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賃上げ83.2%、企業倒産は2カ月連続1000件超【8月16日】

2026年度の賃上げは、東京商工リサーチの調査で83.2%の企業が実施し、中小企業でも「5%以上」の賃上げ割合が大企業を上回りました。一方、帝国データバンクの7月倒産集計は1,037件と2カ月連続で1,000件を超え、物価高倒産は過去最多でした。

両者は別々の調査であり、賃上げと倒産の間に直接の因果関係が示されたわけではありません。ただ、人材を確保するために賃金を上げる必要性と、原材料費や人件費を吸収しながら賃上げ原資を確保する難しさが同時に表れていると考えられます。

今日のポイント

  • 2026年度に賃上げを実施した企業は83.2%で、前年度から1.2ポイント上昇
  • 賃上げ率を回答した企業では「5%以上」が中小企業42.6%、大企業41.4%
  • ただし賃上げ実施率は中小企業82.3%、大企業93.8%で、なお11.5ポイントの差
  • 7月の企業倒産は1,037件、物価高倒産は121件で過去最多

賃上げ実施企業は83.2%、中小企業でも5%以上が広がる

東京商工リサーチが8月14日に公表したアンケート調査によると、2026年度に賃上げを実施した企業は83.2%でした。前年度の82.0%から1.2ポイント上昇し、3年ぶりの上昇です。調査は7月31日から8月11日までインターネットで実施され、有効回答は5,909社でした。

規模別の実施率は、大企業93.8%、中小企業82.3%です。中小企業にも賃上げが広がる一方、実施率には11.5ポイントの差が残っています。産業別では製造業が90.0%で最も高く、運輸業89.6%、卸売業88.8%が続きました。

賃上げ率を回答した企業に限ると、「5%以上」は中小企業42.6%、大企業41.4%でした。ここで注意したいのは、42.6%が「すべての中小企業に占める割合」ではなく、賃上げを実施し、賃上げ率を回答した中小企業の中での割合だという点です。

また、この調査の「賃上げ」には、定期昇給、ベースアップ、賞与の増額、新卒初任給の増額、再雇用者の賃金増額が含まれます。賃上げ実施企業への設問では、定期昇給が72.7%、ベースアップが61.1%でした。したがって、83.2%という数字だけで「全従業員の基本給が同じ割合で上がった」と受け取ることはできません。

家計にとっては、賃上げが定期昇給や一時金なのか、基本給を引き上げるベースアップなのかで継続的な収入への影響が異なります。また、この調査は企業へのアンケートであり、物価上昇を差し引いた実質的な購買力の改善までは示していません。

7月の企業倒産は1,037件、物価高倒産が過去最多

帝国データバンクが8月10日に公表した7月の全国企業倒産集計では、倒産件数は1,037件でした。前年同月の956件から8.5%増え、2カ月連続で1,000件を超えました。2カ月連続の1,000件超は、2009年11~12月以来、およそ17年ぶりです。

業種別では、小売業が234件で前年同月比27.2%増、建設業が207件で14.4%増でした。負債5,000万円未満の倒産は655件となり、2000年以降で最多を更新しました。個人経営と資本金1,000万円未満の企業を合わせた倒産は726件で、全体の70.0%を占めています。

「物価高倒産」は121件で、集計開始の2018年以降で過去最多でした。要因別では原材料価格の高騰が49件、人件費が43件です。価格や人件費の上昇を十分に吸収できない企業ほど、収益と資金繰りへの負担が大きくなっていることを示す集計です。

ただし、帝国データバンクの倒産集計は、負債1,000万円以上で、破産、民事再生、会社更生、特別清算という法的整理を申請した法人・個人経営が対象です。休廃業や任意整理を含む「事業をやめた企業すべて」の数字ではありません。

賃上げの広がりと企業の負担増を分けて見る

今回の二つの調査からは、賃上げが広がっていることと、企業経営の厳しさが併存している様子が読み取れます。ただし、賃上げが倒産を増やしたと単純に結論づけることはできません。

帝国データバンクは、2026年1~7月の「従業員退職型」倒産が83件となり、前年同期比12.2%増えたとしています。価格転嫁が進まず賃上げ原資を確保できないため、中核人材の流出を止められなかった事例もあると説明しています。賃金を上げるかどうかだけでなく、値上げや生産性向上を通じて、その原資を継続的に確保できるかが重要になります。

読者が確認しておきたいこと

  • 自分の賃上げが、定期昇給、ベースアップ、賞与増額のどれに当たるか
  • 企業側は、賃上げ原資を価格転嫁や生産性向上で継続的に確保できるか
  • 倒産件数を見る際は、休廃業や任意整理を含まない集計であること
  • 次回の帝国データバンク月次倒産集計は9月8日に公表予定であること

まとめ

2026年度は賃上げの裾野が広がり、中小企業でも5%以上の賃上げを行う企業が増えています。一方、7月の企業倒産は2カ月連続で1,000件を超え、小規模企業や物価高を要因とする倒産が目立ちました。

重要なのは、賃上げの有無だけでなく、基本給の持続的な引き上げにつながっているか、企業が原資を継続して確保できるかを確認することです。賃上げと倒産は別の統計として丁寧に見ながら、雇用と企業収益の両面を追う必要があります。

出典

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