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就活セクハラとは?2026年10月1日から企業に義務化される対策・具体例・相談先を解説

就職活動中の面接やインターン、OB・OG訪問などで性的な質問や接触、執拗な誘いを受けた場合、「これもセクハラなのだろうか」「会社に相談していいのだろうか」と迷うことがあります。

2026年10月1日からは、企業に対し、求職者等を対象としたセクシュアルハラスメントについて新しい防止措置が法律上義務付けられます。2026年8月18日現在はまだ施行前です。施行日は令和8年政令第17号により2026年10月1日と定められています。 

制度の対象は新卒の就活生だけではありません。転職希望者、企業の採用に資する活動へ参加する人、インターンシップ参加者、教育実習・看護実習等の実習生なども含まれます。内定者には特別な扱いがあり、採用内定によって労働契約が成立しているかどうかで適用される指針が変わります。 

この記事では、2026年4月24日に厚生労働省が公表したQ&Aと、令和8年厚生労働省告示第52号、2026年7月更新の厚労省パンフレットをもとに、「誰が対象か」「どの場面まで対象になり得るか」「企業は何を準備するのか」「被害を受けたらどこへ相談できるのか」を整理します。 

就活セクハラとは?

就活セクハラとは、就職・採用・インターン・実習などの求職活動等で生じる性的な言動に関する問題を指す一般的な呼び方です。2026年10月1日からは、事業主が雇用する労働者による性的な言動によって求職活動等が阻害されないよう、企業に防止措置が義務付けられます。法令・指針では「求職活動等におけるセクシュアルハラスメント」などと表現され、新卒学生だけでなく転職者や一定の実習生等も対象になります。 

改正後の男女雇用機会均等法13条では、求職者等の求職活動等において、その企業が雇用する労働者による性的な言動によって求職活動等が阻害されることを防ぐため、事業主に必要な措置を義務付けます。 

厚労省の指針による「性的な言動」には、性的な事実関係を尋ねること、性的情報を意図的に流布すること、性的関係を強要すること、不必要に身体へ触れること、わいせつな図画を配布すること等が含まれます。同性に対する言動も含まれ、被害者の性的指向やジェンダーアイデンティティによって対象外になるものではありません。 

一般的な職場のセクハラの定義や判断基準は、NEWS DAILYの「セクハラとは?どこからが該当する?具体例・相談先・会社の義務をわかりやすく解説」で詳しく解説しています。 

2026年10月1日から何が変わる?

2026年10月1日から、事業主は求職活動等におけるセクシュアルハラスメントを防ぐため、方針の明確化、面談等のルール、相談窓口、事実確認、被害者・行為者への対応、再発防止、プライバシー保護などの措置を講じなければなりません。2026年8月18日現在は施行前です。 

根拠となる改正法は令和7年法律第63号です。改正後の男女雇用機会均等法13条1項に求職者等セクハラの措置義務が設けられ、その具体的内容を令和8年厚生労働省告示第52号が示しています。施行日は令和8年政令第17号により2026年10月1日です。 

同じ2026年10月1日にはカスタマーハラスメント対策も企業に義務付けられます。カスハラ改正についてはNEWS DAILYの「カスハラ対策は2026年10月1日から義務化」で整理しています。 

「求職者等」には誰が含まれる?

「求職者等」は、新卒の学生だけを意味しません。求人への応募者に加え、企業が実施する採用に資する活動への参加者、教育実習・看護実習その他の実習を受ける人が含まれます。一方、専ら教育目的の社会科見学や授業内の企業講演への参加者は、この制度上の「求職者等」には含まれません。 

人・活動整理根拠・注意点
新卒就活生対象その企業への就職意思を示して求職活動をする人は「求職者」。 
中途採用の求職者対象新卒に限定されない。 
転職活動中の人対象特定企業に対する求職者となれば対象。 
企業の就職説明会参加者対象求職活動等の明示例。 
インターンシップ参加者対象(企業が行う採用に資する活動の例として厚労省が明示)採用に資する活動及び求職活動等の例として明示。 
OB訪問・OG訪問参加者対象になり得るQ&Aは「事業主の雇用する労働者への訪問」を採用に資する活動として例示。具体的な接触が求職活動等に当たるかは経緯等も考慮。 
社員訪問参加者対象「企業の雇用する労働者への訪問」が明示例。 
教育実習生対象省令・Q&Aで明示。 
看護実習生対象省令・Q&Aで明示。 
その他の実習生対象省令は「教育実習、看護実習その他の実習を受ける者」と規定。 
内定者条件により異なる労働契約成立と認められるかで、職場セクハラ指針か求職者等セクハラ指針かが変わる。 
小中学生等の社会科見学原則この制度の「求職者等」には含まれない授業の一環として専ら教育目的で行うものは除外。 
授業目的の企業講演参加者原則この制度の「求職者等」には含まれない企業を招いた講演会等で専ら教育目的のものは除外。 

インターンも対象?

インターンシップは、厚労省が「求職活動等」の例として明示しており、企業が実施する採用に資するインターンへの参加者は「求職者等」に含まれます。インターン中の性的な冗談、表示物、執拗な私的食事への誘いなども厚労省が典型例として示しています。 

OB・OG訪問も対象?

OB・OG訪問は、企業の雇用する労働者への訪問として厚労省Q&Aが「求職活動等」の例に挙げています。ただし、社員と学生が私生活で接触したすべての場面が自動的に対象になるわけではなく、採用活動との関連、関係性、経緯、参加の任意性などを踏まえて判断します。 

内定者は「求職者等」になる?

内定者は一律に「求職者等」でも、一律に「労働者」でもありません。採用内定によって労働契約が成立したと認められる場合は職場セクハラの指針が適用され、成立したと認められない場合は求職者等として新しい指針の対象になります。内定の法的性質は個別事案によって異なります。 

厚労省Q&A問28は、裁判例上、採用内定通知以外に労働契約締結のための特段の意思表示が予定されていないケースなどでは、内定により始期付き・解約権留保付きの労働契約が成立すると判断される場合があると説明しています。したがって、「内定が出た瞬間に必ず労働契約が成立する」と一般化することはできません。 

労働契約が成立したと認められる内定者については、既存の職場セクハラ防止措置が適用されます。ただし学生の内定者は、入社までに内定者説明会や懇親会等へ参加したり、大学のキャリアセンターへ相談したりする可能性があるため、厚労省は新しい求職者等セクハラ指針の内容も参考にすることが望ましいとしています。 

どこまでが「求職活動等」?

「求職活動等」は会社の面接室だけに限定されません。面接、説明会、インターン、OB・OG等の社員訪問、実習のほか、採用活動と実質的につながる飲食店での面談や懇親会、SNS・オンライン上のやり取りも対象になり得ます。ただし、私的接触すべてが自動的に求職活動等になるわけではありません。 

場面・媒体考え方
採用面接明示された求職活動等。 
企業説明会・少人数説明会対象。少人数説明会での不必要な身体接触は厚労省の典型例。 
インターン明示された対象場面。 
OB・OG訪問・社員訪問明示された対象場面。 
飲食店場所だけでは対象外にならない。OB・OG訪問等との関連を見る。 
懇親会・食事・飲み会採用に資する活動や実習の実質的な延長なら対象になり得る。名称だけでは判断しない。 
貸会議室・学校施設企業外であることを理由に除外されない。 
オンライン面談SNS等オンラインを介する求職活動等も含む。 
SNS・メッセージアプリオンラインも対象になり得る。企業は使用するSNSの種類等を規則で定めることが例示されている。 
個人LINE「LINE」という固有サービス名は今回確認した一次資料では明記されていない。ただしSNS等オンラインは対象になり得るため、求職活動との関連性や経緯で判断する。 

厚労省Q&Aは、求職活動等との関係について、労働者の職務との関連性、採用活動との関連性、労働者と求職者等との関係、参加者、参加・対応の強制性や任意性などを考慮する考え方を示しています。以前から部活動などで個人的な関係があった場合も、それだけで対象内・対象外が決まるわけではありません。 

個人LINEも対象になる?

採用担当者やOB・OGとの個人LINEだからという理由だけで、制度の対象外になるわけではありません。逆に、社員と求職者の私的なLINEすべてが求職活動等になるわけでもありません。厚労省はSNS等のオンラインを明示的に含めたうえで、企業が使用SNSの種類についてルールを設ける例を示しています。したがって、採用連絡から個人LINEへ移行した経緯、内容、職務・採用活動との関連などを確認することが重要です。 

就活セクハラになり得る具体例

何が就活セクハラに当たるかは、「この言葉を一度言えば必ず違法」という単純なキーワード判定ではありません。性的な言動であるか、求職者等の意に反するものか、求職活動等を阻害し看過できない支障を生じさせているかなど、言動の内容・継続性・関係性・状況を踏まえて考えます。 

厚労省が告示・パンフレットで直接示す典型例と、そこからNEWS DAILYが実務的な判断材料として整理した例は分けて見る必要があります。

出典上の位置付け
少人数説明会で労働者が求職者等の腰や胸等に触り、求職活動への意欲を低下させる厚労省の典型例。 
インターンで性的な冗談・からかいを意図的・継続的に行い、活動が手につかなくなる厚労省の典型例。 
インターンで性的内容のポスター・画面表示により活動が阻害される厚労省の典型例。 
面接官が性的な事実に関する質問をし、求職意欲を低下させる厚労省の典型例。 
社員訪問で性的関係を求められる厚労省の典型例。 
インターンで執拗に私的な食事へ誘われ、求職活動等が阻害される厚労省の典型例。 
容姿・体型を性的な文脈で繰り返し評価するNEWS DAILY整理。内容、性的性質、反復性、影響などで判断。指針は性的内容の発言を広く対象とする。 
恋人の有無を聞く一律判定不可。一度の質問だけで直ちに新制度上のセクハラと断定せず、質問の性的内容、目的、反復性、文脈等を見る。 
性的経験について質問する性的な事実関係を尋ねることは指針上「性的な内容の発言」に含まれる。求職活動への影響等を含め判断。 
結婚観を執拗に尋ねる一律判定不可。性的言動に当たるかは質問内容・文脈等による。採用選考上の適切性については別の論点もあり得る。
下ネタや性的な冗談を繰り返すインターンでの性的な冗談・からかいは厚労省典型例。 
採用担当者が個人連絡先を聞く連絡先を尋ねること自体だけで直ちにセクハラとはいえない。企業には使用SNS等のルール明確化が求められる。 
個人LINEへ性的メッセージを繰り返し送るNEWS DAILY整理。オンラインも求職活動等に含まれ得るため、採用活動との関連や内容を踏まえて判断。 
SNSで性的な写真を要求するNEWS DAILY整理。性的な言動に該当し得るが、具体的な法的評価は事案による。
採用・評価と性的関係の要求を結び付ける性的関係の強要は指針が性的な行動の例として明示。 
インターン後やOB・OG訪問後に私的な誘いを受ける誘いだけで一律判断せず、求職活動との関連、執拗性、関係性、経緯等を確認する。インターンでの執拗な私的食事への誘いは厚労省典型例。 

食事に誘う行為そのものをすべてセクハラとする制度ではありません。厚労省が典型例に挙げているのは、インターン中に執拗に私的な食事へ誘い、その結果、求職者等が苦痛を感じて求職活動等への意欲が低下するケースです。回数、断った後の対応、採用上の立場、発言内容なども重要です。 

企業は2026年10月1日から何をしなければならない?

企業は、単に「セクハラ禁止」と宣言するだけでは足りません。禁止方針と行為者への対処方針の周知、求職者との面談等のルール、求職者向け相談窓口、相談への広い対応、迅速・正確な事実確認、被害者と行為者への措置、再発防止、プライバシー保護まで一体として整備する必要があります。 

方針と行為者への対処

事業主は、求職活動等におけるセクシュアルハラスメントを行ってはならない旨の方針を明確にし、労働者へ周知・啓発する必要があります。また、そのような行為をした労働者には厳正に対処する旨と対処内容を就業規則等で明確にし、周知することが求められます。 

採用担当者だけでなく、インターンを受け入れる現場社員やOB・OG訪問に関わる社員など、求職者と接触し得る労働者を実務上想定して研修・周知することが重要です。後半はNEWS DAILYによる実務整理ですが、制度上、対象となる行為者は採用部門の社員だけに限定されません。 

面談・SNSのルール

求職活動等に関するルールをあらかじめ明確にし、労働者と求職者等へ周知・啓発することも法定措置です。厚労省は具体例として、面談時間、面談場所、実施体制、やり取りに使用するSNSの種類を挙げています。 

ただし、「20時以降は禁止」「個人LINEは法律で全面禁止」「面談は必ず二人以上」といった全国一律の数値・方法が告示されているわけではありません。例えば複数人での面談は「実施体制」の一例です。企業は自社の採用形態やリスクを踏まえ、実効性のあるルールを定めます。 

求職者側にもルールを伝える必要があります。厚労省は、企業ホームページやパンフレット、オンライン説明会・対面説明会等を使って周知する方法を示しています。 

相談窓口

企業は求職者等から相談・苦情を受ける窓口をあらかじめ設け、求職者等に知らせる必要があります。担当者を決める、相談制度を設ける、外部機関へ委託するなどの方法が考えられます。形式的にメールアドレスを置くだけではなく、実質的に対応できる体制が必要です。 

相談窓口では、ハラスメントが現実に発生したと明確な場合だけでなく、発生のおそれがある場合や、該当するか微妙な段階でも広く相談に対応しなければなりません。したがって、求職者が「完全な証拠」をそろえてからでなければ企業へ相談できない制度ではありません。 

迅速・正確な事実確認

相談後は、企業が事実関係を迅速かつ正確に確認する必要があります。相談者と行為者双方から事情を聴き、双方の主張が一致せず十分に確認できない場合には、第三者から事情を聴くことも想定されています。 

事実が確認できた場合は、被害を受けた求職者等への適切な配慮措置と、行為者への適切な措置を講じます。厚労省の2026年7月パンフレットは、求職者等セクハラの被害者について、被害者と行為者を引き離すための対応、行為者への謝罪、人事担当者等による相談対応などを例示しています。 

再発防止

事実が確認された場合には再発防止措置が必要です。また、調査の結果、セクハラの事実を確認できなかった場合でも、再発防止措置を講じることが求められています。 

これは「事実確認できないのに誰かを加害者と断定する」という意味ではありません。方針の再周知、研修、採用ルールの見直しなど、将来の発生を防ぐための措置を行うということです。 

プライバシー

相談者・行為者等のプライバシーを保護するために必要な措置を講じ、その旨を労働者と求職者等へ周知することも必要です。性的指向、ジェンダーアイデンティティ、病歴、不妊治療など機微な情報が含まれる場合があるため、相談記録の管理や担当者教育も重要です。 

法定措置と「望ましい取組」は何が違う?

2026年10月1日から必ず実施しなければならない法定措置と、厚労省が実施を「望ましい」とする取組は別です。特に、事業主本人・労働者に当たらない役員の行為、取引先等の第三者からの性的言動、大学等との連携、高圧面接などのパワハラ類似行為を法定義務と混同しないことが重要です。 

区分内容
法定措置セクハラ禁止方針の明確化・周知。 
法定措置行為者への厳正な対処方針・内容の明確化と周知。 
法定措置求職活動等に関する面談等のルールを明確化し、労働者・求職者等へ周知。 
指針上の例示面談時間・場所、実施体制、使用SNSの種類等を定める。 
法定措置相談窓口の設置、求職者等への周知。 
法定措置明確なセクハラだけでなく、おそれ・微妙な段階も含め広く相談対応。 
法定措置事実関係を迅速・正確に確認。 
法定措置事実確認後、被害者への適切な措置。 
法定措置行為者への適切な措置。 
法定措置再発防止。事実が確認できなかった場合も再発防止を実施。 
法定措置相談者・行為者等のプライバシー保護と周知。 
法律上の禁止・周知対象相談対応に協力して事実を述べた労働者等への不利益取扱いを禁止し、その旨を労働者へ周知。求職者本人への一般的な不採用禁止条項とは区別する。 
望ましい取組大学等の教育機関が相談情報を提供した際の連携。 
望ましい取組取引先・顧客等の第三者から求職者等が性的言動を受けた場合、法定措置を参考に対応。 
望ましい取組高圧面接などパワハラに類する行為についても同様の方針を示し、対応。 
望ましい対応「事業主が雇用する労働者」に当たらない事業主本人・役員による性的言動について必要に応じ適切に対応。 

就活セクハラを受けたらどうする?

就活セクハラを受けた学生・求職者は、企業の相談窓口、大学・学校の相談窓口、都道府県労働局の雇用環境・均等部(室)などへ相談できます。証拠がすべてそろうまで待つ必要はありません。危険を感じる場合は、記録より先にその場を離れ、安全を確保することを優先してください。 

行動に決まった順番はありません。本人の安全と希望を優先して構いません。

まず、その場にいることが危険・苦痛なら退出します。その後、可能な範囲で日時、場所、相手、発言内容、参加者、前後の経緯をメモしておくと、後の相談や事実確認に役立ちます。LINE、メール、SNSのメッセージなどが残っていれば、無理のない範囲で保存しておく方法もあります。これらはNEWS DAILYによる実務上の整理であり、記録がなければ相談できないという法的条件ではありません。 企業の窓口は、セクハラに該当するか微妙な段階でも広く相談に対応することが求められます。 

録音については、具体的な取得方法や利用方法によって別の法律上の問題が生じ得るため、「すべての場合に自由に録音・公開できる」と一律にはいえません。まずメッセージ保存や日時・発言のメモなど、安全にできる記録から始め、必要に応じて専門家へ相談する方法があります。

企業へ相談する

2026年10月1日以降、企業は求職者等向けの相談窓口をあらかじめ定め、求職者等へ周知する必要があります。相談先は採用担当そのものとは限らず、別の担当者や外部相談機関を設定することもできます。 

大学・学校へ相談する

大学のキャリアセンターや学校の相談窓口へ相談することもできます。厚労省Q&Aは、企業と教育機関のどちらへ相談するかは求職者等が個別事情に応じて選択できるという考え方を示しています。 

労働局へ相談する

厚労省Q&Aは、都道府県労働局の雇用環境・均等部(室)への相談も可能としています。会社に直接相談しづらい場合に、最初から公的窓口へ相談することも選択肢です。 

「あかるい職場応援団」にも、厚労省が求職者等に対するセクシュアルハラスメントの解説や関連情報を掲載しています。 

企業と大学、どちらに相談する?

企業か大学のどちらか一方に必ず先に相談しなければならない制度ではありません。求職者等は状況に応じて企業の相談窓口、大学等のキャリアセンターなどを選べます。企業と大学等の連携は厚労省指針上「望ましい取組」であり、大学との連携そのものが企業の法定必須措置ではありません。 

会社に今後の採用活動で直接対応してほしい場合には企業窓口、企業へ直接話すことに不安が強い場合には大学・学校や労働局という選択もできます。複数へ相談することを制度上禁止するものでもありません。本人が置かれた状況と希望を中心に考えることが大切です。 

相談したことで採用に不利になる?

改正男女雇用機会均等法13条2項には、相談対応に協力して事実を述べた「労働者」への解雇その他の不利益取扱いを禁止する規定があります。一方、「相談した求職者本人を不採用にしてはならない」という一般的な明文禁止を新13条が設けたとは、今回確認した公開一次資料からは確認できません。 

したがって、「相談すれば法律上必ず採用される」「相談を理由とする不採用は新13条によってすべて直ちに違法」と断定するのは適切ではありません。

一方で、企業には求職者等が利用できる相談体制を整え、相談へ適切に対応し、迅速な事実確認と事後対応を行い、相談者等のプライバシーを保護する義務があります。制度趣旨と、明文で禁止される不利益取扱いの対象を分けて理解する必要があります。 

個別事案では、採用差別その他の法令や民事上の問題が別途生じる可能性もあるため、具体的な紛争については労働局や弁護士など専門家への相談が考えられます。

事業主や役員本人が行為者の場合は?

新しい法定措置義務が直接想定する行為者は「当該事業主が雇用する労働者」です。労働者に当たらない事業主本人や法人役員による性的な言動について、厚労省指針・Q&Aは、必要に応じ適切な対応を行うことが「望ましい」と整理しています。 

そのため、「社長・役員による行為は法定措置義務の対象となる労働者の行為とまったく同じ」と説明するのは正確ではありません。ただし、「望ましい」という整理は、その言動が問題ではないという意味ではありません。男女雇用機会均等法14条は事業主等の責務も規定しており、役員自身も求職活動等におけるセクシュアルハラスメント問題への関心・理解を深め、言動に必要な注意を払うことが求められています。 

また、役員であっても実態として「労働者」に該当するかという別の法的問題があり得るため、役職名だけで一律に判断するべきではありません。Q&A問31も「事業主が雇用する労働者に当たらない役員」を念頭に説明しています。 

取引先や顧客から受けた場合は?

インターン等で訪問した取引先や顧客等の第三者から求職者等が性的な言動を受けた場合、新しい求職者等セクハラ措置義務の直接対象とは整理されていません。ただし厚労省は、企業が法定措置を参考に必要な対応を行うことを「望ましい取組」としています。 

参加者が別途「労働者」に該当する場合には職場のセクハラ・カスタマーハラスメント制度など別制度との関係を検討する余地がありますが、インターン・実習参加者すべてが当然に労働者になるわけではありません。具体的な立場に応じた確認が必要です。

高圧面接など「就活パワハラ」はどうなる?

高圧的な面接、威圧的な発言など性的ではない就活ハラスメントについて、2026年10月1日の求職者等セクハラ措置義務と同じ法定義務が新設されたわけではありません。ただし厚労省指針は、パワハラに類する言動についても同様の方針を示し、必要な対応を行うことを「望ましい」としています。 

「就活ハラスメント」という広い言葉にはセクハラ、高圧的な面接、いわゆるオワハラなど異なる問題が含まれ得ます。今回の法改正で法定措置義務の中心になったのは、あくまで求職活動等における性的な言動に起因する問題です。 

採用を毎年していない会社も準備が必要?

定期採用をしていない企業でも、企業規模を理由に一律免除される制度ではありません。ただし、現に採用を行っておらず、求職者等と労働者が接触する機会もない時期には、厚労省Q&Aはすべての措置を常時実施していなくてもよいと説明しています。採用を開始する際には必要措置をすべて整えておく必要があります。 

したがって、「求人を出した後で相談窓口や面談ルールを考える」より、次回採用を開始する前に準備を完了できる社内プロセスを決めておく方が安全です。後半はNEWS DAILYによる実務上の整理です。

中小企業も対象?

中小企業も対象です。今回の求職者等セクハラ措置について企業規模による猶予期間や中小企業除外は確認されておらず、労働局も2026年10月1日から企業に義務化されるものとして案内しています。採用を常時行わない場合の扱いは企業規模ではなく、問37の考え方に従います。 

企業向け「10月1日までのチェックリスト」

以下は、厚労省告示・Q&Aの法定措置と例示を、NEWS DAILYが採用実務で確認しやすい形に並べ替えたものです。「NEWS DAILY実務整理」は法律そのものの文言ではありません。

チェック項目位置付け
□ 求職活動等におけるセクハラを行ってはならない方針を明文化した法定措置。 
□ 行為者へ厳正に対処する方針・対処内容を規程等に定めた法定措置。 
□ 採用担当者だけでなく、求職者と接触し得る労働者への周知方法を決めた前半は法定措置、対象社員の棚卸しはNEWS DAILY実務整理。 
□ 求職者との面談等に関するルールを作成した法定措置。 
□ 面談時間・場所をルール化した厚労省の例示。 
□ 面談の実施体制を決めた厚労省の例示。複数人対応などが例。 
□ 求職者との連絡に使用するSNS・メッセージ手段を決めた厚労省の例示。 
□ OB・OG訪問やインターン後の連絡を含め、社内ルールの適用場面を棚卸ししたNEWS DAILY実務整理
□ 求職者へ面談・連絡ルールをWeb、パンフレット等で知らせる準備をした法定措置/指針上の実施例。 
□ 求職者向け相談窓口を設置した法定措置。 
□ 相談窓口の連絡先を求職者へ周知できる法定措置。 
□ 「セクハラか分からない」段階の相談にも対応できる法定措置。 
□ 相談者・行為者・必要に応じ第三者への確認手順を決めた法定措置を実施するための実務整理。 
□ 被害を受けた求職者等への対応方法を決めた法定措置。 
□ 行為者への対処手順を決めた法定措置。 
□ 事実を確認できなかった場合を含む再発防止手順がある法定措置。 
□ 相談者・行為者等のプライバシー保護方法を決めた法定措置。 
□ 大学等から相談情報が寄せられた場合の担当部署を決めた連携は望ましい取組。担当部署設定はNEWS DAILY実務整理。 
□ 取引先等の第三者が行為者だった場合のエスカレーション方法を決めた対応は望ましい取組、手順化はNEWS DAILY実務整理。 
□ 採用を休止している会社でも、次回募集開始前に体制を整える担当者・時期を決めたQ&A問37を踏まえたNEWS DAILY実務整理。 

よくある質問

就活セクハラとは何ですか?

就職・採用・インターン・実習など職業選択に関係する活動で生じる性的な言動を一般に「就活セクハラ」と呼びます。法令・指針では求職活動等におけるセクシュアルハラスメントとして整理され、新卒学生だけでなく中途求職者や一定の実習生等も対象になります。 

いつから企業の対策が義務化されますか?

2026年10月1日です。令和8年政令第17号で施行日が定められており、2026年8月18日現在は施行前です。 

インターンも対象ですか?

はい。企業が実施するインターンシップは厚労省が求職活動等の例として明示しています。インターン中の性的な冗談や執拗な私的食事への誘いなども典型例があります。 

OB訪問・OG訪問も対象ですか?

企業の雇用する労働者への訪問は求職活動等の例です。ただし、その後の私的な接触まで一律に対象となるわけではなく、採用活動との関連、関係性、経緯等で判断します。 

転職者も対象ですか?

対象です。「求職者」は新卒学生に限定されておらず、その企業への就職を求めて意思を示している人が含まれます。 

内定者も対象ですか?

一律ではありません。内定によって労働契約が成立したと認められる場合は既存の職場セクハラ指針、成立していない場合は求職者等セクハラ指針の対象となります。 

個人LINEでの連絡も対象ですか?

LINEというサービス名自体は一次資料で明示されていませんが、SNS等オンライン上の求職活動等も含まれます。個人LINEであることだけで対象外・対象内と決まるのではなく、採用活動との関連や経緯を確認します。 

食事に誘うだけでセクハラですか?

食事への誘い一回だけで一律にセクハラと決まるわけではありません。厚労省の典型例は、インターン中に執拗に私的な食事へ誘い、苦痛から求職活動等への意欲が低下したケースです。 

飲み会や懇親会も対象になりますか?

対象になり得ます。懇親会が採用に資する活動や実習の実質的な延長と評価される場合などがあり、場所や「飲み会」という名称だけでは決まりません。 

相談すると不採用になりますか?

新13条2項は、相談対応に協力して事実を述べた労働者への不利益取扱いを禁止します。一方、相談した求職者本人について「不採用を一律禁止する」とする同条の明文は公開一次資料では確認できません。企業には求職者の相談対応・プライバシー保護等の義務があります。 

会社に相談窓口がない場合は?

2026年10月1日以降、対象となる採用活動を行う企業には求職者等向け相談体制が求められます。企業へ相談しづらい場合は、大学・学校の相談窓口や都道府県労働局の雇用環境・均等部(室)へ相談する方法もあります。 

大学と企業のどちらに相談すればいいですか?

どちらか一方に決められてはいません。厚労省Q&Aは、企業の相談窓口と大学等のキャリアセンターなどから、本人が状況に応じて選べるとしています。 

証拠がなくても相談できますか?

相談できます。企業の相談窓口は、ハラスメントか明確でない場合や発生のおそれがある段階も含め、広く対応することが求められています。メッセージ等を保存できれば事実確認に役立つことがありますが、相談の前提条件ではありません。 

中小企業にも義務がありますか?

中小企業も対象です。企業規模を理由とする適用除外・猶予は今回確認した一次資料では設けられておらず、労働局も2026年10月1日からの義務化を案内しています。 

採用していない時期も全部の体制が必要ですか?

定期採用を行わず、求職者等と労働者が接触する機会もない場合、厚労省Q&Aは全措置を常時実施していなくてもよいとしています。ただし採用を開始した時点では必要措置をすべて満たす必要があります。 

まとめ

2026年10月1日から、求職者等に対するセクシュアルハラスメント防止措置が企業の義務になります。対象は新卒就活生だけではなく、中途求職者、企業の採用に資する活動への参加者、インターン、教育実習・看護実習等の実習生などに広がります。 

また、制度は会社の面接室だけを対象とするものではありません。OB・OG訪問、インターン、飲食店での関連する面談・懇親会、SNS等オンライン上のやり取りも、求職活動との関連によって対象になり得ます。ただし、社員と求職者が私生活で接触するあらゆる場面が自動的に対象となるわけでもありません。 

企業側は、禁止方針、行為者への対応方針、面談・SNS等のルール、求職者向け相談窓口、事実確認、被害者・行為者への対応、再発防止、プライバシー保護を2026年10月1日までに確認する必要があります。 

学生・求職者側は、「これはセクハラと確定してからでなければ相談できない」と考える必要はありません。企業には微妙な段階も含め広く相談を受ける体制が求められ、大学・学校や都道府県労働局へ相談することもできます。危険を感じるときは、自分の安全を優先してください。 

主な出典

厚生労働省「職場におけるハラスメントの防止のために」。改正法、告示、2026年7月パンフレット等への公式導線があります。 

令和7年法律第63号「労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律等の一部を改正する法律」。 

令和8年政令第17号。改正規定の施行日を2026年10月1日と定めています。 

令和8年厚生労働省令第18号、e-Gov掲載の改正後男女雇用機会均等法施行規則。 

令和8年厚生労働省告示第52号「事業主が求職活動等における性的な言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置等についての指針」。 

厚生労働省「ハラスメント防止措置義務規定等における解釈事項について」(2026年4月24日)。 

厚生労働省「事業主が講ずべきハラスメント対策パンフレット」(2026年7月更新)。 

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