
9月4日朝に確認しておきたいのは、働く人の賃金の底上げと、企業間決済の見直しです。2026年度の地域別最低賃金は全都道府県の答申が出そろい、全国加重平均は1,177円となりました。一方、公正取引委員会と中小企業庁は、約束手形の利用廃止を踏まえ、支払期間の短縮や電子的な決済への移行を業界団体などに要請しました。
最低賃金は、最低賃金に近い水準で働く人の収入に関係する一方、企業にとっては人件費や採用条件の見直しにつながります。約束手形の利用廃止に向けた決済変更と支払期間の短縮は、受注側の資金繰りを改善する方向の見直しですが、支払う側では決済方法と運転資金の確認が必要です。
今日のポイント
- 地域別最低賃金の答申は全国加重平均1,177円で、前年度から56円上昇
- 47都道府県の引き上げ幅は54~65円
- 新しい最低賃金は、手続きを経て2026年10月1日から12月2日までに順次発効する予定
- 多くの金融機関が2026年9月30日を手形・小切手の最終振出期限に設定
- 2027年4月1日から、取適法の対象外を含む「製造委託等」でも60日を超える支払遅延を禁じる支払告示が施行
最低賃金の全国加重平均は1,177円、56円引き上げ
厚生労働省は9月3日、地方最低賃金審議会による2026年度の地域別最低賃金の答申を取りまとめました。
答申額の全国加重平均は、前年度の1,121円から56円上がって1,177円となり、目安制度が始まった1978年度以降では2番目に大きい引き上げです。47都道府県の引き上げ幅は54~65円で、最高額は1,280円、最低額は1,085円。最高額に対する最低額の比率は84.8%となり、12年連続で改善しました。
今回の重要点は、7月に示された中央最低賃金審議会の「目安」ではなく、各都道府県での審議結果が出そろったことです。
ただし、現段階は全国分の「答申」の取りまとめです。異議申出の手続きなどを経て都道府県労働局長が決定し、2026年10月1日から12月2日までの間に順次発効する予定であり、9月3日から一斉に1,177円が適用されたわけではありません。
働く人が確認すべきなのは、全国加重平均ではなく、実際に働く事業場の都道府県に適用される金額と発効日です。最低賃金に近い時給で働く場合は、発効日以降の給与条件を確認する必要があります。
企業側も、各事業場の改定額と発効日を基準に、時給、求人票、雇用契約や賃金規程に見直し漏れがないかを点検することが重要です。
約束手形廃止を前に、支払期間の短縮と電子化を要請
公正取引委員会は9月2日、中小企業庁と共同で、約束手形の利用廃止を踏まえた支払の適正化を業界団体などに要請しました。中小企業庁の支援サイト「ミラサポplus」も、9月3日に中小企業・小規模事業者向けの案内を掲載しています。
これは9月2日に新たな法律が成立したというニュースではなく、すでに施行された取適法と、今後施行される支払告示、手形・小切手の交換廃止を前に、企業へ対応を促すものです。
2026年1月1日に施行された中小受託取引適正化法、いわゆる取適法では、同日以後の発注に係る対象取引について、手形による支払いが禁止されています。
電子記録債権や一括決済方式であっても、物品などの受領から60日以内に定められる支払期日までに代金の満額を受け取れない仕組みは、原則として使用できません。
さらに2027年4月1日には、独占禁止法上の「支払告示」が施行されます。取適法の対象外であっても、製造委託等の代金を、給付の受領日や役務の提供を受けた日から60日を過ぎても支払わないことを禁止する内容です。
すべての売買取引が一律に対象になるわけではなく、「製造委託等」に該当する取引かどうかを分けて確認する必要があります。
電子交換所での手形・小切手の交換は2027年3月31日に廃止される予定で、多くの金融機関は2026年9月30日を最終振出期限に設定しています。
ただし、期限はすべての金融機関で一律ではありません。手形や小切手を利用している企業は、自社の取引金融機関が公表する期限を確認し、取引先と振込や電子記録債権などへの切り替えを協議する必要があります。
支払期間の短縮は、受注側にとって売掛金を早く回収しやすくなる方向の見直しです。一方、発注側では支払いが早まることで、運転資金への影響が出る可能性があります。
公正取引委員会は金融機関に対し、支払期間の短縮に取り組む事業者からの相談に丁寧に応じ、事業者の業況や資金需要を踏まえた柔軟な資金繰り支援に努めるよう求めています。
読者が確認しておきたいこと
- 勤務先・事業場がある都道府県の最低賃金額と発効日
- 最低賃金に近い従業員の賃金、求人票、雇用条件の見直し時期
- 取引金融機関が設定している手形・小切手の最終振出期限
- 取引先との支払方法、支払期日、電子決済への移行予定
まとめ
最低賃金の引き上げは、働く人の賃金を底上げする一方、中小企業には人件費と採用条件の見直しを促します。
約束手形の利用廃止に向けた決済変更と支払期間の短縮は、受注側の資金繰りを改善する方向ですが、支払う側には運転資金と決済実務の準備が必要です。
どちらも「全国平均」や「9月30日」という数字だけで判断せず、自社・自分に適用される地域、取引の種類、金融機関ごとの期限を確認することが大切です。
出典
- 厚生労働省「全ての都道府県で地域別最低賃金の改定額が答申されました」(2026年9月3日)
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_75950.html - テレビ朝日「最低賃金の全国平均1177円に 過去2番目の上げ幅 12月上旬までに順次発効へ」(2026年9月3日)
https://news.tv-asahi.co.jp/news_society/articles/000530872.html - 公正取引委員会「約束手形の利用廃止を踏まえたサプライチェーン全体での支払の適正化について」(2026年9月2日)
https://www.jftc.go.jp/yakusokutegata_yousei.html - 中小企業庁・ミラサポplus「約束手形の利用廃止を踏まえたサプライチェーン全体での支払の適正化について」(2026年9月3日)
https://mirasapo-plus.go.jp/infomation/33653/
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