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50人未満の会社もストレスチェック義務化へ|2028年4月1日までに何を準備する?

2028年(令和10年)4月1日から、従業員数50人未満の事業場にも、労働安全衛生法に基づくストレスチェック(心理的な負担の程度を把握するための検査)の実施が義務づけられます。業種を問わず、条件を満たすパート・アルバイトを含む「常時使用する労働者」を雇う全ての事業場が対象です。施行日は、2025年5月14日公布の改正労働安全衛生法と、2026年6月10日公布の政令で正式に確定しました。この記事では、対象者の数え方、医師の面接指導、費用と公的支援、2028年4月までの準備の進め方を、厚生労働省の一次資料に基づいて解説します。

この記事の結論

要点:50人未満の事業場のストレスチェック義務化は、2028年4月1日開始で確定しています。委託先選定や社内ルール整備には時間がかかるため、2027年度中の体制決定を目安に、今から動き始めるのが安全です。

  • 施行日は2028年(令和10年)4月1日です。2026年6月10日公布の政令(令和8年政令第195号)で確定済みで、施行日までは従来どおり努力義務です。
  • 義務の判定は会社全体ではなく「事業場」(本社・支店・店舗など働く場所)単位です。2028年4月1日以降は、人数にかかわらず全ての事業場に実施義務がかかります。
  • 受けさせる対象は「常時使用する労働者」で、①無期または1年以上の有期契約、②週の労働時間が通常の労働者の4分の3以上、の両方を満たす人です。条件を満たすパート・アルバイトも対象で、派遣労働者は派遣元(雇い主)が実施します。
  • 頻度は1年以内ごとに1回です。実施者は医師・保健師などの資格者に限られるため、小規模事業場では検査の外部委託が現実的な選択肢です(厚生労働省のマニュアルも外部委託を推奨しています)。高ストレス者から申出があれば医師の面接指導が必要です。50人未満の小規模事業場を対象に、地域産業保健センターが面接指導を原則無料で提供しています(事前申込みなどの条件あり)。
  • 個人の結果は、本人の同意なく会社に渡りません。常時使用する労働者(短時間のパート・アルバイトや受入れ派遣労働者を含む常態の人数)が50人未満の事業場は、義務化後も労働基準監督署への結果報告が不要です(常態の人数が50人以上になると報告義務が生じる可能性があります)。実施しないこと自体への罰則規定はありませんが、施行後は法令違反として指導の対象になり、安全配慮義務の面でもリスクになります。
  • 準備の目安は「2026年度=情報収集と対象者の洗い出し、2027年度=委託先決定と社内ルール整備、2028年度=初回実施」です。

重要事項の早見表

要点:期限・対象・手続の要点は次の表のとおりです。この表だけでも制度の全体像がつかめるようにまとめています。

項目内容
施行日2028年(令和10年)4月1日(施行日を定める政令が2026年6月10日に公布され確定)
根拠労働安全衛生法第66条の10/労働安全衛生法及び作業環境測定法の一部を改正する法律(令和7年法律第33号)
対象事業場業種・人数を問わず全ての事業場(判定は会社単位ではなく事業場単位)
受けさせる労働者「常時使用する労働者」=①無期または1年以上の有期契約+②週の労働時間が通常の労働者の4分の3以上(パート・アルバイトも条件を満たせば対象)
派遣労働者実施義務は派遣元にある(派遣先ではない)
実施頻度1年以内ごとに1回
実施者医師、保健師、所定の研修を修了した歯科医師・看護師・精神保健福祉士・公認心理師(外部委託可)
医師の面接指導高ストレス者本人から申出があれば実施義務。50人未満の小規模事業場は、地域産業保健センターの面接指導を原則無料で利用できる場合がある(事前申込み・利用条件あり)
結果の取扱い個人結果は実施者から本人へ直接通知。本人の同意なく会社は取得できない
労基署への報告常時使用する労働者(短時間労働者・受入れ派遣を含む常態の人数)が50人未満の事業場は不要。50人以上の事業場は毎年報告義務があり、受検対象者が50人未満でも常態の人数が50人以上なら報告義務が生じる可能性がある
実施しない場合直接の罰則規定はないが、施行後は法令違反として労働基準監督署の指導対象。安全配慮義務上のリスクもある
集団分析努力義務。受検者10人未満の単位では原則行わない
公的支援産業保健総合支援センター(相談・研修無料)、地域産業保健センター(高ストレス者への医師の面接指導を原則無料・事前申込みなど条件あり)、こころの耳(相談無料)、団体経由産業保健活動推進助成金

(出典:厚生労働省「小規模事業場ストレスチェック制度実施マニュアル」令和8年2月、施行期日を定める政令〔令和8年政令第195号〕。2026年8月2日確認)

ストレスチェック制度とは?何をする制度なのか

要点:ストレスチェック制度は、労働者が年1回、仕事のストレスに関する調査票に回答し、高ストレスの人を医師の面接指導につなげて、メンタルヘルス不調を未然に防ぐ仕組みです(労働安全衛生法第66条の10)。

厚生労働省は、ストレスチェック制度の目的を「メンタルヘルス不調の未然防止(一次予防)」と位置づけています。精神疾患を見つけ出すための検査ではありません。労働者本人が自分のストレスに気づいてセルフケアを行い、職場としてはストレスの要因を減らしていくための制度です。

一連の流れは次のとおりです。労働者が調査票(国が推奨する「職業性ストレス簡易調査票」57項目など)に回答し、実施者が結果を評価して、本人に直接通知します。高ストレスと判定された人が会社に申し出た場合、会社は医師による面接指導を受けさせなければなりません。面接指導の後、会社は遅くとも1か月以内に医師から意見を聴き、必要に応じて労働時間の短縮などの就業上の措置を行います。あわせて、個人が特定されない形での集団分析と職場環境の改善に努めることとされています(集団分析は努力義務です)。

実施者になれるのは、医師、保健師のほか、所定の研修を修了した歯科医師・看護師・精神保健福祉士・公認心理師に限られます。労働者の側に受検義務はありませんが、厚生労働省は、できるだけ全員が受けることが望ましいとしています。受検にかかる時間は、業務時間として扱うのが基本です。

厚生労働省の効果検証事業では、ストレスチェックを受けた労働者の約7割が「自身のストレスが分かったこと」を有効だったと回答しています。また、メンタルヘルス不調による病休期間は平均約3か月、復職後に再び病休となる割合は約半数とされており、少人数の職場ほど、1人の離脱が経営に直結します。

いつから義務になる?現行制度から何が変わるのか

要点:50人未満の事業場の義務化は2028年4月1日に始まります。施行日は2026年6月10日公布の政令で確定しており、施行日までは現行どおり努力義務です。

ストレスチェックは2015年(平成27年)12月1日に始まった制度で、これまでは「常時50人以上の労働者を使用する事業場」だけに実施義務があり、50人未満の事業場は「当分の間」努力義務とされてきました。

2025年5月14日に公布された「労働安全衛生法及び作業環境測定法の一部を改正する法律」(令和7年法律第33号)で、事業場の規模にかかわらず義務化することが決まり、施行日は「公布後3年以内に政令で定める日」とされていました。その施行日を定める政令(令和8年政令第195号)が2026年6月10日に公布され、2028年(令和10年)4月1日と正式に確定しました。

事業場の規模(常時使用する労働者数)2028年3月31日まで2028年4月1日から
50人以上実施義務(+労基署への報告義務)変更なし
50人未満努力義務実施義務(労働基準監督署への結果報告は引き続き不要)

(出典:厚生労働省・第185回労働政策審議会安全衛生分科会資料「施行期日を定める政令案の概要」、厚生労働省「小規模事業場ストレスチェック制度実施マニュアル」令和8年2月。2026年8月2日確認)

注意したいのは、同じ改正法でも項目ごとに施行日が異なる点です。改正労働安全衛生法の主な部分は2026年4月1日に施行されていますが、ストレスチェックの義務対象拡大は2028年4月1日です。「2026年4月からもう義務化された」という情報は、他の改正項目との混同です。

初回の実施期限については、頻度が「1年以内ごとに1回」であるため、施行日から1年以内、つまり2029年3月31日までに1回目を終える取扱いになる見込みです。2015年の制度開始時も、施行後1年以内に初回を実施する取扱いでした。正式な期限は、今後の厚生労働省の通達・Q&Aで最終確認してください。

誰が対象?「50人」の数え方と事業場単位の考え方

要点:2028年4月1日以降は、人数にかかわらず全ての事業場に実施義務があります。「事業場」は会社全体ではなく、本社・支店・店舗など働く場所ごとの単位で考えます。

労働安全衛生法の義務は「事業場」単位でかかります。厚生労働省のマニュアルは、工場・事務所・店舗など同一の場所にあるものを1つの事業場とし、同じ会社でも場所が離れていれば別の事業場になると説明しています。たとえば全社で120人の会社でも、40人ずつ3拠点に分かれていれば、各拠点は「50人未満の事業場」として現在は努力義務で、2028年4月から義務になります。逆に本社60人・支店10人の会社なら、本社には現在すでに実施義務があります。

次に、実際にストレスチェックを「受けさせる」対象者の条件です。

区分条件扱い
実施義務の対象①無期契約、または1年以上の有期契約(更新により1年以上の使用が見込まれる人、1年以上引き続き使用されている人を含む)、かつ②週の労働時間が、同種の業務に従事する通常の労働者の4分の3以上ストレスチェックを受けさせる義務がある
実施が望ましい①を満たし、週の労働時間がおおむね2分の1以上4分の3未満義務ではないが実施が望まれる
上記以外週の労働時間がおおむね2分の1未満の短時間勤務など実施義務なし

(出典:厚生労働省「小規模事業場ストレスチェック制度実施マニュアル」令和8年2月。一般定期健康診断の対象者と同じ考え方で、契約の名称や国籍は問いません。2026年8月2日確認)

派遣労働者については、ストレスチェックの実施義務は雇い主である派遣元にあります(定期健康診断と同じ扱いです)。派遣先は、自社で雇用する労働者について実施します。なお、職場単位の集団分析のために、派遣先が派遣労働者にも受検してもらい、結果を集団分析の目的に限って使う運用例が、厚生労働省マニュアルの規程例に示されています。

紛らわしいのは、人数の「数え方」が2種類ある点です。

何のための数え方か数え方含まれる人
受検対象者(誰に受けさせるか)契約期間と週の労働時間で判定上の表の条件を満たす正社員・パートなど。派遣労働者は派遣元でカウント
事業場の規模(労基署への報告義務や産業医選任などの「50人」判定)常態として使用しているかどうかで判定週の労働時間が短いパート・アルバイトも、受け入れている派遣労働者も、継続して常態的に使用していれば含める

(出典:厚生労働省「小規模事業場ストレスチェック制度実施マニュアル」令和8年2月。2026年8月2日確認)

厚生労働省マニュアルは、「受検対象者が50人未満でも、常態として使用している労働者が50人以上であれば、労働基準監督署への報告が必要になる場合がある」と注意喚起しています。パートや派遣労働者を多く受け入れている事業場は、この2つの数え方を混同しないようにしてください。

対象外・例外・経過措置はある?

要点:労働者に受検義務はなく、受検を強制できません。常時使用する労働者が50人未満の事業場は労働基準監督署への結果報告が不要で、受検者10人未満の単位では集団分析を原則行いません。

  • 受検は本人の自由です。就業規則で受検を義務づけ、受けない人を懲戒の対象にすることは、労働者に受検を義務づけていない法の趣旨に反するとされています。受検の勧奨はできますが、業務命令のように強要してはいけません。
  • 長期休職中の労働者は、社内ルールで対象外にできます。厚生労働省マニュアルの規程例には、実施期間中に1か月以上休職している人を対象外とする例が示されています。
  • 労働基準監督署への結果報告(検査結果等の報告)は、常時使用する労働者が50人以上の事業場のみの義務です。常時使用する労働者が50人未満の事業場は、ストレスチェックの実施が義務化された後も、労働基準監督署への結果報告は不要です。ただし、受検対象者が50人未満でも、短時間労働者や受入れ派遣労働者を含む「常時使用する労働者」が50人以上となる場合は、報告義務が生じる可能性があります。
  • 集団分析は努力義務にとどまります。受検者が10人未満の単位では、個人が特定されるおそれがあるため、原則として集団分析結果の提供を受けてはいけません。従業員10人未満の事業場では、集団分析は原則行いません。
  • 施行日(2028年4月1日)より前は、引き続き努力義務です。前倒しで実施しても問題なく、公的支援も施行前から利用できます。

実施しなかった場合の扱いも整理しておきます。ストレスチェックの実施義務違反そのものに罰則規定はありません。ただし、施行後に実施しなければ労働安全衛生法違反の状態となり、労働基準監督署の指導・是正の対象になります。また、従業員がメンタルヘルス不調になった場合、法律上の義務を果たしていなかったことは、安全配慮義務(労働契約法第5条)をめぐる民事上の責任判断で不利に働き得ます。なお、常時使用する労働者が50人以上の事業場が労基署への報告を怠ると罰則(50万円以下の罰金)の対象になり得ますが、報告義務のない事業場(常時使用する労働者が50人未満)には関係しません。

ケース別モデル:従業員5人・20人・49人の会社はどう実施する?

要点:小規模事業場では、プライバシー保護と実施者の確保を考えると、検査の外部委託が現実的な選択肢です。自社実施も可能ですが、資格を持つ実施者と厳格な情報管理体制が必要です。規模によって、社内の担当者の置き方と集団分析の扱いが変わります。

項目従業員5人(例:設計事務所)従業員20人(例:製造業・1工場)従業員49人(例:卸売業・1営業所)
社内の実務担当者事業者(社長)自らが委託先との連絡・調整の窓口を担当(衛生推進者の選任義務なし)。個人の検査結果は扱わない衛生推進者または安全衛生推進者(10〜49人の事業場は選任義務あり)を充てる同左。人事・総務担当と分担
検査の実施外部委託外部委託(定期健康診断とセット運用も選択肢)外部委託
面接指導の依頼先地域産業保健センター(原則無料・事前申込み)地域産業保健センター(原則無料・条件あり)または委託先の有料オプション委託先オプションと地域産業保健センター(原則無料・条件あり)を比較
集団分析原則行わない(受検者10人未満)会社全体を1つの集団として実施可(受検者10人以上の場合)。部署別は人数不足で行えないことが多い全体に加え、受検者10人以上の部門単位でも実施可
特に注意する点個人結果などの健康情報を社内で一切扱わない運用の徹底従業員の意見聴取は朝礼・定例会議など既存の場を活用(労働安全衛生規則第23条の2)常態カウント(受け入れ派遣を含む)で50人以上になると、産業医選任・衛生委員会・労基署報告の義務が発生。増員計画があるなら先回りで準備

(出典:厚生労働省「小規模事業場ストレスチェック制度実施マニュアル」令和8年2月に基づくNEWS DAILY編集部の整理モデル。2026年8月2日確認)

厚生労働省マニュアルは、50人未満の事業場では労働者のプライバシー保護の観点から、外部委託を原則として推奨しています。外部委託すれば個人の結果は委託先で完結し、社内の担当者は健康情報を扱いません。このため、社内の実務担当者には人事権を持つ人(社長など)を充てることも可能です。ただし、社長や人事権を持つ担当者が担えるのは、委託先との連絡、日程調整、従業員への周知など、個人の検査結果を取り扱わない事務に限られます。個人結果や高ストレス者の情報にはアクセスできない運用にする必要があります。従業員10人未満の会社には衛生推進者がいないため、事業者自らがこうした連絡・調整の窓口役を担う想定です。

何から準備を始める?手続の流れと2028年までのスケジュール

要点:厚生労働省マニュアルの手順は「①方針表明→②労働者の意見聴取→③社内ルール作成→④委託先・面接指導先の決定→⑤実施→⑥結果通知→⑦面接指導と事後措置」です。2026年度は情報収集、2027年度に体制決定、2028年度に初回実施が目安です。

手続の流れは次のとおりです。

  1. 方針の表明:事業者が「不調者を見つける検査ではなく、プライバシーを守って運用する」ことを従業員に示します。
  2. 意見聴取:実施方法などについて従業員の意見を聴きます。50人未満の事業場には衛生委員会の設置義務がないため、労働安全衛生規則第23条の2に基づく「関係労働者の意見を聴く機会」(朝礼・定例会議など)を活用します。
  3. 社内ルールの作成・周知:実施体制、実施方法、記録の保存、情報管理、不利益取扱いの防止などを定めます。厚生労働省マニュアルにモデル規程例(編集可能ファイル)があります。
  4. 委託先と面接指導先の決定:委託候補に「サービス内容事前説明書」(マニュアル巻末の様式)の提出を求め、実施者の資格、料金体系、面接指導の提供形態、情報管理の体制を確認して比較します。
  5. 実施と結果通知:年1回、業務時間中に受検します。個人結果は委託先の実施者から本人に直接通知されます。
  6. 面接指導と事後措置:高ストレス者から申出があれば遅滞なく医師の面接指導を行い、面接後1か月以内に医師の意見を聴いて、必要な就業上の措置を行います。面接指導結果の記録は5年間保存します。
  7. 集団分析と職場環境改善(可能な場合):受検者10人以上なら、個人が特定されない集団分析結果をもとに職場改善につなげます。

費用は「公的支援」と「民間サービスの委託費」を分けて考えてください。地域産業保健センター(地産保)は、50人未満の小規模事業場を対象に、高ストレス者への医師の面接指導などの産業保健サービスを原則無料で提供しています(全国350か所)。ただし、事前申込みが必要で、利用回数や対象事業場などの条件があり、地域や受付状況によって利用できない場合もあります。企業全体の規模が大きい会社の営業所などは対象外となる場合があるほか、ストレスチェックの検査自体は地産保では実施していません。面接指導の依頼先として検討する場合は、所在地を担当する地産保へ早めに確認してください。このほか、産業保健総合支援センター(47都道府県。導入相談・研修・訪問支援は無料)と、こころの耳(厚生労働省委託の相談窓口・セルフケアツール。無料)も利用できます。

検査自体の外部委託費は委託先・人数・オプションで異なるため、本記事では具体額を記載しません。厚生労働省マニュアルは、検査の実施体制・事務・システム・データ保管など実施に不可欠な費用は基本料金に含まれるのが標準で、オプション(別料金)扱いの場合は委託先から十分な説明を受けるべきだとしています。

助成金には「団体経由産業保健活動推進助成金」(労働者健康安全機構)があります。商工会・協同組合などの事業主団体を経由して申請する仕組みで、個々の会社が直接申請することはできません。傘下の中小企業への産業保健サービス提供費用の90%(上限500万円、一定要件を満たす団体は1,000万円。1団体につき年度1回)が助成され、令和8年度分は2026年6月10日に受付が始まっています。所属団体がある場合は、活用できないか相談してみてください。

外部委託せず自社で実施することも制度上は可能ですが、実施者資格を持つ人の確保と厳格な情報管理が必要で、少人数の職場ではプライバシー面のハードルが高くなります(厚生労働省マニュアルも極めて慎重な運用を求めています)。

時期やること
2026年度(今〜2027年3月)制度を知る(厚労省マニュアル・本記事)。事業場ごとの人数と受検対象者を洗い出す。産業保健総合支援センターに相談する。面接指導の依頼先候補として、所在地を担当する地域産業保健センターの利用条件を確認する。委託候補2〜3社から「サービス内容事前説明書」を取り寄せて費用感を把握する。所属する事業主団体に助成金の活用を打診する
2027年度(2027年4月〜2028年3月)委託先・面接指導先を決定し契約する。方針表明→意見聴取→社内ルール(規程)の作成・周知を行う。実施時期を年間予定に組み込む(定期健康診断との同時期実施も検討)
2028年度(2028年4月〜)義務化スタート。初回のストレスチェックを実施する(2029年3月末までに1回目を終える見込み)。高ストレス者への対応、受検者10人以上なら集団分析と職場環境改善。以後、毎年1回継続する

(出典:厚生労働省「小規模事業場ストレスチェック制度実施マニュアル」令和8年2月、宮城労働局「令和8年度団体経由産業保健活動推進助成金」案内。2026年8月2日確認)

よくある誤解

要点:「会社全体で50人未満なら関係ない」「結果が会社に知られる」は、いずれも誤解です。

誤解1「会社全体で50人未満だから、うちは対象外」 判定は会社単位ではなく事業場単位です。そして2028年4月1日からは、人数にかかわらず全ての事業場が実施義務の対象になります。

誤解2「パート・アルバイトは関係ない」 受検対象になるかは契約期間と週の労働時間で決まり、無期または1年以上の契約で週の労働時間が通常の4分の3以上のパート・アルバイトは対象です。一方、事業場規模の「50人」判定では、短時間勤務でも常態的に使用していれば数に入れます。2つの数え方の混同が誤解のもとです。

誤解3「ストレスチェックの結果は会社に報告される」 個人結果は実施者から本人に直接通知され、本人の同意がない限り会社は取得できません。結果の提供に同意しないことを理由とする不利益取扱いもできません。

誤解4「高ストレス判定が出ると面接を強制される・不利になる」 医師の面接指導は本人の申出があって初めて行われます。申出をしたことを理由とする不利益取扱いは、労働安全衛生法で禁止されています。

誤解5「罰則がないなら、やらなくてよい」 施行後は法律上の義務です。罰則規定がなくても労働基準監督署の指導対象になり、不調者が出た場合の安全配慮義務の判断にも影響し得ます。採用・定着の面でもマイナスです。

誤解6「2026年4月から、もう義務化されている」 2026年4月1日に施行されたのは改正労働安全衛生法の別の項目です。ストレスチェックの50人未満への義務化は2028年4月1日で、現時点(2026年7月)では努力義務のままです。

専門家・実務の視点から見た注意点

要点:小規模事業場の最大の実務課題は「匿名性の確保」です。外部委託を前提に結果の流れを設計し、集団分析は無理をせず、面接指導と職場改善に力点を置くのが現実的です。

ここからは、厚生労働省マニュアルと一般的な実務論を踏まえた、NEWS DAILY編集部の視点です。

第一に、匿名性です。5人の職場では「誰が高ストレスか」が推測されやすく、安心して正直に回答できなければ制度は機能しません。厚生労働省マニュアルが外部委託を推奨する理由もここにあります。結果の通知方法(メールか、密封した封書か)、面接指導対象者への連絡方法まで、契約前に確認しておきましょう。

第二に、契約の落とし穴です。医師の面接指導が「実施1回ごとの従量課金」なのか「回数によらない一括契約」なのかで費用は大きく変わります。地域産業保健センターという原則無料の選択肢を案内しているかどうかも、委託先の誠実さを測る目安になります(マニュアルも、委託先が地産保等の利用を選択肢として案内しているかを確認ポイントに挙げています)。

第三に、形骸化の防止です。検査をして終わりでは効果が出ません。マニュアルに掲載された事例では、集団分析で作業環境の負担が大きいと分かった事業場が、冷房機器の設置や照明の改善といった具体的な職場改善につなげています。少人数の会社では、経営者が結果を「経営課題のシグナル」として受け止められるかどうかが、効果を左右します。

第四に、関連制度との一体運用です。メンタルヘルス対策は、ストレスチェック(一次予防)だけでなく、ハラスメント対策や休職・復職のルール(二次・三次予防)と一体で機能します。2026年10月1日からは、カスタマーハラスメント(顧客などからの著しい迷惑行為)への対策も全企業に義務化されます。相談窓口の整備や就業規則の見直しは共通するため、同じタイミングで点検すると効率的です。

受検対象者の判定、就業上の措置の内容、規程の作り方など判断に迷う点は、産業保健総合支援センターの無料相談や、社会保険労務士など労働安全衛生に詳しい専門家に確認してください。本記事は一般的な制度解説であり、個別の労務判断を保証するものではありません。

2028年4月までの準備チェックリスト

要点:次の12項目を上から順に進めれば、施行日に間に合う体制を作れます。

  •  事業場ごとの「常時使用する労働者」数と受検対象者を一覧にした
  •  パート・アルバイトの受検対象該当を、契約期間・週労働時間で確認した
  •  派遣労働者の扱い(実施義務は派遣元)を確認した
  •  社内の実務担当者(衛生推進者など)を決めた
  •  委託候補2〜3社から「サービス内容事前説明書」を取り寄せた
  •  面接指導の依頼先(地域産業保健センター〔原則無料・利用条件は要確認〕/委託先オプション)を決めた
  •  事業者の方針表明の文案を作った
  •  従業員の意見を聴く場(朝礼・定例会議など)を決めた
  •  社内ルール(実施規程)をモデル例をもとに作成・周知した
  •  実施時期を年間スケジュールに入れた(定期健康診断との関係も確認)
  •  結果の通知方法と保存(委託先で保存)を契約で明確にした
  •  不利益取扱いの禁止を経営層・管理職に周知した

よくある質問(FAQ)

Q1. パートやアルバイトにもストレスチェックを受けさせる必要がありますか?

条件を満たせば必要です。①無期または1年以上の契約(更新見込みを含む)で、②週の労働時間が同種の業務の通常の労働者の4分の3以上のパート・アルバイトは、実施義務の対象です。4分の3未満でも、おおむね2分の1以上働く人には実施が望ましいとされています。

Q2. 従業員のストレスチェック結果を会社が見ることはできますか?

本人の同意がない限りできません。個人結果は実施者から本人に直接通知されます。一方、面接指導の申出があったこと、面接指導の結果、医師の意見は、法令に基づき本人の同意なく会社が取得できます(就業上の措置に必要な最小限の範囲に限られます)。

Q3. 受けたくない従業員に受検を義務づけられますか?

できません。労働者に受検義務はなく、就業規則で受検を義務づけて受けない人を懲戒することは、法の趣旨に反するとされています。受検の勧奨はできますが、受けないことを理由とする不利益取扱いは禁止されています。

Q4. 産業医がいない会社は、面接指導を誰に頼めばよいですか?

地域産業保健センター(地産保)が、50人未満の小規模事業場を対象に、高ストレス者への医師の面接指導を原則無料で提供しています。全国350か所(おおむね労働基準監督署の単位)に設置され、登録産業医が面接指導を行います。ただし、事前申込みが必要で、利用回数や対象事業場などの条件があり、受付状況によって利用できない場合もあるため、所在地を担当する地産保へ早めに確認してください。委託先の外部機関が有料オプションで面接指導を提供する場合もあるので、費用と使い勝手を比較しましょう。なお、地産保はストレスチェックの検査自体は行っていません。

Q5. 従業員が10人に満たない会社にも義務はありますか?

あります。実施義務に人数の下限はありません。ただし、受検者が10人未満の場合は個人が特定されるおそれがあるため、集団分析は原則行いません(集団分析自体はもともと努力義務です)。

Q6. 2028年4月1日より前に始めても問題ありませんか?

問題ありません。現在も努力義務として実施が推奨されています。前倒しで一度実施しておけば、義務化後の初回もスムーズです。産業保健総合支援センターの無料相談は施行前から利用でき、地域産業保健センターの面接指導も条件を満たせば施行前から利用できます。

Q7. 費用はどのくらいかかりますか?

医師の面接指導は、50人未満の小規模事業場であれば、地域産業保健センターで原則無料で受けられる場合があります(事前申込み・利用回数などの条件あり)。検査自体は外部委託費がかかり、金額は委託先・人数・オプションにより異なります。「サービス内容事前説明書」で基本料金に含まれる範囲とオプション料金を確認し、複数社を比較してください。事業主団体経由で使える助成金(費用の90%、上限500万円)もあります。

まとめ

2028年4月1日から、従業員50人未満の事業場にもストレスチェックが義務化されます。施行日はすでに政令で確定しており、「まだ先の話」ではなく「委託先選定と社内ルール整備に1年かける」と考えると、動き出すのは今が適期です。

最初の一歩は、①事業場ごとの人数と受検対象者の洗い出し、②産業保健総合支援センターへの相談、③委託候補からの「サービス内容事前説明書」の取り寄せ、の3つです。施行までに厚生労働省のQ&Aや通達が追加される見込みのため、本記事も最新情報に合わせて更新していきます。

一次資料・参考資料

更新履歴

  • 2026年8月2日:公開(施行日を定める政令〔2026年6月10日公布〕および厚生労働省「小規模事業場ストレスチェック制度実施マニュアル」〔令和8年2月〕に基づき作成)

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2026/7/29

改正公益通報者保護法とは?2026年12月施行で企業と通報者はどう変わる

公益通報者保護法(平成16年法律第122号)は、勤務先など組織の法令違反を通報した人を、解雇などの不利益な取扱いから守る法律です。2025年6月11日に公布された改正法(公益通報者保護法の一部を改正する法律・令和7年法律第62号)が、2026年12月1日に施行されます。この改正で、公益通報を理由とする解雇・懲戒への刑事罰(個人・法人)、「通報者捜し」(通報者探索)や通報妨害の禁止、フリーランスの保護対象への追加などが新たに始まります。本記事では、所管官庁である消費者庁の一次資料に基づき、企業が施行日までに ...

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