
8月22日朝に確認したいのは、物価、企業活動、賃金支払いに関する3つの新しい情報です。7月の全国消費者物価指数は総合が前年同月比1.9%上昇し、8月の製造業PMI速報値は55.1へ上昇しました。一方、厚生労働省が公表した2025年の賃金不払事案は2万2,605件でした。
数字の性質はそれぞれ異なります。消費者物価指数は全国平均の価格変化、PMIは企業へのアンケートを指数化した速報値、賃金不払の集計は労働基準監督署が取り扱った事案です。見出しの数字だけでなく、対象期間と定義を分けて読む必要があります。
今日のポイント
- 7月の全国消費者物価指数は、総合が前年同月比1.9%、生鮮食品を除く総合が1.8%上昇
- 生鮮食品とエネルギーを除く指数も前年同月比1.9%上昇し、基調的な物価も伸びが続く
- 8月の製造業PMI速報値は55.1で、7月の54.5から上昇。サービス業は52.3、総合は53.4
- 2025年に労基署が取り扱った賃金不払事案は2万2,605件。指導による解決件数は2万1,731件
全国の消費者物価は1.9%上昇、3つの指数を分けて見る
総務省統計局が8月21日に公表した2026年7月の全国消費者物価指数は、2025年を100とする総合指数が102.0となり、前年同月比1.9%上昇しました。生鮮食品を除く総合は1.8%、生鮮食品とエネルギーを除く総合は1.9%の上昇です。
Reutersによると、生鮮食品を除く総合の伸びは6月の1.6%から7月の1.8%へ拡大しました。物価上昇率が急激に跳ね上がったわけではありませんが、6月より伸びが強まった点は、家計の購買力や企業の価格設定、日銀の金融政策を考えるうえで確認しておきたい変化です。ただし、今後の利上げ時期は今回の統計だけで決まるものではありません。
ここでの1.9%は、全国の多くの商品・サービスをまとめた平均的な前年同月比です。すべての品目が一律に1.9%値上がりしたわけでも、すべての家庭の生活費が同じ割合で増えたわけでもありません。
家計では、自分の支出に占める食費、光熱費、住居費などの比率によって実感が変わります。前年の同じ月との比較であることも踏まえ、直近の家計簿や請求額と分けて見ることが大切です。
事業者にとっては、仕入価格の上昇と販売価格への反映時期が一致するとは限りません。平均指数だけで値上げを判断せず、自社の原材料、物流費、外注費などの実績と、見積もりや契約の更新時期を確認する必要があります。
製造業PMIは55.1、受注の勢いが強まる
Reutersが8月21日に報じたS&P Globalの速報調査では、8月の製造業PMIは55.1となり、7月の54.5から上昇しました。PMIは50を上回ると、前月と比べて事業環境が改善したと答えた企業が多いことを示します。新規受注の伸びは2018年1月以来の速さとされました。
サービス業PMIは51.2から52.3へ上昇し、製造業とサービス業を合わせた総合指数は52.7から53.4へ上がりました。総合指数は2月以来の高水準です。
半導体やAI関連の需要が製造業の受注を支えた一方、供給業者の納期は大きく長期化したと報じられています。投入価格の上昇ペースは5カ月ぶりの低さに鈍化しましたが、販売価格の上昇は高い水準でした。
PMIは売上高や生産額そのものではなく、企業へのアンケート結果を指数化したものです。今回は速報値であり、後日の確報で修正される可能性もあります。
製造業や関連する中小企業は、景況感の改善をそのまま自社の受注増とみなさず、実際の受注残、納期、在庫、仕入価格、見積条件を照合することが重要です。
賃金不払事案は2万2,605件、件数は増加
厚生労働省は8月21日、2025年に全国の労働基準監督署が取り扱った賃金不払事案の監督指導結果を公表しました。
件数は2万2,605件で前年より251件増え、対象労働者は17万3,016人、金額は128億5,782万円でした。対象労働者数と金額は前年より減っています。
このうち、2025年中に労基署の指導を受けて使用者が賃金を支払い、解決したものは2万1,731件で、取扱件数の96.1%でした。対象労働者ベースでは97.0%、金額ベースでは85.5%です。
ただし、この集計には前年から繰り越された事案、倒産や事業主の行方不明で支払われなかったもの、一部のみ支払われたものも含まれます。「96.1%が全額解決した」という意味ではありません。
働く側は、給与明細と勤怠記録、雇用条件を照らし、説明のつかない差があれば記録を残して会社へ確認することが第一歩です。
事業者は、勤怠データから給与計算、承認、振り込みまでの流れに漏れがないかを点検する必要があります。倒産で解決が難しい場合について、厚生労働省は未払賃金立替払制度を運用するとしています。
読者が確認しておきたいこと
- 消費者物価の1.9%は前年同月比の全国平均であり、自分の生活費の増加率とは別に確認する
- 事業者は、平均物価やPMIだけでなく、自社の仕入価格、受注残、納期、在庫を照合する
- 給与明細と勤怠記録に差がある場合は、対象月、勤務時間、支給・控除項目を整理する
- PMIは速報値、賃金不払は2025年の取扱事案であることを区別する
まとめ
7月の全国消費者物価は前年同月比1.9%上昇し、8月の製造業PMI速報値は55.1へ上がりました。物価の伸びと企業活動の改善が同時に示されていますが、どちらも家計や個別企業の状況を直接表す数字ではありません。
賃金不払の監督指導結果では、件数が前年より増えた一方、対象人数と金額は減りました。家計は実際の支出、企業は受注・コスト・給与計算の実績に置き換えて確認することが、今朝の3つの数字を読み違えないためのポイントです。
出典
- 総務省統計局「2025年基準 消費者物価指数 全国 2026年7月分」(2026年8月21日)
https://www.stat.go.jp/data/cpi/sokuhou/tsuki/index-z.html - e-Stat「消費者物価指数 2025年基準消費者物価指数 月報 月次 2026年7月」(2026年8月21日)
https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?layout=datalist&lid=000001488696&page=1 - Reuters「Japan’s core inflation accelerates in July, bolsters case for rate hike」(2026年8月20日UTC、日本時間8月21日)
https://www.reuters.com/world/asia-pacific/japans-core-inflation-accelerates-july-bolsters-case-rate-hike-2026-08-20/ - Reuters「Japan manufacturing expands as orders rise fastest since 2018, PMI shows」(2026年8月21日)
https://www.reuters.com/world/asia-pacific/japan-manufacturing-expands-orders-rise-fastest-since-2018-pmi-shows-2026-08-21/ - 厚生労働省「賃金不払が疑われる事業場に対する監督指導結果(令和7年)を公表します」(2026年8月21日)
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_75588.html
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