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個人事業主が使える補助金一覧【2026年最新】対象条件・申請方法・注意点

個人事業主も国や自治体の補助金を利用できますが、「個人事業主なら全員もらえる全国一律の制度」はありません。2026年8月21日時点では、一人で営む事業者は、販路開拓なら小規模事業者持続化補助金、登録ITツールならデジタル化・AI導入補助金をまず検討しやすい状況です。一方、大型設備、新事業、雇用の制度は、従業員数や賃上げなどの要件があります。補助金は原則後払いで、採択後も交付決定前に発注すると対象外になり得ます。本記事では、現在の受付状況、用途、自己負担、申請順序、受給後の税務まで公式資料に基づいて整理します。

情報基準日:2026年8月21日
公募日程や要件は変更されます。本文は同日までに公表された公募要領、公式FAQ、事務局告知を基準にしています。

30秒で分かる「立場・目的別」の選び方

従業員がいない個人事業主と、従業員を雇う個人事業主では候補が異なります。まず自分の立場を確認し、次に使いたい経費ではなく「達成したい目的」から制度を選びます。

立場別の第一候補

立場最初に確認する制度判断の要点
従業員がいない個人事業主持続化補助金、デジタル化・AI導入補助金、省力化投資補助金カタログ注文型いずれも対象になり得る。デジタル化通常枠150万円以上等の賃上げ要件、カタログ初回の事業実態・人手不足を個別確認
従業員を雇う個人事業主上記に加え、省力化一般型、新事業進出・ものづくり商業サービス補助金、雇用関係助成金従業員数だけでなく、雇用保険・労災保険、賃上げ、最低賃金、就業規則などを確認
開業前自治体の創業支援、日本政策金融公庫などの創業融資今回確認した主な全国補助金は、開業届未提出など正式な開業前では原則対象外
創業後間もない持続化補助金一般型・創業型、自治体の創業補助創業型は「特定創業支援等事業」の支援日と開業日の期間要件がある。単に開業1年以内というだけでは足りない
事業承継・廃業を検討事業承継・M&A補助金第15次は受付終了。単なる閉店費ではなく、承継・M&Aと結び付く取組かを確認し、次回公募を待つ

開業前でも対象になる制度は自治体に多く、国の主要制度だけで結論を出すべきではありません。ただし、募集前に支出した費用は対象外となることが多いため、創業準備品を買う前に自治体へ確認してください。

目的別の第一候補

目的第一候補すぐ確認する条件
チラシ、広告、展示会、ECで販路を広げる持続化補助金販路開拓との因果関係、広報費・ウェブ費の個別上限、支援計画書
会計、受発注、POS、予約、顧客管理をIT化するデジタル化・AI導入補助金2026年度登録ITツールか、登録支援事業者と申請するか
登録済みの省力化製品を導入する省力化投資補助金カタログ注文型公式カタログ掲載、人手不足、販売事業者との共同申請
オーダーメイド設備や大規模な新事業に投資する省力化一般型、新事業進出・ものづくり商業サービス補助金従業員1人以上、補助下限、賃上げ・最低賃金等の目標
正社員化、最低賃金引上げ、労働時間短縮を行うキャリアアップ、業務改善、働き方改革推進支援の各助成金対象労働者と保険加入、取組前の計画提出・交付決定

個人事業主が使える補助金の最新一覧【2026年8月21日】

「公募中」と「申請受付中」は同じではありません。公募要領が公開されていても、電子申請の受付が始まっていない制度があります。

制度基準日時点の状態従業員ゼロ通常の補助率・上限の目安次の期限
小規模事業者持続化補助金<一般型・通常枠>第20回受付前2/3、通常50万円支援計画書12月4日、申請12月15日17時
小規模事業者持続化補助金<創業型>第4回受付前2/3、通常200万円支援計画書12月4日、申請12月15日17時
デジタル化・AI導入補助金2026受付中枠により1/2~4/5、通常枠5万~450万円第4次8月25日17時。第5次・第6次の日程は未公表
省力化投資補助金・カタログ注文型随時受付初回○1/2、5人以下は通常500万円2027年3月末頃までの受付予定
省力化投資補助金・一般型第8回公募要領公開、受付前×小規模2/3、5人以下は通常750万円、下限150万円受付9月中旬、締切10月中旬予定。日時未公表
新事業進出・ものづくり商業サービス補助金第1回公募中、受付前×枠により1/2~2/3。革新的枠は1~5人で上限750万円、下限100万円受付9月30日、締切10月30日18時
事業承継・M&A補助金第15次受付終了枠による枠により1/2~2/37月24日17時終了。次回未公表
自治体の創業・販路・DX等地域ごと制度ごと全国一律ではない自治体ごとに確認
雇用関係助成金制度ごと×コース・人数・取組により異なる取組前手続と各期限を確認

上限額は、対象経費を使えば自動的に受け取れる額ではありません。通常は「認められた補助対象経費×補助率」と「上限額」のうち小さい方で決まり、消費税や対象外経費は自己負担です。特例込み最大額には賃上げやインボイスなどの追加要件があります。

一人事業者が最初に検討しやすい制度

従業員がいない個人事業主には、販路開拓の持続化補助金と、登録ITツールのデジタル化・AI導入補助金が比較的現実的です。ただし、買いたい物から制度を選ぶのではなく、売上や業務の課題を起点にします。

小規模事業者持続化補助金<一般型・通常枠>

対象者: 商業・サービス業は常時使用する従業員5人以下、宿泊・娯楽業と製造業その他は20人以下の小規模事業者です。個人事業主本人は従業員数に含めないため、従業員ゼロでも申請できます。申請時点で事業を開始している必要があります。

補助率・上限: 原則2/3、通常上限50万円です。インボイス特例で50万円、賃金引上げ特例で150万円が上乗せされ、両方を満たす場合の最大は250万円ですが、特例要件を満たさない一人事業者の基本は50万円です。賃金引上げ特例に申請する赤字事業者は補助率3/4です。

対象経費: 新規顧客獲得のチラシ、広告、展示会、店舗改装、販路開拓に必要な機械、試作品、外注などが候補です。第20回では広報費とウェブサイト関連費の補助金交付申請額はそれぞれ30万円までで、どちらも単独では申請できません。

期限: 第20回の公式申請案内では、申請受付が2026年11月5日から12月15日17時までです。商工会・商工会議所が発行する事業支援計画書の受付は12月4日に先に締め切られます。

注意点: 汎用パソコン、タブレット、スマートフォン、通常の乗用車、通常家賃は原則対象外です。交付決定前の発注・契約・支払いも原則対象外です。採択発表は2027年3月予定で、その後の交付決定を待ってから実施します。

小規模事業者持続化補助金<創業型>

対象者: 市区町村などの「特定創業支援等事業」による支援を受けた創業者が対象です。第4回では、支援を受けた日と開業日が原則として2025年12月15日から2026年12月15日までに入る必要があります。従業員ゼロでも申請できます。

補助率・上限: 補助率2/3、通常上限200万円、インボイス特例を満たす場合は最大250万円です。

対象経費: 販路開拓を目的とする機械装置、広報、ウェブサイト、展示会、借料、新商品開発、委託・外注などで、基本的な経費区分と除外は一般型に準じます。

期限: 創業型第4回の応募手続では、受付開始11月5日、事業支援計画書の発行受付締切12月4日、申請締切12月15日17時です。

注意点: 開業届未提出など正式な開業前の人向けではありません。一方、申請時点で形式上は開業済みでも、店舗準備中などで商品・サービスの提供前である場合は、補助事業終了までに事業を開始する計画なら対象になり得ます。支援を受けた人と申請する個人事業主が同一であることも必要です。

デジタル化・AI導入補助金2026

対象者: 国内で事業を営む中小企業・小規模事業者で、個人事業主も対象です。従業員数の一律下限はありませんが、通常枠150万円以上の申請などは賃上げ計画と従業員への表明が必須となるため、従業員ゼロでの扱いを事務局へ確認します。個人の確定申告書や所得税の納税証明書などが必要なため、開業前は不可で、初回申告前も書類要件を確認してください。

補助率・上限: 通常枠は原則1/2で、1プロセス以上は5万円以上150万円未満、4プロセス以上は150万円以上450万円以下です。一定の最低賃金近傍の従業員要件を満たす場合は2/3です。インボイス枠は、ソフト等の50万円以下部分が中小企業3/4、小規模事業者4/5、50万円超から350万円までの部分が2/3です。対象ソフトと一緒に購入するPC・タブレット等は1/2・上限10万円、POSレジ等は1/2・上限20万円です。

対象経費: 2026年度に事務局へ登録された会計、受発注、決済、予約、顧客管理、業務プロセス、AI機能を含むソフトやクラウド利用料、導入設定・保守などです。

期限: デジタル化・AI導入補助金2026の事業スケジュールでは、第4次締切が8月25日17時です。第5次・第6次は募集回名だけが掲載され、8月21日時点で締切日などは未公表です。

注意点: 好きなソフト、生成AIサービス、パソコンを自由に買える制度ではありません。登録IT導入支援事業者と登録ITツールを選び、GビズIDプライム、SECURITY ACTIONなどの事前準備を済ませます。交付決定前に契約・購入してはいけません。

従業員や賃上げ要件がある制度

制度名に「中小企業」とあって個人事業主を含んでいても、従業員ゼロでは申請できない制度があります。人を雇った事実だけでなく、賃金台帳、雇用保険・労災保険、最低賃金、就業規則などを確認します。

中小企業省力化投資補助事業

カタログ注文型は、清掃ロボット、券売機など公式カタログに登録された製品を、登録販売事業者と共同申請する制度です。2026年3月19日の制度改定後も随時受け付け、2027年3月末頃までの予定です。補助率は1/2、従業員5人以下の通常上限は500万円、賃上げ要件を達成する場合は750万円、補助下限は原則25万円です。初回申請なら常勤従業員ゼロでも対象になり得ますが、契約書などで事業実態と人手不足を示す必要があります。2回目以降は賃上げ要件との関係から従業員ゼロでは申請できません。

一般型は、個別設計の設備・システムを導入する大型投資向けです。一般型第8回は2026年8月21日時点で公募要領公開済み、申請受付前です。従業員ゼロは明示的に対象外です。小規模事業者の補助率は2/3、従業員5人以下の通常上限は750万円、大幅賃上げ特例で1,000万円です。明示的な補助額下限はありませんが、機械装置・システム構築費が必須で、税抜50万円以上の設備を1点以上含めます。賃上げ目標を従業員へ表明し、未達の場合の返還条件も確認します。

新事業進出・ものづくり商業サービス補助金

2026年度に始まった新制度で、旧ものづくり補助金や旧中小企業新事業進出補助金の過年度記事をそのまま使えません。第1回公式サイトでは公募中ですが、申請受付は9月30日から、締切は10月30日18時です。

個人事業主も対象に含まれますが、公式FAQは応募時の従業員ゼロを対象外としています。最小規模の革新的新製品・サービス枠でも上限750万円、下限100万円で、付加価値額、給与支給総額、最低賃金、一般事業主行動計画などの要件があります。通常の機械買換えではなく、新製品・新サービスや新市場進出の事業計画が必要です。

従業員を雇う個人事業主向けの助成金

厚生労働省の雇用関係助成金一覧は、労働者の雇用や処遇改善を支援する制度です。事業主本人だけの一人事業では使えません。

  • キャリアアップ助成金: 有期雇用労働者などの正社員化や処遇改善が対象です。2026年度の正社員化コースは、中小企業の有期雇用から正社員への転換が原則40万円、重点支援対象者は2期合計80万円です。取組日の前日までにキャリアアップ計画を提出します。
  • 業務改善助成金: 事業場内最低賃金を50円以上引き上げ、生産性向上設備を導入する制度です。2026年度は9月1日受付開始で、8月21日時点は受付前です。助成率は事業場内最低賃金により4/5または3/4、コース別上限は最大600万円です。
  • 働き方改革推進支援助成金: 労働時間短縮や年休促進のための設備、労務管理システム、研修などを支援します。労災保険適用などが必要で、2026年度の申請期限は11月30日、予算により早期終了があります。

助成金は補助金より要件が客観化されていることが多いものの、計画の事前提出、保険加入、支給申請期限、労働法令順守などを満たさなければ支給されません。従業員を雇う事業者は、50人未満の事業場にも対象が広がる予定のストレスチェック義務化の解説も、今後の労務管理の確認に役立ちます。

事業承継・M&A補助金

個人事業主も、承継方法や枠の要件を満たせば対象です。第15次には、承継に伴う設備投資、FA・仲介やデューデリジェンス、M&A後の統合、承継・M&Aに伴う廃業費などの枠がありました。多くの類型は既存事業と申告実績が必要ですが、事業承継促進枠の承継予定者は、被承継者との共同申請なら開業前でも対象になり得ます。ただし、第15次公募日程は2026年7月24日17時で終了し、8月21日時点で次回詳細は未公表です。現在申し込める制度と同列には扱わず、具体的な承継案件がある人は事業承継・引継ぎ支援センターへ相談しながら次回を確認してください。

用途別:パソコン、ホームページ、IT、設備、車、家賃は対象か

同じ物でも、制度、購入方法、事業目的によって対象可否が変わります。「仕事に使うから対象」とは限りません。

使いたい経費使える可能性がある制度原則対象外・確認すべき条件
チラシ、広告、展示会、EC持続化補助金販路開拓が目的。会社案内、求人広告、通常営業だけは不可。広報費単独申請不可
ホームページ制作・改修持続化補助金、新制度の対象新事業用サイト持続化第20回はウェブ関連費単独不可、補助申請額30万円まで。単純更新や期間内に公開しないサイトは不可
会計、受発注、POS、予約、顧客管理、AIツールデジタル化・AI導入補助金2026年度登録ツールと登録支援事業者が必要。任意のAI契約や未登録ソフトは不可
パソコン、タブレット、スマートフォンデジタル化・AI導入補助金のインボイス枠対象ソフトと同じ支援事業者からセット購入するPC・タブレット等のみ1/2、上限10万円。単体購入は原則不可
機械、ロボット、省力化設備省力化投資補助金、新事業進出・ものづくり商業サービス補助金、持続化補助金カタログ型は登録製品限定。大型制度は従業員・投資・賃上げ要件。持続化は販路開拓との関係が必要
車両ごく限定的な特殊車両・機械一般の乗用車、キッチンカー、車検・修理等は主要制度で原則対象外。税法上「機械及び装置」に該当する特殊なものは要領を確認
店舗改装持続化補助金、新制度の建物費対象枠集客・新事業との関係が必要。建物取得、単なる修繕、無関係な工事は不可
家賃持続化補助金の限定例既存事務所の通常家賃は原則不可。新たな販路開拓のために新規賃借する場合も按分資料等を要確認。敷金・保証金等は対象外が一般的
新商品・新サービス開発新事業進出・ものづくり商業サービス補助金、持続化補助金単なる増産・小改良は不可。持続化の試作品は記録を残し、販売在庫や未使用材料は除外
採用、正社員化、賃上げ、研修雇用関係助成金対象労働者、紹介経路、保険、賃金、事前計画等が必要。事業主本人の研修だけでは人材開発支援助成金の対象外
事業承継、M&A、廃業事業承継・M&A補助金M&A代金そのもの、単なる閉店は対象外。枠ごとの承継時期、登録支援機関、申告実績を確認

設備更新を検討する際は、補助金だけでなく法規制と交換時期も確認します。照明設備については、蛍光灯の2027年問題とLED交換の注意点も参考になります。

補助金・助成金・給付金・融資の違い

これらは目的と受給条件が異なります。特に融資は返済が必要で、補助金は原則後払いです。

種類主な性質審査・返済
補助金政策目的に沿う事業経費の一部を補助競争審査が多い。原則返済不要だが、取消・返還あり持続化、デジタル化・AI、省力化
助成金雇用・労働環境など一定の取組を支援要件・審査・支給決定がある。違反等は不支給・返還キャリアアップ、業務改善
給付金所定の状況や資格を満たす人・事業者へ給付制度による。事業補助金とは別災害・生活支援等
融資借入金として運転・設備資金を調達返済と利息が必要。信用・返済力を審査日本政策金融公庫、制度融資

補助金は「返済不要の売上」ではありません。対象経費の確認、実績報告、事後報告があり、規程違反、虚偽申請、財産の無断処分、賃上げ特例の未達などで減額・返還が生じる場合があります。

個人事業主でも申請できる条件と、対象外になりやすい例

公募要領に「個人事業主」と書かれているだけでは、申請資格を満たしたことになりません。次の四段階で確認します。

  1. 申請者の資格: 国内で事業を営むか、業種別の資本金・従業員数、開業日、確定申告、税滞納などの条件を満たすか。
  2. 制度固有の要件: 小規模性、人手不足、従業員1人以上、賃上げ、特定創業支援、M&Aの時期などを満たすか。
  3. 事業の適合性: 販路開拓、デジタル化、省力化、新市場進出など、制度目的と計画が一致するか。
  4. 経費の適格性: 対象経費区分に入り、交付決定後に契約・発注・支払い、期限内に納品・実績報告できるか。

対象外になりやすいのは、開業届だけ出して事業活動の実態がない、必要な確定申告書を提出できない、従業員ゼロの制度へ形式的に雇用して応募する、事業主本人や同居家族への人件費を計上する、通常の買換えや維持費を入れる、関連会社・家族との取引条件が不透明、同じ経費を別の補助金にも申請する、といったケースです。

赤字や創業1年目だけで一律に排除されるわけではありません。しかし、賃上げ特例、決算書、納税証明、創業日、資金調達力などの条件は別に満たす必要があります。

申請から入金までの流れ

中小企業庁系補助金の基本的な順序は次の通りです。制度によって、採択前に交付申請を兼ねる、共同申請する、支援機関の確認を受けるなどの違いがあります。

  1. 取り組みたい事業と、必要な経費を決める。
  2. 最新の公募要領、FAQ、改訂履歴で対象者・経費・締切を確認する。
  3. GビズIDプライム、SECURITY ACTION、支援機関の確認書などを準備する。
  4. 見積書、確定申告書、納税証明書、事業計画、賃金台帳などをそろえる。
  5. 締切日時までに応募申請する。
  6. 審査を受け、採択結果を待つ。
  7. 必要に応じて詳細見積などを添えて交付申請し、交付決定を受ける。
  8. 原則として交付決定後に契約・発注し、納品・検収・支払いまで完了する。
  9. 実績報告を提出し、経費と実施内容の検査を受ける。
  10. 補助額の確定後に請求し、指定口座への入金を受ける。
  11. 定められた期間、事業化状況、効果、賃上げなどを報告する。

採択は入金確定ではありません。 採択後の経費精査で減額されることがあり、交付決定前の支出は原則対象外です。見積書、発注書、契約書、納品書、請求書、銀行振込記録、通帳、設置写真、製造番号、広告画面、ウェブサイトの公開画面、成果物を一連で保存してください。多くの制度は実績報告と検査の後に入金するため、購入額全額をいったん支払う自己資金またはつなぎ資金が必要です。

必要書類とGビズIDの準備

必要書類は制度ごとに異なりますが、個人事業主は次を早めにそろえると申請可否を判断しやすくなります。

  • 直近の所得税確定申告書、青色申告決算書または収支内訳書
  • 所得税の納税証明書、自治体制度では住民税・事業税などの納税証明書
  • 開業届、許認可証、売上台帳など事業実態を示す資料
  • 見積書、相見積書、仕様書、カタログ、導入前後の業務フロー
  • 事業計画、売上・利益・付加価値・資金繰りの見通し
  • 従業員名簿、賃金台帳、雇用契約書、就業規則、保険関係書類
  • 通帳の表紙・口座情報、本人確認書類、事業所の賃貸借契約書
  • 支援機関確認書、特定創業支援証明書、SECURITY ACTIONなど制度固有の資料

GビズIDプライムの申請方法はオンラインと書類郵送があります。マイナンバーカード、対応スマートフォン、GビズIDアプリなどを使うオンライン申請は最短即日です。書類申請は2026年7月以降、審査に最大1か月かかると公式サイトが案内しています。補助金の個別案内に残る「1~2週間」ではなく、GビズID公式の最新期間を基準に、締切より前に取得してください。

GビズIDのID・パスワードを支援業者へ渡してログインさせてはいけません。申請内容は事業者自身が理解して確認し、利用する行政サービスが正式な委任機能に対応する場合は、その手順を使います。

補助額と自己負担の計算例

補助額は原則として、認められた対象経費に補助率を掛け、上限額と比べて小さい方です。消費税、対象外経費、上限超過分は自己負担になります。

持続化補助金の例

通常枠で、税抜90万円の対象経費がすべて認められたとします。

  • 90万円×2/3=60万円
  • 通常上限は50万円
  • 補助額は50万円、税抜経費に対する自己負担は40万円

「2/3補助」でも、上限を超えるため実効補助率は約55.6%です。さらに消費税や対象外費用は別に負担します。

デジタル化・AI導入補助金インボイス枠の例

小規模事業者が、対象ソフト30万円と、同じIT導入支援事業者から対象PC20万円を導入し、全額が認められたとします。

  • ソフト:30万円×4/5=24万円
  • PC:20万円×1/2=10万円(ハード上限10万円)
  • 合計補助額34万円、税抜経費に対する自己負担16万円

PCだけを20万円で買う申請はできません。対象ソフトとのセット、登録支援事業者、交付決定後の購入が前提です。

省力化投資補助金カタログ注文型の例

従業員5人以下の事業者が対象製品を税抜400万円で導入し、通常枠で全額が認められたとします。

  • 400万円×1/2=200万円
  • 通常上限500万円の範囲内
  • 補助額200万円、税抜経費に対する自己負担200万円

入金前に400万円を支払う資金が必要です。採択可能性だけで契約せず、交付決定と資金繰りを確認します。

採択されやすさを高める事業計画の考え方

採択を保証する方法はありません。ただし、審査項目に沿って「なぜ必要か」「何が変わるか」「実行できるか」を数字と証拠で説明すると、読み手が判断しやすくなります。

  1. 現状を示す: 顧客層、商品、売上構成、商圏、作業時間、受注件数など、申請時点の事実を整理する。
  2. 課題を一つに絞る: 新規顧客が少ない、予約転記に時間がかかる、繁忙期の人手不足など、投資で解ける課題を明確にする。
  3. 取組と課題を結ぶ: 広告、IT、設備を導入すると、どの業務や顧客接点がどう変わるかを説明する。
  4. 効果を測れる形にする: 問合せ件数、成約率、作業時間、処理件数、粗利など、事業に合う指標と測定方法を置く。
  5. 根拠ある見通しにする: 既存実績、見積書、顧客の声、市場データを使い、売上予測の単価×件数を示す。根拠のない右肩上がりにしない。
  6. 実行可能性を示す: 体制、許認可、納期、資金繰り、発注先、リスク対応まで書く。

持続化補助金なら販路開拓、省力化なら人手不足の解消、デジタル化・AI導入補助金なら登録ツールによる業務プロセス改善という制度目的に、計画全体を合わせます。

申請前に知るべき注意点

補助金の失敗は、審査より前の準備と、採択後の経費管理で起きることがあります。

  • 後払い: 事業費全額を先に支払う。補助金入金までの運転資金を別に確保する。
  • 交付決定前着手: 応募や採択だけで発注しない。事前着手を認める例外は、要領に明記がある場合だけ使う。
  • 証憑の連続性: 見積、発注、納品、請求、振込、成果物の金額・日付・相手先を一致させる。
  • 対象外経費: 汎用品、通常の維持費、自社人件費、個人消費、税金、振込手数料などは制度ごとに除外される。
  • 重複受給: 同じ経費を国・自治体など複数制度へ重ねて請求しない。事業全体が違っても経費の切り分けを明確にする。
  • 採択後の変更: 機種、発注先、金額、実施内容を勝手に変えず、事前に変更承認の要否を確認する。
  • 報告と返還: 実績報告後も、事業化、効果、賃金、財産処分、消費税仕入控除税額などの報告が続く場合がある。
  • 収益納付: 制度によって、補助事業による収益の一部を納付する規定がある。交付規程を確認する。
  • 不適切な支援: 「必ず採択」「実質無料」「経費を水増しできる」と勧める業者を避ける。

受給時の仕訳、所得税、消費税、確定申告

事業に関する補助金は、所得税と消費税で扱いが異なります。「補助金はすべて非課税」「入金時に必ず雑収入」と一律には言えません。

所得税と収益計上時期

個人事業の遂行に伴って受ける補助金は、一般に事業所得の収入として扱います。帳簿では「雑収入」を使うことが多いものの、勘定科目より、どの所得に属するか、いつ受給する権利と金額が確定したかが重要です。

支給決定と入金が同じ年なら、権利が確定した時点で「未収入金/雑収入」、入金時に「普通預金/未収入金」とする方法があります。制度の通知が条件付きで額が未確定なら入金時に計上する場合もあり、入金日だけで一律には決まりません。決定通知と入金が年をまたぐ、採択後に額が精査される、返還条件が残る場合は、通知文と交付規程を持って税務署または税理士へ確認してください。

消費税は「受給」と「購入」を分ける

国税庁「課税の対象とならないもの」によると、補助金の受領自体は、通常は商品やサービスの対価ではないため消費税の課税対象外です。しかし、補助対象の機械やソフトを買う取引は別で、課税仕入れになることがあります。

本則課税では仕入税額控除により補助対象経費の実質負担が変わり、事務局へ消費税等仕入控除税額を報告・返還する場合があります。免税事業者、簡易課税、本則課税では影響が異なるため、公募要領の税区分と実績報告の案内を確認します。インボイス登録後の負担や特例終了後の選択肢は、2割特例はいつまで?終了後どうなる|個人事業主の3割特例と法人の選択肢もあわせて確認してください。

固定資産を取得した場合の総収入金額不算入

国税庁「No.2202 国庫補助金等を受け取ったとき」では、国や地方公共団体の補助金等で事業用の固定資産を取得・改良した場合、一定の要件と申告手続を満たせば、補助金の全部または一部を総収入金額に算入しない特例が示されています。その代わり、固定資産の取得価額を補助金相当額だけ減額し、その後の減価償却費も小さくなります。

すべての補助金や経費に使える制度ではなく、確定申告書への明細書添付などが必要です。対象資産、財源、通知書の文言、取得年と受給年が異なる場合は個別判断になります。補助金を返還したときも、過年度修正や当年経費の扱いが事情により変わるため、自己判断で相殺しないでください。

自治体・業種別の制度を探す方法

自治体には、開業前、空き店舗、展示会、DX、省エネ、設備更新、利子補給など、国制度より地域事情に合う支援があります。募集期間が短く、予算到達で早期終了する制度もあります。

  1. J-Net21「支援情報ヘッドライン」で都道府県、支援種類、経営課題を絞る。
  2. Jグランツで所在地とキーワードを変えて検索する。
  3. 都道府県、市区町村、産業振興財団の公式サイトで「創業」「販路開拓」「DX」「省エネ」「店舗改装」を検索する。
  4. 業界団体や所管省庁で「業種名+補助金」を確認する。
  5. 最新の公募要領へ戻り、対象地域、事業所所在地、税滞納、創業前相談、申請前着手、他制度との重複を確認する。

Jグランツに載らない紙申請や自治体独自システムもあるため、見つからないだけで制度がないとは判断できません。掲載日ではなく、実施自治体の公式ページにある受付状態と残予算を確認してください。

相談先と申請支援業者を選ぶ注意点

相談先は、制度の目的に合わせると効率的です。

  • 持続化補助金:所在地を管轄する商工会・商工会議所
  • 創業や経営全般:よろず支援拠点
  • IT導入:公式登録されたIT導入支援事業者
  • 事業承継・M&A:事業承継・引継ぎ支援センター
  • 大型設備や経営計画:認定経営革新等支援機関
  • 雇用関係助成金:都道府県労働局、ハローワーク、働き方改革推進支援センター
  • 自治体制度:都道府県・市区町村の商工担当課、産業振興財団

申請支援を契約する前に、固定報酬、成功報酬、採択後の交付申請・実績報告の範囲、解約条件を文書で確認します。申請者は事業計画と申請内容を自分で説明できる状態にし、支援者名や報酬の開示を求める制度では隠してはいけません。雇用助成金の提出代行など、資格者に限られる業務もあるため、依頼する制度と業務範囲に必要な資格を公的窓口で確認してください。

個人事業主の補助金に関するFAQ

個人事業主でも国の補助金を申請できますか。

はい。持続化補助金やデジタル化・AI導入補助金などは個人事業主を対象に含みます。ただし、業種、従業員数、開業日、申告実績、事業目的など制度固有の要件をすべて満たす必要があります。

従業員がいない一人事業者でも使えますか。

持続化補助金とデジタル化・AI導入補助金は従業員ゼロでも対象になり得ます。ただし、デジタル化通常枠150万円以上等の賃上げ要件は要確認です。省力化一般型、新事業進出・ものづくり商業サービス補助金、雇用関係助成金は利用できません。

開業前でも申請できますか。

今回確認した主な全国制度は、開業届未提出など正式な開業前では原則申請できません。自治体には創業予定者向け制度があります。創業型も開業予定者向けではなく、支援日と開業日の要件を満たす必要があります。

パソコンやタブレットだけを買う補助金はありますか。

主要制度では単体購入は原則対象外です。デジタル化・AI導入補助金のインボイス枠なら、対象ソフトと同じ登録支援事業者からセット購入するPC・タブレット等を補助率1/2、上限10万円で申請できます。

ホームページ制作費は対象になりますか。

持続化補助金では販路開拓に必要なら候補ですが、第20回はウェブサイト関連費だけの申請はできず、補助金交付申請額は30万円までです。単なる会社紹介、既存サイトの単純更新、期間内に公開しないサイトは対象外です。

車や店舗家賃は対象になりますか。

一般の乗用車や既存店舗の通常家賃は主要制度で原則対象外です。特殊な機械車両、販路開拓のため新規賃借する事務所、目的に沿う店舗改装などは例外があるため、経費区分と按分条件を確認します。

補助金は返済不要ですか。

適正に実施して要件を満たせば原則返済不要ですが、無条件ではありません。虚偽、目的外使用、報告未提出、無断の財産処分、賃上げ特例の未達などにより、取消しや全部・一部返還が生じる場合があります。

赤字や開業1年目でも申請できますか。

赤字や創業直後だけで一律対象外にはなりません。持続化補助金は事業実態を示せれば候補です。一方、確定申告書、納税証明、開業日、賃上げ、従業員などの要件を満たせない制度は申請できません。

補助金はいつ入金されますか。

多くは交付決定後に事業を実施し、全額を支払い、実績報告と検査を経て補助額が確定した後に入金されます。採択直後には入らないため、自己資金またはつなぎ資金を用意してください。

GビズIDは必要ですか。取得にどのくらいかかりますか。

主要な電子申請ではGビズIDプライムが必要です。公式案内では、マイナンバーカード等を使うオンライン申請は最短即日、書類申請は2026年7月以降最大1か月です。締切前に余裕を持って取得します。

補助金を受け取ると確定申告や税金はどうなりますか。

事業に関する補助金は一般に事業所得の収入になりますが、消費税の受領自体は通常課税対象外です。固定資産では総収入金額不算入の特例が使える場合もあり、権利確定時期と必要書類を個別に確認します。

自分の地域の補助金はどこで探せますか。

J-Net21とJグランツで地域・目的を絞り、都道府県、市区町村、産業振興財団の公式ページへ戻って確認します。Jグランツ未掲載の制度もあるため、商工担当課や商工会・商工会議所にも照会してください。

まとめ:個人事業主が今日行う3ステップ

個人事業主向け補助金は、事業者の立場、目的、受付時期で候補が変わります。従業員ゼロなら、販路開拓の持続化補助金と登録ITツールのデジタル化・AI導入補助金が第一候補です。大型制度や雇用助成金は、従業員と賃上げ要件を先に確認してください。

今日行うことは次の3つです。

  1. 欲しい物ではなく、解決したい課題と使う経費、必要時期、税抜予算を書き出す。
  2. 立場別・目的別の表から候補を一つか二つに絞り、最新公募要領で従業員、開業日、経費、支援書類の締切を確認する。
  3. GビズIDプライムと相談予約を進め、交付決定まで契約・発注・支払いをしない。

補助上限よりも、自己負担と入金までの資金繰り、事後報告を含めて実行できる制度を選ぶことが重要です。

更新履歴

  • 2026年8月21日:新規公開用原稿を作成。主要制度の公募要領、公式FAQ、受付日程、GビズID、国税庁資料を確認。

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