunichi.co.jp/article/1292152
- 一般社団法人日本経済団体連合会「2026年春季労使交渉・大手企業業種別妥結結果[最終集計](加重平均)」(2026年8月4日)https://www.keidanren.or.jp/policy/2026/043.pdf
- 日本経済新聞「大企業賃上げ率は5.37% 26年春季交渉、経団連最終集計」(2026年8月4日)https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA046580U6A800C2000000/
- 朝日新聞(Yahoo!ニュース配信)「大企業の賃上げ5.37%、金額は過去最高 経団連が春闘最終集計」(2026年8月4日)https://news.yahoo.co.jp/articles/a6e3b061aa0d7509053e9b4b69f0a0c8ad0f34fb
- 本田技研工業「2027年3月期 第1四半期決算短信〔IFRS〕(連結)」(2026年8月5日)https://data.swcms.net/file/honda-ir/dam/jcr:bd619e88-b049-4e52-aca6-670ab3081b20/140120260804508592.pdf (投資家情報:https://global.honda/jp/investors/)
- 日本経済新聞「ホンダの最終黒字4000億円に上振れ 27年3月期、円安進行が寄与」(2026年8月5日)https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB04AIY0U6A800C2000000/
- Car Watch「ホンダ、2027年3月期第1四半期決算の営業利益5307億円で過去最高を記録」(2026年8月5日)https://car.watch.impress.co.jp/docs/news/2130835.html
- フィスコ(Investing.com配信)「東京為替:ドル・円は下げ渋り、やや値を戻す」(2026年8月5日)https://jp.investing.com/news/forex-news/article-1632278
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